7年ぶりのⅠ部残留を決めた慶大弓術部。そんな弓術部を2年生ながらけん引する若きエース・増田啓吾(政2・慶應)。今回ケイスポでは東西学生対抗試合で2位に輝くなど素晴らしい活躍を見せている増田にインタビューを行った。
◇増田啓吾(政2・慶應)
――弓道を始めたきっかけ
まず単純に日本の武道にちょっと興味があって。その中で一番かっこいいなと思ったのが弓道でした。あとはそんないい理由じゃないですけど、他の部活に比べればちょっと楽そうかなと思って弓道を始めました。
――今年の弓術部としての活動を振り返って
おっしゃる通り、僕も最初「まぁ高校まで結構やったし、ちょっとサークルとかやろうかな」とか思ったりしてたんですけど、やっぱり友達とか同期とかの話を聞くと、例えば資格の勉強するとか、留学の準備するとか言っていて、結構充実してそうだなと思って。もちろんサークルが充実してないとかそういうことじゃないんですけど、就活にも使えそうなことをやっていて。大学に上がる時にそういうのはやっぱり考えなきゃいけないわけじゃないですか。何かしらやっぱりこう大学4年間やるにあたってサークル入るんだとしたら、例えばバイトしたり、それこそ資格とかの勉強したり、なんかいろいろやっぱり色々とやらなきゃいけないかなみたいなのを考えたときに、そういうの考える面倒くさくなってしまって(笑)体育会だったら4年間ずっと毎日練習して充実した生活が送れるのかな、就活で聞かれたときにも、練習のこととかの試合のこととか、色々話すこともあるだろうなと思って。ここまでやってきた弓道をもう一回ちゃんと4年間やろうと思って。迷っていた時間がありながらも結局6月の頭ぐらいに仮入部を始めて、そっから入部という形になりました。
――今季のご自身の活動に点数をつけるなら
85点ですかね。言い訳もありますけど、まず僕は正直高校まで全国大会入賞とか、そういうめちゃくちゃすごい人たちのレベルにはやっぱり達していなくて。去年ぐらいまでは伸び悩んでいたんですけども、去年のオフシーズン、去年のこの時期ぐらいですかね、やっぱりほかの部員よりも練習しようと思って多めに練習に来て、自主練とかも結構やりました。シーズン前の1月ぐらいから調子が上がってきて。それをしっかりシーズンから続けていって、最後までしっかり試合でも活躍しようっていうつもりで頑張りました。今年は東西対抗試合に出場するとかも、リーグ戦の始まるぐらいから視野に入れていて。それが結果達成できたので、練習の成果をしっかり出せたっていう面ではすごく良い一年だったなと思います。成長が結果として出たところも多いんですけど、やっぱりまだできるところがあったし、試合でもやっぱり失敗した場面とかもいくつかあるのでそういうところでやっぱりそこは15点マイナスかなって感じですね。
――今年1番印象に残っている試合は
一番と言われるとちょっと難しいですけど、リーグ戦の2周目の明大戦で。チームとしては負けちゃったんですけど 、個人としては20本中20本全部詰めて、全部当てて。最後の20本目というのはやっぱり緊張してしまうんですけど、他の20本詰めた試合よりも落ち着いて、丁寧に詰められたなという感触があって。あの試合が1番今年成長を実感した試合だなと思いましたね。
――東西学生対抗試合では2位に、その時を振り返って
東西対抗試合は都学で上位6人しか行けない結構オールスター的な舞台だったので、行く前からやっぱり目標にしてた舞台であって。リーグ戦の前ぐらいから調子は良くて、このまま順調に行けばいけそうだなと思いながらやってたので、まず行けたことがすごく嬉しかったです。また、他の大学、他のリーグの人たちと喋ったり、一緒に弓をひけたりという楽しさがあったのと同時に、一応名目上、準優勝ではありますけど、東軍対西軍なので実質負けにはなるので。それも自分の東西本番での的中が20本中13本で今年の成績だと1番低いぐらいの的中が出てしまって。そこはやっぱりさっきも言ったマイナス15点の甘さの1つですし、いろんな方から「行けるだけで結構価値のある試合、できるだけ凄いことだよ」っていう風に励ましてもらってたりするんですけど、やっぱり自分としては当てれる場面で当てれなかったといのはどんな場面だったとしても悔しいですし。新歓でやったりとか、普段の練習であったりしても、外すのはめちゃくちゃ悔しいというふうに考えているので、まあ半分エキシビションマッチみたいな試合ではありますけど、やっぱり外したのは、負けたのは悔しいなと思った試合でもありましたね。
――大学入学時と比べて成長したと思う点
一番成長したのは自信がついたことですね。大学に入った時からずっと考えてたことは弓道ってやっぱり1番緊張するって言われるスポーツだと思うんですけど、緊張したときに一番大事なことは僕は自信だと思っていて。絶対に当たると思って、自分の練習してきた努力とか、自分の技術を信じてやりきるっていうことが緊張した場面では大事だと思っていて。そういった自信をつけるために考えて練習してきたので、やっぱり1年を通して、試合でちょっとずつ成績を残して、自信をつけられたというのが入った時と変わったところなのかなと思います。
――弓術部全体の雰囲気
時代の流れみたいなのもありますけど、昔みたいな厳しい体制よりはだいぶ明るくて、みんなで励まし合ったりとか声かけあったりしていて。もちろん指導とかもつつですけど、他の学年同士でも仲良くできてるというのはありますね。やっぱり弓道は個人競技というイメージが強いと思うんですけど、試合までの雰囲気の作り方とかほかの部員の技術をあげたりする上においては、やっぱりチームの仲の良さ、チームワークみたいなところは大事なのかなと思います。もちろん昔の時代を知ってるわけじゃないですけど、昔のイメージに比べるとチームワークはしっかり出来てきてるなっていう印象で、そういうところを続けていきたいと思いますね。
――7年ぶりのⅠ部残留、今までと違ったところ
さっきも言ったようなチームワークを大切にする体制はより強くなっているなと思います。ほかの大学よりも、やっぱりこの技術力とかではどうしても劣ってるっていうところがあるので。コーチ陣から意識しろって言われてるのは、「堂々と試合に出て、堂々を引いて、堂々と退場する」。精神論じゃないですけど、やっぱりそういうマインドみたいなものは大事だと思っていて。先ほどお話しした内容とも繋がってくるのですが、堂々としていると自信も出てきますし、そう言った意識づけが以前より強くなってきて、それが結果として他の大学とも互角に渡り合えるぐらいの強さになったのかなと思います。
――来年は3年生に、部を引っ張っていく上級生となるが、気持ちの変化などはあるか
客観的に今年一年を通して一番良い的中率を出せたのは自分だと思うので、自分の技術を伝えていくというか、部員全員の技術をしっかり上げていくっていうのは、やっぱり大事だなと思います。今年は結構1人でというか、個人で打ち込んで練習した年だったなって思うんですけども、引退する4年生の主将にもやっぱりチームが勝つ方が嬉しいし、印象に残るっていう話をされて。もちろん個人で伊勢に行ったりとか個人入賞もいくつ取れた年ではあったんですけど、次は団体でしっかり成績を残して行きたいですし。部として王座決定戦では例年そこを目指していて、1番理想的なのはⅠ部リーグで優勝して、もしくはインカレでしっかり優勝とって、王座決定戦で伊勢に行って、団体でまた優勝するというのが一応目標として掲げていることなので。今度は来年再来年そこを目指して。チームをつくっていくというか、チームメイトとしっかり協力してやっていくことが大事だなって言うのを今年の最後にして、伊勢に行ってみて思ったことだと考えています。
――試合前のルーティーン
自分はルーティーンがあんまり好きじゃなくて。科学的にどうかとかわかんないですけど、ルーティーンというか、げんかつぎとかそういうのが好きじゃなくて。例えば受験前に消しゴムを落とすと受験に落ちるとかあるじゃないですか。今日ダメかもなみたいな余計なことを考えるのが嫌で(笑)特に何もせず練習通りにやるっていう。あとは縁起の悪そうなそのハプニングとかも気にしないように、そんなの関係なく、自分は自分だから、自分の技術にしっかり自信を持って多少何か問題が起きても別に当たるなと思い込むようにして試合をするように心がけてます。
――弓道以外の趣味
僕は一応ピアノ結構前から小学生ぐらいの時から習って、今もがっつりクラシックをやるみたいな感じではないですけど(笑)なんか自分で適当にその曲を弾いてみたいな遊んでる感じで一応ピアノを弾いてます。
――個人として、部としての来年度の意気込み
個人としては今年東西でやらかしちゃったので、来年はまずリーグ戦で的中率一位を目指して、80本全部当てることを目指して、練習からどうやったら抜かない外さないかっていうのを考えてやっていきたいっていうのが一つで、その上で東西に行ってしっかり今度こそ20本詰めてでドヤ顔で帰ってくる(笑)っていうのをやりたいなと思ってます。あとは団体の方ですよね。やっぱりさっきも言ったように、個人では去年よりは活躍できた年になったと思うので、今度は団体でもしっかりほかの部員の指導だったりとか、マインドの部分、考え方とかを指導したりとか、いろいろ話したりとかして、チーム力を上げて、団体でしっかり常勝チームになっていけるように、いろいろ考えて練習に参加して行きたいなというふうに思っています。
(取材:塩田隆貴)