4日に渡ってお届けしている早慶戦直前企画。3日目の今日は3連覇を目指す女子部AT陣から、荒井理沙(経4・慶應女子)、井上ゆり子(経3・慶應湘南藤沢)、徳光里利笑(経2・慶應女子)の3名の注目選手をピックアップ。慶大ラクロスを最前線で体現する彼女たちが早慶戦前に思うことは…。学年を超えて様々なことをお話いただいた。
(取材日:5月10日)
――まずは隣の人の紹介をお願いします
徳光:あらりさ(荒井)さんから行きますか。
井上→荒井:あらりささんは誰が見ても主将って感じの確固たるリーダーです。気さくな感じで話してくださるんですけど、本当はすごい人です
荒井:何それ(笑)。
井上:気遣いもプレーもエキスパートで、リーダーシップもあるけどそれを全然感じさせないところがすごいです。
荒井:とりあえず良い言葉並べとけみたいな(笑)。
徳光→井上:3年生のういさんです。本名は井上ゆり子なんですけど、コートネームは「うい」です。ういさんはこの中では1人だけ初心者なんですけど、初心者とは思えないほど上手くてガッツあるプレーをします。あと、「緊張してないのかな?」と思うぐらいの鋼の心を持っています。面白くて、優しくて…
井上:ありきたりやん。
荒井:それこそ並べとけって感じ(笑)。
徳光:ちょっとふにゃふにゃしてるイメージ(笑)。だけどプレーの面ではすごく考えていて、ういさんがバンって意見を言うとみんな「ああ確かに」って感じになる。
荒井→徳光:じゃあ行きます。徳光里利笑さんです。実は小学校のときから知っているけど、こんな見た目からしてわかるようにすごく面白い子。で、意外と怖い(笑)。
井上:ボスキャラ(笑)。
荒井:意外とボスキャラっていうね(笑)。という一面を持ちつつも、2年生から活躍するほどバリバリラクロスをやっている、カットの上手な選手です。
――皆さんのコートネームについて詳しく教えてください
荒井:つまらないやつから言おうか。
徳光:つまらないやつは私ですよね。本名そのまま「りりえ」です。
荒井:つまらないやつ2番目は私です(笑)。私は荒井理沙なので、上と下を組み合わせて「あらりさ」です。私たちの代は最初「りさ」が4人いたので。「竹内」や「田沼」は上をとって「たけ」とか「たぬ」って可愛い感じになったんですけど、「あら」は違うってなって(笑)。でも「りさ」を取ってしまうのも違うなと思ったので、「あらりさ」になりました。
――4文字で長いなと感じることは
荒井:長いとはめっちゃ言われますね。4文字は出世しないみたいに聞いて(笑)。それを聞いて萎えたんですけど、そのままやっています。じゃあ最後は面白い人で。
井上:いや、そんなに面白くないんですけど。私は井上ゆり子という名前が誰とも被っていなかったので、コートネーム決めのときに普通に「ゆり子」って送ったんですけど、その取りまとめをしてくれている先輩が中学からの先輩で、中学のときに「うい」って呼ばれていたので。それも、小さいときに自分のことを「ゆり子」と呼べなくて、母音で「うい」って呼んでいて(笑)。中学にも幼稚園の同級生がいて、「ういちゃん」って呼ばれていたので、中学に入っても「うい」って呼ばれるようになりました。それで取りまとめの先輩に「今さらゆり子って呼べない」と言われたので、ういにして定着しました。
――普段も「うい」と呼ばれているのですか
井上:そうですね。逆に普段とちょっと違う感じになると「ゆり子出てきた」みたいに言われます。
一同:(笑)
――新学期が始まって1カ月が経ちましたが、皆さん新しい学年には慣れましたか
荒井:みんな経済学部だね。
井上:部内で言えば、4年生が就活の時期になるので、3年生が今は幹部として活動しています。私は無職なので特に変化はないんですけど、同期は忙しそうですね(笑)。
荒井:他人事(笑)。最上級生になって楽しいですけど、この短い期間に考えることが多すぎて、わちゃわちゃしていますね。
徳光:私は、1年生が入ってきていないのでまだ1年生な気分ですね。それじゃダメなんですけど(笑)。
――今日は皆さん部活のジャージを着ていただいていますが、徳光選手だけデザインが違うのはなぜですか
徳光:私たちの代からウィンドブレーカーのデザインが変わりまして。
荒井:2~3年に1回デザインチェンジがあって、私の2個上と私たちのも違うんですけど、そこのデザインは結構似ていて。でも今年はガラリと変わって、気づいたら彼女たちはこれを着ていました(笑)。
徳光:浮いてますね。
――井上選手と徳光選手は香港遠征に行かれたそうですが
2人:楽しかったですね。
井上:あ、(徳光を指し)MVP!
荒井:そうだ、MVP取ったじゃん(拍手)
井上:もう本当にすごくて。
徳光:いやいやいやいや(笑)
井上:カットがすごく輝いていて、本当にすごかったです。
徳光:そんなですよ。最後の試合で3点決めただけです。
井上:私たちは3年と2年で構成されているチームで出て、みんなシュートを外していて結構苦しい局面だったんですけど、2年生の徳光里利笑さんが1人で3点も決めてくれて。流れが悪くなっても、毎回戻してくれるという活躍ぶりで、見事MVPに輝きました。
――MVPを取ったお気持ちは
徳光:苦しくなったときに点が決まったときはすごく嬉しかったです。その流れで最後にういさんも決めてくれて、優勝もできたのですごく良かったです。あと、大勢人数のいた中での試合だったので、すごく楽しかったし、早慶戦前の良い機会になりました。
――荒井選手は後輩たちの活躍を見て
荒井:インスタのストーリーでずっと見ていました。「え、この子がこんなシュート決めてるの!」とか、ドローでも「すごいじゃん!」と思うようなプレーが載っていて、とても楽しみにして日本で待っていました。
「結局アタックがいい」(徳光)
――本日はAT対談ということですが、皆さんの得意とする攻撃パターンを教えてください
荒井:(徳光は)カット、(井上は)仕掛けで…。私は何もしない…。
井上:いやいや(笑)。ゲームコントロールです。あらりささんはチームがごたついているときや、人が交代しているときとか、ここは落ち着こうというようなときに絶対にボールを落とさないで、試合をコントロールしてくれます。あとは、シュート率とシュート数がすごくて、ほぼ得点源みたいな感じです。
荒井:ういは1on1です。
徳光:ういさんから攻撃が始まる感じ。
荒井:動きはぐにゃんぐにゃんしているんですけど、なぜかディフェンスが抜けるみたいな(笑)。いいダッチを切るので、攻撃の起点です。
井上:で、里利笑はカットが得意です。
荒井:ディフェンスの裏を突くようなカットやら。
井上:やら(笑)。
荒井:ゴール前の細かい動きが上手ですよね?
徳光:…はい(笑)。
――「ATのここが楽しい!」と思う点はありますか
徳光:活躍できる。
荒井:シュートを決められるところですかね。
徳光:あと、ボールを一番触れるところ。
荒井:自分がシュートを決めた分だけ勝ちに貢献できるから、目に見えて結果の残るところが好きです。
井上:ディフェンスは相手を研究して、という感じなので、アタックの方が好き勝手にできるというか(笑)。私は自由な感じが好きです。
荒井:ポジション的にも性格的にも自由な人が多いです(笑)。
徳光:わかります。
――ATの皆さんはどのような雰囲気で練習されていますか
荒井:今言ったみたいな感じです。
徳光:自由な感じ。
荒井:「好きなようにやっていいよ」みたいな。
井上:ミーティングでも、「失敗してもまあいっか」みたいな(笑)。
荒井:とりあえずやってから考えようって感じですね。
――他のポジションとはやはりカラーが違うのですか
荒井:そうですね。ディフェンスは結構考える人が多いです。例年そんな感じで、ディフェンスが細かいところまで考えているのに対して、アタックは「やってみなきゃわかんないよね」みたいな感じです(笑)。最近はちょっと考えるようになっていますけど。
井上:うん。
――「AT陣あるある」みたいなものはありますか
荒井:「何とかなるでしょ」みたいな。
徳光:楽観的ですね。
井上:明るめ…?あと、キャプテンが多いんですかね。
徳光:アタックからなりやすい感じですよね。
井上:キャプテンシーがあるのかな?
荒井:あとは何だろう…
徳光:まあ、ディフェンスとは違いますよね。
荒井:じっと考えないタイプが多いですね。
井上:あと、失点をしたときに「次はこうしよう」と話すことが多いです。ディフェンスは「今のはああするべきだった」と反省しているイメージがありますが、アタックはあまりそれがないというか。
荒井:確かに。「次!」って感じが多いですね。
徳光:「うちらが取り返す!」ってことですよね。
――DFになったらやってみたいことはありますか
荒井:アタックでいい(笑)。
徳光:ディフェンスのところから走ってシュートを打ちたい。
荒井:それ結局アタック(笑)。
徳光:あ、ゴールの中に入る!
一同:あー。
徳光:ゴーリーの場所に入ってみたいです。
井上:あー…別にそんなにやりたくはないかな。
荒井:うん。
一同:(笑)
徳光:2人はやりたくないそうです。私はやってみたかったです。
荒井:意外とライドでディフェンスもしている気分なので、まあどっちもできるかなという感じですね。アタックの方が好きですね。
井上:まあ、そうですね。
徳光:結局アタックがいいということで(笑)。
――続いて、早慶戦についての質問に移ります。皆さんが慶應に入ったきっかけを教えてください
井上:私は中学のときにSFCに入りました。親が校庭の広い学校に通わせたかったらしくて。
荒井:元気に育てと(笑)。
井上:謎のポリシーでSFCに入学しました。
徳光:私は慶應に絶対に行きたくて入ったわけではないですね。親が出身とかではないので。志望理由としては家が近いというのもありました(笑)。
荒井:私も同じ感じかもしれないです。家族に出身がいるわけでもないので、記念で受けたという感じです。
――早大ラクロス部の印象は
徳光:力強い。
荒井:早稲田はウェイトトレーニングしているので、フィジカルが強いです。
井上:あと、髪の毛の短い人が多いです。
徳光:あー、私たちはあまりいないですね。
井上:スポーツ科学部の人たちは授業でバク転をやるらしくて。ラクロス部はそんなスポ科の人が多いので、運動神経がいいですね。
――皆さんにとって思い出深い早慶戦はありますか
井上:私は去年の早慶戦しか思い出なくて。入部したときの早慶戦はとにかく暑くて、ラクロスも何も知らずに見に行ったので、すごく強いということだけはわかりました。去年の方が記憶に残っていますね。
荒井:そうであれ(笑)。
井上:去年は「ちょっと(試合に)出た」という感じでした。慶應は強いということを改めて実感した場所でした。
荒井:私も去年です。小学校でソフトラクロスをやっていたので、そのときからラクロスの早慶戦には行っていました。私が入部したときの早慶戦は負けてしまったんですけど、あの会場の雰囲気にすごくて憧れました。2年で出られなくて、3年はやっと出られたので、目標達成した年でした。印象深いですね。
徳光:私も去年ですかね。新入生は早慶戦の日から本入部というような感じなので、スーツを着て、知らない人ばかりだったけど応援して(笑)。でも、本当にかっこよくて来年出たいなと思って、今に至ります。
「勝つのって大変なんだ」ということを身に染みて感じました(井上)
――次に、現在のチームについてお聞きします。新チームのオープン戦となった六大学戦を振り返って
荒井:10人制になって、色々と試す六大学戦ではあったんですけど、勝ちにはこだわりたかったなというのが今の感想です。勝ちと挑戦をどちらも欲張ってしまって、どちらも中途半端になってしまったという印象はあったんですけど、皆さんはどうでしたか?
井上:私ですか?チームとしては、去年や一昨年は何もしなくても勝てたというか。私もベンチに入れていただいたこともあったんですが、前半に先輩方がめっちゃ得点してくださって、試合が出来上がった状態で出していただいていたので、「六大学戦は勝つのが当たり前なのかな」という印象がありました。でも今年臨んでみて、勝つために練習を工夫している先輩や同期の姿を見て、「勝つのって大変なんだ」ということを身に染みて感じました。個人としては、昨年の11月ぐらいにアタックになったので、これまでそんなにアタックとして試合に出る機会はなかったんですけど、今まで練習してきた1on1が試合で出せて、手応えを感じた大会でもありました。
荒井:個人的にはアタックでやろうとしていることがあっても、そこにいく前にミスが出てしまうことが多くて、いっぱいいっぱいになってしまいました。試合ごとに目標は立てていたんですけど、挑戦を怖がってしまった六大学戦だったので、後がない今ここからやるしかないなと思えました。
徳光:私は今年からトップチームに入れていただいたので、初めての大きな試合ということで、自分の中では緊張が大きく出てしまいました。チームとしては、あらりささんが言っていた通り、試す期間ではあるけど毎回の試合でやりたいことが変わって、完成しないまま5戦を終えてしまったもどかしさはあります。早稲田と戦ったときは、勝てそうだったところを勝てなくて…。それが早慶戦で勝ちたいと、より思えたきっかけになりました。
荒井:確かに。あとちょっとという部分が多すぎて、逆にそこを改善すれば大丈夫だなと思っています。すごく楽観的なんですけど(笑)。小さなところだけどそこを重点的にやれば勝てると思いました。
――新ルールが適用されたことで、ATとしてはどのような影響を感じましたか
荒井:初めの頃は「色々なところからシュート打てる」と思いました。「スペースあるからシュート打てちゃうじゃん」みたいな。だから、結構楽しかったです。
徳光:人がいない分それぞれの技術が浮き彫りになってしまうし、自分の技術を上げたもん勝ちだなと思いました。あと、早慶戦からシュート打った後に毎回クロスチェックをするようになるので、結構緊張しています(笑)。
井上:香港でもクロスチェックで8点ぐらい失ったので(笑)。それで一気に流れが行ってしまうこともあるので、怖いですね。
徳光:ドキドキ要素。
――現在のAT陣の仕上がりは
荒井:結構見えてきた感じはない?アレ。
徳光:アレ(笑)。
井上:アレですね。
荒井:それの質を高めていきたいです。その戦術を話すときも、最終的には「やってみよっ」みたいな感じになりました(笑)。
井上:私たちにしては頑張って詰めたんですけど、最後は「やってみよう」で落ち着きました。仕上がりとしては…未知数ということで。
荒井:上手くまとめたな(笑)。
「ラクロスは絶対に勝つ早慶戦にしたい」(荒井)
――最後に、当日についての質問に移ります。早慶戦に訪れるお客さんにラクロスの魅力を伝えるとしたら
荒井:たくさんシュートの入る試合をお届けしたい。
徳光:スピード感と意外にも激しい争い。
井上:ダイナミックなプレーをする選手もいれば器用に動く選手もいるので、そこが見ていて楽しいと思います。
――自分の思う早慶戦での注目選手を教えてください
荒井:私はいしこ(石井有花子=政4・雙葉)に期待してる。
徳光:あー。
荒井:ドローは3対3のグラボ勝負になるんですけど、いしこはそのうちの一人で。とにかく期待しています。
井上:私はあえて、あらりささんで。今年のチームはあまり試合経験のない人が多いんですけど、あらりささんは去年からがっつり出ているので、緊張する新米達をどうコントロールしてくれるのか注目です(笑)。主将だし、最後の早慶戦なので、色々なところであらりささんは冷静に対応してくれると思います。
徳光:じゃあ、2年生のティナ(鈴川英=経2・慶應女子)で。U19の選手にも選ばれていて、ディフェンスのプロフェッショナルみたいな子です。ガツガツこっちまでボールを持って来てくれると信じています。
荒井:あとは、おかゆか(岡嶋優香=政3・慶應女子)も。
井上:あー。
徳光:アタックからディフェンスにね。
荒井:去年までアタックをやっていたのに今年突然ディフェンスになって、いきなりスタメン争いに食い込んでいる期待の新星です。
井上:足が速いんだよね。
荒井:彼女のスピーディーな動きに注目です。もう、みんな期待してるし、みんな注目して欲しい(笑)。
――「自分のここに注目してくれ!」という点はありますか
荒井:たぶん、自分のチームの中での役割は安定性なんですよ。早慶戦はみんな緊張しちゃうと思うので、しっかりとゲームをコントロールしていきたいです。それと、シュートは決めたい。シュート決めるので見ていてください!
井上:私はやっぱり仕掛けです。ボールを持ったときに相手の選手を抜くというプレーが一番できているのかなと思います。あとはあまり緊張しないタイプなので、4年生がガチガチになっていたら、「何緊張してるんですか!」って感じで緩ませるところ。注目してわかるところではないんですけど(笑)。人一倍楽しんでいる姿を注目して欲しいです。
徳光:えー難しい。
井上:MVPでしょ?
荒井:狙っていかないと。
徳光:いやいや(笑)。チームに少しでも貢献できるようにします、カットとシュートで。
――では、最後に早慶戦への意気込みをお願いします
徳光:大勢のお客さんがいると思うので、少しでもラクロスって面白いなと思っていただけるような試合ができるように頑張ります。
井上:あまりチームの現状として目立った勝ちがないので、私はあえて勝ちにこだわりたいです。
荒井:あえなくていいよ。
井上:じゃあ、とりあえず勝つことを意気込みにします。
荒井:自分にとっても人生最後の早慶戦だし、憧れの早慶戦を主将として迎えられることは本当に人生の中でも大きなことだと思うので、絶対に勝ちたいです。ラクロスは絶対に勝つ早慶戦にしたいのでみんなに来て欲しいと思う分、それなりに圧はかかっているんですけど、それも良いプレッシャーとして捉えて、そこで爆発できるように頑張ります。皆さん来てください!
――ご協力ありがとうございました!
(取材:堀口綾乃 写真:五十右瑛士)
◇今回の注目選手◇
#18荒井理沙(経4・慶應女子)
今季の主将を務める。安定感あるプレーでチームを支える慶大の絶対的支柱。
#26井上ゆり子(経3・慶應湘南藤沢)
得意の突破で攻撃の起点を作る井上。度強あるプレーに注目だ。
#98徳光里利笑(経2・慶應女子)
香港オープンではMVPを獲得。女子高ラクロス部時代は主将も務めた若きエース。
◇第27回早慶ラクロス定期戦◇
5月19日(日)@日吉陸上競技場
女子大学戦:12:00ドロー
男子大学戦:14:10FO
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