【バレーボール】全日本インカレ直前特集 渋谷隆太×間宮秀太 キャプテン対談

どちらが欠けてもチームは回らない。慶大をまとめる二人のキャプテン渋谷(環4)と間宮(政3)。渋谷は部全体をまとめるキャプテンとして、間宮は4年生不在のコートをまとめるコートキャプテンとしてそれぞれ1年間を戦ってきた。渋谷ら4年生にとってはインカレは4年分の思いがこもった大学最後の舞台。とにかく「勝ちにこだわる」。その熱い思いは間宮ら下級生達に確実に受け継がれている。

―リーグ戦を振り返って  

渋谷 一応目標としていた半分より上(12チーム中6位)というのは成し得たから良かったものの、勝てた試合、特に早慶戦とかは、絶対落としちゃいけなかった。負けた試合もほとんどストレートで負けているのでその辺がすごく課題かなと思います。 
 
 

間宮 自分も1部で通用するというのが分かった一方で、上位との差を感じたのでそれを胸にやっていかなきゃと思います。
 
 ―渋谷選手はキャプテン、間宮選手はコートキャプテンとしてチームを引っ張っていますが、お互いのことをどのように見ていますか
渋谷 (間宮は)良く頑張ってくれていると思います。4年生はベンチも含めて僕一人しかいなくて、選手としても僕一人ぐらいなので、実質チームを引っ張ってくれているのは間宮。僕は一応(主将を)やってますけど、ほとんどプレーやその他の面で引っ張ってくれているのは間宮で僕は何もしてないです。すごく助かってます。 
 

間宮 渋谷さんは言わなきゃいけないムードの時はズバッと言ってくれますし、かといってプレーとかの面ではある程度僕達に任せてくれて自分としてもやり易いですし、4年生としても正しく引っ張ってくれていると思います。 
 

―チームを引っ張る立場として議論することもあると思いますが
 

渋谷 僕が基本的に(間宮から)聞いて、アドバイスしてもらったりもしくは参考になることを言ってもらって、それを取り入れるか取り入れないか決めますね。考えていること、目指している方向が同じなのでそんなにすれ違うこともないですし、間宮が言ってくれたことをしっかり受け止めてくれているなという感じです。
 
 間宮 「勝ちたい、勝つことがすごく大事」ということを渋谷さんが言っていて、自分は塾高出身なので入部する前から慶應を見ていたんですけど、その点に関して慶應は良いチームであるかもしれないけど勝とうという強い気持ちが今までなかった。それがいい意味でも悪い意味でもそういうチームになってしまっていて、あまり強さを出せないというか貪欲さがなかったんです。その点を渋谷さんが今年になって提示してくれたのでチームとしてそういう方向に向かう面では良かったと思います。
 
 ―リーグ戦期間中には故障者も出てスタメンは流動的だったと思います
渋谷 うちは選手層が薄いので出る選手が決まっていて、そこを早めに入れて立て直してメニューはチーム練習を多めにしました。後は抜けた分の穴をうまく埋めていくというのは間宮に任せているので、ケガ人が出てしまったのは仕方ないですし、それで負けていたら秋リーグ終わってしまうので、とにかくチーム練習を組んでやるという形です。

―メンバーが代わった時にコート内で気を配ることは

間宮 特に1年生が多いので、まあ柳田とかは全国大会に出て経験を積んできているのである程度大丈夫なんですけど、他の代わった1年生は大学のバレーに慣れていないから雰囲気にのまれて静かになってしまうところがあるので、そういうところでは「頑張っていこうぜ」と励ますようにはしています。

―お二方の話し合いがチームに与えた好影響は

渋谷 基本的にたいした話をすることはないので、好影響かどうか分からないですけど、それが結果として勝ち負けにつながっているので。

間宮 互いにこうしろああしろと言い合わないのでやりやすい環境でいます。みんなが自分から動く感じになっています。

渋谷 そんなに「これ絶対やれよ」と僕は言わないですし、だからといって全部自由にするわけではなくて、集中力を高めてその中で自由にするということで、間宮はもちろんですし他の選手もやらせているつもりなので。最初それがうまくいかなかったんですけど、徐々にみんなやり方に考えを持つようになって、それが夏を終えたぐらいから徐々に成果として出て、秋リーグという形で臨めたので、言い合ったり話し合ったりすることはなかったです。

―リーグ戦個人の出来はどうでしたか

渋谷 僕自身はベンチにしかいないので。今年からずっとやってたセンターからセッターにコンバートして、レギュラー取るつもりではいましたけど、そう簡単に大学バレー含めてスポーツの世界は甘くないのでベンチで出来る限りのことをして、一つ一つ与えられたチャンスをしっかりものにしてプレーでは少しでもチームに貢献しようと。その他の面ではチームの柱として先ほど言った通りのことをしていこうと思ってましたし、インカレまでしていおうと思います。

間宮 自分は去年から膝をちょっとケガしていて、夏前ぐらいに捻挫をしたりしてなかなか技術という面ではすごい伸びたということはなくて。コンディション調整も難しかったんですけど、その半面やっぱり自分がやらなきゃという気持ちがあったので、岡田(商2)とか柳田に声かけたり、チームをどうもっていくかという方向で頑張りました。

―渋谷主将のポジション変更のきっかけ、意図は

渋谷 センターが豊富なので。柳田(環1)がサイドに入って高校ではセンターをやっていたサイドの山本をセンターにコンバートして、あとは星谷(理2)もいますし控えには今回活躍した稲田(環1)もいます。3年生にもずっとレギュラーだった村上(法3)もいて高さとかではやはり彼らの方が上なので大学で僕がセンターで通用することはないっていうのと、だからといってプレイヤーを辞めてまでキャプテンをやっているとそれもまた上手くいかないので、いかにプレイヤーとして貢献できるかなということでコンバートしました。最初反対されたんですけど、セッターの去年の主将が抜けて今年は1年生に野口(環1)がいますけど、彼が入ってくることを分かった上で少しでも野口の技術向上のためにライバル視されるような存在になれればと。2年生とかにもいい影響与えられるような役割をしたいなということも決断のきっかけになりました。

―ワンポイントでの出場で難しさがあったと思いますが

渋谷 やっぱり伝えたいことが伝えられないというか、思っていることを表現しづらいです。実際自分がコートに入っていれば心の柱じゃないですけど、チームが落ちている時に少しでも引っ張っていけたらなというもどかしさはありますけど、それを考えても勝つことは出来ないのでとにかく練習でいかにAチームがまとまっていけるかということを、Bチームに入ってやっています。試合になったらあとは信じるのみなので、やってくれると思いながら自分が出た時に期待にこたえられるようにということを常に頭で考えてベンチにいます。

―渋谷主将の言葉やエピソードで間宮選手の印象に残ったことはありますか

間宮 印象に残ったことですか…部室でよくゲームをやってますね(笑)

渋谷 お前の方がやってるだろ。ヨッシーアイランドとか…(笑)

―バレー以外ではどうですか

タイムアウト中に的確な指示を送る

間宮 あんまり練習する人っていうイメージはなかったんですけど、ここ1年ぐらいセッターになってからは努力している印象は受けます。言葉としては「勝とうぜ」という言葉をかけてくれます。おとなしい人間が多いのでずる賢さみたいなものもあまりないですし、勝っていくためにはただ打ってるだけではなくてフェイントとかを使ったりとかそういう部分が慶應には足りないので、そういう点を渋谷さんから学んでいます。

―渋谷主将が来年以降のチームに残していきたいものはありますか

渋谷 残したいものはないですし、今年は今年のカラーで去年は去年のカラー。主将が代わればチームのカラーは変わるし、選手が代わればチームの中身、目指していくものは変わるので、僕らがやってきたことを受け継ぐかどうかは次期主将だったり3年生が考えていくことなので、無理やり残してほしいということは無いです。良い伝統は受け継げば良いし、悪しき伝統は必要ないと思えばそれを改善してうまいふうにやっていってくれたらなと思います。

―間宮選手にとって4年生の存在は

間宮 プレーの面では渋谷さんが言った通りあまり貢献はないんですけど、自分にとって話しやすいというか「俺は4年だ」と威張る感じがなくて4年生一人ひとりの方がチームのこと考えてスタッフだったり、そういう面で皆さん貢献してくださっていると思うので、部の先輩としてはいい人たちなので感謝してます。

―今年のリーグ戦はそうしたスタッフともに一丸となって戦っていたと思います

渋谷 ベンチも含めて試合に集中するようになったというか、やっているメンバーはもちろんですしスタッフ陣もベンチの僕らもギャラリーも全員が勝ちにこだわってやっているっていうのはうるさく言ってきたかいがあったのかなとあります。先ほど言った通り4年生は僕以外選手がいないようなものなので、蜂須賀(環4)や瀬辺(環4)とか是澤(経4)、石川(理4)、森田(文4)とか、マネージャーの能美(理4)全員が一人一人役割をこなして、体のケアだったりいろんなことを積極的にやってくれているというのが裏での貢献で、すごい助かってます。僕自身だけではなくて、選手全員出てるメンバーは感じているんじゃないかなと思います。

間宮 トレーニングとかは分からないことがあったら瀬辺さんがやってくれますし、蜂須賀さんは練習内容を決めてくれるんですけれど良くやってくれています。森田さんもそうですね。

―まもなく全日本インカレが開幕ですが、チーム作りで力を入れていることはどこでしょうか

渋谷 故障とかはあるんですけど、幸いみんなプレーできる段階にあるのでしっかりとチーム練習ができている状態です。細かいことで言えばブロックとかコンビとかを多めにやっています。新しいことですることは今さらないので、しっかり今までやってきたことをさらにレベルアップするのはもちろんですし、うちのチームは個人プレーが多いのでそれがうまくコンビとして狙って出来ればものすごいチームになれると思うのでチーム練習を多くやっています。

―リーグ戦とは異なる全日本インカレとはどのようなものか

渋谷 唯一の全国大会っていうのはありますね。リーグ戦は関東、東日本インカレも東日本だけなので全カレは唯一大学のそれこそ本当の日本一を決める大会なので、いろんな意味で今年の全日本インカレは格別な想いがあると思います。春リーグのこともありますし特別な思いがある大会だなと思います。

間宮 僕は大学生の大会としては1年の最後なので、どこの大学も4年生の気迫を感じますね。去年中央とやったんですけど、リーグ戦とは全く違って、負けたら終わり、これで最後という気迫は全然違いました。それなりにこちらもやっていかないと対抗できないですね。4年生の最後の大会ですし。

―組み合わせも決まりましたが、チームの雰囲気はどうでしょうか

渋谷 何も変わっていないです。それはいい意味でもそうですけど、悪い意味でもありますね。やっぱり残りわずかですし組み合わせも上に行けば行くほど強豪校になるので、もっと緊張感を持ってほしいというのは感じます。

間宮 東海大学とうまくいけば当たるので、日本一のチームと当たるというのはもちろん勝つ可能性は少ないかもしれないですけど、勝ってやろうという気持ちを持って練習に臨んでいるのでいい雰囲気で出来ていると思います。

―チームの調子は

間宮 良いと思います。ミスも段々減ってきています。ただ絶対勝てるレベルにあるかといえば全然そうではないので細かいところに気を配ってやっていかないといけないのは確かですけど、全体的にすごい上がってきていると思います。

―インカレではどのようなプレーをしたいですか

渋谷 レギュラーを取るというのはすごい難しいことなので、与えられたチャンスをしっかりものにするのと僕は学生としても最後の大会なので全力でこれからの練習もそうですし試合でもやっていきたいです。

間宮 僕の求められているところはレシーブとチームをまとめることだと思うのでやっぱりそのあたりを意識していきたいと思います。

コートでは若いチームをまとめる

ー間宮選手は全中、渋谷主将は春高で全国制覇を経験していますが、もう一度という気持ちは強いですか

渋谷 それはもちろん、やっているからには日本一を取りたいと思ってやっているので。あの感動、あの瞬間をもう一度という気持ちはありますね。

間宮 慶應は強い相手に勝ててないので、強豪とされているチームに勝つことで他のチームの慶應を見る目も変わると思うので、自分たちの代やその次でもっと上に行くためにも今だからこそ実力で東海とかビックネームを倒したいなという思いはあります。

―意識する選手は

渋谷 僕は同期で東海大の主将でもあり、(東亜学園で)春高優勝した時の主将でもある小澤翔が一番ライバル視、注目する相手ですね。

間宮 僕も同期なんですけど、星野(東海大)ですね。確かに彼の方が全然うまいんですけど、前回リーグ戦で当たった時に柳田が調子悪かったんで、みんな柳田のところにサーブを狙ってきてたんですけど、彼だけ僕のところにサーブを打ってきたので(笑)ちょっとお互いに意識してるのかなとか思ったりしますね。倒したいです。

―渋谷主将としては最後の大会になるが今の気持ちは

渋谷 バレーボール人生としても最後なのでコートに立って優勝を勝ち取ることが出来たらいいというのが本当の気持ちですけど、もともと「チームが勝つために」ということをずっと周りには言ってきたので、自分自身がやれることを精一杯やるということと、今までやってきたことを出すだけなので悔いなく全力でやりたいと思います。

―手ごたえはどうでしょうか

渋谷・間宮 もちろんあります。

―ずばり目標は

渋谷 優勝です。

間宮 去年、東海に勝った順天堂がそのまま優勝しているのでそれをやっていけたらと思います。

―最後に意気込みをお願いします

渋谷 いろんな意味で全日本インカレはすごく大事なものですし、特別な思いがあるので自分自身も学生最後の大会なのでやれる限りのことをやっていきたいですし、大会始まったら後輩たちに“任せる”のではなく“信じて”、自分自身も与えられたチャンスを全力でやって、出すもの出して一試合一試合勝利して、先ほど言った目標・優勝していきたいと思います。

間宮 僕の役割はレシーブとチームをまとめることだと思うので、やっぱり自分らしく元気にどんどんチーム盛り上げて引っ張っていきたいなと思います。

―渋谷主将、間宮選手お忙しい中有難うございました

 By Yasuhiro Namimatsu

♦渋谷隆太

184センチ、80キロ。最高到達点320センチ。東京・東亜学園高出身。環境情報学部4年。ポジションはセッター。

♦間宮秀太

180センチ、80キロ。最高到達点320センチ。神奈川・慶應高出身。法学部政治学科3年。ポジションはサイド。

 

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