8月18日〜22日にかけて青森県武道館で行われた、第79回全日本学生体操競技選手権大会。本大会で、器械体操部が男子団体で念願の1部昇格を決めました!
今回は、立花陽空(法4・慶應)選手、釜屋有輝(政4・慶應)選手、小澤智也(文4・茗溪学園)選手の4年生トリオにお話を伺います。試合前のチームの状況、試合全体の振り返り、そして1部昇格を決めた時の心境など、2部準優勝までの軌跡に迫ります。

立花陽空(法4・慶應)/主将

釜屋有輝(政4・慶應)/副将

小澤智也(文4・茗溪学園)
――他己紹介
立花→釜屋
彼は僕と同じで、慶應義塾高校から体操部に入部して、今まで7年間体操部で活動してきました。彼を一言で言うと、本当に体操部の“エース”。1番得点を取って、1番高い難度で演技をする男で、「絶対に失敗をしない男」と体操部では言われています。
釜屋→小澤
彼は大学から体操部に入ってきたんですけど、一言で表すとすごく体線の綺麗な選手です。実際、体操はDスコアとEスコア、技の難易度と美しさで点数がつくんですけど、彼はやっぱり体線の美しさからEスコアがすごく高く出る選手で、そういうところが強みでもあると思います。
小澤→立花
立花は釜屋と同じく、慶應義塾高校から7年間体操部に所属していて、僕たちの代の主将も務めています。彼はダイナミックな体操をするという一面も持ちつつ、主将として、体操部のお父さん的存在というか、みんなをまとめる役割を担ってくれていて、色々背負うものもあったと思うんですけど、よくやってくれたな、と。

仲睦まじい4年生トリオ
釜屋:自分含め怪我人が多く、結果的に試合の1週間前まで誰かしらがこの種目はできないとか、休んでいたという状況の中で、かなりチームとしては緊張感がありました。
小澤:試合直前の1ヶ月前にみんな怪我をしてしまって、なかなか試合通りに6戦回る練習ができず不安がありましたが、そこは工夫して少し難度を落としました。DスコアとEスコアのバランスが大事になってくるのですが、Dスコアを少し落とす分、逆にEスコアで取りにいくというような作戦に切り替えた面もありました。
立花:前日はホテルで外部のコーチの方ともつなげてみんなでミーティングをして、少しずつ不安な部分を削っていきました。その夜のホテルで、もう多分みんな「やるぞ」という気持ちに切り替わったのかなという感じはあります。
跳馬
小澤:一種目の跳馬は、比較的いいスコアが残りやすい種目ではあったので、1発目でいかにいいスタートを切るかが重要でした。演技順で1年生がトップと2番手だったのですが、その2人が完璧な着地を決めてくれて、いい流れで試合に入れました。僕が3番手で少しミスが出てしまったのですが、その後の4、5、6番手の選手たちがきっちり決めてくれて。団体の得点は6人演技をして、5人分の得点が入る形になるので、一応チームとしてはまずまずのスタートが切れたかなと思います。
平行棒
立花:平行棒は2本の棒を使った種目なんですけど、この種目がキーポイントでした。緊張とかで、いつも失敗しない選手がポロっと失敗してしまうことがあります。みんなの中で、跳馬1種目めで成功して落ち着いたけれど、やっぱり平行棒を目の前にすると緊張するというか。トップと2番手の1年生が本当に安定していて、そこできっちり決めてくれたおかげで、緊張が落ち着きました。その後の選手も大きなミスはなく乗り切れたので、この種目も1年生2人に助けられたなという印象です。

「1年生2人に助けられた」(立花)
鉄棒
釜屋:鉄棒には「離れ技」と言って、1回バーを離してもう1度持つという技が各々の演技に入っているんですけど、落下のリスクが伴います。平行棒に続き、緊張感がある種目で、離れ技を持つということが成功の鍵になります。この種目も流れが大切なのかなとは思っていて、前の選手が成功してくれたら、その流れに乗って自分もやっていけるといった自信が、成功と失敗を分けると思います。前の選手が繋いでくれたことで、結果的に全員押し切ることができたので、後半のゆかにいい流れを作れたんじゃないかなと思います。
ゆか
小澤:ゆかは後半種目の1種目ということで、ここまでいい流れできているんですけど、もう1度気を引き締めて、スイッチを入れ直すターニングポイント的な種目でした。種目の特性上、着地がものすごく多いので、それをいかにして止めるか、いかにして減点を最小限に抑えるか、というところが大事になってきます。ただ、本番緊張して、狙いに行って転倒すると大きな減点になってしまいます。それを避けて着地を逃がすというか、安牌を取りに行ってしまう種目ではあるんですけれども、各々日頃の練習で着地止めの練習をしているので、そこまで大きなミスはなく終えられました。

「(ゆかは)ターニングポイント的な種目」(小澤)
あん馬
立花:あん馬は1番失敗が多く、試合になってポロッと落ちちゃったりする種目です。本当に落下の多い種目なので、逆にみんな割り切っていたのかなと。何人か落下して、失敗してしまっても、流れを捨てず、そのまま最終種目に行こうくらいの気持ちでした。2人くらいミスは出たんですけど、そこで慌てなかったのはみんなえらいなと思いました。
つり輪
釜屋:つり輪はチームとしてはかなり苦手な種目というか、点数が伸びづらい種目でもありました。ただ、大過失が出づらい種目でもあるので、きちんと押し切ればある程度の点数は取れるという自信も少しありつつ、演技に臨めました。この種目も大過失なしで全員揃えることができ、あん馬で流れが崩れかけながらも最後まで諦めなかったことでこの結果がついてきたのかなと思っています。

「最後まで諦めなかったことでこの結果がついてきた」(釜屋)
立花:観客席の先輩方とか後輩たちにも言われたのは、「慶應が1番落ち着いていた」ということでした。自分たちでも結構落ち着いてたなという印象はあって。いつも通りというか、1種目から6種目までずっと落ち着いて演技できたのは、うちの大学だけかなと思います。
小澤 :演技が終わった選手に対して、水分補給をしっかりするように意識していました。どうしても緊張したり、試合に集中すると、水分補給を忘れて、終盤につってしまうリスクもあります。だからこそ、お互いに声を掛け合って興奮を冷ます、冷静になって頭をクリアにして次の種目に行くということができていたのが、チーム戦としてよかったですね。
釜屋 :みんながいつも通りの動きをできていたというのが率直な感想です。結果的にミスも出ましたが、ミスをした後のリカバリーまできちんと練習できていたので、ミスが出たとしてもあまり慌てませんでした。

落ち着いて演技ができたのは”慶應”だけ
この記事は後編へと続きます。ぜひ併せてお読みください。
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