【野球】春季リーグ戦開幕前取材⑤ 福井章吾選手 × 森田晃介選手 〜優勝へ闘志を燃やす黄金バッテリー 〜

野球対談

いよいよ明日、開幕を迎える東京六大学春季リーグ戦!慶應スポーツ新聞会では、王座奪還に燃える選手たちに開幕前インタビューを行いました。

第5回はチームの命運を握るエースと女房役。森田晃介(商4・慶應)選手と福井章吾(環4・大阪桐蔭)選手です。

今季の抱負を力強く語ってくれた

 

−−まずは他己紹介をお願いします

福井:まず、慶應義塾大学の今年のエースということで、ピッチャー陣を引っ張るピッチャーリーダーです。毎年毎年マウンドに立って結果を残して、実力と経験も今年1番のピッチャーなので、今年も頑張って欲しいと思っています。

森田:福井はキャプテンなので、チームが福井色に染まったなと思っています。本当にキャプテンらしいキャプテンで、言葉だけではなくプレーなど全ての面で引っ張ってくれているので、誰もが認めるキャプテンだと思います。あとは優勝して本当のキャプテンになるというか、福井がキャプテンで良かったなとみんなが思うんじゃないかなと。

 

 

−−昨年を振り返って

福井:チームとしては、春も秋もあと1勝が勝てなかったという悔しさを持っています。個人としても色々な部分で課題が残ったので、まだまだ物足りないシーズンとなりました。

森田:昨年の秋はあまり納得のできる結果ではなく、思うような力を出せなかったなと思っています。あまりいい思い出はないです。

 

 

−−新チームの雰囲気は

福井:堀井監督が言っていた野球が選手全体として分かってきたので、一言で言うと堀井監督の色に染まってきたという印象と、あとは去年の悔しさという部分も常に言い続けて、リーグ戦に向けて奮起しています。

森田:野球だけではないというところが新チームの強みだと思います。私生活など野球以外の面からどうやって人間として成長できるか、そこからどうやって野球に繋げていくかというところを意識して、チーム全体の意識レベルは上がってきていると思います。

 

 

−−最上級生として意識していることは

福井:あまり変わらないというか、去年も常に死ぬ気で勝ちに行っていたので、とくに最上級生になったからといって気持ちの部分で変えたことはないんですけど、やはり堀井監督を胴上げしたいという気持ちは去年以上にあるので、そう言った意味では練習に対しての取り組みも一段階、二段階上でやれていると自負しています。

森田:最上級生になって、今までの先輩方が本当に色々なことをやってくれていたおかげで、下級生だった僕らも自由にのびのびやらせてもらえたということを痛感していて、最上級生が一番知識もあるので、見過ごしてしまうとチームが崩壊してしまうと思っていますし、周りを見てしっかり色々なことに気がついてチームを作っていかなければいけないと思っています。個人だけではなくチーム全体を見ないといけない大変さというか、先輩方が色々なことをやってくれていたと感じていますし、そういったところは4年生になって徐々に視野も広がってきていると思います。

 

 

−−福井選手は主将就任後のインタビューで今年のキーマンに森田選手を挙げていましたが、これについてどう思いますか

森田:野球は基本的にピッチャーで決まるので。ピッチャーが打たれたらいくら野手が点を取ってくれても負けてしまうので、ピッチャーが大事である、キーマンであるということは変わらないと思います。そういった意味でもピッチャーをまとめるというか、ピッチャーの軸になっていくような存在だと思っているので責任は感じています。

森田の投球が試合を左右する

 

−−昨年の試合で得た課題と、それを克服するためにオフの期間も含めてどのように過ごしていましたか

福井:キャッチャーとして今のピッチャー陣からこの前も指摘をもらったんですけど、低めの球のストップが昨年出た大きな課題だったので、そこは僕自身の取組みだけではなくて、色々な方からアドバイスをもらってこの冬、今も取り組んで練習しています。打撃の部分で言うと長打がなかなか昨年は打てなかったので、堀井監督とともに打撃フォームの改善を12月と1月でガラッと変えて取り組んで、その成果は少しずつ出ているのではないかと思っています。

森田:僕が昨年感じた課題としては、六大学は同じ大学同士が総当たりで何回も戦うのでデータも取られますし、同じ相手と何回も対戦するのは難しい部分があって、配球であったりとか。調子が良いときは誰でも抑えられると思うんですけど、調子が乗らなかったときにどうやって試合を作っていくかが大事で、どのボールが課題かというよりは全体として今自分が持っている力でどう抑えていくか、その考え方が今の自分に一番必要だと感じています。

 

 

−−新1年生の印象は

福井:あまり全体練習ができていないのでそこまで強い印象はないですが、1年生を見ると僕たちにも1年生の時代があったなと初心にかえれますし、やっぱりフレッシュさは感じています。

森田:去年のチームからそうなんですけど、今年のチームは縦割りミーティングで1年生から4年生まで小さなグループでミーティングする機会が多くて、1年生でもしっかり意見を持っていて話してくれるのでしっかりしているなと感じますし、僕らが1年生のときにはここまでものを言えなかったので、すごくレベルが高いなと思っています。自分から成長しようという姿勢が見えるというか、野球が上手くなりたいという思いを感じるので、今後の慶應を担っていく選手としてすごく楽しみだなと思います。

 

 

−−2、3年生はどうですか

福井:同じ話になりますけど、去年の負けをチーム全体として感じている学年が新2・3・4年生なので、そういった意味では色々なことの取り組みが少しずつ変わってきているのかなという印象はあります。3年生に関しては、下級生が2学年になることで、今まで以上に意見をしてくれる機会も増えましたし、少しずつですけど上級生らしくなってきたなという印象があります。2年生も同じく下級生が入ってくるということで、これまで自分のことだけやっていればいいという考えだったのが、少しずつチームに対してという思いも出てきているのかなと感じています。

森田:組織的にいいなと感じることが多くて、2・3年生だとまだAチームのサポートがあるんですけど、そういうことも嫌な顔をせずにこなしてくれるというか、チームがリーグ戦に勝つために今自分ができることは何かを考えてサポートしてくれていると感じています。自分が上手くなることももちろんですけど、チーム全体で勝とうという意識が感じられるので、そういう環境を作ってくれているという面でも、下級生が頼もしいという印象があります。

 

 

−−森田選手から見た主将・福井選手はどんな主将ですか

森田:1番チームの勝ちを考えてくれていて、自分のことだけではなくキャプテンという自覚もあるだろうし、模範となるような行動を常にとっているなと思っています。それこそ野球の面はもちろんですし、野球の練習が終わった寮での生活とかを見ても、下級生が福井さんがやっているから自分もやらないとなと思うような立ち振る舞いができているなと思っているので、隙がないというか素晴らしいキャプテンだなと思います。真面目になったなという感じですね。

 

 

−−福井選手から見た投手・森田選手はどんな投手ですか

福井:そっくりそのままなんですけど1番練習しますし、監督から森田がやり過ぎるからよく見ておいてくれと言われるくらい本当に練習をするので、そういった意味ではピッチャーの中でリーダーとして練習を引っ張ってくれているなという印象です。さっき本人からも話があったように、アウトプットする機会を本人も意識して増やしていると思いますし、後輩と会話している風景をちょくちょく見受けるので、そういった部分は下級生の頃から先輩を見て学んだ部分と自分自身が成長していく上で必要な部分というところで、今年はより意識して取り組んでいるのかなと思います。野球以外の部分でも練習後にトレーニングをするなど下級生の模範となるような取り組みをしているので、エースに相応しい行動をしているなと思います。

 

 

−−出身地域の違う2人ですが、お互いの存在を知ったのはいつ頃ですか

福井:難しいですね(笑)高3の春。

森田:本当?

福井:いや、本当本当。高3の春くらいに慶應の入試を考えたときに、慶應義塾高校の同期の何名かは名前を知っていたので。高3の春ですね。

森田:僕は甲子園を見ていたので、テレビの向こう側にいる人なのかなと思っていました。

福井:やめてくれ(笑)

森田:本当に実在するんだと。大学に入って本当に福井はいるんだと思いました。名前は知っていたんですけど、それこそ大阪桐蔭はやはりスーパースターじゃないですか。そこで野球をやっている人はすごいなと思っていました。誰もが知ったタイミングで僕も知ったと思います。

 

 

−−初めて会った時の第一印象は

福井:練習初日最初にピッチングを受けて、その時にコントロールがいいという話は聞いていたんですけど、ざっくり言うといいピッチャーだなという印象をキャッチャー目線で持ちました。

森田:高校時代に150キロ超えるピッチャーの球を受けていたので、怖いなと思いながらビクビクしながら最初にピッチング練習したのを覚えています。最初は関西弁が強かったので関東人からすると勢いがあるなと思っていました。

福井:あと、めっちゃ太ってたし(笑)

森田:それもあるけど、クセがあるなという感じです。

 

 

−−実際に一緒に過ごす中で変わった印象や、見つけた意外な一面は

福井:下級生から上級生になった頃あたりで、自分のこと以外に色々ことを考えるようになったなという印象を持っていて、誰もがそうだと思うんですけど、年々周りを見る意識が増えてきたなと思います。真面目で練習にも真剣に取り組むんですけど、たまにおちゃらける意外な一面もあるなという印象です。

森田:下級生の頃は有名人ですし、交友関係も広いので結構遊んでいたイメージがある。遊んでいたというか、大阪の友達が東京に来たりすると楽しそうだなと思っていました。それこそSNSとかを楽しんでいるので、僕とはわりと真逆のタイプ。僕はそういうのは自分でやるタイプではないのですごく楽しそうだなと思っていたのに、つまらなくなりました(笑)どんどん大人になるというか、静かに野球に没頭するようになって野球のことばかりになっていって、すごく意外だなと。4年間でこんなにも真面目になるんだと思いました。

 

 

−−お互いに尊敬する部分は

福井:僕は根気がないので何事も続けられないですけど、森田は僕が見る限りは本当に根気よく色々なことを継続して取り組んでいるので、本当に尊敬できます。

森田:基本全体的にそうですよ。キャッチャーというのもあってすごく協調性があるというか、誰とでもうまく関わる、敵を作らないところです。誰とでも上手くやれる世渡り上手なところは羨ましいですし、尊敬できますね。冷静に対応できる部分はすごく尊敬しています。

人柄、統率力に定評がある福井

 

−−春季リーグ戦のキーマンは

福井:前、森田と正木を挙げたんですけど変えますね。廣瀬(隆太=商2・慶應)がキーマンだと思っています。理由は打順もずっと1番を打っていて、彼の1本でチームに勢いを持ってきてくれるので、思い切りの良さと持ち前のパワーを生かして慶應の打線に火をつけて欲しいなと思っています。

森田:キーマンは増居(翔太=総3・彦根東)と橋本(達弥=環3・長田)です。今回の春も勝ち点を取ればいいという訳ではないので、1試合も落とせないというか全試合勝ちきらないといけないと思いますし、そういった意味でピッチャーで。増居は実績もありますけど橋本はこの春から急激に伸びてきた存在でもあるので、その2人がどれだけ投げてくれるかと。僕と3人でイニングを消費していかないといけないと思いますし、この2人がどれだけ頑張ってくれるかが優勝に大きく関わってくると思うので、この2人をキーマンにします。

 

 

−−他大学で注目している選手は

福井:僕は早大・中川(卓也=スポ3・大阪桐蔭)です。年末に少し話もしたんですけど、去年色々あって少し苦しい思いもしたみたいなので、後輩として今年は奮起して欲しいと思っています。早慶戦でがっつり戦えればなと。今年は活躍を期待しています。

森田:僕は早大・蛭間(拓哉=スポ3・浦和学院)です。蛭間が今年もいるのかという。蛭間を抑えたいですね。早慶戦ノーヒットで抑えて優勝したいなという思いがあります。早稲田に勝って優勝したいです。

 

 

−−個人としての今季の目標は

福井:具体的な数字はないですけど、まずはキャッチャーとして勝てるキャッチャーになるというところで優勝。一つ挙げるとすれば、勝ちが絡んで来ないとキャッチャーのベストナインは取れないので、そういった部分ではバッティングと守備でしっかり勝ちに貢献して、ベストナインを春秋ともに取れればと。まずはチームが勝てればと思っています。

森田:僕も例年はベストナイン取りたいとか最優秀防御率取りたいとか5勝したいとか思うんですけど、今年は個人の成績はどうでもいいなと思っていて、とにかくチームが勝てればいいと思っています。個人の成績は何もこだわってないです。強いて言うなら40イニングくらいは投げたいと思っています。イニングを食うことが一番チームの勝利につながると思うので、たくさんイニングを投げるだけです。

 

 

−−チームとして、どう戦っていきたいですか

福井:さっきも話で出たように加点制に見えて減点制なので、負ければ到達点が低くなるだけですし、本当に一戦一戦総力戦で、全員の力で勝てればと思っています。

森田:高校野球と違って負けても次があるというのが大学野球だと思うので、とにかく目の前の試合をどう勝ち切るかということで、負けても切り替えて次の試合に臨む。その切り替えをすることが大事だと思っています。目の前のことだけに集中してやっていきたいなと思います。

 

 

−−試合で注目してほしいところは

福井:どんな試合になってもしっかりと対応するところが持ち味だと思っているので、試合の流れに適した打撃や守備を発揮したいと思っています。

森田:僕はないです。僕に注目してもらうというよりは、全体を見てもらいたいです。慶應全体の雰囲気や目の前の勝利にこだわる信念、監督からも言われている泥臭さとか、そういったところを見てもらいたいですね。

 

 

−−最後にファンの方々にメッセージをお願いします

福井:新型コロナウイルスの影響で思うような部活ができていない中で、リーグ戦開催をできるということに喜びを感じて、自分たちの結果はもちろんですけど、多くの人に元気や勇気を与えられるような2ヶ月間にしたいと思っています。慶應のファンの方々は日頃からたくさんの応援をしてくださっているので、去年の悔しさを持ちながら、なんとか今年は天皇杯を手にできるように、部員と力を合わせて一戦必勝で頑張っていきたいです。

森田:ファンの方々のおかげで僕らもプレーできているので、本当に感謝しています。やはり応援や声援が力になりますし、慶應全体の雰囲気を作ってくれていると思います。そういった意味では普段出ないような力が出てくるのが神宮球場だと思いますし、僕は応援されると頑張れるタイプなので、応援よろしくお願いします。

 

ーーお忙しい中、ありがとうございました!

 

◆福井 章吾(ふくい しょうご

1999年4月23日生まれ。大阪桐蔭高を経て、環境情報学部新4年。ポジションは捕手。甲子園に3季出場し、3年春には全国制覇を達成。春夏連覇に挑戦するも、3回戦・仙台育英戦で涙を飲んだ。大阪桐蔭高歴代ナンバーワン主将と呼ばれるなど、人柄と統率力に定評がある。昨春から正捕手を務めると、2季連続でベストナインに輝いた。168センチ、74キロ。右投げ左打ち。

 

◆森田 晃介(もりた こうすけ)

1999年7月12日生まれ。慶應義塾高を経て、商学部新4年。ポジションは投手。高2夏から主戦投手として甲子園出場を狙うも、最高成績は関東ベスト8。制球力が高く、抜群の安定感で試合を作るのが持ち味。2019年秋には、早慶戦まで脅威の防御率0.00を記録し、ベストナインにも選ばれた。エースとして右腕で優勝を手繰り寄せる。176センチ、76キロ。右投げ右打ち。

 

※当取材は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、3月26日にオンライン上で実施しました。

(取材:船田 萌恵)

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