9月13日に開幕の東京六大学野球2025秋季リーグ戦も、残すは最終第8週・早慶戦のみ。東大・立大から勝ち点を獲得し、5勝6敗1分、勝ち点2で現在5位の慶大は、11月1日・2日に5勝5敗、勝ち点2で現在2位の早大と戦う。伝統の一戦を直前に控え、気迫をみなぎらせる選手たちにインタビューを行いました!今回は坂中大貴(商4・高松商業)です!(このインタビューは10月25日に対面で実施しました)
--最後のシーズンでデビューを飾ったが、率直な気持ちは
本当に諦めなくて良かったです。
--最初の対戦はいきなり東京ヤクルトスワローズにドラフト1位で指名された法大・松下歩叶(営4・桐蔭学園)であったが、どう抑えようと考えていたか
正直、自分の実力以上の物は出ないかなと思っていたので、やってきたことを信じて、あまり相手関係なく、やることやろうと思っていたので、それが良い結果に繋がって良かったです。
--未だ失点は0だが、今シーズンを振り返って
僕は、基本打たせて取るので、それは本当に野手のみんなに助けられているなというのが一番なので、早慶戦も変わらず、打たせて取るピッチングをしていきたいと思います。
--4年秋で最後の最後に初めてベンチ入りを果たしたが、自身がベンチ入りを果たせたと思う理由は
一番は投げ方を変えたことだと思っていて、僕は4年の春まではずっとオーバースローだったんですけど、チームにフィットする選手になるために、速い球をオーバースローで投げたいというプライドを捨て、サイドスローになって、求められている選手になることを目指して、頑張ってきたことが4年の秋のリーグ戦デビューに繋がったと思っています。
--サイドスロー転向で新たなフォームを固めるのにどのくらいの時間がかかったか
4年の春のリーグ戦期間中くらいから始めて、ようやく秋のリーグ戦前くらいに完成した段階だったので、夏から今まで3ヶ月くらいずっと誰よりもブルペンに入って投げたかなと思っています。
--ANDTV(4:20あたりから)でサイドスローになってから安定していると言っていたが、具体的に何が変わったのか
一番はサイドになってから変化球が自分の武器として出てきたなと思っていて、オーバースローの時はコントロールは良い方ではあったんですけど、変化球で頼れるものがなくて、その中でサイドにしてからスライダーという武器が自分の中で一つ出来て、実際にスライダーで勝負できるピッチャーになったので、そういった意味で安定したのかなと思っています。
--自身のスライダーの特徴は
幅がすごく大きいスライダーで、なおかつサイドなので、下から吹き上がってくるスライダーになっているというのが自分の強みなのかなと思っています。
--4年秋まで登板機会がなかったが、心が折れそうになった瞬間は
それはもう常に折れそうでした。でも、ここまで小学校1年生から野球をやってきて、頑張ってきたので、その自分を裏切りたくないという気持ちと、やっぱり期待してくれている親とか、ここまで支えてきてくれた人たちを裏切りたくないという二つの気持ちが噛み合って、諦める訳にはいかないと思って、ここまで頑張って来れました。
--登板前に深いお辞儀をするというルーティーンがあるが、これはいつから
これは僕が高校生の頃からやっているもので、僕の祖母が高校1年生の時に亡くなって、甲子園出て、元気付けるというのを目標にやっていたんですけど、それは間に合いませんでした。それで、僕が高校3年生の夏の大会の前に、帽子の中に祖母の命日を書いて、お辞儀をしてから祖母の命日を見つめてマウンドに入るというのを高校3年生の大会前から続けているルーティーンでしたので、今でも祖母の力を借りて、投げることが出来ていると思います。
--高松商業高校時代には、イチロー氏が高校に訪問。そこで教わったことで今でも大事にしていることは
一番大事にしていることは、その日の100%を出すということで、僕は正直出来た人間ではないので、毎日100%の力を出せと言われても、手を抜いてしまったり、妥協してしまうことがあるんですけども、イチローさんが言っていたのは、50%しか力が出ない日だったら、50%中の100%の力を出せというのをよく仰っていて、僕は当時完璧を求めてしまう自分というので、苦しくなっていたんですけども、イチローさんの話を聞いて、80%の力しか出せないんだったら、80%の力を出し切ろうというマインドに変わったことによって、自分も楽になって、生きるのが上手になったというか、そういった意味でも、ピッチングの時にも、別に完璧じゃなくてもいいかなと、その日の100%を出すかという気持ちになって、そこから色々安定してきたと思います。
--慶大には高松時代からの後輩の渡辺和大(商3・高松商業)が在籍しているが、第一印象は
本当に変な子で(笑)。アイツ高校に入学して、すぐに怪我したんですよ。その時も1年生とは思えないくらい、怪我しましたけどみたいな感じで、練習中もずっと座ってたりしていて、僕、当時の3年生がめちゃくちゃ怖かったんですけど、僕、当時2年生で、アイツどうにかしろみたいな感じでいつも言われていて、僕が渡辺和の指導係みたいな感じで、つきっきりで、お前どうしたいのっていうのをずっと聞いていた仲だったので、あの渡辺和が今こんななってるのというのは、ちょっとびっくりしています。
--現在の印象は変わったのか
全然変わりましたね。今、お話ししたように、本当に不思議ちゃんなので、でも、マウンドに上がったら、キリッとしているので、そこは本当に後輩とは思えないくらい頼り甲斐がありますし、アイツがいたから僕もここまで頑張れたのかなと思っていますし、すごく今も頼りにしていますし、これからのアイツにも期待したいなと思います。
--後輩の渡辺和は、早い段階で戦力になった一方で、自身は今季4年秋にして、神宮デビューを果たしたが、胸中は
それが一番しんどかったなと思っています。僕が大学1年生になって、すぐに怪我をしていたら、すぐアイツが入ってきて、すぐリーグ戦で投げてというなかで、高松商業はOBの繋がりも強いので、OBの中でも「渡辺和は頑張っているのに、坂中は何してるんだ」というのをよく言われていて。それでこの秋のリーグまでずっと出ないままで、僕はもう引退したのかと言われるくらい結構厳しい言葉をかけられることもあったんですけど、でも、渡辺和も頑張ってるし、別に結果が出ないのは自分が努力の方向性が間違っているだけなんだというのは分かっていたので、渡辺和の頑張りを見ながら、自分も食らいついていくしかないんだなというのは、自分の中でも一つ芯を通してやってきたので、そういった所でも、渡辺和がいてくれたから頑張れたというのはありますね。
--事前アンケートでは、吉野太陽(法3・慶應)の名前が多発。彼とはどういう関係
アイツは本当に犬みたいな後輩です。良い意味ですよ(笑)。ずっと懐いてくれてるんですよ。僕って正直、気難しい先輩かなと思うんですけど、アイツだけは一番初めに自分に懐いてくれましたし、今もすごく頼りにしてくて、プライベートでご飯に行ったりもするので、そういった意味でもアイツのことをすごく可愛がっていますし、本当に頑張ってほしいなと思いますね。
--仲のいい同期は
外丸(東眞、環4・前橋育英)とは、結構初めの段階から仲良いというか、一緒に頑張ってきた仲ではあって、僕の代で、甲子園経験者が僕と外丸しかいなくて、初めの寮も一緒で、僕も外丸も田舎の高校出身なので、初めに塾高の内部生怖いなという話をしながら、練習に行きながらだとか、初めてアイツと吉野家行ったりだとか、アイツはすき家より吉野家の方が好きだとか、そういう話を聞いて、「別にすき家も美味しいけどな(笑)」とかそういう他愛もない話をしてた大学1年生の時は結構楽しかったなと思いますし、渡辺和と同様で、僕が1年生の時に怪我をして、同じ甲子園経験者として、アイツ(外丸)だけがすごく注目されて、やっぱり同じ甲子園出てたのに、何でだというのはよく言われたんですけど、そこでアイツが結構めげずに声をかけてくれたというか、まあ頑張ろうぜという声も結構かけてくれていたので、そういった意味でも大学1年生の頃からアイツがいてくれて良かったなと思います。
--先日、ANDTV内では外丸選手と不仲説がありましたが、本当は仲が良いんですね(笑)
そこはね。不仲説ということで(笑)。
--自身にとっては最初で最後の早慶戦の舞台に。自分が投げるイメージは出来ているか
早慶戦というあの舞台には立ったことはないので、いつもスタンドから見てた側なので、あの時のマウンドの状況というのは、想像しがたい部分ではあるんですけども、この秋の1回も来るか分からないその1回のためにこれまでずっとスタンドで観てきたので、やっぱりそこのワンチャンス貰えたら、絶対に自分の結果というよりは、チームの勝利のために投げる自分の球を自信もって投げたいなと思います。
--ワセダで対戦したい選手は
早稲田大学には、高松商業の後輩の井櫻(悠人、スポ3・高松商業)と一年生にも、横井(亮太、スポ1・高松商業)というのがいるんですけど、もしアイツらがベンチに入るなら、その二人とは対戦したいなと思っています。
--今季のワセダの印象
オール早慶の時に、僕が選手として初めて対戦したんですけども、その時にすごく泥臭いチームだなという印象があります。というのもウチは勢いで行けという感じなんですけども、ワセダさんは喰らいついてくるバッティングの姿勢が多いので、そういったなかでは、僕のコントロールがしっかり試される部分だなとは思っているので、そういった粘っこいバッティングにも、自分のピッチングで押していけたらいいなと思ってます。
--早慶戦で注目してもらいたいポイントは
僕のピッチングに注目してほしいというよりかは、僕が早慶戦で投げているんだというところに注目して欲しいです。というのも、リーグ戦に出ている選手は元から期待されて下級生の頃から試合に出ている人が多いなかで、今スタメンも結構下級生が名を連ねているので、僕くらいかなと思いますね。本当にどん底を経験してから、3年間、4年春まで、ずっとBで、そこから上がってきて、リーグ戦で投げているというのは、本当に僕くらいかなと思っているので、そこで、今腐りかけているメンバーは実際にいっぱいいて、その中でも、努力の方向性さえ間違えなければ、ここまでやっていけるんだという事を、しっかりと僕が一人の理想像というか、すがれるような存在になれたらいいのかなと思っているので、みんなに諦めるんじゃないぞというのを背中で見せたいなと思っています。
ーーケイスポ読者に向けて、早慶戦の意気込みを
僕の野球人生は、最後の試合になるかなと思うので、応援してくれてださるケイスポのみなさんであったりだとか、ケイスポを読んでくださるみなさんのためにも、慶應の代表として、頑張りたいですし、そのためにも腕を振っていきたいと思っているので、応援よろしくお願いします。
(取材、記事:水野翔馬)

 
  
  
  
  
