慶應スポーツ新聞会

【バレーボール】〈全カレ前特集⑦〉マルキナシム、主将でエース、その重責と戦った1年間。

慶大の頼れる主将が、最後に魅せる

いよいよ、全日本インカレの開幕だ。慶大は、26日(火)に大体大との初戦を迎える。この1年間の集大成として臨む今大会へ、慶大は準備を重ねてきた。特集企画最終回の今回取り上げるのは、マルキナシム主将(総4・川越東)。「もがき苦しんできた1年間だった」。2部降格やスタメン落ちなど、チームとしても個人としても色々あったこの1年間。マルキ主将が、その胸中を明かしてくれた。

 

 

 

 

1年次の春季リーグ戦で笑顔を見せるマルキ

マルキは、長きにわたって慶大を支えてきたエース。チームで一番と自負する『打力』を生かした強烈なスパイクやサーブを武器に、得点を量産。同期の富澤太凱副将(経4・慶應)とともに、慶大の2枚看板としてチームを引っ張ってきた。1年前の入替戦では、相手マッチポイントでも臆することなく力強いサーブを放ち、大逆転勝利を呼び込むなど、勝負強さを発揮。まさに「頼れるエース」だ。

 

 

2年次にはスタメンWSとして定着した

褒められたときでも「でもここはできていなかったから…」と考えてしまうほど、強い向上心の持ち主であるマルキ。オーバーワーク気味になることもあるというくらい、練習を重ねてしまうこともあったという。エースとしての強い自覚を胸に戦ってきた3年間を終え、昨年12月、マルキは主将に就任する。

 

 

3年次の1部・2部入替戦にて

「絶対にやりたくなかった」。主将になるまで、マルキはそう思っていたという。1つ上の主将、伊藤祥樹前主将(H31卒)は、絶大なリーダーシップでチームをまとめ上げたが、その途中で、チームを支えることに専念するためにコーチになる道を選び、ユニフォームを脱いだ。「偉大な主将」のあとを継ぐことになったマルキは、「主将として、プレーヤーとして、いっぱいいっぱいになることが目に見えていた」。主将に指名されてからも、「この先どうなるかわからない」「すごく不安」と同期にこぼしていたという。実際、春の強化期間は、自分の練習をしたくてもその時間を確保できないことも多く、不安が募っていった。

 

 

セットを取っても、マルキの表情は晴れなかった

主将として、そしてエースとして。「結果を残さなくてはならない」という強い使命感は、マルキ自身の首を絞めつけていった。春季リーグ戦第1戦、そして第3戦、マルキのスパイクはことごとく封じられ、慶大は敗戦。当時の自身について、「決めなきゃと打ち急ぎ、自分からリズムを崩した」と回顧する。主将なのに、エースなのに・・・人一倍責任感の強いマルキは強い自己否定に陥り、自分のスパイクがわからなくなってしまった時期もあったという。マルキの表情は曇り、チーム内の空気も悪化。コミュニケーションは崩壊し、「一枚岩」とは程遠い状態になってしまった。そして、マルキは、スタメンを外れることとなった。

 

 

けが以外でスタメンを外れることは初めてだった

春の入替戦も、マルキはベンチスタート。途中、劣勢になったときに交代で出場するも、1人でチームを救うことはできず。すぐにベンチに戻された。マルキにとって、自分の手で1部残留をつかみ取ることもかなわない、悔しい試合だった。結果は、2部降格。試合後、インタビューに応じたマルキは、ゆっくりと言葉を選びながら「主将として情けない」と目線を落とした。

 

 

再出発を・・・挫折を経験した慶大は、生まれ変わる必要があった。「主将は、辛いときでも苦しいときでも、絶対にそういう顔をしちゃいけない。主将は、ブレちゃいけない」。伊藤前主将から聞いたこの言葉を胸に刻んだマルキは、主将としてこのチームの復活を誓った。

 

 

秋、マルキは復活していた

「失セット0、全勝優勝、1部復帰」。チームでこの目標を共有し、リーグ戦に臨んだ秋。惜しくも目標達成には一歩及ばなかったが、春のチームとは比べ物にならないほど、慶大は生まれ変わっていた。試合で劣勢になったときでもコミュニケーションが円滑に進み、空気が重苦しくなることもない。「そんなに早く崩れなくなった」(小出捺暉=環2・駿台学園)のは、その成果だろう。そして、自信を失い、表情が消えていたマルキの姿はもうなかった。「マルキは、何かつかんでまた大きくなった感じがする。進化が止まらない」(富澤)。「入替戦終わってから『覚悟』みたいなものを感じるようになった」(山田大智主務=政4・慶應)――頼れる主将、頼れるエースが、そこにいた。

 

 

集大成の舞台、全日本インカレに臨む

過去にU21の代表に選出されるなど、将来も期待されていたマルキ。だが、この全日本インカレで、バレーボール選手としては一区切りを迎える。「この先もバレーを続けたかったけど、それができなくなってしまった。最後、全日本インカレで大暴れして後悔なく終われるように」――主将として1年間、そしてエースとして4年間、もがき苦しみながらもチームの先頭に立って背中で引っ張ってきた男が、ついに全日本インカレに臨む。頼れる主将が、最後の舞台で魅せてくれるに違いない。その勇姿を、しっかりと目に焼き付けよう。

 

 

(記事:藤澤薫)

 

 

◇プロフィール◇

マルキナシム(まるき・なしむ)

1997年7月27日生まれ/総合政策学部4年/川越東高出身/身長192センチ/最高到達点335センチ/主将・WS/背番号2

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