２４年度に引退を迎えた４年生を特集する「Last message～４年間の軌跡～」第７回となる今回は、蹴球部の廣瀬瞭（環４・慶應）。秋の対抗戦初戦で公式戦における初のスタメン出場を果たした廣瀬。関東大学対抗戦での慶大の勝利に大きく貢献した彼の小学生時代から大学に渡る、長いラグビー人生に迫る。
近くにラグビーの練習場所があったことがきっかけで小学生時代にラグビーを始めた廣瀬は、「小学生のころから慶應でラグビーをしてきて、幼いころから黒黄ジャージに憧れがあった」と語ってくれた。そんな幼いころから憧れてきた慶應蹴球部について彼は、「同期も、先輩後輩も仲が良くて風通しのいい環境で４年間ラグビーをすることができた」とし、「いろいろあった中で長い気もしつつ、でもすぐすぎてしまうんだなと引退してから実感している」と４年間を振り返った。「風通しがいいからこそ、プレーしていてなんでも言い合えるところがいいところ」だと魅力を語った。
ラグビー人生の始まりを振り返る
そんな彼は自身の長いラグビー人生の中で最も印象に残っている試合として、秋の対抗戦初戦の筑波戦を挙げた。この試合で公式戦初のスタメン出場を果たした廣瀬は、「対抗戦初戦の勝たなくてはならない局面で自分を選んでくださったことに対してやらなくてはいけないという緊張感と楽しさが入り混じっていた」と当時の心境を振り返る。１から３年生まで下のチームでプレーしてきた彼は、４年の秋の対抗戦で初スタメンを勝ち取ることのできた背景に、自身の熱い思いがあったのだ。「試合に出たいという強い思いと自分の信念が２０２４年度シーズンは人よりも強かったと自覚していて、そういった思いが日々の練習でも一個一個丁寧にプレーすることにつながり、評価にもつながったと思う。」また、彼はラグビーにおいてこれといった強みがなかったと語るが、「試合中１個１個のプレーで１００％を出し切るということに注力してやっていたら、それが逆に強みになって、評価していただくことができた」と、この４年間を通じて自分の強みを見つけることができたと話した。
常に全力を出し切ることが強みとなった４年間
関東大学対抗戦を４位で突破した慶大は大学選手権大会に進み、東洋大にも快勝を果たすも、帝京戦が惜しくも最後の試合となってしまった。当時の心境について、彼は「あの時はもう明日から仲間と一緒にラグビーができないのかという喪失感が大きかった」と悔しさを滲ませた。帝京戦に勝てば翌々日から再び練習を再開する予定だったため、「練習する気満々だったから、何かぽっかり穴が開いたような気分でした」と当時を振り返った。
大学卒業後、小学生のころから続けてきたラグビーから離れる廣瀬は将来について、「これまでのラグビー人生の中で学んだ、最後まであきらめないで努力し続ければ最後には解決できるという心持ちで社会に出てからも頑張っていきたい」と語った。
諦めない気持ちを持って将来を見据える
今後の慶應蹴球部に対して、「僕たちの代は早慶戦に勝つことができなかったので、ぜひ次の代で早慶戦に勝ってほしいという思いと、慶應ラグビー部は１２５年間の歴史があって、その伝統や文化をどんどん継承していってほしい」と答えてくれた。これからの慶應蹴球部を担う後輩たちには「１から３年生で下のチームにいても４年目で試合に出られるチャンスはいくらでも転がっている。与えられたチャンスに対してきちんとコミットして自分の強みを磨くということを後輩たちには頑張ってほしい」と熱く語ってくれた。そんな期待を背負ったこれからの慶應蹴球部の活躍に注目だ。
（取材・記事：月井遥香）
