慶大の体育会を深掘りしていく新企画、「What is ○○部?」。弓術部を紹介した前編に引き続き、後編では「オール慶應弓祭り」の様子を詳しく描く。例年12月中旬に開催される本大会は、参加者全員が弓を楽しむことを目指している。会場となる綱町武道館では、真剣な空気の中で行われる行射だけでなく、豚汁などの温かい食べ物を味わいながら、終始笑い声が絶えない、和やかな雰囲気に包まれ、大会に携わる人々の笑顔で弓術の魅力がさらに引き立っていた。今回、ケイスポでは部の中心的な存在である副将・大河内悠成(法3・慶應志木)と女子主将・桐本愛里(環3・慶應湘南藤沢)にインタビューを行い、幅広い年齢層が集う「オール慶應弓祭り」の独特な雰囲気や、弓術の魅力について語ってもらった。
Q:今大会を振り返って
大河内:弓祭りは本当に中学生からOBの80歳ぐらいの方まで、様々な年齢層の方と一緒に(弓を)引く、1年のうちに一回しかない貴重なイベントなんですけど。普段話さない世代の人たちとコミュニケーションも取れて、弓の楽しさをより知るきっかけになっているイベントかなっていう風に感じました。
桐本:私はみなさんに豚汁を作る係だったのですが、 たくさんの一貫校生の子たちに配って、たくさんお代わりに来てくれる子もいましたし、美味しいという声もすごく聞けて。笑顔が見られて、やりがいを感じられてすごく楽しかったです。
Q:ご自身の行射を振り返って
大河内:4本、4本で8本引いたのですが、僕は最初の2本は外して、その後の4本は全部詰まったんですけど。やっぱり最初は一番体が慣れてなくて弱いというところは、これまでもそうでしたし、結構反省点としてあるなという風に自分自身で思っていて。これから副将をやっていくに当たって、1本でも外せない試合とか、そういう緊迫した場面でもちゃんと全部詰められるように練習していかなきゃいけないなという風にすごい実感したイベントでした。
桐本:この弓祭りは、11月くらいから本格的にオフに入って、オフの中盤ぐらいにある大会なんですけど。結構3年生の1年間はずっとあまり調子が良くなくて、半ばはスランプみたいな感じだったのですが、オフに入ってからそれがようやく抜けられてきて、その成果を試せる最初の機会だったので。調子を戻してきて緊張した場面でどうなるかというのが試せた機会でした。
Q:今年の反省点や今後への課題は
大河内:今年は1部3位という結果で終わったのですが、すごい競った試合が多くて、1本差で初回の法政戦は負けてしまって。でも逆に早稲田大学と桜美林大学の試合では2本差で勝つという試合だったので。そういった緊張した場面でもちゃんと粘り切って勝つ、というところを考えると、技術的にもまだ伸び続けないといけないところで離してしまう部員が自分も含め多くいるなと感じるので。ちゃんと粘り強く力を伸ばした上で離すというところ、そのために色々な技術は必要なので、今後も課題になっていくのかなと思っています。
桐本:私は今日4本を引いて最初の3本が中って、最後の1本を外してしまったのですが、やっぱり緊張した時の、自分の心の弱さもそうですし、技術にもまだ甘いところがあるなと感じたので。私自身、しっかりこの残りの期間で詰めたいなと思っていますし、昨年のリーグ戦でも結構練習よりも大きく的中が下がってしまうというシーンは多くあったので、部員全体にも同じような課題が言えるのかなと考えております。
Q:今大会に向けての取り組みは
大河内:ガチガチの大会というよりは、いろんな人で交流するイベントみたいな感じなので。この日に合わせて中てるようにしようというよりは、みんなでわいわい楽しむイベントなので、そのために色々と、先ほどの豚汁とかも準備してというのはありました。
桐本:どちらかといえば本当に、中てるというよりは、一貫校生に安全に楽しんでもらえるように運営に気を配るみたいなところに重点を置いている位置付けの大会です。
Q:次戦以降への意気込み
桐本:2月にシーズンインして、最初の公式戦が新人戦という試合なのですが、リーグ戦に出たことがない新人しか出ない大会です。リーグ戦ではそれまでで経験を積んだ選手が出ると思うのですが、新人戦では試合経験の少ない下級生がメインで出ます。うちは選手層が薄いので、下級生が活躍するということが、今後1年間中てるためにすごく重要になっていると考えています。なので、新人戦に向けてしっかり後輩の指導をして、優勝を目指して頑張りたいと思っています。
大河内:今オフシーズンで、新人戦があって、その後にいろいろな試合があるんですけど、まずは引退された4年生の分を、今いる部員でその穴を埋められるぐらい、比較的試合も少ないこの時期に、大規模に直すところを直すというところをやった上で、その後の新人戦で普段出ていない人やリーグ戦に出ていなかった人が活躍して、その後も出続けられるように。その指導をしたり、その間には普段試合に出ている人たちも、その後の全関東大会やインカレなど、そういう大きい大会に向けて中たるように、この冬オフでちゃんと調節していって。オフシーズンに入ると、シーズン中ほどの「中てよう」というプレッシャーはなくなるので、それを使って、部員と弓やそれに限らず他のコミュニケーションも取っていって、シーズンに入ってからの結果に繋げられたらいいなと思います。
(取材:河合亜采子、ウジョンハ)