【ソッカー男子】第3節 課題の見えた大敗 青学大戦

けがから復帰の田中副将がスタメンに名を連ねた

五月の快晴の中、霞む東京スカイツリーを望む夢の島競技場で、慶大は青学大と対戦した。慶大はここまで優勝候補2校を相手に不敗。昇格直後の青学大相手に、優勢かと思われたがまさかの完敗を喫し、慶大のサッカーが未だ発展途上であることを示す試合となった。

 

第85回関東サッカーリーグ戦【前期】1部リーグ 第3節

2011/5/14(土)11:30 KO@江東区夢の島競技場

慶応義塾大学0—3青山学院大学

得点者 33分忰山翔(青学大)、74分関隼平(青学大)、78分御牧考介(青学大)

 

スピード感あふれるドリブルを幾度もみせた田中

立ち上がりの慶大は積極果敢に攻め立てた。開始10分、この日怪我から復帰した右サイドバック田中(環4)がオーバーラップ。ペナルティエリア内に侵入すると、ボックス内で二人をかわし、ゴール前に絶妙のクロス。これは得点にはならなかったが、後一歩までゴールに迫った。さらに32分にも増田(環1)、武藤(経1)の1年生がワンツーからチャンスを作りシュートを放つなど、得点は時間の問題かと思われた。そんな折、33分、試合の均衡が崩れた。

先制点は慶大ではなかった。シンプルにロングボール主体で攻撃を組み立てる青学大が、左サイドからゴール前にクロス。笠松主将(総4)が体を寄せていたものの、走り込んだ忰山翔に押し込まれてしまう。前半のうちに追いつきたい慶大だったが、「あっちは先取点で自信になった」(須田監督)という青学大の堅固な守備ブロックの前にチャンスを作ることが出来ずに前半を折り返した。

今節は右サイドハーフとして出場した藤田

後半は開始序盤から、引いて守る青学大にスペースを見いだせず、パスミスからのボールロストが目立つようになる。追いつきたい慶大は、68分、右サイドの低い位置から挙げた田中のクロスに武藤が合わせ、ゴールネットを揺らす。しかしこれはオフサイドの判定でノーゴール。逆に慶大は74分、ゴール前の密集で強烈なシュートを打たれ、2点のビハインドを喫してしまう。

ここで、前節途中出場でゴールを挙げた森田(経3)、長身の大塚(総4)を投入し、さらには左サイドバックの黄(総4)を前線に上げ、シンプルにゴールを狙いにいくが、78分に三度目の失点。試合の行方を決定づけられた。守りを固めた相手守備陣を前に得点を奪えずに試合を終えた。

 須田監督が「公式戦で対戦するのは初めて」と語る、堅固な守備を敷いたチームとの対戦に苦戦した慶大。「(攻撃の)タクトを振るう選手が必要だった」と日髙(総4)が語るように、この日はポゼッションサッカーの出発点となるべき、センターバック、ボランチが効果的なパスで攻撃の舵をとる事が出来なかった印象だ。「自分達がボールを持たされる展開になると、あんまり上手くはないので正直厳しい」(河井・政4)。明大、流経大との対戦で手応えを得た慶応義塾大に、新たな課題を示した試合となった。

By Hiroki Sugimoto  

コメント

須田監督

(今日の試合を振り返って)完敗だったなと。相手が一枚上でしたし、もちろんうちの選手もがんばっていたんですけど、そのがんばりの質というか、がんばりどころが…。やっぱり、先取点とられたというのが大きいな。あっちは先取点取れれば自信があったんじゃないかな。まあ完敗ですね。(青学大が引いて守って、スペースがなかったが)そうですね。守備ブロックをしかれたときの崩しというのは課題だったので、もっとボールをワイドに走らせて、サイドからというのを徹底したかったんですけど、なかなかできなかった。そういうのも今日の敗戦を勉強にして、またトレーニングしていきたい。(失点後はスリーバックに切り替えたが)もっと青学大が引いてくると思っていたが、攻撃して来たので、そういった意味でも自分の反省点も多い。学生も僕も今日の敗戦を教訓にして、いい経験にしていきたい。(今日の藤田選手と田中選手の配置は)上下の関係で、藤田が下がればタイミング良く田中がオーバーラップ、という形ですね。(今日はボールがうまくつながらなかったが)これもはまったというか、相手がいいポジショニングを取っていたんで、逆にミスを誘われた。出すところがなく迷っていた。相手のプレッシャーで自分たちのペースでボールが回せるような展開ではなかった。今日のようなチームは公式戦でやるのは初めてだったので、こういうチームはほかにも何チームかあるので、そこはやはりトレーニングしていかなければ、と。

笠松主将

(今日を振り返って)まあ…非常に…0-3という結果を、悔しく思います。で、自分たちの甘さが精神的にも体力的、技術的にも甘さがでた試合と思うので、しっかり今日の試合を教訓として、次に繋げていきたい。(ただ奏一選手が復帰したことはチームにとってもプラスになるのでは)そうですね、奏一が復帰したことで、守備面でも攻撃面でもレベルアップする場面が多いと思うので、そういった意味では非常にいい面であると思うんですけど、そこをどういかしていくかっていうのはまだまだできてないんで、もっと奏一のよさであったり、そういうのをいかしていきたいなと思います。(青学の印象は)一人一人、個々の技術が高いと思うし、今日に関していえば、一人一人からだを張っていたので、そういった意味では非常に気持ちがこもっていたと思います。(開幕3試合を戦って、チームの手応えは)まだまだ自分たちがやりたいサッカーっていうのはできてないし、まあ守備面では出来ていた部分もあったんですけど、今日は0-3で3失点してしまったんで、もう一回修正しなきゃいけない部分もあると思うんで、まあ開幕前にやってきたことをやればいいと思うんで、そこは自分たちのサッカーをもう一度見つめ直す必要があると思います。(次節にむけて)ここで連敗するかしないかは大きな差だと思うんで、チームの雰囲気をもう一回よい状態にもっていって、今まで練習もできてなかったんで、そこをもう一度見つめ直して、いい準備ができればと思います。

田中副将

(振り返って)今日は自分が良い流れを崩してしまったので悔しいです。(立ち上がりは良い調子で攻めることができていましたが)相手も前から最初来てたので、自分も積極的に行こうと思って。でも前半の途中から相手が完全に引き出してからうまく良い形で行けなかったので…。(引かれたときの対応が上手くいかなかった)そうですね、そのときの崩し方をもっと工夫してやればよかった。(自分としては納得のいくプレーができなかった)そうですね。クロスを上げるチャンスだったり、何回か左足で上げたんですけどそういうのをもっと増やしていかなきゃいけないな、と。(久しぶりの出場で、どのようなプレーを指示された、もしくは自分でしようと考えていましたか)監督とはシーズン前にいろいろ話したので、それをちゃんと(やること)。守備に関して、自分のポジションに戻ってやっていくところとか。攻撃に関しては、本当に自分の思うようにやって良いと言われてるので。(前回までの課題に「慶應らしいサッカーをする」というのがありました)最初の2試合は「(慶應)らしくない」と言っても、主導権を取った試合が外から見てる限りではできていたと思います、というのも、流経大戦のときも失点してもしっかりポジションを取って、落ち着いてて。今日も、最初のほうは割と(良かったが)、失点してしてからとか気持ち的に少し焦ったりっていうのはあったので、そういう面はなくしていかなければいけないのかな、と。(次戦に向けての意気込み)連敗をしないチームは上に向かっていける強いチームだと思うので、とにかく連敗しないように、次は勝ち点3をちゃんと狙えるように、1週間あるのでしっかり練習していきたいと思います。

河井

(今日の試合を振り返って)相手の狙いにはまった感じです。引いてカウンター狙いだった相手に前半で1点取られてしまったんで、それにはまったかなという感じです。(今のチームの状態は)決して良くないとは思うんですけど、勝ち点は取れているんで、連敗だけは避けたいと思います。(なかなか攻撃の形が作れなかった)相手の前で回すシーンが多いので、それだとなかなか崩せないかなと思います。もっと相手の中に入ってサポートもして、という風にやっていかないと崩せないかなと。でもまあオフェンスのチームでもないんで、自分達がボールを持つというよりは相手に持たせた方がいい形が出来ると思います。一応主導権を握るということを念頭にやってるんですけど、逆に相手にボールを持たせた方が自分達が主導権を握れるんじゃないかと思ってます。しっかり守ってという方が流れがいいと思います。(今日のような相手にはやりにくさがある)そうですね。自分達がボールを持たされる展開になると、あんまり上手くはないので正直厳しいです。(チャレンジするパスが少なかった)ちょっと怖がっているし、安全策でやっている感じがありますね。(専大戦に向けて)今日の様な試合を繰り返しちゃいけないので、相手をしっかりと分析して、修正していきたいと思います。

日髙

(今日の試合を振り返って)もったいなかったなという印象です。前半自分達のペースでボールを回していたんですけど決めきれなくて、逆にワンチャンスで決められて、最終的には相手のペースになって3点取られてしまったということで、どっちに転んでもおかしくなかった試合を落としてしまったという感じです。(チームの現状は)力はあると思います。明治に勝って流経に引き分けということでスタートダッシュも出来たと思うんですけど、ここからの試合に勝つことが重要だということを何人の人が分かって戦えてたかというのが、今のチームに足りなかったと思うことで、出ている選手はもちろん、出てない選手もそういう危機感を持って戦うことが重要かなと思います。(最後まで崩せなかったが、攻撃の形をイメージ出来ていたか)去年までボランチをやっていた立場として感じるのは、引いた相手に対してどう崩すのかという様な、そういうタクトを振るう様な選手が必要だと思います。そういう選手達がもっと主導権を持って、攻撃を組み立てるという意識が必要なんじゃないかなと思ってます。(なかなか後方からいいパスが入らなかったが)ただ回しているだけで、いいタイミングで縦パスや勝負のパスが入らなかったり、むしろそれを出すことすらしていなかったので…。一瞬の隙だったりパスのスピードで相手は崩れるので、今ボランチをやっている選手が若い選手なので、自分や河井とかがもう少し要求して、チームとして攻撃面を高めていければなと思ってます。(どのようなことを意識してプレーしているか)本当は中でもう少しボールに絡みながらパスを散らしたり勝負のパスを入れたいという気持ちはあるんですけど、やっぱりボランチの選手がやりやすいようにやってあげたいというのがあるので、今の段階では外にひらきながらボランチからボールを受けて、サイドバックとの関係だったりというのを意識してるんですけど、今日みたいな試合は自分が中に入って中心となってボールを回すことが必要かなと思ってます。(専大戦に向けて)連敗は優勝するためにはやってはいけないと思うので、みんなで意識を高く持って勝てるように頑張りたいと思います。

 藤田

(今日の試合を振り返って)前の試合でいい形で追いつけたので、流れを今日に繋げたかったんですけど、まあ正直完敗という感じですね(奏一選手が復帰して、今日はポジションが違ったが、ご自身の出来については)ポジションはあまり関係ないんですけど、自分の出来としては全然だめでした(青学の印象は)ビデオでみた感じではもう少し繋いでくるのかと思ったんですけど、ボールポゼッションについては終始うちが支配できていたと思うんですけど、まあ守備がしっかりできてればと思いました。(開幕から3試合戦って、チームの手応えは)そうですね、1、2戦で格上相手にいい戦いができたのは良かったと思うんですけど、こういう相手に勝てないとまだまだだと思う。(次節にむけて)負けてしまったけど、引きずらずに頑張りたいと思います。

 松下

(今日の試合を振り返って)前半の攻撃は普段のペースでやれたので、そこを決めきれなかったのが敗因かなと思います。(チャンスを決めきれなかった原因は)決定力は、技術的な部分も大きいとは思うんですけど、やっぱりゴールへの執念というか、気持ちの部分も足りなかったと思います。(自身のプレーについて)この2試合で守備に関しては合格点を自分の中であげていて、攻撃面で監督からの要求に応えられてはいなかったなという感じがしていたのですが、今日は守備はこの間の試合よりは良くなくて、攻撃に関しては、向こうが引いていたということもあって、僕自身はボールは絡めていたという印象はあります。(失点シーンについて)一点目は僕らがずっと前掛かりになっていて、そこで決め切れず、カウンターでやられて。僕のポジションとしては、攻撃しているときでも守備のことを常に考えていなくてはいけないのに、その意識が欠けていたかなという感じで、後ろのほうもそうしてやられていたと思う。2点目3点目は僕らも前に行かなきゃいけなかったということもあるので、しょうがないという感じです。(次節専大戦に向けて改善すべき点は)今日の負けはとりあえず切り替えていきたいです。1節2節はいい感じだったので、その気持ちを忘れずに第4節も頑張っていきたいと思います。

慶大出場選手

GK 中川翔太(環4)

DF 黄大城(総4)

DF 松岡淳(商3)

DF 笠松亮太(総4)

DF 田中奏一(環4)

MF 増田湧介(環1)→76分森田達見(経3)

MF 松下純土(総2)

MF 日髙慶太(総4)→81分赤木努(経3)

MF 河井陽介(法政4)

MF 藤田息吹(法政3)

FW 武藤嘉紀(経1)→76分大塚尚毅(総4)

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