慶大は、青学大との一戦で堅実なディフェンスと巧妙なキック戦術を駆使し、対抗戦初勝利を手にした。試合開始早々からプレッシャーをかけ、小野澤謙真(環1・静岡聖光学院)の冷静な得点力が光る中、前半から流れを引き寄せる展開に成功した。後半に入っても最後まで攻めの姿勢を崩さず、最終スコア20-10で試合を制した。
2024年10月27日(日)関東大学対抗戦Aグループ 対青山学院大戦
@栃木県総合運動公園第2陸上競技場
関東大学対抗戦Aグループ 第4節 | ||||
慶應義塾大学 | 2024/10/27(日)14:00 K.O. @栃木県総合運動公園第2陸上競技場 | 青山学院大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
2 | 0 | トライ(T) | 1 | 0 |
2 | 0 | コンバージョン(G) | 1 | 0 |
1 | 1 | ペナルティゴール(PG) | 1 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
17 | 3 | 計 | 10 | 0 |
20 | 合計 | 10 | ||
前半5分 小野澤謙真(PG) 前半26分 伊吹央(T) 前半28分 小野澤謙真(G) 前半37分 中野誠章(T) 前半38分 小野澤謙真(G) 後半10分 小野澤謙真(PG) | 得点者 | 前半11分 榎本拓真(T) 前半12分 青沼駿昌(G) 前半24分 青沼駿昌(PG) |
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学年学部 | 出身校 |
1 | 成田 薫 | 181/104 | 経4 | 慶應 |
2 | 中山 大暉 | 176/103 | 環4 | 桐蔭学園 |
3 | 吉村 隆志 | 177/108 | 環4 | 本郷 |
4 | 中矢 健太 | 183/105 | 総4 | 大阪桐蔭 |
5 | 浅井 勇暉 | 188/107 | 総4 | 仙台 |
6 | 中野 誠章 | 178/101 | 文1 | 桐蔭学園 |
7 | キーヴァー ブラッドリー京 | 182/87 | 総1 | 常翔学園 |
8 | 田沼 英哲 | 176/95 | 総4 | 國學院久我山 |
9 | 小城 大和 | 168/72 | 商4 | 北嶺 |
10 | 和田 健太郎 | 168/70 | 理1 | 清真学園 |
11 | 廣瀬 暸 | 178/79 | 環4 | 慶應 |
12 | 今野 椋平 | 183/88 | 環3 | 桐蔭学園 |
13 | 山本 大悟 | 174/84 | 環3 | 常翔学園 |
14 | 小野澤 謙真 | 180/85 | 環1 | 静岡聖光学院 |
15 | 伊吹 央 | 176/81 | 経3 | 慶應 |
16 | 山田 空太 | 168/96 | 経4 | 慶應志木 |
17 | 井吹 勇吾 | 175/98 | 環1 | 桐蔭学園 |
18 | 中谷 太星 | 180/114 | 環1 | 東福岡 |
19 | 長瀬 穣一郎 | 187/104 | 政4 | 山形南 |
20 | 矢崎 隼太 | 184/94 | 法3 | 県立千葉 |
21 | 橋本 弾介 | 169/77 | 法3 | 慶應 |
22 | 村田 紘輔 | 174/85 | 経4 | 慶應 |
23 | 石垣 慎之介 | 175/80 | 政3 | 慶應志木 |
青山学院大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学年学部 | 出身校 |
1 | 木村 陽太 | 175/101 | 法2 | 國學院栃木 |
2 | 田中 太陽 | 173/90 | 文3 | 常翔学園 |
3 | 安部 駿亮 | 177/113 | コミュニティ人間科学4 | 大分舞鶴 |
4 | 荒川 真斗 | 186/110 | 法3 | 國學院久我山 |
5 | 梁取 駿太 | 186/100 | 経営2 | 茗溪学園 |
6 | 松崎 天晴 | 173/90 | 国際政治経済1 | 東福岡 |
7 | 八尋 祥吾 | 168/80 | 法3 | 東福岡 |
8 | 内藤 基 | 175/86 | 法3 | 東福岡 |
9 | 小林 純岳 | 160/64 | 社会情報3 | 東海大相模 |
10 | 青沼 駿昌 | 170/80 | 経営4 | 仙台育英 |
11 | 川端 航聖 | 175/81 | 地球社会共生4 | 東福岡 |
12 | 河村 凌馬 | 165/75 | 法4 | 東海大仰星 |
13 | 榎本 拓真 | 183/84 | 法4 | 桐蔭学園 |
14 | 白石 颯 | 169/69 | 国際政治経済2 | 桐蔭学園 |
15 | 井上 晴生 | 182/82 | 法1 | 東福岡 |
16 | 中山 健太郎 | 180/100 | 法2 | 東福岡 |
17 | 松下 稜 | 170/102 | 法3 | 桐蔭学園 |
18 | 相川 拓也 | 180/107 | 国際政治経済3 | 桐蔭学園 |
19 | 角谷 銀次朗 | 180/95 | コミュニティ人間科学1 | 京都成章 |
20 | 髙矢 奎太朗 | 175/90 | 法4 | 桐蔭学園 |
21 | 平澤 温人 | 170/70 | コミュニティ人間科学3 | 天理 |
22 | 袖山 遼平 | 168/76 | 法2 | 國學院久我山 |
23 | 山本 啓太 | 175/78 | 文4 | 常翔学園 |
慶大のキックから始まった前半、開始早々慶大は流れを作る。開始1分、敵陣22mライン付近で今試合最初のスクラムが組まれると、青学大は陣地を復活させるためキックを試みるが、FL・キーヴァーブラッドリー京(総1・常翔学園)とSH・小城大和(商4・北嶺)の2人がかりのチャージが成功。結果的に相手のゴールラインからのキックとなってしまったものの、流れを完全に慶大のものとした。そして3分には青学大がオフザゲートの反則でペナルティキックの機会を得ると、慶大不動のキッカー、今野椋平(環3・桐蔭学園)不在の対抗戦3試合を支えた1年生キッカー、小野澤謙真(環1・静岡聖光学院)が10mライン付近からの長いキックを華麗な弧を描いて成功させ、慶大が先制点を得た。
そのままの流れを続けたいところだったが、スクラムでのコラプシング、ラインアウトからのノックオンとミスが目立つ。9分、自陣深くから小野澤が蹴ったボールをハーフウェイラインで取られると、スピードと勢いを止めることはできず、今試合初トライは青学大に奪われることになった。青学大の勢いはまだまだ続く。15分、自陣ゴールライン付近5mのところで青学ボールのラインアウトでリスタートすると、残り数センチをかけて攻防が繰り広げられる。一歩後ろはゴールライン、まさに背水の陣のような状況で、慶大は粘りのディフェンスを見せる。幾度もレフェリーの「ユーズイット」の声がかかる中、4フェーズ目、ついに笛が鳴る。青学大側で声が上がるもレフェリーの手は慶大を指し、ここは相手のノックオンの反則により助けられた。
22分、自陣ポスト前でコラプシングをとられ、相手のペナルティキックとなると、これを決められ追加点。3-10とされる。しかしその後25分、マイボールのラインアウトから再開すると、素速いパス回しで青学大を圧倒。パスを受けた今野が相手のウィングを押し退けながら走り、右大外から走ってきた小野澤へ、最後は伊吹央(経3・慶應)がトライ。ほぼ正面からのコンバージョンも小野澤が余裕で決め、ようやく10-10の同点とした。そして前半も残りわずかとなった35分、今度は敵陣で慶大が魅せる。ゴールラインまで残り約8mのところでマイボールのラインアウトのチャンスを得ると、中山によって最奥に入れられたボールは中矢健太(総4・大阪桐蔭)の手にぴったりハマり、それを中山自らゴールラインへ突っ込んでいく。最終的には中野誠章(文1・桐蔭学園)がグラウンディングでトライ。小野澤のキックも決まり17ー10とし、前半を終えた。
後半早々仕掛けたのはキーヴァー。青学のキックで後半が始まりパスを受けると、約50mを大激走。最終的に相手に捕まり得点には至らなかったものの、勢いを見せつけた。そこからは慶大が押し気味ながら両者譲らない展開が続く中、後半9分、ついに試合が動く。慶大のラインアウトから再開し、タックルを受けること2フェーズ目、青学がタックルホールディングの反則。場所は敵陣の10mライン付近。ここで慶大が選んだのはペナルティーキックだった。キッカーはここまで3回とも成功させている小野澤。かなり距離があるようにも思われたが、小野澤は落ち着き払った様子でルーティンを終え、キックは見事成功。3点を追加し、10点差まで広げた。その後、互いにゴールラインまで迫るプレーを見せるものの、トライ直前にペナルティを取ってしまいなかなか点数にはつながらず。一進一退の攻防が続き、そのままノーサイド。慶大は対抗戦初の勝利を挙げた。
今回の試合では、慶大の規律あるプレーと戦略が随所に発揮され、チーム全体の力が結実した勝利となった。序盤から青学大の反撃を堅実なディフェンスで封じ、試合を通じて流れを支配し続けた点は圧巻だった。特に目を引いたのは、フォワード陣の力強いスクラム。また、多くの1年生がスタメンに起用され、慶大の組織的なプレーと個々の躍動が大きく勝利に貢献した。
また、ディフェンス面では相手のラインブレイクを徹底して抑え、青学大にリズムを掴ませない場面が多く見られた。特にゴールライン直前のディフェンスでは、攻め切られそうな状況でも粘り強さを見せ、幾度も相手の攻撃を無効化する安定感が試合の鍵となった。一方で、セットプレーやノックオンなど細かなミスが目立った点は課題として残ったが、それを上回るタックルの確実さと戦術的なキックでしっかりカバーした。
慶大にとって、この勝利はただの一勝ではなく、チームの成長と次戦への自信を後押しするものだ。リーグ戦の後半に向け、今日の戦いから得た課題を修正し、更なるパフォーマンスの向上が期待される。
(取材:野田誉志樹、月井遥香、宇田川志乃 文:宇田川志乃)
※記事の掲載が遅くなり申し訳ございませんでした。
帝京大
|
明大 |
早大
|
筑波大 |
慶大
|
立大
|
青学大 |
日体大
|
勝 |
分 |
負 |
勝点 | |
帝京大
|
———
| ⚪︎ 48-28 7T5G1PG | × 17-48 3T1G | ⚪︎ 80-0 12T10G | ⚪︎ 57-19 9T6G | ⚪︎ 85-7 13T10G | ⚪︎ 40-5 5T4G1PT | ⚪︎ 67-6 11T 6G |
6 |
0 |
1 |
37 |
明大
| × 28-48 4T4G |
——— | 12/1 14:00 国立 | ⚪︎ 31-0 5T3G | ⚪︎ 52-7 8T6G | ⚪︎ 57-15 9T6G | ⚪︎ 73-17 11T 9G | ⚪︎ 101-0 15T13G |
5 |
0 |
1 |
31 |
早大
| ⚪︎ 48-17 7T5G1PG | 12/1 14:00 国立 |
——— | ⚪︎ 44-7 6T4G2PG | ⚪︎ 14:00 秩父宮 | ⚪︎ 57-6 9T6G | ⚪︎ 67-0 10T7G1PG | ⚪︎ 83-0 13T9G |
6 |
0 |
0 |
36 |
筑波大
| × 0-80 | × 0-31 | × 7-44 1T1G |
———
| ⚪︎ 34-12 4T4G2PG | ⚪︎ 29-23 4T3G1PG | × 22-30 3T2G1PG | ⚪︎ 62-7 9T7G1PG |
3 |
0 |
4 |
20 |
慶大
| × 19-57 3T2G | × 7-52 1T1G | × 3-57 1PG | × 12-34 2T1G |
———
| ⚪︎ 39-14 6T3G1PG | ⚪︎ 20-10 2T2G2PG | 12/1 14:00 熊谷 |
2 |
0 |
4 |
15 |
立大
| × 7-85 1T1G | × 15-57 2T1G1PG | × 6-57 2PG | × 23-29 2T2G3PG | × 14-39 2T2G |
———
| 12/1 11:30 熊谷 | ⚪︎ 45-17 7T5G |
1 |
0 |
5 |
12 |
青学大 | × 5-40 1T | × 17-73 3T1G | × 0-67 | ⚪︎ 30-22 3T3G3PG | × 10-20 1T1G1PG | 12/1 11:30 熊谷 |
——— | ⚪︎ 36-19 6T3G |
2 |
0 |
4 |
15 |
日体大
| × 6-67 1PG 1DG | × 0-101 | × 0-83 | × 7-62 1T1G | 12/1 14:00 熊谷 | × 17-45 2T2G1PG | × 19-36 3T2G |
——— |
0 |
0 |
6 |
6 |
◎勝ち点の多い順に順位決定を行う。(並んだ場合は勝利数で決定) ・勝ち:5、引分:3、負け:1、不戦勝:6点、不戦敗:0点、不成立:3点 ・負けても 7 点差以内ならば、勝ち点 1を追加。 ・3トライ差以上での勝ちならば、勝ち点1を追加。 |