【テニス】解剖!横浜慶應チャレンジャー(後編)

庭球男子

「横浜慶應チャレンジャー」では、大会開催にあたり様々な「サステナブル」な取り組みが行われた。なかには今大会初の取り組みも!後編ではこれらの活動を紹介する。(前編はこちらから)

取り組み① 衣類回収

自宅で着なくなった衣類(冬服)を会場にて回収し、返礼品として大会限定グッズを渡す。あらかじめ部のSNSで周知していたこともあり、全部で200着ほどが集まった。

こちらは三宅⼤⽣(東大・3年)さんが代表を務める「Student Charity For Ukraine」プロジェクトと連携した企画。部員の有延一樹(法4・慶應)さんが今大会での新たな取り組みについて検討していたところ知人の三宅さんと偶然再会し、この企画が決まったそうだ。

避難民支援を行う三宅代表(右)

ここで「Student Charity For Ukraine」プロジェクトについて説明したい。まず代表の三宅さんは日本財団主催「The volunteer program for Ukraine」のメンバーでもある。「The volunteer program for Ukraine」とは学生ボランティアがウクライナ及びその周辺国にて避難民支援をするプログラムで、2022年5月から時期を分けて全7回、101人の学生ボランティアが参加した。三宅さんは第7グループに所属し、10月に現地で活動した。オーストリア・ウィーン、ポーランド・プシェミシェルとメディカ(ウクライナとの国境で、ウクライナから避難した人が初めに到着するところ)で活動した。またオーストリアにはウクライナ避難民のための、メンタル・外傷ケアを受けられる赤十字の施設があるのだが、ここでも食料や衣類を配る活動をしたそうだ。避難民の多くは女性・子供であるため、子供の遊び相手や、重たい荷物を運ぶ手伝いもしたという。さらに現地の3つのNPOとオンラインで話し合いを定期的に行い、成果を確認している。

横浜慶應チャレンジャーが連携した「Student Charity For Ukraine」は、この「The volunteer program for Ukraine」に参加した大学生を中心に行われている。

1月11日、今大会にて回収した衣類含め合計600着がウクライナ・ウーマニ市に到着した。紛争が続くなか冬を迎えたウクライナ。三宅さんによるとウクライナでは1月が寒さのピークだが、防寒着を十分に持ち出せず避難してきた人々も多いという。さらに国内のエネルギー施設も破壊され暖をとることが難しくなっている。大会で集めた約200着の冬服は今頃現地の人々を暖めているはずだ。

様々な形で社会に貢献する庭球部

現地NPOを通してウクライナ・ウーマニ市へ

取り組み② イベント

数年前から実施しているのが車いすテニスのイベントだ。もちろんイベントを通して大会を広める目的もあるが、競技自体を当事者目線で体験してもらうのもこのイベントの意義である。一度車いすに乗ってテニスをしてみることで選手の凄さを体感でき、他のパラスポーツについてもその楽しさや奥深さに気付くことができるかもしれない、そういった思いでイベントを開催する。部員の提案で始まったこのイベント、今ではSFCの塩田琴美教授が運営する一般社団法人こみゅスポ研究所や株式会社ブリヂストン、神奈川県車いすテニス協会と連携して行われている。

取り組み③ ゴミ分別・キャップ回収

ごみの分別を細分化し、ゴミ箱も新たに2か所設置した。大会で提供するお弁当箱も箱だけ分けて捨てる徹底ぶりだ。またペットボトルに関しても細かく分別しており、キャップとフィルムは剥がして処分する。さらにここで分別したキャップは慈善団体に寄付し、世界の子供たちへのワクチン提供に貢献する。

細分化されたゴミ箱

テニスの大会において上記のような活動をするのは、第一に大会としての価値を高めるため、第二に社会のトレンド的にも重要であるためだという。前編でお伝えした通り2007年に「慶應チャレンジャー」として始まり、その後開催できない年もあった今大会。大会がこれからも続いていくためには、こういった活動を通して大会自体の価値を高めることや、地域の人との交流をつくっていくことが大切なのだろう。

取材では「内輪盛り上がりだけでなく、いろいろな人にとって必要な大会に進化させていくことが大事」「より多くの人のためになる大会にしたい、地域の方にとってなくてはならない存在になりたい」という部員の声も聞けた。「横浜慶應チャレンジャー」は今後さらに注目を集める大会となるだろう。

※写真提供:Student Charity For Ukraine

Student Charity For Ukraine 公式ホームページ・公式インスタグラム(@studentcharityforukraine)をぜひご参照ください。

(取材:松田英人・五関優太)

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