慶應スポーツ新聞会

【フィギュアスケート】<コラム>「スケートをやっててよかった」…佐々木花音、特別な4年間を過ごしたから分かること

2/15のバレンタインカップにて。演技後笑顔で歓声に応える。

2020年2月28日、フィギュアスケートファンに愛されたスケーターが引退試合を迎えた。5級女子クラスで活躍した佐々木花音(文4・県立相模原中等教育)に取材。今までのスケート人生を振り返ってもらった。競技生活を終えた彼女の率直な気持ちをお伝えする。

 

体を大きく使った感情を込めたステップは佐々木の持ち味だ。

小学3年生からクラブに入り本格的にフィギュアスケートを始めたという佐々木。中学校に進学後もスケートを続けるが、目立った成績は残せず、「なんとなく諦めながらスケートをやっていた」と当時のことを振り返った。練習をサボる方法を考えたりと「スケートをやっていることがストレス」だったという。このまま続けてても意味がないと、中学3年生の時に一旦スケートから離れることを決心した。コーチからは大学で再開するのも1つの選択肢という風に言われていたが、彼女にその気は全くなかったという。しかし入学後、同じクラブで練習していた慶大スケート部の先輩からの誘いもあり入部することに。彼女曰く「入るよね?と押された」と話してくれたが、彼女のなかでスケートへの思いを捨てきれていなかったのだろう。

引退試合では、1シーズン前のプログラム「天空の城ラピュタ」を演じた。

大学入学後は、慶大スケート部の仲間と共に練習に励む。同期の岡安萌(理4・森村学園)、鈴木星佳(総4・慶應湘南藤沢)、中村聖菜(商4・県立相模原中等教育)、中村優里(理4・慶應女子)の4人のおかげで、「くじけることなく続けることができた」と格別の感情をみせた。今まで部活に所属したことがなかった佐々木にとって、同期をはじめとする「部活の仲間」という存在が彼女を強くした。慶大スケート部には、初心者から経験者まで幅広いレベルの選手が所属している。目標もバラバラだが、部員全員がスケートに懸命に打ち込んでいる。そのような環境に身を置いた彼女は、スケートに対する意識が変わっていった。

副将としてスケート部員の技術面のサポートに努めた。

「インカレなんて夢のまた夢」と思っていた佐々木に心境の変化が訪れた。「4年間という期間が設定されたからか分からないけど」とし、自分なりに精一杯やろうという気持ちが大学2年生から強くなったという。中学3年生まで所属していたクラブに再び戻るなど、スケートにさらに打ち込む。その努力は実を結び、数多くの大会で入賞するなどの実績を残していく。そして、大学3年生のインカレでは2位という好成績を納めた。「目立つとこもない選手」だった小中学時代からは想像もできないほど、多くのフィギュアスケートファンを魅了する選手へと成長した。

1/5に行われたインカレにて。最後まで気持ちを切らさず「オペラ座の怪人」を演じきった。

成績を残せたことも嬉しいが、大切なスケート仲間と共に自分なりに努力して、という風にスケートをできたことが嬉しいと、と4年間を振り返った。もちろん、4年間嬉しいことだけではなかった。怪我に悩まされ、つらい思いもした。最後と意気込んで挑んだ大学4年生のインカレでは、ジャンプのミスが続き思うような演技ができず、悔し涙を流した。しかし、それらも含めて彼女を作り上げる糧となり、4年間のスケート人生に価値を見出したのではないだろか。

試合前はいつも、フィギュアスケートの仲間たちとハイタッチをして演技を始める。

「支えてくれる人々が自分に良い影響をもたらしてくれる」―同期をはじめとするスケート部の仲間、コーチ、両親、応援してくれるフィギュアスケートファン、たくさんの人々に支えられてきた佐々木。嬉しい時は喜びを分かち合い、悔しい時は、前を向くきっかけを作ってくれた存在と共に歩んできたスケート人生。1度は嫌になったスケートから戻ってきた彼女だからこそ、心の底から言える言葉なのだ、「スケートをやっててよかった」と。

(記事:高井真衣)

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