昨年度の上級生が引退し、今のチームになってからずっと選手たちが口にしてきた「日本一」という目標。そのための戦いがついに始まる。9月1日(日)に迫った関東大学対抗戦の開幕を前に、主力選手たちにインタビューを行った。連載第2回は、FL(フランカー)川合秀和副将(総4・國學院久我山)だ。
――夏合宿を終えて現在のチーム状況は
天理大戦は、内容が悪い試合でした。そこは、チーム内でメンタル面など、さまざまなことを話して、明大戦に向けて準備をしてきました。実際に今まで準備したこと、マインドセットがうまくいって、明大戦の勝利につながったと思います。それに関しては、今までしてきたラグビーに対して正解が見えてきたと思い、いい傾向にあると思います。まだ初戦は始まっていませんが、今は少しずつ形ができつつあると思います。
――天理大戦ですが、この試合ではどんな課題が出ましたか
年に一度にやるかやらないぐらいの相手です。初めは少し受けてしまって、それが勝敗を分けた部分だと思います。前半は、タックルも受けて、(自分たちは)タックルもミスをしました。マインドも受け身でした。そこが原因で前半は立て直すことができませんでした。後半は、全員で話して、何を明確にして、何をすべきかというのを全員で意志統一することができました。後半は14-12という結果で、なんとかゲームになりました。序盤に戦う姿勢というところで受けてしまったのが敗因だと思います。
――その後、明大戦に勝利しました。明大戦では前半から積極的な姿勢を出すことができたから勝利につながったのですか
昨年の(大学選手権)優勝チームなので、最初から受けていてはいけません。全員で前に出ようという話をしました。全員が前に出て一人一人責任感を持って止めました。そういった部分でマインドセットの部分でうまくいったと思います。
――夏合宿前と夏合宿後を比べて、チームはどういうところで変わりましたか
やはり試合を通してラグビーというのは、メンタルスポーツというのを気づきました。最後勝敗を分けるのは力比べで、どっちが勝ちたいという気持ちが上回るかによってプレーの質が変わります。あと一歩二歩ゲインできるかできないかというにも関わります。そういった部分でどうして立命大戦、天理大戦はうまくいかなかったというと、そこがすごく大きな原因だと思います。自分たちが少し淡々と練習でしていたことを出そうとしていましたが、試合になると練習と違ってうまくいかないことが多いです。そこに対して修正するには、まずはそこにめげないことです。そういった部分で自分たちがやりたいことを明確にして、自分たちで盛り上げて試合に挑まないといけないというのを実感しました。そこは自分としても成長しましたし、自分もどのようにチームにアプローチすればいいかというのも分かりました。そこは成長できた部分だと思います。
――監督が代わり、新しい戦術が導入されていると聞きます。新しい戦術はどれほど浸透していますか
それこそ、そういった部分では完成形に近いですね。10段階評価ですと7ぐらいですね。慶大は試合を通して成長するチームです。明大戦はどうすれば勝てるかというか、どうすればゲインできるか、どうすればトライを取れるかというのが最後に見えた試合でした。そういった意味では、ディフェンスや、アタックでも自分たちがしたいことが明確になってきていると思います。戦術のことだと、栗原HCの理想からすれば(10段階中)6かもしれませんが、すごくいい傾向にあると思います。
――10段階評価で7と仰っていましたが、何が足りないのですか
この夏はセットプレーで課題を感じます。スクラム、ラインアウトについてはFWのスキルが足りないと感じています。それこそ、天理大との試合では大学1位、2位ぐらいのスクラムを組むなと実感しました。日本一になるためには、そういったチームにどうしても勝たないといけません。もう少しスクラムを強化しないといけないと思いました。明大戦は、勝ちましたが、ラインアウトは安定していませんでした。もっとセットプレーにこだわって練習をしないといけないと思います。現在、量を増やして練習をしていますが、そういった部分が足りないと思います。
――今年の慶大のFW陣は早大、明大、帝京大といった強豪と比べて体格が小さいです。体格差を克服するために意識していることは
当たり前のように筋トレはしています。フィールドプレーでいうと、アタックの場合は一人に的を絞らせないこと。基本的には1対1の状況を作って半歩ずらせばゲインラインを超えられるので、そういった意味で1対1を作らないこと。ディフェンスだと、サイズの問題もあるので、1対1だとどうしてもゲインされてしまいます。必ず2対1の状況を作るようにしています。特に今年は、アタックでもディフェンスでもすごく組織化されています。栗原HCがアタックコーチでもあって、三井コーチはディフェンスコーチでもあります。そういった部分は、今までの慶大にはなく、新しく進化したチームになったと思います。ラインアウトに関しては背丈では劣る分、自分たちの自信のあるところではなく空いているスペースを狙ってスピードを持って取る。そういったところで勝負をしています。昨年は辻(雄康=平成31年度文卒)さんが大きくて多めにジャンパーを務めてくれました。今年は、それほど大きい選手がいないので、空いているスペースで確実に取りに行くという感じです。小さいなりにそういった準備をしています。スクラムは、もちろん低さです。去年とあまり変わりません。それから、相手の下を取るというところです。低いからこそできる戦術、プレーをしっかり準備していると思います。
――FWの選手で期待している選手は
良知(兼佑=商4・慶應NY)はいいですね。あまり一緒にプレーしたことがなかったです。この夏合宿で一緒にプレーしていていいなと思いました。特にメンタル面で気持ちを全面に出せる選手だと思います。プレーに出るので、良知は期待の選手ですね。
――最後の夏合宿でした。どういう気持ちで臨みましたか
後悔したくないという気持ちですね。高校時代は、後悔して終わりました。そういった意味では、やり切らなくてもしょうがないし、疲れてそこで諦めても後悔しか残らないので、自分ができることを全力でして、それで勝てなくてもしょうがないです。後悔だけはしたくないと思って日本一になるために準備をしています。
――今回の夏合宿で副将として意識したことは
常に気を張っていました。リーダーの下の選手はリーダーの姿を見ていると思います。夏合宿は疲れます。自分も一緒に疲れた姿を見せてはいけないと思っていたので、そういうのを出さないようにしていました。それからラグビーのことしか考えていませんでした。監督、コーチとともに11時半ぐらいまで話していました。僕はプライベートがほしい人です(笑)。今年は、そういう場合ではなく、ラグビーについてずっと考えていました。その分、内容が濃い夏合宿でした。この夏合宿で自分も大きく成長しました。
――具体的にどういった部分で成長しましたか
それこそ、結構自分もチームのリーダーとして悩んでいました。自分は、淡々としている選手です。悪く言えば静かです。結局、由太(栗原由太主将=環4・桐蔭学園)が怪我して、そういった部分で自分が足りない部分を感じました。必要最低限以上のこと言ったり、メンタル部分で呼びかけたり、リーダーとして成長できたかなと思います。
――リーグ戦に向けての意気込み
対抗戦は優勝します。日本一を取るためには、対抗戦優勝しないといけないと思います。何があるかわかりませんが、常に準備をして、最後まで成長して日本一になったときに、自分たちの成長した姿に胸を張りたいです。焦らず、自分たちの成長する姿を見てくれたらなと思います。そのためには、勝つしかないので、勝っていきたいです。
(取材:萬代理人)
関東大学対抗戦日程(ワールドカップ開催に伴う休止期間を含む)
9月1日vs青山学院大学 11:15K.O.
@菅平サニアパークCグラウンド(長野県)
9月8日vs筑波大学 11:00K.O.
@龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド(茨城県)
9月14日vs成蹊大学 15:00K.O.
@秋葉台公園球技場(神奈川県)
(ワールドカップ期間)
11月4日vs日本体育大学 14:00K.O.
@上柚木公園陸上競技場(東京都)
11月10日vs明治大学11:30K.O.
@秩父宮ラグビー場(東京都)
11月23日vs早稲田大学 14:00K.O.
@秩父宮ラグビー場(東京都)
11月30日vs帝京大学 11:30K.O.
@秩父宮ラグビー場(東京都)
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