リーグ戦4試合未勝利という長いトンネルをようやく抜け出した。第13節終了時点で勝ち点で並ぶ慶大と明大。両チーム共に是が非でも勝ち点3が欲しい状況の中で行われた一戦で、後半に日髙(総4)のゴールで慶大が先制に成功する。その後一度は追いつかれるも、ロスタイムに再び日髙がネットを揺らし、2-1で勝利。慶大が「意地と意地のぶつかり合い」(須田監督)を制し、待望の後期リーグ戦初白星を挙げた。
2011/10/15(土) 13:50KO @ひたちなか市総合運動公園陸上競技場
慶應義塾大学2-1明治大学
{得点者}62分日髙慶太、67分阪野(明大)、90+3分日髙慶太
今節は、前節の青学大戦で退場処分となった笠松(総4)が欠場。守備の要であり、主将である笠松の抜けたCBには保田(法1)と松岡(商3)を、FWには風間(商4)、大塚(総4)を起用した布陣で試合に臨んだ。前半は、両チーム共、相手の出方をうかがうかのように、慎重な立ち上がりを見せる。慶大は日髙、風間を中心に攻め立てるも、明治の激しいプレスに「自分たちのサッカー」(田中副将・環4)ができず、シュートを放つまでには至らない。対する明大もFW阪野を軸にゴールを目指すも、慶大守備陣を崩せず、0-0のスコアレスで前半を終えた。
迎えた後半、試合は大きく動く。62分、風間のスルーパスに抜け出した大塚がシュート。これは相手キーパーに防がれるも、キーパーの飛び出しを見逃さなかった日髙が落ち着いてゴールにけりこみ慶大が先制する。しかし、喜びもつかの間、67分には相手選手が抜け出しペナルティーエリアに侵入したところを中川(環4)がたまらずファールで阻止。このプレーがPKの判定となり、これを決められて、明大が同点に追いつく。その後は一進一退の攻防が続き、同点のまま試合終了かと思われた後半ロスタイム、再び試合は動いた。右サイドでボールを持った河井(政4)がドリブルで切り込み、中央の日髙へラストパス。これを日髙が確実に決めて、試合終了間際に再び明大を突き放した。そして、そのまま2-1で試合終了。「最後の仕事のところ」(須田監督)で勝負強さをみせた慶大が5試合ぶりの勝ち点3を手にした。
ここ4試合で1敗3分けと「みんな自信が上がらない部分があった」(森田・経3)だけに今節の勝利が意味するものは大きい。勝ち点3という結果以上にイレブンに確かな自信をもたらすだろう。しかし、勝敗を分けたのは、「決めるか決めないかの違い」(田中)との言葉通り、紙一重の差であったことは間違いない。混戦状態のリーグ戦で、まだまだ慶大にとって負けられない戦いが続いていく。それでも悲願のインカレ出場に向けて、荒鷲イレブンは止まることなく走り続ける。
By Hiroyuki Tanaka
須田監督
(今日の試合を振り返って)おそらく明治もこの試合の大切さを知ってたと思うし我々も、もちろん毎試合大切なんだけども、ポイントとなるゲームだと思ってたので勝ったってことは非常に評価できる。(今日の試合のポイントとなった場面は)お互いプレッシャーかけあってそんなにパスがつなげない。その中で、最後の仕事のところかな。そうなると。やっぱりどれだけ最後にいいパスをだして決められるかと。そこの差だけだと思うね。今日は。どっちもどっちだと思うしサッカー的な内容というよりかは本当に意地と意地のぶつかり合いだね。負けたくないっていうのがでてる試合だったと思います。(今日は風間選手と大塚選手の2トップでしたが、その意図は)お互い調子良かったんで、2人ともね。まあ4年生だし。たまにはやらせようかなと。それで大塚の方が中盤でためを作ってくれる。それを期待してだして、逆に風間の方が、相手の裏へ抜けだすと。そんなようなバランスを考えていたんだけど、まあもうちょっと物足りないかな。特に大塚の方は運動量をもうちょっと増やして、アクションを多くして、ボールを受けて、それでゴール前にいくっていうイメージだったんだけど、ちょっと物足りない。(今日2ゴールの日高選手については)試合前に、今日の今朝朝食のときずっと話してたの。それが良かったんじゃないかな。いろんなサッカーの話だったり将来のことだったり、これからのことだったり、いろいろ話して、点数も入れてないね、なんて話してて、まあもともと能力もあるし、ゴール前で仕事をしてもらいたい。あんまり引くなっていうことを話してたんで、そういったイメージトレーニングを出来てたし、もともと能力もあるし、シュートのアイデアもあるし、まあ久しぶりに本当の仕事をしてくれたかなと。(今日は交代は森田選手だけでしたが)まあ大塚が運動量が少ないんで、もうちょっと相手の裏にでたり、そういった運動量ってこと。それと、本当はもう一人くらい相手の裏に出れる選手を使おうかと思ってたんだけど、まあ1-1で我慢くらべだし、まあ最後フリーキックだったり、セットプレー。そういったところでこのまま1人の交代だけでいいかと。(今日の相手の攻撃陣は体格のいい選手だったがそれでも失点はPKの1点のみと、守備陣もいい動きをしていたのでは)そうだね。体を張って頑張ってたんだけれども、やっぱりチャレンジしたらそのカバーリングっていう、失点もそうだったけども、そのカバーリングが今日は良くなかったとおもう。それはやっぱり修正していかないと、やっぱり次の相手だって研究してくるし、我々のディフェンスの裏はチャンスだといってくるんで、そこのところのチャレンジいったらカバーリングというところももう一回トレーニングして、修正していきたいなと思います。(次節への意気込みをお願いします)まあ一戦一戦だね。こういった混戦のリーグ戦になってるし、一戦一戦大切に、まずはこれから回復させて、体回復させて次の国士戦の分析をして、なおかつ我々の足りない部分を修正して、またいいゲームをやっていきたいと思います。
田中副将
(今日の試合振り返って)まあ勝てて良かったです。(今日は笠松選手がいなくて、キャプテンマークを巻いていましたが)まあラインをとにかく今週一週間守備の練習をしてきて、笠松がいないっていうことも含めて、ラインの練習してきたんで、それが、前半と後半でまかなえなかったんですけど、まあ1点とまりですんだのは良かったんですけど、課題があるんで、修正していきたいです。(今日は風間選手と大塚選手が2トップでしたが、チームのコンセプトとしてはどのようなものだったか)いい守備で入って、自分たちのサッカーをしようといってたんですけど、試合を通して終始そういうサッカーはあまりできなかったかなっていう印象です。(今日の勝敗の分かれ目となったのは)どちらも決定機があったので、それを決めるか決めないかの違いだったと今日に関しては思います。(後半戦初勝利ですが、これからの自信になるのでは)自信というか、いい上向きの材料として、次へ進んでいきたいですね。(今日2ゴールの日髙選手については)助かりました(次節への意気込みをお願いします)インカレに出るためには一試合も落とせないんで、一試合一試合大事に戦っていきたいと思います。
大塚
(今日の試合を振り返って)結構プレッシャーがかかって厳しい試合だったんですが、勝てたのでよかったと思います。(いつもとは違う2トップだったが)2週間準備期間があって、ヴェルディとの練習試合とかも2トップでやったりしてできていたので、コンビネーションの面では問題なかったです。(次節に向けて)1試合1試合混戦になってて、負けられない試合になっているので、次も勝ち点3とれるように頑張りたいです。
風間
(今日の試合を振り返って)個人的には点を取りたかったですけど、勝ててよかったです。(2トップのフォーメーションでしたが)2トップだったんですけど、1トップみたいな形だったのでいつもと変わりませんでした。尚毅(大塚)は結構足元もできるし、バランスもいいので、2トップのような形でうまくできました。(相手DFへのプレスはどのようなことを意識しましたか)前から行くことを意識しました。(今日見えた課題は)やっぱりシュートを打ってないので、点をとれるようなプレーをして、ゴールを決めたいです。(次節、国士大戦へ向けて)やっぱりゴールをするということと、負けられない闘いが続くので、頑張りたいです。
河井
(今日の試合を振り返って)明治のハイプレスで、全体がコンパクトになってうちのサッカーであるパスをつないでというのがなかなかできなかったんですが、それもあって皆相手の合わしていたというか、2点取って勝ったというのは評価できると思うし、ここから先こういう相手も出てくると思うんで、今日はいいシュミレーションというか、いい相手だったと思います。(いつもとは違うフォーメーションだったが)FW2人が4年生で、2人ともキープできるし体力もあるのでそこで自分がボールを受けたら、2人を見ながら、2人にボールが入ったらしっかりとサポートして2人との関係を繋ぐというのが役割だと思って試合に臨みました。(戸惑いはあったが)やりやすさは変わらないですね。やってるサッカーは一緒なので。4-4-2も4-5-1も両方同じレヴェルの中で出来たら、試合の中でいろいろやり方変えて相手も対応しづらいと思うので、これも一つのオプションとしてまだまだ課題はありますけど、いいチームになるためにはどちらのフォーメーションでもいいサッカーができるように頑張りたいです。(ハーフタイムではどういうことを話し合ったのか)今日の明治とは勝ち点が同じでどちらも負けちゃいけない試合だったので、少し硬さが出ていたみたいで、それを言われてもっと思い切ってやれと言われて、そこから後半吹っ切れてやるしかないと思ってやれたと思います。それが後半の動きにつながったし、先手を取れて突き放したところもそうですが、精神的に強くなれたのかなと思います。(2週間空いたが、その間の対明治の対策は)明治対策は1週間で準備したんですけど、明治は勢いがすごいと言いますか、ボールを奪った後の何人も出てくるのでボールを失う位置を間違えちゃいけないというのは、いつも言われていたし、バックラインとかボランチでボールを失うとそのまま得点に結び付けられてしまうし、そこはリスクを避けてプレーできていたと思うし、そのままリサーチ通りプレーしました。(久々の勝利だが)勝てなかったというよりは、負けもしなかったので、引き分けが続いててどっかで1勝できればそのまま流れに乗ることが出来ると思っていました。自分たちは後期に入ってから負けていないのでそこは自信を持っていいと思うし、まだまだ十分上を目指せると思うのでもっともっと上を気にしてやっていけばいいんじゃないかなと思います。(次節に向けて)この価値を無駄にしてはいけないと思いますし、まだまだインカレ圏内に順位がいるわけでもないので、チャレンジャーの気持ちをもって、上との差はないのでここから1週間準備して今日みたいにしっかりと勝っていけるようにしたいです。
日髙
(劇的な勝利だが振り返って)お互い大事な試合だということはわかっていて、どちらかというと負けないような戦い方というか、固い試合になっている中で、チャンスをどちらが多く決めるかという中で、最後ああいう形で勝てて良かった。(今日は2トップの布陣だったが)個人的には前にターゲットが2人いるということで、風間も(大塚)尚毅も4年間一緒にやってきたメンバーなので、お互いの良さとかもわかっているし、前向いた時に2つ選択肢があるということで、自分的にはやりやすかったし、逆に相手のラインが高くて、風間が抜けてしまう分、背後ばかりでいつも通りのパス回しができなかったというのが一つ課題だが、これから合わせていけばこういうオプションもありだと思った。(前半は一進一退の攻防でスコアレスで折り返したが)前半はお互いが中盤でミスが多くなったりとか、お互いカウンターだったりして、自分も決定的なチャンスがあったが、相手も(チャンスが)あったので、そういう意味では前半は0-0が妥当だったかなと。(そして後半は2得点だが1得点目を振り返って)(GKが)前出てるなということで、ああいうゴールは自分もよくイメージしながら練習しているので、練習通りだった。(2点目は)左サイドから中に入ってきてマイナスで(パスを)受けて狙うんですけど、結構あの形は自分の苦手な形だったが、今週ほんとにシュート練習はどこのチームよりもやったと思うので、そういうのが結果に出たかなと思う。(今日、朝監督に声をかけられたとのことだが)あの時に自分の慶應の中での立ち位置だったりとか、やるべきこととか整理されたというのもあるし、今後のこととかを話す中で、自分が今何をしなければいけないかを明確にして試合に臨めたので、そういう意味では良かったと思う。(青学大戦から2週間空いての試合だがその間練習で意識したことは)フィニッシュの精度とディフェンスの面でコンパクトにやるということで、前期の開幕戦明治と2-0と結果にも出たように、チームがコンパクトで守備が良かったと思うので、もう一度立ち返って自分たちがやろうということで、監督がどう評価しているかわからないが、中の選手としてはみんな集中力が切れずによくやったなと思う。(次戦・国士舘大戦に向けて)連勝というのは上に行くためには絶対に必要だと思うし、今日苦しんだ中での勝ちというのは、良い意味で余裕ができたというか、勝たなきゃというプレッシャーではなくて、自分たちのサッカーをして勝てるようにしていきたい。
藤田
(振り返って)結果を残したのは嬉しいが、まだまだ全然試合内容が良くなかったので次回までに修正したい。(今日はなかなかパスが回らない展開だったが)明治はプレスが速いチームなので、そこに屈した形になってしまった。(明大への対策は何かあったか)明治への対策は特になかったが、自分たちのサッカーをしようということを監督もずっと言っていました。(ディフェンス面では笠松主将が出場停止だったが何か意識したことは)ここ2週間ずっとディフェンスの練習をやってきたので、1失点したが崩された形ではなかったので良かったかなと思う。(最後どちらに転ぶかわからない中でも慶大が勝利できた要因は)やっぱりチーム一丸となって戦えたこともあるし、応援に来てくれた選手たちもすごく声をかけてくれたので、そういったところが最後出たのではないかと思う。(次戦・国士舘大戦は連勝のためにも重要な一戦になると思うが)やっぱり連勝が大事ですし、混戦なので、チャンスがあると思うのでしっかり次も勝ちたい。
森田
(今日の試合を振り返って)再開してから勝ちがないという中で、みんな自信が上がらない部分があったので、今日勝ててよかったです。(途中出場でしたが、監督から指示などはありましたか)特に具体的な指示はありませんでしたが、自分としては、あの1-1の状況から出て、ゴールに繋がるプレーだったり、ほかの人よりも疲れてないので、必死に前線からプレスをかけようかなと思っていました。(自身のプレーについて)個人的には自分が何したというよりも、本当に今日はチームが勝てばいいと思ってやりました。自分が出る前にも11人が頑張ってくれていましたし、個人どうこうではなくて、チームが勝ててよかったと思います。(5試合ぶりの勝利ですが、喜びは)もともと目指しているのが、日本一であったり、インカレに行くことであったり、上を目指してきたので、そういう意味で、今日もし負けていたら、下を意識してしまうこともあっただろうし、この一勝は上を向くためには本当に大きな一勝だったと思います。(次節、国士大戦へ向けて)リーグ戦で上位に行くためには、勝ちは欠かせないので、今日は喜んでいいと思うんですけど、また次に向けて切り替えてやっていきたいと思います。
慶大出場選手
GK 中川翔太(環4)
DF 黄大城(総4)
DF 松岡淳(商3)
DF 保田隆介(法1)
DF 田中奏一(環4)
MF 増田湧介(環1)
MF藤田息吹(政3)
MF 日髙慶太(総4)
MF 河井陽介(政4)
FW 風間荘志(商4)
FW 大塚尚毅(総4) →70分森田達見(経3)
コメント