昨季は優勝争いに残りながらも3位に終わった慶大。今季はさらに力をつけ、ここまでの勝ち点は早大と並ぶ4。優勝決定戦となった早慶戦、1回戦は延長10回でのサヨナラホームランで劇的勝利。迎えた2回戦、両投手の好投により互いに無得点で8回を終えたが、9回で慶大がチャンスをものにし1−0で勝利。15季ぶりとなる悲願の優勝、さらには勝ち点5の完全優勝という最高の形でリーグ戦を締めくくった。
10月16日(土)東京六大学準硬式野球秋季リーグ vs早大2回戦@早大東伏見グラウンド
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0 |
早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 |
慶大:○竹原―有賀
早大:●黒須―吉田龍
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [8] | 大瀬裕太(商4・桐朋) |
2 | [3] | 井筒陽介(経3・慶應湘南藤沢) |
3 | [7] | 渡邊勁介(商4・慶應志木) |
4 | [9] | 市野澤文太(商1・慶應義塾) |
5 | [5] | 大島一輝(総3・桐朋) |
6 | [6] | 猪砂雄介(政4・立命館宇治) |
7 | [4] | 城下陸(文2・静岡県立韮山) |
8 | [2] | 有賀慎一郎(商3・慶應湘南藤沢) |
9 | [1] | 竹原雅貴(理3・横浜翠嵐) |
慶大優勝の瞬間を見届けようと、この日のグラウンドには非常にたくさんの観客が詰めかけた。大声援の中始まった試合。序盤は早慶両投手の好投で0−0のままポンポンと試合が進んでいく。慶大打線は3回、4回、7回にチャンスを作ったが、いずれもあと一歩のところで得点に繋がらない。しかしその間、先発の竹原雅貴(理3)が球数を最小限に抑えた好投を続け、早大打線には一切のチャンスを与えなかった。野手陣も、遊撃手猪砂雄介(政4)のファインプレーや捕手有賀慎一郎(商3)の盗塁阻止など数多くの好プレーでチームを支える。
そして迎えた9回。先頭打者の4番市野澤文太(商1)がヒットで出塁すると、主将の猪砂雄介(政4)がレフト線へ鋭い二塁打を放ち1点を獲得。その裏を竹原が見事な投球で抑え、1−0で勝利を収めた。
これにより、慶大は早大に2連勝、勝ち点5を獲得しての完全優勝。15季ぶりの優勝でもあったこの瞬間には、選手、OB、観客が一体となって歓喜に沸いた。
慶大が一貫して目指しているのは「守り勝つ野球」。スキのない守備で早大打線を封じたこの試合で、追い求めてきた理想を体現した。打線も、春季とは大きく変わり1年生の市野澤を主軸に置いた形が上手く機能。「夏の間にチーム力の底上げができた」という監督の言葉通り、厚い選手層の中で互いに切磋琢磨しながらチーム全体のレベルを上げてきたことがうかがえた。
秋季リーグ終了をもって4年生は引退。重要な戦力が抜けてしまうことになる。特に主将の猪砂は、先発投手と遊撃手の両方を務めたほか、打撃面でもチームに貢献してきた。しかし、この夏でチームの形が変わったように、この冬にもまた新しい戦力が誕生することは間違いない。春季リーグを迎える頃には、どんな野球が見られるのだろうか。新チームの活躍に期待が懸かる。
記事 鈴木優子
◆打撃成績
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| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
[8] | 大瀬 | 一邪飛 |
| 右安 |
| 右飛 |
|
| 三飛 |
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[3] | 井筒 | 右飛 |
| 三ゴロ |
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| 遊ゴロ |
| 三ゴロ |
|
[7] | 渡邊 | 左飛 |
|
| 中安 |
| 二ゴロ |
| 左飛 |
|
[9] | 市野澤 |
| 一ゴロ |
| 中安 |
| 左飛 |
|
| 中安 |
[5] | 大島 |
| 二ゴロ |
| 投飛 |
|
| 遊ゴロ |
| 見三振 |
[6] | 猪砂 |
| 右飛 |
| 右飛 |
|
| 三安 |
| 左2① |
[4] | 城下 |
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| 左安 | 右飛 |
|
| 見三振 |
| 投犠打 |
[2] | 有賀 |
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| 一犠打 |
| 二飛 |
| 四球 |
| 二ゴロ |
[1] | 竹原 |
|
| 空三振 |
| 中飛 |
| 右安 |
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◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
○竹原 | 9 | 29 | 86 | 3 | 5 | 1 | 0 | 0 |
◆監督・選手コメント
織戸晃監督
(今季を振り返って)この秋はとにかく7年半ぶりの優勝をしようと思っていました。去年の11月に新チームが発足し、夏の間にチーム力の底上げができたので、かなりの手応えを持ってシーズンに臨みました。最初のカードである明大戦を2つ取れて、次は3年間勝っていない立大戦だったのですが、総力を挙げて勝つことができたので今回はとても良い流れでした。早大とは勝ち点4同士でぶつかって、初戦に勝つことができたのでいけると思っていました。早大とは本当に互角だったのですが、猪砂を中心とした4年生が引っ張って下級生がそれについて行ったことが優勝の大きな原動力だったと思います。(春季リーグとはオーダーを大きく変えていました)春は打てなくて勝ち切れなかったのですが、今回は1年の市野沢が途中から4番に座って、打線の軸になってくれたのが大きかったです。1番大瀬と3番渡邊も良く打ってくれました。この秋はチーム打率が3割以上で、優勝の大きな要因の1つは打力の向上です。(早大に点を取らせない守備でした)我々は守り勝つ野球をやっているので、そういった面で最高の試合でした。皆がピッチャーの投球に応えるように守ることができていました。我々の目指している野球が最後の最後でできたということですね。(序盤ではチャンスを生かし切れない場面もありました)バント失敗もありましたし、そういったところは今後の反省課題です。送るべきときはきちんと送って、そこで一本を出して点を取る。チャンスはそんなに多くないですから、今後は少ないチャンスをモノにしていけるかどうかだと思いますね。(9回表ではチャンスが得点に繋がりました)昨日の延長10回の最後の攻撃も、今日の9回も、先頭バッターの市野沢がヒットで出てくれて後に繋いだということなのですが、今日は最後に猪砂が気合いの入ったヒットで試合を決めたわけなので、チームとしても最高だと思いますね。(来季に向けて)僕らの野球は守り勝つ野球なので、センターラインを中心に守りを固めて、相手に簡単に点を与えない。そのためにはピッチャーをやっている学生が自覚を持ってこの冬の練習に臨むことが大切ですね。
猪砂雄介主将(政4)
(今日の試合を終えて)昨日は同じ4年生の高木がサヨナラホームランを打ち劇的な勝ち方をしたので、今日も初回からその勢いのまま行こうと全員で向かって行けたのでこのような結果に繋がったと思います。(決勝打を打ちましたが)このリーグ戦中調子は良かったので、しっかりと頭の中で強い打球を打とうと意識をしてそれが結果に繋がって良かったです。(守備でも好プレーがありました)元々は守備で出始めた選手なので、しっかりと猪砂らしさを出せたかな、と思います。(ピッチャーとショートの練習の両立は)野手の全体練習には基本的に参加していて、フリーバッティングのときにしっかりと走り込みをしてピッチャーに追いつこうということでやっていました。(4年間を振り返って)僕が1年間主将をやった中で同期が支えてくれて、猪砂が言うならいいよと僕の言うことを後ろから押してくれたので、同期には一番感謝しています。
竹原雅貴(理3)
(今日の試合を振り返って)今までのシーズンであまり貢献できていなかったので、最後に貢献できてよかったです。(点の入らない苦しい試合でしたが)相手の黒須もいい投手でなかなか点が取れないというのは予想通りだったので、自分の思った通りに試合がポンポン進んでいったのでよかったです。(球数が少なめですが)甘い球でも打たせていこうと有賀と話し合いなっていたので、しっかり投げられてよかったです。(4年生はこれが最後のリーグ戦ですが)今までお世話になってきた方々なので、最後に優勝させてあげたいな、と思って投げました。(来年は最上級生ですが)来年は自分たちが中心となるので、しっかりチームを引っ張っていけるように頑張ります。
市野澤文太(商1)
(相手ピッチャーの印象は)最初の打席に立った時、変化球がすごくて打てないなと思ったんですけど、そのなかで狙い球を絞って打てたのがヒットにつながったと思います。(自身の今日の調子は)体が特別軽かったということは無かったんですけど、9回の表、一塁から走ってホームに還るときは足が早くなったような気がします。(9回はどんな気持ちで打席に入ったのか)前日も僕が塁に出た後に逆転のツーランHRを打って貰ったんです。僕が先頭で出れば得点につながるんじゃないか、そう思って打席に立ちました。(15
季ぶりのリーグ優勝の実感は)先輩の喜んでいる姿を見て、念願の優勝だったんだな、と感じます。(準硬式野球部でどのようなプレーをしていきたいか)今は僕が引っ張ってもらってプレーしやすい環境を作って貰ったので、今度は僕が皆を引っ張っていきたいです。(来季に向けて)今シーズンは優勝という形で終われたので、来年以降も今の四年生がいないと勝てないと思われないよう、強さを継続していければ良いと思います。