【テニス】新体制始動企画『奪還』/♯10主務対談・大橋燎&伊藤なつ海

主務 写真

DSC_5304主務とはチームになくてはならない存在である。例えるならチームの「心臓」といったところだろうか。今季庭球部で主務を務めるのは、大橋燎(政3・慶應義塾高)と伊藤なつ海(政3・慶應義塾女子高)だ。昨季は副務を務めたこのコンビ。主将の2人からの信頼も厚い。「自主性」を求められる庭球部の主務としての仕事、チームの一員として日本一に懸ける思いを伺った。

 「とにかく24時間部活のことを考えている(大橋)」

※大橋主務:青色、伊藤主務:橙色

――大橋主務から見て伊藤主務は、伊藤主務から見て大橋主務はどんな人ですか

とにかく真面目ですね。自分もなので言えないですけど、めちゃくちゃコミュ障です(笑) 安心して仕事を任せられる人です。

大橋も真面目で、私よりも細かいです。お互いに相手が気づかないところに気づけるので、良いバランスが取れていると思います。細かいんですけど、部屋は汚いです。(笑)

整理整頓ができないので……(笑) 雑なんですけど、変に細かいです。

――主務の仕事を教えてください。また、仕事の分担はどうしているのですか

うちの部活は男女で一つなので、基本的には分担してやっていて、事務的な仕事は秋元というマネージャーがやってくれています。自分たちは最終的なチェックをしています。部のスケジュールなどは、主将を含めた4人で決めています。女子のことにも僕と井上が口出ししますし、男子のことにも伊藤と安形が「めちゃめちゃ」言ってくるという感じですね。

実務はあるんですけど、他の体育会の部と違うところは、それがすべてではないということです。主将の2人と幹事として1枚岩になって日本一のために尽くすということですね。

――大変なことはありますか

他の部の主務ってプレーヤーとして引退して、主務業に専念することがほとんどだと思うんですけど、うちの部はそういうのはなくて、一プレーヤーとしての責任というものが僕と伊藤にもちゃんとあって、実際そこが忙しい部分もあって、練習時間確保することであったり、できる限り自主練をする時間も見つけてやっています。とにかく24時間部活のことを考えているので、今までより、より部活に割く時間は増えましたね。

部のマネージメントですかね。自分もそうですし、チームというのはいろいろな人の集合体で、一人一人の行動によってチームというのは良くも悪くも変わっていくので、そこをうまくマネージメントすることです。主務として引っ張ることも大事だと思うんですけど、チームのバック、一番後ろから押していくことも必要だなと感じています。

視野を広く持つことはめちゃくちゃ大変ですね。練習中も男子のメンバー外はかなり人が多くて、その中でも一人一人を見ていかなくてはならないので、自分のコートで練習している部員はもちろん、隣のコートにいる部員もちょくちょく見ながら、どういう空気がやっているのかとかを観察しているので、プレーヤーとしての自分に責任を持つことと、部をまとめるところの両立は、大変なこともあります。

――引き継ぐ際に前任者の植野さんや今橋さんから言われたことは何かありますか

「自分が悩んでいても意外とチームが前に進んでいたら、自分の悩んでいることはチームにとってはたいしたことではない。」と言われたときには、自分だけで悩んでいても仕方ないんだなと感じました。

こういう立場なので、チームの結果は幹事の責任も大きいんですけど、「自分が日本一に対して一番強い気持ちを持っていれば、とった行動はすべて正しいと思うから、自分を信じて一年間頑張ってほしい」と言われました。

――監督やコーチから何か言われたことはありますか

言われるのは、「監督やコーチのチームではなくて、学生のチームなので作り上げていくのは、お前らだ」ということですかね。トップに立っているのは坂井監督や原コーチだと思うんですけど、チームがどうしていくのか決めたり、方向性を提案していくのは僕らの仕事という風なことですね。

DSC_5302「厳しさの中に愛があるチームにしたい(伊藤)」

――主将2人とどのようなチームを作っていきたいですか

本当に積み重ねてきたものがあるので、谷本さん今橋さんの代が作り上げてきてくれたものが大きいものがあるので、そこに加えて全員が自分で考え、学年関係なくお互いに声をかけて高めていくことができる「自主性」を持ったチームにしていきたいです。

王座の1か月前と同じテンションを1年間継続していきたいです。結果にこだわらなくてはいけないし、本気にならなくてはいけない。厳しい環境を作りたいんですけど、その一方で、厳しさの中に愛があるというか、一人一人の思いが詰まったチームにできたらなと思います。

――お二人から見て、主将の2人はどんな人ですか

(井上)智文は7年目なんですけど、本当に次男なんですよね。3兄弟の真ん中で、熱くてばかになれる人間ですね。ばかなんですけど、その熱さをチームに伝えてほしいです。最悪あとのことは僕がやるので、そのまま突き進んでくださいって感じです。

コートの上でばかになれる、熱くなれる人ですね。安形は、めちゃくちゃひたむきです。たぶん誰よりもこの部活でひたむきだし、そうじゃないと自分のことを信じられないと思っていると思います。だから、誰よりも自分に厳しくて、誰よりも他の人に愛を持って接することができる人ですね。

「日本一になって、この部活にいる意味を証明したい(大橋)」

――慶應庭球部の魅力は何ですか

「すべてのことに対して熱い」ことだと思います。関わってくることすべてに対して全力でぶつかって、すべてのことに対してプロになるというか、そういう意識でやっていることがこの部の魅力だと思います。テニスに対してはもちろんだし、一アスリートとしての体やメンタル作りもそうだし、審判だとか分析もそうですし、それぞれが自分の役割に対して100%でやれるのは、やっぱり慶應庭球部のいいところだと思います。

全員が自分の壁とかチームの壁を壊そうと頑張れるところだと思います。日本一になったことのある人が少ない中で、全員で日本一を目指していることや、個人でも少しでも上のグレードに行けるようにチームで協力しているところだとか、個人でも団体でもチームで戦えているところがこの部の魅力だと思います。

歴史を変えた瞬間に立ち上がり喜ぶ、OBOG、保護者の方々。庭球部は多くの方に支えられてる

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――「チーム慶應」(高校生やOBの方々との縦のつながり)について教えてください

やっぱり今一貫教育校を大事にしていて、結局どのスポーツでも内部生が多くて、その内部生の力が重要になっているというのを内部出身の自分も実感しています。各学校にコーチをつけたりしています。もちろんOBの方々は普段からサポートしていただいて、応援も全国どこでもかけつけていただいて、寄付も申し訳ないくらいしていただいていて、本当に日本で最初の硬式テニス部なので伝統もありますし、OBの方々も全員この部にいたことを誇りに思っていますし、この部活に対していつまでも現役のように接してくれているのでとてもうれしいですし、自分もそうならなくてはと思っています。

一貫教育校の人たちは、最近では応援の主力になっているんじゃないかなと思うくらいみんな来てくれて、そういう面でもすごく力になっています。自分たちは、日本一とか大きな目標にぶつかっていく姿を見せることで、夢を与える存在になりたいなと思っています。OBの方々は、自分たちが日本一になれるとすごく信じてくれていて、それには結果で返すしかないので、今年こそは結果で感謝を示したいと思います。

――最後に今季の意気込みと日本一への思いを教えてください

今季の意気込みは、出し尽くすしかないということですね。もちろん、1年間を逆算して考えているんですけど、とにかく1日1日やれることをすべてやって、やれるという気持ちで王座に臨めるようにやるしかないですね。日本一になることでしか、この部活にいる意味を証明できないので、最後この部活にいる意味を証明して現役を終えたいです。

1年生のときから絶対に今年日本一になれると信じていて気づいたら最後の年になっていたんですけど、どんどん近づいていて、そこを最後つかめるかどうかは自分たち次第なので、今の時期から1日1日を大切にして、私も出し尽くしたいです。

(企画・取材:太田悠貴)

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