7月1日のバレーボール早慶定期戦に合わせ、ケイスポ・早スポ合同で第4回にわたりお届けする早慶対談。第3回には、伊藤吏玖副将(スポ4・駿台学園)と松本喜輝(環4・九州産業)が登場。松本選手がコンバートしたこともあり、ミドルブロッカーで背番号2番と共通点の多い2人。春季関東大学リーグ戦の振り返り、最後の早慶戦に向けて意気込みなどを伺った。
※この取材は早稲田スポーツ新聞会と合同で6月19日に行われたものです。
――まずは自己紹介をお願いします
松本 九州産業大学附属九州産業高校出身の松本喜輝です。環境情報学部4年です。最近はバレーしているとき以外、卒論のために論文を読んでいて、他に何もしてないです。ゼミ自体は精神分析という分野をやっているので、それとスポーツ中の精神状態の関わりみたいなことを研究しています。
伊藤 駿台学園高等学校出身の伊藤吏玖です。スポーツ科学部スポーツ科学科4年です。教育実習に行っていて、保健体育科なので保健の授業もやるのですが、自分すごい汗っかきで。教師って見て回らないといけないんですけど、汗かきすぎて生徒のノートに汗たらしちゃいました。「ごめんごめんごめん!!」って謝りまくりました。
――教育実習で学んだこと
伊藤 教員ってすごく大変です。ひとりひとりと向き合わないといけないし、全員が同じ性格じゃないから、同じような運動能力じゃないから、それに対していろいろなアプローチの仕方をしなければいけないです。自分が様々な手段をつかえるように引き出しを持っている人間でなければいけないなと感じました。
――初対面はいつですか
伊藤 高1の冬じゃない?
松本 そうだね。ユースの合宿だね。
伊藤 それで初めて会って。
松本 それまでは全く関わりなかったね。
――お互いの第一印象
松本 単純にでかいなと思いました(笑)。
伊藤 あんまりいい印象じゃないなそれは。
一同 (笑)。
伊藤 喜輝は高校のときからパワーがあって、1回ユースの試合で、エンドに電光掲示板みたいなのあるじゃないですか。そこにサーブでボーンってぶつけてめっちゃ会場がざわついていました。
――今の印象
松本 自分も今年からミドルブロッカーに転向したこともあって、ブロックやクイックを見ていてとてもすごいなと思います。
伊藤 思っていたよりすごく明るくて、よくしゃべるなという感じです。高校のときはそんなにしゃべっていなかったので。ユースの合宿とかですごい顔暗いんですよ(笑)。
松本 なんでですかね?
伊藤 まあめっちゃしんどいし気持ちはわかるけど。大学入ったらめっちゃニコニコしてた(笑)。
――今交流あったりしますか
伊藤 プライベートはないけど、試合会場で会ったら結構話すよね。
――選手同士ってそういうときどんな話するんですか
松本 だいたいは他愛ないことですね(笑)。あとは試合がどうだったああだったって。
――お互いに聞いてみたいこと
――春季リーグを振り返って
松本 自分たちは春リーグ直前まで、人が少ないこともあったり、自分としてはミドルブロッカーに転向したりで、結構バタバタしている中でリーグ戦が始まりました。自分たちの実力も分からない中で第1戦を迎えて、なんだかんだいい試合ができたのかなと思いました。結果的には、(一部)残留できましたし、トータルして全員がデータを信じてバレーできていたのかなっていう印象はあります。
伊藤 春リーグはそこまで細かいところは追求しない方針だったので、やっぱり粗削りな部分が多かったですし、でもそれにしてはチームとしてまあまあうまくやれていたのかなと。結局、日体大戦とか中大戦みたいな感じで、あ、中大戦は負けましたけど、全然チームとして不安定な面もあるので、まだまだ改善の余地があるかなと思っています。特に、ブロックディフェンスは、ブロックとそのディグの関係だったり、ブロックの仕方だったりで課題があるのかなっていう感じです。
――ありがとうございます。次に、個人的にはいかがですか
松本 個人としてはミドルブロッカーの試合が初めてだったので、右も左も分からない状態でした。とにかく監督や後輩のミドルブロッカーと喋りながら、もう本当に目の前のことを、ひとつひとつやっていくっていう感じでやっていたら、気付いたらリーグ戦が終わっていたっていう感じです、はい。
――オポジットからミドルブロッカーになることに不安はなかったですか
松本 めちゃくちゃありましたね(笑)。まあスパイク面はどうにかなるだろうなと思ったんですけど、真ん中でのリードブロックっていうのはあんまり経験したことがなかったので、そこがやっぱり一部っていう早くて高い相手に対して、自分がどれだけできるかっていう不安は結構ありました。
――伊藤選手の個人的な振り返りは
伊藤 そうですね、日体戦と中大戦がフルセットで競った試合だと思うんですけど、そういう結局大事なところで自分のプレーっていうのがデータ上でも数値が低いですし、相手がリードだろうかコミットだろうが、そのクイックを決められるような選手じゃないといけないと思いました。決めるだけが全てではないんですけどタッチ取ったりとか、そういう試合の大事な場面でチームに貢献できるようなプレイヤーにならないといけないなと思いました。
――お二方とも〈データ〉というお話がありましたが、どのようにデータを活用しているのでしょうか
松本 今1個下のアナリストがベンチに入ってくれているんですけど、リベロと変わってベンチに行く時にかなり細かく指示をもらったりしています。そういったところですごく頼りにしていますね。
伊藤 自分たちも基本的にはそれまでの相手の試合のデータを見て、それで対策を立てて戦います。それで、その日に違いがあればチームで話し合ってアナリストからの意見があって対応していくっていう感じです。
――お互いのプレーについて
松本 それで言うと、吏玖はやっぱりブロックがめちゃくちゃすごいです。寄りもそうなんですけど前にもしっかり出てくるので、本当に来ないでほしいなと思いながら…
一同 (爆笑)。
――MBあるあるは何かありますか
松本 そんな2、3カ月くらいで語れることないなあ(笑)。
伊藤 ムズいね、これ。
――では、MBの魅力は
伊藤 魅力か~これも難しいですけど、クイックっていうのはある程度状況が良い時にしか使われないっていうのが大体そうだと思うんですけど、迫力はやっぱりあると思います。ブロックもそう…迫力ありますよね。はい、迫力です。
松本 この春リーグの間、自分は結構クイック入ったりライトに開いたりしていたんですけど、やっぱりかなりマークが来ていて、その分周りのプレイヤーが楽にスパイクを打てるっていうのが自分はそのスバイクで決めていないけど、囮として役に立てたっていう達成感があると思います。
伊藤 そうです、囮が全てです。
松本 (笑)
伊藤 うまくまとめてくれた。
――理想の4年生像はありますか
松本 自分は主将でも副将でもないので、そうやって主将が引っ張ってってくれているのをサポートすると共に、色んな後輩を気にかけることができる4年生になりたいなと思っています。
伊藤 喜輝と似ちゃうんですけど、1人1人にしっかり目を向けて時には厳しい言葉をかけたりとかすると思いますけど、1人1人の選手を見てちゃんと対話したりとか、こういう4年生だったら信じてついていっていいなっていう風に思ってもらうのが自分の中で理想の4年生です。
――その理想像と比べて、今のご自身は何点ですか
松本 まだまだですね。
伊藤 うーん、30点くらいかな(笑)。
――あとの70点はどういうところですか
伊藤 コミュニケーション能力ですかね。自分基本的にコミュ障なんです。逆に伸び代しかないです。
松本 うまくまとめた(笑)。
――昨年の早慶戦の印象は
松本 きつかったなあ(笑)。
伊藤 あっついしね。
松本 本当に暑かった。
伊藤 冷房ついていてあれなのか。
松本 多分あれついてなかった(笑)。あ、ごめんなさい印象ですよね。結果としてフルセットに行って、その頃はオポジットだったので、最後の何点か自分に預けてくれたボールを決めきれなくて悔しかったなっていう印象が大きいですかね。
伊藤 喜輝にすごく決められちゃった試合だったなと思います。去年のチームだったら、そこをやっぱりある程度攻略していないと勝てなかったと思います。結局、最後の最後では勝ちましたけど、結局1セット目と3セット目は取られていますし、そういう意味では本当に慶應にずっとペースを握られていた試合だったと思います。
――会場の雰囲気などはいかがでしたか
松本 見渡す限り人でした(笑)。
伊藤 そうですね、これまで大学に入ってから観客ありといっても制限があったりとか、ああいう試合会場は経験してこなかったので、自分らの声が聞こえないぐらいなのは久々でした。
――昨年と比較して、今のチームの状況は
松本 慶應は例年に比べてレシーブが安定してきたのかなと思っています。島田(島田航希主将、経4・慶應)と山口(山口快人、経1・慶應)の2人が中心となって、リベロと3人でサーブレシーブしているんですけど、例年だったら攻撃系のサイドが1人いて反対に守備固めのサイドがいてみたいな形だったのが、本当に2人ともレシーブがうまくて結構スパイクも決めてくれるので、そういった点ではミドルブロッカーに異動した自分としては、パスカットしてくれるのは嬉しいなっていう感じです。
伊藤 去年は大塚さん(大塚達宣、R5スポ卒・洛南)がずっといなかったり水町(水町泰杜主将、スポ4・鎮西)もそうで不在の選手が多かったと思うんですけど、今年はおそらく全員揃って試合ができるので、そういう意味では去年より完成度の高い全体で一貫されるのかなっていう風には思います。
――伊藤さんは今まで教育実習に行っていて昨日合流したばかりと聞きましたが、自分がしばらく不在でその後合流したときのチームの雰囲気などはいかがでしたか
伊藤 自分たち4年生はアナリスト含めて6人いるんですけど、6人全員教育実習に行っちゃって、部に1、2、3年生しかいない状態っていうのが2週間ぐらいありました。その中で下級生たちがしっかり自分らでやるべきことっていうのを明確化して、基礎練習に取り組んできたのかなっていうのが伝わってきて、練習中の雰囲気もすごく良いと思いました。自分がやるんだっていう、そういう意欲をプレーから感じましたね。
――2週間ぶりの練習はどうでしたか
伊藤 地獄でした。
松本 (笑)。(教育実習中は)部の指導とかもするの?
伊藤 一応する。自分も練習に入ったりするけど、最後の週は結局体育祭と研究授業とかそれの関係で忙しくて全然練習できていないです、やばいです。体重3キロ増えました。
――自分のチームの特徴を教えてください
伊藤 去年はやっぱりレフトに依存したチームだったと思うんですけど、今年はまず真ん中をしっかり使うっていう意味で、セッターの前田(前田凌吾、スポ2・清風)としっかり話し合ってコンビの精度を高めています。ライトも今畑(畑虎太郎、スポ2・福井工大附属福井)が入ってるんですけど、畑の攻撃力がすごい高いので、相手からしたら全員がその攻撃を打ってくる可能性があるっていう風に思わせられるチームなのかなって思います。
松本 うちは自分ともう1人渡邊(渡邊大昭、商3・慶應)っていう大砲がいるのが強みかなと思っています。常に、基本的に自分か渡邊が前衛にいてしっかりハイセットだったり、苦しい場面を打ち切ることができるチームかなと思います。
――お二人にとって最後の早慶戦になると思いますが、思い入れはありますか
松本 1、2生の頃ってみんな早慶戦に力を入れてやっていたんですけど、僕は外部から慶應に入ってきたのもあって内部生も多い中で、そんな早慶戦って大事な試合なのかって感じでした、正直。でも去年、実際有観客でやってあれだけの観客の皆さんにも入っていただけて、OBOGの方も応援やお疲れ様みたいな声も掛けていただいたことで、歴史の詰まった大会だなってのは、身に染みて理解することができました。そういう点では、その歴史を後の世代に紡いでいくとともに、大事な文化を絶やさないように頑張りたいなと思っています。
伊藤 うんうん。自分が1年生の頃の早慶戦は早稲田の上井草の体育館でやったんですけど、誰もいなかったし、練習試合かな?みたいな(笑)。で、去年初めて有観客を経験して、先輩たちはこうやって早慶戦に対して熱くなって試合していたんだなというのは分かるなと思いました。そういう意味では、さっき喜輝も言っていた伝統的な一戦でもあるし、それを後輩たちや自分よりもっと年下の世代にも受け継げるように今年も熱い戦いをできたらと思います。
――ぜひここに注目して欲しい!というご自身のプレーはありますか
松本 僕はセッター横のミドルブロッカーに入ることが多いので、結構ライトから真ん中までの幅を使った入りっていうのを、ちょっと注目してみてもらいたいなと思います。
伊藤 去年はブロックが良くなかったので、今年はもう少しブロックを頑張りたいと思います。
――では注目の選手はいますか
松本 さっきもあげたんですけど、やっぱり3年の渡邊かなと。自分が後衛にいる時もしっかりチームのエースとしてボールを打ち切ってくれているので、そういったパワフルなプレーに注目してもらいたいなと思います。
伊藤 そうですね、自分はちょっと皆さんに畑を見てもらいたいなと思います。リーグ戦でもまだ途中で変わっちゃったりしますし、レフトの水町と山田(山田大貴、スポ4・清水桜が丘)が中心っていうのもあって若干影が薄れてるとこありますけど、攻撃力に関してはとんでもないので(笑)。その自分たちは教育実習でしたけど、彼はずっと早稲田でプレーしていたので、そういう意味では畑の高いパフォーマスが見れるのではないかという自分の勝手な期待です。期待しようかなって思っています。
――最後に、早慶戦への意気込みをお願いします
伊藤 僕は決まっています。松本喜輝を止めることです!!
松本 (笑)。なるべく遠くで攻撃します!!
――ありがとうございました!
(取材:早稲田スポーツ新聞会 五十嵐香音/慶應スポーツ新聞会 佐々木愛子、田中瑠莉佳)
伊藤吏玖(いとう・りく)
2001(平13)年11月14日生まれ。195センチ。最高到達点332センチ。東京・駿台学園高出身。スポーツ科学部4年。見に行ってみたい早慶戦は、歴史のある野球か、ご友人が多くいるラグビーだそうです!
松本喜輝(まつもと・よしてる)
2002(平14)年2月9日生まれ。186センチ。最高到達点339センチ。福岡・九産大付九産高出身。環境情報学部4年。野球の早慶戦をずっと見に行きたいと思っていながら実現していないそうです。やはり規模が桁違いなことと、ご友人がいることが大きいようです!
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