【應援指導部】1点の重みを肌で感じた慶法戦 さらに進化した応援席へ。 最後まで駆け抜ける/秋季応援席特集 対法政大学戦

應援指導部

9月に開幕した東京六大学野球は、早くも4カード目。慶早戦前最後の相手は、一進一退の名勝負が繰り広げられてきた法政大学だ。昨秋は本間颯太朗(総4・慶應)の逆転タイムリー、今春は1年生の渡辺憩(商1・慶應)にサヨナラホームランが飛び出すなど、記憶に残る好ゲームを演じてきた。ケイスポではそんな名勝負を後押しする応援席に入り、勝負の行方を追った。

 

10月19日(土) 慶應義塾大学 ●1―3○ 法政大学 

 

~試合概要~ 

慶大は3回、吉野太陽(法2・慶應)のタイムリースリーベースで1点を先制する。先発の渡辺和大(商2・高松商業)は7回まで無失点と好投していたが、8回にエラーが絡み同点に追いつかれる。9回にはこの回から登板の前田晃宏(商3・慶應)が2本のホームランを浴び、僅差で敗れた。

最終回までもつれる好ゲームだった

優勝の可能性が無くなり、慶應ファンにとっては悔しい試合が続く今季。しかし應援指導部は、できることを全うしようとしていた。初回には誕生日の2日前だという部員から「2連勝で誕生日を迎えるぞ」と声がかかり、おなじみの『若き血』が流れた。

”初回から気合入れて「若き血」いくぞ!”

この日の午前中には、立川市の昭和記念公園で箱根駅伝予選会が。3回には予選会の応援を終え神宮にやってきたという部員から「競走部は、反省とか悔しさは、次への糧だと言っていた。我々も苦しい試合が続いているが、全てが法政戦への糧となっている。今まで3カード分の悔しさ、楽しさ全てを法政戦にぶつけてほしい」という前向きな呼びかけがあった。

”目の前の試合に全てをぶつける”

5回の攻撃前には、法政が大切にする「礼に始まり礼に終わる」という“押忍”の精神になぞらえ、「法政の得点は0に始まり0に終わらせるということだ」と発破をかけた。

観客の鼓舞の仕方も対戦相手によって様々

8回表に無死2、3塁のピンチを迎えると、「笑顔」と書かれたボードが掲げられた。これについては、Eさんから「今回工夫した点として、新たなボードを取り入れました」という話が。「応援席がどうしても沈む瞬間に「笑顔」ボードを出すことで、表情よく観客の方には応援してほしいなという意味で作りました」とその意図を語ってくれた。

”沈みそうな時こそ笑顔を!”

このピンチを切り抜けると、その裏には無死1塁のチャンスに。この日初めての『朱雀』が流れ、学ランを着た部員がメイン台に5人並ぶシーンもあったが、得点とはならなかった。

敗戦後、土橋祐太代表はスタンドの観客に「最後まで應援指導部を信じてください」と呼びかけた。野球担当のNさんは「慶應が先制点を取った中で、勝てるなという形で試合が進んできたからこそ、同点に追いつかれた時の落ち具合が大きくて。それが2点目3点目を取られるきっかけになったと、応援席としては考えています」と語った。

勝った喜び・負けた悔しさ、全てを受け止める

10月20日に行われた第2試合でも敗北を喫し、2連敗で終戦となった慶法戦。その試合後、野球応援の責任者を務めるEさんはこんなメッセージを寄せた。

「慶法戦は惜しくも2連敗を喫してしまい、今季2つ目の勝ち点を取ることができませんでした。待望の先制点「1点」を入れた時、勝ち越した後のピンチを抑え「1点」を与えなかった時、終盤にエラーで「1点」を失い、同点に追いつかれた時、ホームラン1本で簡単に「1点」を失った時。それぞれの場面で、応援をしながらこの「1点の」重みを肌で感じました。

肌で感じた”1点の重み”

応援席はこの秋ものすごく進化しています。なぜなら、タフな試合展開が続く中、応援の力でチャンスをものにし、ピンチを守り切ろうとスタンドにいる部員と観客が一つになろうとしているからです。

ここぞという場面で、応援が選手を後押しします。『若き血』1回歌うのにこれほど苦労するシーズンはないと思いますが、その分、1点を取れた慶びを大事にしたいと思います。

”部員と観客が一つになろうとしている”

この3週間、考えることはただ一つ“打倒早稲田”。慶早戦までにさらに進化した応援席を作り上げていきます」

来たる慶早戦。彼らはどんな姿で、最後の応援を作り上げるのだろうか。

”努力を結実させる場所”、それが彼らの慶早戦

 

(記事:工藤佑太 写真:岩切太志、ウジョンハ)

 

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