昨年の「覚悟」を胸に「全進」を続ける慶大バスケ部。
過去に60点以上の差で敗戦した相手にも1年足らずで勝利する成長力、ポジションの穴を埋めるチーム力は数字にもプレーにも確実に表れている。2部昇格を目指すうえで重要な1年となる2021年に彼女たちは何を考え、全うするのか。
2019年、リーグ戦では3部Bブロック6位と伸び悩むなかでも3部残留を決めた。このころから当時の主将・梅木理沙(2020年卒)のもと、着実に試合経験を重ねた眞尾瞳(商4・浦和第一女子)や林えみり(理3・慶應女子)らを中心に対戦相手に臆することなく、下級生としてオフェンス・ディフェンス力を鍛えた。
武藤怜(商4・成蹊)は大学2年生の当時の早慶戦を振り返りながら、「1年目は楽しみながら、2年目は早大の強さに圧倒されて自分たちのプレーにもどかしさを感じた試合でした。」と語る。慶大バスケ部にとって、試行錯誤を重ねながらスローガン「丹青之信」のもと、揺らがないプレーの基盤を築く1年となった。
2020年はコロナ禍ではあったものの、慶大バスケ部にとって飛躍の年となった。5勝1敗、3部Aブロック2位の成績を収めた秋のリーグ戦は、昨年度主将・梅田香(2021年卒)が終始目標として挙げていた「ベンチ内もベンチ外も含めて全員で戦う」ことを体現した結果、掴みとれた勝利であり、踏み出すことのできた大きな1歩であった。
このシーズンの試合について、西理奈(政4・葺合)、中島花(環4・慶應NY)はともに国士館大戦を、ビディンガー美亜(商4・青山)は接戦を勝ち切った学習院大戦を大学バスケ生活で最も印象深い試合に挙げている。村林祐子監督が「4年生がチームを引っ張って、全員一丸となってよく頑張ってくれている」と総評したように、まさに全員バスケの力が光った1年であった。
そして迎えた2021年。主将・眞尾をはじめとした4年生のもと、次期最高学年として「豊かな個性と強い責任感を持つ頼もしい存在」の3年生、「とにかくバスケが大好きで向上心を持った」2年生、入部間もないが「しっかりと考えて行動できる」1年生がそれぞれの強みを発揮すべく、コミュニケーションを密にとりながら慶大バスケ部の絆を深めている。来たる早慶戦に向けて、眞尾は「慶大の泥臭さや頭を使ったディフェンスなどを活かして戦っていきたい」と語り、副将・中島は「最後の早慶戦なので今まで以上に思い入れは強いですし、記念試合にするのではなくて、全力を出し切っていきたい」と意気込んだ。
そして、目指すは念願の2部昇格。過去に体現し続けてきた全員バスケにさらに磨きをかけ、「全進」した先には、コートで笑顔を咲かせる彼女たちが待っているに違いない。
(記事:佐藤有)