ついに迎えた王座決勝戦。強風が吹きつけるコートでは白熱した試合が繰り広げられた。決勝戦の相手はこれまで幾度となく対戦している宿敵・早大。両校の意地がぶつかり合う接戦となったがあと一歩及ばず。愛媛の地で行われた3日間にわたる熱闘は準優勝で幕を閉じた。
2022年度全日本大学対抗テニス王座決定試合 決勝vs早大
@愛媛県総合運動公園テニスコート
●慶大4―5早大○ (複1−2、単3−3)
<ダブルス>
D1
藤原智也(環3・東山) 下村亮太朗(法2・慶應) | 2{6−3、6−4}0 | 白石光 丹下将太 |
強気の攻めを見せた藤原・下村ペアが勝利をあげた。積極的に前から攻撃をして第1セットを奪った慶大ペア。第2セットになると早大ペアも徐々に調子を出し始め一進一退の攻防となるも、7ゲーム目を慶大ペアが粘ってブレーク。ここから勢いにのり、ダブルス1勝をチームにもたらした。
D2
有本響(総1・慶應)・ 菅谷優作(法1・慶應) | 0{2−6、1−6}2 | 増田健吾 池田朋弥 |
試合の主導権を完全に渡してしまった。序盤から相手のペースで試合が進み、思うようなプレーができない有本・菅谷ペアは第1セットを2−6で落とす。第2セットにはいっても流れを引き戻せない2人は連携ミスをする場面も。ゲームカウント0−5からなんとか1ゲーム奪取するも相手の勢いは止められず敗れた。
D3
白藤成(環4・西宮甲英)・ 高木翼(総2・関西) | 1{6−4、3−6、1−6}2 | 吉野郁哉 山口柚希 |
接戦をものにできず悔しさが残る結果となった。2人の得意な展開に持ち込み第1セットを取るも、調子を上げてきた早大ペアに第2セットは奪われる。第3セットになっても相手はリズムを崩すことなくプレーする一方で、白藤・高木ペアはミスをしてしまいこのセットを1−6で落とし惜敗した。
<シングルス>
S1
藤原智也(環3・東山) | 2{6−3、3−6、6―4}1 | 白石光 |
藤原がエースとしての執念を見せた。この試合の途中で慶大の準優勝が決定していたものの、勝利で王座を締めくくるために、愛媛の地まで応援に駆けつけた観客、部員の声援を力に最後まで集中力を切らさずに戦い抜いた。第1セット、先にリードを奪ったのは早大・白石だったが7ゲーム目に逆転しこのセットをものにする。しかし、第2セットは落としてしまう。運命の第3セット、エースの意地がぶつかり合い、接戦となるも勝利の執念を見せた藤原。慶大はエースの勝利で王座の幕を閉じた。
S2
白藤成(環4・西宮甲英) | 1{6−4、3−6、2−6}2 | 丹下将太 |
この試合の途中で菅谷が敗れ3−4となったため、なんとしてもこの試合を勝利しなければならない慶大。王座優勝を懸け、早慶の主将が火花を散らした。主将としてのプライドを胸に両者一歩も譲らない試合展開となる。第1セット、第2セットを一つずつ取り、勝負の行方は第3セットへ。一進一退の攻防が続く中、攻めの姿勢を先に見せた早大・丹下に軍配は上がり、白藤は涙の敗戦となった。この試合の結果、早大の優勝、慶大の準優勝が決まった。
S3
林航平(理3・名古屋) | 2{6−4、3−6、7−5}1 | 高畑里玖 |
早慶戦のリベンジを果たし、笑顔が溢れた。およそ1ヶ月前の早慶戦でも対戦し、3セット目までもつれ込む接戦の末惜しくも敗れていた林。両者粘りを見せ、序盤から長いラリーが続く展開に。セットカウント1−1から迎えた第3セット、先にリードを奪ったが5−5に追いつかれてしまう。それでも、ここからギアをさらに上げた林が手に汗握る試合を制した。大きな1勝を掴み取った林は試合終了後満面の笑みを浮かべた。
S4
下村亮太朗(法2・慶應) | 2{6−3、6−3}0 | 渡部将伍 |
今年のリーグ戦、王座で負けなしの記録を打ち立てた。試合開始直後からストロークが冴える。相手に流れが傾いた時間帯もあったが、集中力を切らすことなく積極的に攻め続け2−0で相手を圧倒。リーグ戦、王座で出場した計16試合で16勝とチーム勝利に欠かせない一人として安定した強さを見せた。
S5
今鷹洸太(商3・慶應) | 0{6(5)−7、2―6}2 | 小久保蓮 |
3日間で徐々に調子を上げていた今鷹。第1セット、多彩なショットで相手を揺さぶるもリードすることができない。タイブレークまでもつれ込み、粘りを見せるも最後は長いラリーの末にポイントを奪えず、このセットを落とす。第2セットでも左右に打ち分ける相手に食らいつくが、第1セットで流れに乗った相手を止めることはできず敗れた。
S6
菅谷優作 | 0{5−7、1−6}2 | 山口柚希 |
ビハインドから反撃を試みるも相手が一枚上手だった。序盤から前後左右に振られ2−5とリードを許す。ここから3ゲーム連取し5−5に追いつくが惜しくも第1セットを取ることができなかった。第2セットでも0−5と完全に相手に主導権を渡してしまい巻き返すことができずに敗戦した。
惜しくも今年も決勝の舞台で早大に敗れ、準優勝に終わった慶大男子。王座初出場の選手も多い中、チーム一丸となって3日間の熱闘を戦い抜いた。
☆王座全日程終了後挨拶
白藤主将
56年ぶりの男女アベック優勝は達成することができませんでしたが、本当に監督、同期はじめですけど、今見ていただいたように藤原もいます。本当にそれを筆頭に来年は必ず、王座を獲ってくれると僕は確信しています。この思いを後輩に託します。この代のテーマであった「ブレイクスルー」というのをこのチーム全員は達成してくれたと思います。今日男子が負けてしまったのは主将である僕の責任だと本当に感じています。来年の王座は後輩たちがアベック優勝を達成してくれると思うので引き続き、チーム慶應の応援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
坂井利彰監督
男女ともに優勝するという目標は達成できませんでしたが学生たちは一生懸命、精一杯やってくれたと思います。この結果は私の責任だと間違いなく感じています。一方で男子は優勝かないませんでしたが4年生中心に、白藤主将中心に本当に素晴らしいチームを作ってくれました。私も何度彼らに助けられたか数え切れません。それくらい素晴らしいチームを彼らは作ってくれました。そんな4年生はじめ、部員全員をほめたたえていただきたいと思います。そして最後に藤原が去年悔しい思いをして負けた後このようないい形でS1をとってくれました。新たな成長だと私は信じています。まだまだ慶應庭球部強くなって、たくましくなっていきたいと思います。4年生には胸を張ってもらいたいと思います。本当にありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
3日間試合後お疲れのところ取材に応じていただきありがとうございました!
(取材:船田萌恵)