全日本野球連盟と読売新聞社が主催する冬季特別トレーニング2018が読売ジャイアンツ球場室内練習場で2月6日と7日に開催された。それぞれ午前午後の部と計4部が行われ、慶應義塾大学野球部からは郡司裕也(新環3・仙台育英)、髙橋佑樹(新環3・川越東)、柳町達(新商3・慶應)、瀬戸西純(新政2・慶應)が7日午前の部に参加した。
7日午前の部には東京六大学野球連盟の六大学と中大、国士舘大、上武大の選手が参加した。選手が、投手や守備など各部門に分かれ、他大学の選手とともに元プロ野球指導者から指導を受けるかたちで練習会は行われた。
投手部門の練習に参加した髙橋佑は、キャッチボールを終えるとすぐにブルペンへ。メジャーリーグで通算14勝を挙げた髙橋尚成氏から指導を受けた。サウスポーである同氏からフォームについて足の上げ方や腰の動きなど下半身の使い方を、投球に関しては変化球についてマンツーマンで指導を受けていた。
投手部門練習の後は、巨人で代走の切り札として活躍した鈴木尚広氏からトレーニング方法を教わった。「実験」と称したユニークな実演指導を交えながら、体幹を鍛えるトレーニングに取り組んだ。厳しいトレーニングに苦しい表情を見せながらも、鈴木氏に「楽しそうにやろうよ」と声をかけられると「楽しいです」と返すなど”ボンバー節”は健在だった。
捕手部門では昨年に続いて郡司が参加。前半は内野グラウンドを使って送球の練習を、後半はワンバウンドのブロックといった捕球練習と、座学でリードについて教わっていた。広島で2度ゴールデングラブ賞を受賞した西山秀二氏から今年も指導を受け、ダメ出しされたという昨年に比べて技術面では良いと褒められたという。一方配球面では「配球には正解はないけど、正解に近いものはあるから、それを求めていかなければいけない」と言われたことで、自身の考え方を改め直したという。トップレベルの捕手から金言を授かった扇の要が、慶大をさらなる高みに連れて行ってくれそうだ。
守備部門では瀬戸西と柳町が参加。侍JAPANのU-12代表監督やトップチームの内野守備コーチを務めた仁志敏久氏から指導を受けた。柳町は今季から内野に転向。高校時代に守ったサードではなく、初めてというセカンドでの出場を目指している。前半はボールを使わず、三角コーンの間を、手法を変えながら往復するトレーニングを行った。後半は工夫を凝らしたキャッチボールや内野ノックを受けていた。昨年神宮大会でショートを守った瀬戸西は「意識的な面で、今まで足りていなかったなと気付けて良い機会になりました」と仁志氏からの指導で大いに刺激を受けたようだ。昨年の”内野カルテット”が全員引退したことで、内野陣の再編が慶大野球部の今年の浮沈を握ると言える。この刺激をチームに持ちかえり、生かしてもらいたい。
5日に全体練習が再開し、春に向けて再始動している。実力十分な新入生の入部も発表されキャンプ、オープン戦とこれから着々と新チームが形作られていく。”六の王者”として戦う春にはどんなメンバーが神宮に立っているのだろうか。開幕まであと2ヶ月、楽しみでならない。
記事:尾崎崚登
♦選手コメント
郡司裕也(新環3・仙台育英)
――今日の感想を
2年連続の参加となったんですけど、本当にプロがどういう練習しているか、という普段聞けないような話を聞くことができ、大変有意義な時間でした。
――印象に残っている練習は
僕は今年、2度目の参加で、技術的な指導は、去年もしていただいて、同じことを指摘していただいたので、再認識したという感じなのですが、キャッチャーとしての心得的な部分を詳しく教えてもらって、トップレベルのキャッチャーでいらした西山さんのお話を聞いて、考え方として、僕もまだまだだなと感じた部分が多くありました。
――心得というのはどのようなものでしたか
配球というのは難しくて、打たれたりすることも当然あるのですが、僕の中で、配球に正解はないな、という風にずっと思っていて、自分の中で割り切ってしまっていた部分がありました。ですが、西山さんは「配球には正解はないけど正解に近いものはあるから、それを求めていかなければいけない」ということをおっしゃっていて、僕は自分に言い訳していただけなんだなという風に、打たれたときにどこかで人のせいにしてしまっていた部分があったなという風に感じたので、より正解を導き出せるように、もっと打たれたことについて反省しなくてはいけないですし、それを繰り返さなくてはいけないなと思いました。
――2度目だからこそでしたか
どんどん野球をやるレベルも上がってきている中で、そういう部分にももっと目を向けてやっていかなければいけないなという風には感じていたので、今回それを痛感したというか、ひしひしと感じました。
――今後、今日学んだことを活かして行っていきたいことは
もっと慶應のピッチャー陣をもっと理解してあげないといけないなという風に思いましたし、今日「相手を見ろ」という風に教えていただいたのですが、もちろん対戦相手をもっと見なきゃいけないということも重要なのですが、もっと慶應のピッチャーを見なきゃいけないなという風に思って、自分たちが分かっていないと、良い配球にもつながらないと思うので、もっと人を見る、ということをやっていきたいなと思います。
――理解するために何かやってみたいことなどは
これは記事で見たのですが、ロッテの田村捕手が投手一人一人と面談した、というような記事を見て、やっぱりプロのキャッチャーってそういうことをしているんだな、という風に思って、面談とまではいかないかもしれないですが、ミーティングとかをもっとバッテリーで増やしていけたらなとは思っています。
――春季リーグではどのように活躍していきたいですか
秋に優勝して、どこの大学も慶應を倒す、という思いでやってくると思うので、受け身にならずに、もっと僕はキャッチャーとして相手を研究して、さっきも言ったように相手を見て、もう一回り大きくなった慶應で春のリーグ戦に臨みたいと思います。
――意気込みを
もちろん目標は連覇、と言いがちなのですが、そんなに簡単に優勝できないことももちろんわかっているので、秋のことは一回忘れて、再スタートというか、自信にはしつつ、こっちから相手を倒していくという気持ちでやっていきたいと思います。
髙橋佑樹(新環3・川越東)
--今回のトレーニングを振り返って
ピッチングに関しては、
--
足を上げたときに下半身も脱力していた方がいいと思っていたので
--今回投げてみてその感覚はいかがでしたか
投げてみて、こういうことかと分かることも多かったので、
--チェンジアップについての指導も受けていましたが
投げ方を教えてもらったのですけど、
--トレーニングでは具体的にどういった指導を受けましたか
股関節が大事だということを何度もおっしゃっていました。
--効果というのは感じられそうですか
かなりきつかったので、効果あるのではないかなと思います。
--この冬はどういったトレーニングに取り組んでいますか
大前提はスピードアップです。それとまた別に、
--投手陣での競争というのはどう感じていますか
激しいと思いますね。練習が始まって、
--チーム内でライバル視しているピッチャーは
佐藤って言ったら、格が違うだろと言われそうですけど。けど、
--リーグ戦開幕に向けてどういった準備をしていきたいですか
自分がもう一皮二皮むけないと勝負にならないと思います。
--今後に向けて
今回豪華なメンバーから指導を受けて、
柳町達(新商3・慶應)
――今日の感想は
仁志さんが教えてくださったことは新しい知らないことばかりでした。帰ってからも教わったことを取り組みたいです。
――セカンドの位置でノックを受けていましたが
神宮大会の後からセカンドに取り組んでいます。セカンドを守るのは初めてです。
――高校時代に務めたサードとの違いは
サードよりはバウンドを合わせやすいです。手応えはちょっとずつつかめてきました。
――ボールを持ってのノックはどんな意図が
抱え込んで、右手でごまかさないようにするためだそうです。自分にとって重要な点だと思っています。
――仁志氏からの言葉で印象的な言葉は
「ノックは総合的な練習で、基礎を固めてからの集大成」ということです。基礎を固めることが重要だと思っています。
瀬戸西純(新政2・慶應)
――今日の感想を
初めての参加で、普段何気なくやっていた練習に対して、プロ野球選手は自分が意識していることと全然違う意識を持ってやっている、ということを教えてもらえて、これを意識すれば自分の練習の質が一段階上のレベルになるのではと感じ、良い時間になったと思います。
――今日のトレーニングで印象に残った練習は
前半に行った中では、コーンを逆T字に置いて切り返しやバック走をする練習があったのですが、その練習が、前半の練習の最後の確認のような、全てを含めたトータルの練習という風に聞いて、それがうまくいけば、内野の守備の動きとしても、もっと滑らかになると思うので、その練習が一番印象に残ってます。
――このトレーニングの前と後でのご自身の違いは
何気なくやってきたことに意図があったり違ったやり方があったりして、自分が今までどれだけ何も考えずにやってきたかを思い知らされたので、もっとしっかり考えてやらないとうまくならないなと、意識的な面で、今まで足りていなかったなと気付けて良い機会になりました。
――このような機会はあまりないと思いますが、いかがでしたか
こういう機会は初めてで、野球で、プロで活躍された方の指導で、間違っていることはないと思うので、教わったことをしっかり参考にして、合わないものは切り捨てて、合うものを取り入れて、うまくなっていきたいと思いました。
――受けた指導の中で、一番印象に残っているのは
いろいろありましたが、「握り替えをするには、手を動かすのではなく、ステップを意識することによって自然と握り替えが速くなる」という指導をしていただいて、今まで小手先でやっていたので、とても身になりました。
――今日の指導を今後どう生かしたいですか
今回聞いたのは自分だけですが、それを僕だけのものに止めずに、部に持ち帰ってチームみんなでこれを意識できるようになれば、総合的にもレベルが上がるし、言い合える関係が出来上がれば、自分のスキルの向上にもつながると思うので、みんなに教えながら、自分自身のレベルも高めていければと思います。
――春季、どのような役割を果たしていきたいですか
今季は、内野が去年4年生がごっそり抜けて、力不足という風に言われているので、その穴埋めではなく、去年よりも良い内野になったという評価をいただけるように、守備でもバッティングでも走塁でも全部で活躍していきたいと思います。
――意気込みを
去年の秋のリーグ優勝から、日本一は逃したということで、この春は、リーグ優勝、日本一、早稲田に勝って、そして秋も優勝したいと思います。