中断期間を挟み、最初の試合となった今節。首位奪還、そして2部優勝に向けてなんとしてでも勝ち点3を勝ち取りたい慶大。迎え撃つのは試合前時点でリーグ3位の強敵・順大。試合は序盤から互いに譲らない展開が続く。茅野優希(政4・慶應)や齋藤真之介(経3・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が果敢に攻撃のチャンスを生み出すも、得点には繋がらず。大下崚太(商3・慶應/東京ヴェルディユース)や三浦成貴(商2・浜松開誠館)の踏ん張りもあり、得点は与えなかったものの先制点を奪えないまま試合は後半へ。一進一退の攻防のなか、スコアボードを動かしたのは慶大。51分、相手のミスで角田惠風(商3・慶應/横浜F・マリノスユース)へボールが渡ると、角田は齋藤真之介へと華麗なスルーパスで繋ぐ。ペナルティエリア内までボールを運んだ斎藤が中へと折り返し、エリア内中央にいた茅野優希がしっかりと決め切り先制。貴重な一点をもぎ取った。しかし、得点を決めた直後の54分、順大得意のセット―プレーから主導権を奪われ失点、同点に追いつかれる。なかなか追加点を奪えないなか、69分。角田が好位置でFKを獲得すると、自ら放った完璧なFKで勝ち越しに成功する。その後も途中出場の村井亮友(商3・ザスパクサツ群馬U-18/桐生)や藤井漱介(商2・静岡学園)が奮闘し、順大に流れを渡さない。90+1分には辻野悠河(商3・暁星国際)が素早いドリブルでチャンスを生み出し、最後は香山達明(経4・慶應志木)の落ち着きのあるシュートで追加点。順大を見事に突き放した。90+5分に失点を許すも、試合は失点直後に終了。なんとか逃げ切り、3-2で慶大の勝利に終わった。
2024/9/22(日・祝)18:00キックオフ@慶大下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学3―2順天堂大学
【得点者】
51分 茅野優希(慶大)
54分 三輪椋平(順大)
69分 角田惠風(慶大)
90+1分 香山達明(慶大)
90+5分 齊藤慈斗(順大)
◇慶大出場選手
GK
1 村上健(政4・國學院久我山)
DF
2 大下崚太(商3・慶應/東京ヴェルディユース)
4 内藤豪(法4・駒大高)
5 山口紘生(商4・國學院久我山)
29 三浦成貴(商2・浜松開誠館)
MF
7 齋藤真之介(経3・桜修館/FC町田ゼルビアユース)
→ 79分 13 藤井漱介(商2・静岡学園)
8 辻野悠河(商3・暁星国際)
10 茅野優希(政4・慶應)
11 朔浩太朗(理2・学習院)
→ 63分 19 村井亮友(商3・ザスパクサツ群馬U-18/桐生)
14 角田惠風(商3・慶應/横浜F・マリノスユース)
FW
9 香山達明(経4・慶應志木)
中断期間を終え、約2ヶ月ぶりのリーグ戦となった第14節。相手は試合前時点でリーグ2位の順大、セットプレーを得意とする強敵だ。前半は両者譲らない展開が続く。6分、相手が左サイドからペナルティエリア内にピンポイントでクロスをあげられるも、内藤豪(法4・駒大高)が見事に合わせピンチを防ぐ。その後も右サイドからゴールに近い距離にクロスをあげられるが山口紘生(商4・國學院久我山)が大きく蹴り上げ、ボールはコート外へ。11分には相手のFKからピンチを招くなど慶大は序盤から苦しい展開が続く。
しかし、慶大もチャンスを生み出せないわけではない。16分、茅野優希(政4・慶應)が中央でボールを得ると持ち前の突破力を活かし、自らペナルティエリア内までボールを運ぶ。ゴール手前で倒れ、PKの権利を得たかと思うも、審判の笛は鳴らず。先制点は持ち越しとなった。17分にはまたもや茅野が中央でボールを受け取ると、ゴール近くにいた香山達明(経4・慶應志木)に繋ぐ。香山は相手ディフェンダーを華麗にかわし、シュートを打ち込むもキーパー正面に飛び、惜しくも得点とはならなかった。
順大も主導権を譲らない。19分、慶大はセットプレーを得意とする順大に最初のコーナーキックを与えてしまう。ピッチに緊張が走るなか、ここでも茅野が上手く弾き返しピンチを免れる。ピンチを脱した慶大は22分、村上健(政4・國學院久我山)がロングボールで攻撃の起点を生み出す。香山が見事なトラップでボールを受け取り、辻野悠河(商3・暁星国際)が中へボールを送るも相手ディフェンダーにボールを奪われ、チャンスを活かすことはできなかった。
23分には右サイドから朔浩太朗(理2・学習院)と内藤が攻め込み、最初のコーナーキックの機会を得る。今節ベンチ外の田中雄大(商3・成城/三菱養和SCユース)に代わって蹴るのは田中と同じく中盤を支える14番・角田惠風(商3・慶應/横浜F・マリノスユース)。角田の蹴ったボールは惜しくも相手に阻まれ、ボールはセンターライン際まで戻される。こぼれ球からカウンターを狙う順大を食い止めたのは、やはり茅野。しっかりとカットし順大にチャンスを与えなかった。
28分、再び慶大にピンチが訪れる。左サイドから攻め込まれ、ペナルティエリア内中央に折り返されるも今季初出場の三浦成貴(商2・浜松開誠館)が右足で合わせ、なんとかボールを弾き飛ばす。しかし、こぼれ球を相手に奪われ、直接ゴールを狙われるも、ボールはキーパー・村上の正面に飛び、先制点を許さなかった。
37分には朔が右サイドから中央への果敢なドリブルで切り込み、センターライン付近から走り込んで来た大下崚太(商3・慶應/東京ヴェルディユース)に繋ぎ、大下がそのままシュートを打つも、これもキーパー正面。得点には繋がらなかったものの、試合は徐々に慶大ペースへと傾いていく。しかし、順大も攻撃の手を緩めない。43分、順大にコート中央でのフリーキックのチャンスを与えると、左サイドからクロスを上げられ、一気にボールはゴール付近へ。大下がなんとかボールを外へ出すも、順大が得意とするゴール近くでのスローインを与えてしまう。驚異的なロングスローは見事にゴール手前にいた相手の足元へと渡り、相手選手がしっかり合わせ、ボールは流れるようにゴールラインを超えた。先制点を奪われたかのように思えたが、大下がスローイン直後に倒され、ファールを獲得しており、先制点は間一髪のところで防がれた。両者とも得点をあげられないまま、試合は後半へ。
48分、センターライン付近でボールを受け取った齋藤真之介(経3・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が左サイドから中央へドリブルで突破を図る。一度ボールを奪われるも、直後に山口が奪い返し、ボールはもう一度左サイドにいた齋藤へと繋がる。齋藤が見事コーナーキックを獲得し、慶大はいきなり先制のチャンスを得る。先制点をあげることは出来なかったが、これを機に後半序盤は慶大ペースで試合が動く。51分、コート中央で角田へとボールが渡ると、左サイドへ走る齋藤に完璧なスルーパスで繋ぐ。齋藤がペナルティエリア左端までドリブルで運び中へ折り返すと、中央にいた茅野が上手く合わせ、ボールはゴール右奥へ。前半、攻守で躍動した茅野が見事に決め切り先制。緊迫した攻防戦のなか、貴重な1点をもぎ取った。
しかし、対戦相手は実力のある順大。簡単には試合の流れを握らせてはくれない。54分、順大にセンターライン付近でFKのチャンスを与えると、ボールの主導権を完全に奪われ失点。試合を振り出しに戻された。56分には角田から右サイドにいた朔へ鋭いパスが通るも、朔のクロスはわずかに奥側に逸れ、チャンスを作り出せない。57分にはまたも順大にコーナーキックを与えるなど、失点後も苦しい展開が続いた慶大。63分、追加点の欲しい慶大は試合の流れを変えるべく朔に代えて村井亮友(商3・ザスパクサツ群馬U-18/桐生)を投入。ただ、その後も厳しい状況が続く。三浦や内藤ら守備陣が奮闘するも試合は依然順大ペースのまま、後半中盤へ差し掛かる。
慶大に久々にチャンスが訪れたのは69分。角田がペナルティエリア付近でファールをもらい、FKの権利を獲得。ヘディングで合わせてくると考えた相手キーパーはゴールのやや右側に立つ。それを見逃さなかった角田は直接ゴールを狙い、ボールは吸い込まれるようにゴール左上へ。角田の芸術的なFKで慶大は勝ち越しに成功。衝撃的な追加点で慶大は総得点数リーグトップの意地を見せつけた。その後も慶大攻撃陣は両サイドの村井と斎藤を起点に追加点を狙い続ける。そんななかピンチを迎えたのは77分、順大攻撃陣にボールを奪われるとパスで繋がれ、ペナルティエリア外から思い切ってシュートを撃ち込まれる。放ったボールは相手フォワードの身体に当たり、ボールは恐ろしく変化しゴールの右側へ。ゴール左側に構えていた村上だが、見事な反射神経でボールに飛びつきボールはゴール右横へ逸れる。絶対的守護神・村上の素晴らしいファインセーブで追加点は許さなかった。
79分、慶大は斎藤に代え、藤井漱介(商2・静岡学園)をピッチに送る。すると81分、相手キーパーがボールを持つと藤井は光のような速さで相手キーパーの目の前に現れ、キーパーのパスをはじき返す。さらに82分には、右サイドから村井が駆け上がり、中央にいた辻野に繋ぐ。ボールを受け取った辻野はゴール前にいた藤井にそのままパス、藤井がそれをダイレクトで押し込むも、惜しくもボールはゴール右横に逸れ追加点獲得はならなかった。攻撃の手を緩めない慶大。90+1分には辻野がセンターラインでボールを受け取ると、素早いドリブルでペナルティエリア付近までボールを運ぶ。中央にいた香山へ折り返すと、香山は冷静にゴール右側を狙いシュート。これが追加点となり、3-1でアディショナルタイムに順大を突き放す。その後、90+5分に前に出ていたキーパー村上の頭を越えるシュートを打たれ2点目を許すも、試合は失点直後に終了。苦しい戦いではあったが、3-2で見事勝利をおさめ、強敵・順大相手に勝ち点3を獲得した。
今節で勝ち点3を獲得し、無事首位に返り咲いた慶大。目標とする2部優勝にまた一歩近づいた。試合最終盤で失点を許すなど課題も残る結果にはなったが、早慶定期戦での敗戦、そして総理大臣杯での早大への敗北など、いやな流れが続いていた慶大にとって、この勝利は慶大に勢いを取り戻す勝利といっても過言ではない。次節は前期で2-2の引き分けに終わり、勝ちきることのできなかった立正大と対戦する。初のリーグ戦3連勝がかかっている次節。勝ち切る覚悟で王座死守へ。荒鷲軍団の一挙手一投足に注目が集まる。
(記事:塩田隆貴 写真:愛宕百華、塩田隆貴)
以下、選手インタビュー
茅野優希(政4・慶應)
――リーグ3位の順天堂大学を相手にどういう気持ちで、またどういうところを意識して試合に臨んだか
チームとしては今おっしゃったところの、この試合の今後の影響の大きさというのは本当みんな理解していて。今週の頭からずっと何としても順天を倒すんだって意気込んで、チームで準備を重ねました。個人というところでは、あと9試合しかないってところで、4年生として成し遂げられるものはあとリーグ優勝しかないので。何としてもこの1個目を勝たなきゃいけないという思いで臨みましたね。
――今日の試合を振り返って
個人的にはなかなか結果でチームを勝たせることができなかったので、自分の得点というところで久しぶりにチームに貢献できたところがよかったなと思いますし、チームとしても9週連続で戦うリーグ戦のその1週目の所で、順天堂という本当に良いチームに対して、勝てたってことは数字的にもでかいですし、自信にもなるし、よかったなと思っています。
――先制点はどういった気持ちで決め切ったか
まあ、あの本当に形というか、取り方としては自分らしいというか。本当にこの4年間取り組んできたことが出たのかなっていうところで。まあ仲間を信じて走ることだったりとか、走り込んでしっかり流し込むところは本当にずっと練習してきたことなんで。それが出たのはすごくうれしかったなと思います。
――次節(立正大戦)への意気込みをお願いします
本当にまためちゃくちゃいいチームで。ただここも大事な一戦で、勝たなきゃ優勝に行けないなというところでもありますし。個人的には今週もですけど、7年間ここで参加してきて。下田グラウンドが今日含めて残り3回ってところで。何としても立正に下田で勝つというところは燃えるものがあるので、個人としてもチームとしてもいい準備をしたいなと思います。
――ありがとうございました
角田惠風(商3・慶應/横浜F・マリノスユース)
――今日の試合を振り返って
まあ、西野純太(総3・駒大高)と田中雄大(商3・成城/三菱養和SCユース)が累積とか出られない中で、出てる選手はもちろんですけど、チーム全員の総和で相手よりも走って絶対に勝とうっていう話をみんなでしていて、それが体現できたかなと思います。あと、今日の試合は中断期間を挟んで最初の試合っていうところで一番力入れようってみんなで話していて。そのなかで自分がチームの勝利に数字で貢献できたっていうのが嬉しいかったですね。
――完璧なフリーキック、どういう気持ちで決め切ったか
いい場所で上手くファールをもらうことができたので。中合わせるふりして、キーパーがちょっとファーに行ってたので、壁超えたら入るなと思って。練習通り蹴ったら入りました。
――次節への意気込みお願いします。
まあ前期勝てない相手なので。またここから改善するとこは改善して、火曜日から頑張ってしっかり練習していただきたいなと思います。
――お疲れ様でした。