秋季リーグ戦では、ここまで駿河台大、東農大、防衛大、学習院大の4試合を戦った慶大女子ホッケー部。最初の2戦で駿河台と東農大に敗れ後がなくなるも、防衛大に1ー0で勝利。1部Bプール3位で、5ー8位決定予選へと駒を進めた。負ければ入替戦の順位決定予選では学習院大と対戦。主導権を握りながらも得点番にスコアを刻むことができないまま、0−0で試合はSOに突入する。それぞれ7秒、5名のシューターによって行われるSO。1週目は3−3で決着がつかず、迎えた2週目。GK・峰岸佳子(経3・慶應女子)の必死の守りに、最後は副将/MF・岩越美佳(法4・慶應女子)がゴールで応え、歓喜の試合終了。SOにもつれ込む大接戦を制した慶大は、入替戦回避で11月9日(日)に行われる5位決定戦への出場を決めた。なお、5位決定戦では本年度7度目の対戦となる防衛大と、再び対戦する。
関東1部リーグについて
慶大女子ホッケー部が所属する関東1部は、各4校からなるA・Bの2プール計8校で構成。今季は、駿河台大、東農大、防衛大と同じBプールで戦ってきた。リーグ戦で各プールの総当たり戦を行なった後、両プールが合流して順位決定戦を行う。そして、全8校のうち下位2チームが2部との入替戦に出場しなければならない。
【第1戦 駿河台大戦】
| 1 | 2 | 3 | 4 | 計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 駿河台大 | 2 | 1 | 4 | 2 | 9 |
秋季リーグ初戦の駿河台大戦は、苦しい幕開けとなった。大学からホッケーを始めた選手が大半を占める慶大に対し、駿河台大は大半が経験者。パスの速度や強度に圧倒され、相手のプレーを読みながらも止め切ることができず。無失点に抑えたかった第1Qで、2失点。第2Qにも1点を献上し、0ー3で試合を折り返す。少しでも点差を縮めたい慶大だったが、幾度もサークル内への侵入を許し第3Qに痛恨の4失点。さらに第4Qにも2点を許し、0ー9で試合終了。強豪・駿河台大に敗れ、黒星発進となった。主将/FW・新井里英(政4・成城学園)は「もっとサークルの外で、守備を強化して守り抜きたかった」としながらも、「駿河台は、全員が慶應よりも上手いチーム。そんなチームと戦えたことが守備力UP、1対1の強度を進化させる上で後につながる試合だった」と試合を振り返る。

主将を務めるFW・新井里英
【第2戦 東農大戦】
1 2 3 4 計
慶大 0 0 0 0 0
東農大 1 3 0 1 5
第2戦の相手も、リーグ戦上位の東農大。立ち上がりはパスがうまく繋がらず、開始4分にはPCから失点。少ないチャンスの中でも、FW・新井里英やMF・岩越美佳らが縦に切り込んでいくが、決定機は生まれない。副将/DF・尾関恵真 (経4・慶應湘南藤沢)がナイスクリアを見せたところで、第1Q終了。第2Qでも立て続けに2点を奪われるが、MF・夏目もな(経2・慶應女子)が強度の高いプレスで粘りを見せたほか、DF・西潟遥(経4・International school of Düsseldorf )とFW・新井里英がうまく相手に寄せてボールを奪取。さらに、GK・峰岸佳子のファインセーブが光る。このままロースコアで後半に持ち込みたい慶大だったが、残り時間僅かで再びゴールを叩く鈍い音。0ー4で迎えた第3Qは、DF・佐藤美奈(法3・法政大高)や4年生が相手をゴールに寄せつけず。無失点で最終Qへ繋げる。最終第4Qでは3度のPCを取られるも追加点を与えず、反撃の好機を伺う。しかし得点を奪えないまま、PCから再び失点。0ー5で東農大に敗れた。フィールドゴールでは得点を許さなかったものの、サークル内の守備に課題が残る試合となった。

PCを守る選手たち
【第3戦 防衛大戦】
| 1 | 2 | 3 | 4 | 計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 慶大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 防衛大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2敗で迎えた第3戦の相手は、2度の練習試合、春リーグ、Bインカレ、定期戦と今季すでに5度も顔を合わせた防衛大。入替戦回避の鍵を握るこの試合は、互いに熟知・分析し尽くした両校の対決となった。今季の公式戦では防衛大に勝ちのない慶大だが、スカウティングで相手の戦い方を予測し、主導権を握り続ける。それでも両者譲らず、0ー0で迎えた第3Q。試合の均衡を打ち破ったのは、慶大だった。PCから、尾関恵真が防衛大ゴールを突き刺し1ー0。慶大が貴重な先制点を挙げる。しかし、5yd動かさずにサークルに侵入できる23mラインの外から、積極的にボールを打ち込んでくる防衛大。第4Qは終始、慶大が守備に回る展開に。リードは僅か1点。立ち込める暗雲に追い打ちをかけるように雨も降り始め、ただならぬ緊張感が選手たちを襲う。自陣サークル内から出られず、クリアしてもすぐに相手にポゼッションを握られてしまう。そんな苦しい展開の中でも、最後まで1点を守り抜いた慶大が辛勝ながらも大きな1勝を掴み取った。この結果をもって、慶大は1部Bプール3位となり、順位決定予選ではAプール4位の学習院大と対戦することが決まった。

プレーでチームを牽引する副将/DF・尾関恵真
【第4戦 学習院大戦】
| 1 | 2 | 3 | 4 | SO | |
|---|---|---|---|---|---|
| 慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
| 学習院大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
運命を分かつ、5ー8位決定予選。負ければ入替戦という重圧を背に、慶大は学習院との試合に臨んだ。右攻めが有利なホッケーにおいて、学習院大は慶大を左に追い込み、さらには最終ラインでボールを回せないように守備を張ってきたため、慶大の強みを出すことができない難しい試合に。それでも、慶大は何度もサークル内に侵入。得点の好機を演出するが、決め切ることができない。3度のPCを獲得しながらも、得点は0。そのまま4Qでは決着がつかず、試合は延長のSOへ。
サッカーのPKのような形式で行われるSO。5人のシューターによって行われ、一人当たり7秒以内にシュートを決めなければならない。1本目は両校外し慶大から0ー0。その後は1−1、2−1、2−2、3−3と1周目では勝敗が決まらず、SOは2周目へと突入する。ここからは、1本でも差がついた瞬間に試合終了。ただならぬ緊張感に包まれる会場。両者6本目を外し、7本目で先攻の学習院大がゴール。外せば敗北の大一番で副将の尾関恵真 が勝負強さを発揮し4−4。そして、迎えた8本目。GK・峰岸佳子の堅守で相手のミスを誘い、決めれば勝利の慶大8本目。ゴール前に歩みを進めたのは副将・岩越美佳。会場中の注目を一身に背負った岩越は、渾身の一振りで相手GKを抜き5−4。この瞬間、慶大の勝利と入替戦回避が確定。学習院大が崩れ落ちる中、慶大サイドは大きな歓喜に包まれた。よって慶大は11月9日に行われる5位決定戦へ駒を進め、4年生は11月15日(土)に行われる華の早慶戦でラストマッチを迎える。

堅守でチームを支えたGK・峰岸佳子
(記事・取材:長掛真依)
▽以下、選手コメント

ーー学習院に勝ち入替戦回避、そして5位決定戦出場を決めました
本当に良かったなというのが一番です。ただ相手がすごくプレスをレフトにかけてきたので、自分たちが攻めたいように攻められなかったけど、それを打開できなくて。結果的には勝てて良かったですけれど、プレスをかけて取りきれるシーンがあったのに、シュートでも枠の外に外れたりとか、サークルインできても決め切れなかったので課題の多い試合でもありました。
ーー学習院大の守備に対して、打開策は
FWが後ろに張ってきたので、オフェンスの時に最終ラインに回させてもらえなくて。縦パスを強いられて、前後に張られる。中が空いているけど、サークルの正面で受けられてしまう可能性も合ったのと、練習できていなかったからリスキーでうまく右に展開できなかったです。
ーー試合はSOに突入しましたが
絶対勝たなきゃいけない試合だから、SOで決めるのももちろんだけど、止めるのもすごく大事で。シューターは5人だけど、キーパーは1人。学習院は経験者も多い中で、8本中4本しっかり止め切ってくれたのがすごく大きかったと思います。特に2周目は1本でも差がついたら試合終了だから、1本止めてくれるとシューターにとって精神的に大きいので。本当に良かったです。
ーーご自身のプレーを振り返って
守備はサークル外で取りきれるシーンも多かったのが良かったです。プレスも、ミッドラインで取り切れることが多かったので良かったです。
ーーこの勝利を今後にどう繋げていきたいですか
勝てたのは良かったけれど、早稲田に勝つ、次の試合で5位を取るためには、得点力はもっと必要だと思うので。フィールドゴールを決め切る力を鍛えられるように、練習中から意識的に取り組みたいと思います。


