【野球】渡辺和大の好投も打線が繋がらず 延長戦の末10回勝ち越し本塁打を浴び勝ち点を落とす 東京六大学秋季リーグ戦 明大3回戦 @明治神宮球場

野球戦評

前日の2回戦は大量8失点で完敗した慶大。3回戦の先発マウンドには、立大2回戦で好投を披露した渡辺和大(商2・高松商業)が上がった。6回まで両大学ともスコアボードに0を並べるが、7回に4番・杉崎成(総数4・東海大菅生)に左安を浴び、6番・木本圭一(政経3・桐蔭学園)の右中間への適時二塁打で先制される。その裏に慶大は2死満塁のチャンスを作るものの、吉野太陽(法2・慶應)は左飛に打ち取られ3者残塁となった。あとがない9回裏、先頭の水鳥遥貴(商4・慶應)が左安で出塁。その後進塁し、代打・坪田大郎(商3・慶應)のリーグ戦初安打である右翼線際への適時二塁打で同点に追いつく。そのまま延長戦となった直後の10回表。渡辺和の後を受け、8回からマウンドに上がっていた外丸東眞(環3・前橋育英)が先制適時打を放っている木本に勝ち越し本塁打を打たれ、それが決勝点となった。

 12345678910
明大00000010012
慶大00000000101

◆慶大打撃成績

 12345678910
1④二宮慎太朗三振・・・・二ゴ・・三ゴ・・・・・・・・
 46林純司・・・・・・・・・・・・・・三振・・・・
 🈱宮澤豪太・・・・・・・・・・・・・・・・・・三振
2⑧佐藤駿右飛・・・・右安・・・・遊ゴ二飛・・・・
 7小堀政泰・・・・・・・・・・・・・・・・・・左安
3⑤水鳥遥貴一ゴ・・・・一ゴ・・・・一安・・左安三振
4③清原正吾・・三振・・左飛・・・・三振・・三振・・
5⑨横地広太・・二安・・・・二ゴ・・四球・・二ゴ・・
6②渡辺憩・・一飛・・・・二ゴ・・・・・・・・・・
 🈱真田壮之・・・・・・・・・・・・四球・・・・・・
 🈰古野幹・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 2吉開鉄朗・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 🈱坪田大郎・・・・・・・・・・・・・・・・右2・・
 2森谷史人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7⑦吉野太陽・・・・一ゴ・・三振・・左飛・・・・・・
 1外丸東眞・・・・・・・・・・・・・・・・投ゴ・・
8⑥斎藤快太・・・・右飛・・・・投ゴ・・・・・・・・
 🈱4本間颯太朗・・・・・・・・・・・・・・打妨・・死球
9①渡辺和大・・・・三振・・・・三振・・・・・・・・
 78丸田湊斗・・・・・・・・・・・・・・中飛・・三振

◆慶大投手成績

 投球回打 者投球数安 打本塁打四死球三 振失 点自 責
渡辺和大72583502611
外丸東眞31337311111

前日の2回戦はチャンスであと1本が出ず、8-0の大敗を喫した慶大。気持ちを切り替え、明大から勝ち点を取るためになんとしてでも勝利し、4回戦に持ち込みたい。先発はエース・外丸ではなく、渡辺和を起用した。

渡辺和と渡辺憩(商1・慶應)の「渡辺バッテリー」で臨んだ初回、2回は走者を出しながらも結果的に3人で明大の攻撃を終わらせた。初回は、1番・直井宏路(商4・桐光学園)にいきなり死球を与えるも、飯森太慈(政経4・佼成学園)を投ゴロ、宗山塁(商4・広陵)を二併殺打に打ち取った。2回は、4番・杉崎に初球から中堅手と遊撃手の間に落ちる明大初安打を許したが、続く小島大河(政経3・東海大相模)を1球で二併殺打に打ち取る。渡辺和の落ち着いた立ち上がりと、慶大の堅い守備が見られた。

7回1失点の好投を披露した渡辺和

明大の先発は、1回戦でも先発した髙須大雅(法3・静岡)。初回、慶大打線は髙須の直球と変化球をうまく織り交ぜたピッチングで3者凡退に抑え込まれる。2回、横地広太(政2・慶應)は2球で追い込まれながらも、カウント1-2から打った当たりは内野安打となり、これがチーム初安打となる。しかし、続く渡辺憩の打席で髙須の牽制球を多く受けながら二盗を試みた横地は捕手・小島に刺され、チャンスを失った。

3回、4回と慶大はピンチを迎える。3回、7番・榊原七斗(情コ2・報徳学園)が放った鋭い当たりを三塁手・水鳥がジャンピングキャッチし、ファインプレーとなったあと、8番・光弘帆高(商2・履正社)には右翼手の頭上を越える二塁打を打たれる。しかしその後、渡辺和の投球が光り、得点圏に走者を置きながらも得点を許さない。4回には、宗山に中前安打を打たれるが、4番、5番の強力打者を連続三振に打ち取った。

慶大は4回に2番・佐藤駿(商4・慶應)の右安で出塁し、二塁まで走者を進めるが、4番・清原正吾(商4・慶應)は左飛に倒れ、得点に結びつかなかった。

試合が動いたのは7回。渡辺和がボール先行になり、ボール自体も高くなってきたところを明大打線は見逃さなかった。4番・杉崎にカウント2-1から高めのストレートを弾き返され左安となり、出塁を許す。明治神宮球場にこの日初めての明大のチャンステーマ・神風が響き渡る中、嫌な予感が走る。続く小島が犠打を決め、走者は二塁に。明大の応援がピークになってきたところで、6番・木本がカウント1-1から右中間に適時二塁打を放ち、ついに均衡が破れた。その後、榊原を空振り三振に打ち取り、一旦堀井哲也監督と内野手がマウンドに集まる。渡辺和はマウンド上でジャンプし、一呼吸置いた後、光弘の打席の際に二塁走者の木本を牽制球で仕留め、最少失点に抑えた。

なんとしてでも食らいつきたい慶大は直後の攻撃でチャンスが訪れる。水鳥が一塁手のグラブを弾く内野安打を放ち、1死一塁と、同点の走者を出す。4番・清原の打席のところで今度は慶大がこの日初めて慶大のチャンステーマ・ダッシュ慶應を球場に響かせ、期待を募らせるが、空振り三振に終わる。その間に水鳥は二塁への盗塁を決め、チャンスを広げる。5番・横地のところで捕手が前に球をこぼした隙に水鳥は三塁へ到達する好走塁を見せた。カウント3-1となったところで明大は先発・髙須から松本直(情コ2・鎌倉学園)へスイッチ。横地は四球を選び2死一、三塁とチャンスが広がる。6番・渡辺憩のところでベンチが動き代打・真田壮之(経3・慶應)を起用。フルカウントと緊張が走る中、真田の選球眼が勝り四球を選び、吠えた。2死満塁という大チャンスで回ってきたのは、立大2回戦でリーグ戦初本塁打を放った吉野。2球で追い込まれながらもファールで粘るが、最後は左飛に終わり3者残塁となった。

四球を選び吼える真田

8回からは、渡辺和に代わりエース・外丸がマウンドに立つ。外丸は得点圏に走者を置きながらも、初球からストライクを取る安定したピッチングで2点目のホームを踏ませない。

9回表は名手・林純司(環1・報徳学園)の好守備もあり、3人で攻撃を終わらせた。その勢いで同点、サヨナラ勝ちを期待したい9回裏。クリーンナップから始まる慶大は、水鳥がカウント2-2から逆方向へ左安を放ち、先頭打者を出した。清原が空振り三振で倒れたあと、横地の二ゴロの間にスタートを切っていた水鳥は二塁へ進塁。6番・吉開鉄朗(商2・慶應)のところで代打・坪田が打席に立つ。2死二塁という一時も見逃せない場面で、カウント2-1から坪田が放った当たりは右翼線際に落ちる適時二塁打となり、慶大は土壇場で同点に追いついた。一打サヨナラのチャンスで打席は外丸に回るが、投ゴロで延長戦にもつれこむことになった。

リーグ戦初安打がチームを救う一打になった坪田

土壇場で試合を振り出しに戻した慶大だが、喜びも束の間、10回の先頭・木本に高めの球を捉えられる。打球は左翼スタンドに突き刺さり、勝ち越しの決勝本塁打となった。その後も外丸は2死一、二塁のピンチを背負うが打たせて取るピッチングでさらなる失点を防いだ。

後がない10回裏、先頭の主将・本間颯太朗(総4・慶應)が肘に死球を受け、同点の走者を出す。続く丸田湊斗(法1・慶應)、代打・宮澤豪太(文3・県立長野)は三振に打ち取られ、絶体絶命の中、リーグ戦初出場の小堀政泰(商3・慶應)が打席に立つ。小堀はカウント2-2から左前安打を放ち、一塁上で渾身のガッツポーズを見せた。2死一、二塁と緊迫した場面、この日2安打と当たっている水鳥に打席が回った。空が薄暗くなってきた頃、盛り上がりはピーク、ダッシュ慶應が爆音で鳴り響く。しかし、カウント1-2から水鳥のバットは空を切り試合終了した。

リーグ戦初打席で初安打を放った小堀

1回戦、清原の劇的な本塁打が飛び出し、引き分けから始まった明大戦。2回戦、3回戦は打線がつながらず、勝ち点は明大のものとなった。投手でこれから期待したいのは、3回戦で先発した渡辺和だ。7回1失点の見事な投球を披露した。一方で、打撃は一発はあるものの、連打で得点するという繋がる打線が見られない。来週の東大戦は、打線に勢いをつけて投手陣を援護し、確実に勝ち点を取りたい。

 

(記事:河合亜采子、写真:加藤由衣、大泉洋渡、ウジョンハ、鈴木啓護)

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