インカレをベスト8で終えた似鳥組。例年であればここで引退となるが、今年は早慶戦を残す日程となった。そんな中、最後に有終の美を飾るべく、インカレ準優勝・早大に対し一歩も引かない戦い見せる慶大は第3ピリオド残り8分で1点リードの展開に。38年ぶりの金星まであとわずかまで迫ったが、最後に逆転を許してしまい、4-5という惜敗で似鳥組は終戦を迎えることとなった。
2012/1/14(土)16:45 FO@ダイドードリンコアイスアリーナ
早稲田大学5-4慶應義塾大学
{得点者 慶大のみ}荒谷、似鳥、小坂2
立ち見が出るほどの超満員の観衆の中、始まった第1ピリオド。1分、早大が退場者を出し、パワープレーのチャンスを迎えると、2分DF齋藤義(商4)のミドルシュートからゴール前で混戦になると最後はFW荒谷(経4)が押し込みゴール。幸先よく先制する。すると先制され攻める早大に対し、カウンターでチャンスをうかがう慶大。ところが9分、リバウンドを詰められ同点に。だがここで浮き足立たなかった。12分、早大ゴール前でのFOから最後はFW似鳥(環4)がゴール。その後、再三のピンチを迎えるも、GK田中誠(経4)を中心に粘り強く守り、早大のシュートもなかなか枠を捉えられない。そしてそのまま第1ピリオドが終了。1点リードという理想的な序盤戦となった。
勝利に近づくためにもまずは失点を抑えたい第2ピリオド。開始直後から慶大ゴール前での攻防が続くが、集中して守る。そんな中、3分には似鳥、FW松山(商4)のパス回しでチャンスを作るもこれはシュートまで至らない。すると6分、自陣ゴール前でパックを奪われシュート。これが決まってしまい試合は再び振り出しに。すると今度は流れを引き戻せずに12分にも失点。逆転を許してしまったが、ここで崩れなかった慶大。13分には荒谷からパスを受けたFW金村(経3)がシュートを放つと、17分にも松山からフリーの小坂にパスがつながるもこれもゴールならず。早大を押し込みながらもネットを揺らすことができず、2ー3で最終ピリオドを迎えることになった。
他大以上の練習量に裏付けされた運動量。これを最大限に活かすことができる第3ピリオドではこれまで幾度となく力を発揮してきた慶大。その点では1点ビハインドでも十分勝機は見出すチャンスはあった。するとその自信がすぐに表れる。開始37秒、松山のパスカットから逆サイドのDF小川(環3)にパスを送り、小川の落としをFW小坂(商3)が詰めゴール。同点に追いつくと、その後は早大の反撃に遭うも、粘り強く守る。すると10分、左サイドでルーズパックを拾った小坂が渾身のミドルシュート。これがネットに突き刺さり逆転。38年ぶりの歓喜が刻一刻と近づく。だがそう簡単に勝利の女神は微笑まなかった。13分、中央から放たれたミドルシュートに田中誠が反応できず同点になると、16分にもカウンターから失点。あっという間に再逆転を許してしまう。しかし17分、18分と相次いで早大が退場者を出し、慶大にとってはこれ以上ないチャンスに。残り1分12秒、慶大はタイムアウトを取り、「最後の最後までやり切って燃え尽きろ」と浅沼監督から檄が飛ぶ。その檄に応えるべく、選手たちは全てを出して早大ゴールに迫る。だが無情にもゴールネットを揺らす前に試合終了のブザーが鳴り響いてしまった。
「早慶戦勝利」。それは最大目標だったインカレ優勝が成し遂げられなかった今、今季の成果を見せる最後のチャンスだった。そのチャンスをものにすべく似鳥、荒谷といった4年生を中心に最後まで全力を出し切り、早大にあと一歩のところまで迫った。振り返れば、1-7という屈辱的な早慶戦敗戦から始まった似鳥組の1年。そこから厳しい練習やグループBでの戦いを経て、彼らは間違いなくこの1年でステップアップしたと言えるだろう。この日の結果にも表れている通り、慶大がグループAの強豪校と肩を並べる日は決して遠くはないはずだ。そう予感させるこの一戦の先には、きっと輝かしい未来が待っているのではないだろうか。
By Daiki Yamamoto
【来季主将は金村に】
2季ぶりにグループAで戦う来季。東洋大、早大、明大、中大と並いる強豪との戦いを控えるが、そんな慶大を引っ張る新主将に金村(経3)が指名された。1年時からレギュラーとして活躍し、今季リーグ戦では6ゴールを挙げ、グループA昇格に大きく貢献した金村。来季は新生〝金村組〟がグループAに旋風を巻き起こす。
浅沼監督
(本当にあと一歩だったが)やはり早稲田はインカレ準優勝しているチームで、前回の試合(インカレ決勝)は悔しく終わっていると思うので、次は絶対取りに来るというのもあったし、当然我々も最後の試合であったし、最高の試合をして終わろうと思っていました。負けはしましたけど、選手たち最後の試合の中でたくさんいろんなことを学んだと思います。大切なものを自分のものにするというのは、相手も渡さないだろうし、自分たちが取るには本当に大変なエネルギーと意地としつこさが必要だとわかったので、特に4年生は経験を活かして社会人になっても進化した人間になれるように、我々がこのチームで教えてきたのはこういうことを学んでくれることを望んでいたので、負けた中にも学べたことがあればいいなと思いました。(今日は強豪早大に対しても選手たちは集中を切らさなかったが)小坂のシュートにしても、インカレからずっとしつこいプレーをやってきてくれた3セット目にしても、4セット目で久々に中村(理4)を起用したんですけど、中村もそうですしディフェンスの齋藤(義)もそうですし、本当に最後の意地というかプライドを出した試合をしてくれたと思います。(最後逆転されてしまい勝ち切れなかった原因は)決めるべきところでまだ決め切れていない、チャンスは次に来るからいいだろうではなくて、今あるチャンスを徹底的に100%取っていくかというのが、次があるじゃなくて、今をどうやり切るかということだと思うので、そこの精度を次に上げていかなければならないのかなと。新チーム、来年金村が主将になり、今日躍動した小坂、安藤がバイスキャプテンになってもらいますが、この首脳陣で厳しい練習と目標を持ってやっていきたいと思います。(残り1分でタイムアウトを取ったが指示したことは)僕と信田コーチで言っていた、最後の最後までやり切って燃え尽きろということだったので、一回時間が取れたので、あそこでもう一回1本目、2本目を回していきたいと思ったので、とにかく出た時には「やり切ってこい、燃え尽きろ」と言いました。(似鳥組の1年間は)なかなか言葉数は少ないキャプテンだったんですけど、時にはプレーで支えながら、一方は副将の荒谷に支えられながら、良いコンビを組んで、40人という大所帯のチームをよく引っ張っていってくれたと思います。言葉より体で表した主将だったと思います。本当にお疲れ様と言いたいですね。(震災、春の苦戦、グループB優勝、インカレベスト8、そして早慶戦と続いた今季だったが1年を振り返って)本当に震災であらためてホッケーをやらせていただけるありがさたと、一人じゃできないこと、周りの協力や理解があってできること、プレー自体も一人ではできないこと、周りのサポートがあってやっていくチームプレーというのをあらためて感じたので、まずはそこの部分をあらためて考えられたのは良かったかなと思います。あとはプレーに関しても、グループAには目標通り行ったんですけど、やはりその上インカレ優勝というのは2つ3つ上の山であり、早慶戦勝利というのもインカレ同様に上に行かなければいけない部分なので、これからまた練習量だったり、練習の質であったり、個々の目指す目標をしっかりとしたものに見直してやっていかなければいけないなと思いました。課題を毎回毎回抽出することが大切なことだと思うので、昨年やっていたのと同じことではなくて、毎回毎回バージョンアップしたものを、我々スタッフが考え直してやっていこうと思いました。(来季は金村選手が主将になり、またグループAでの戦いが待っています。来季の抱負をお願いします)ステージが違うというのと、今日の悔しさを先ほどミーティングで田中誠太郎がチームみんなに言っていましたが、時が経てば悔しさというのは薄れていく可能性があるけれども、それを薄れさせずに、自分のハードルを低くせずに、厳しくチームとして一人一人が意識を持ってやっていかなければいけないなと思いました。我々スタッフもあらためて指導に関して引き締め直して、新たなメニュー作りから効果があるようなものを勉強して取り入れて、新しいスタートを切りたいと思います。
似鳥主将
(どのような思いで早慶戦に臨んだか)インカレで優勝できなかったのでインカレの借りというか、早慶戦に絶対勝ちたいということで、チーム一丸となって勝とうという気持ちで臨みました。(早大と戦ってみて)春より慶應も確実に成長して慶應のホッケーができてこのような1点差という結果になったと思います。(戦えるという手ごたえも得られたか)最後、5-4という形で早稲田に逆転されたが、5-4というところまでいったということがこれからの自信になると思います。(慶大での4年間はどうだったか)本当に高校までとは全然違い、人のつながりとかチームスポーツの素晴らしさをみんなから教えてもらえた素晴らしい4年間でした。(主将としての1年は)最初は震災がありまして不安だったんですが、みんなの気持ちが1つとなって最後はチーム一丸となって戦えて、主将としても後悔はありますけど最後はいい形で終われたかなと思います。(後輩たちへ一言)まずは、グループAに昇格したので絶対グループAで優勝して欲しいと思います。今年の最終目標であったインカレ優勝も必ず成し遂げて欲しいです。
荒谷副将
(今日の試合を振り返って)出し尽くしたんで悔いはないです。(シーズンを振り返って)負けちゃいけない試合で負けなかったのは良かったんですけど、やっぱり格上との対戦でどうしても勝ちきれなかったというのはもったいなかったなと。それを来年につなげてくれるといいのかなと考えています。(早慶戦にはどのような重みがあるのか)15年間ずっとアイスホッケーをやってきて慶應のユニフォームも7年間着て、最後に歴史を作りたかったんですがそれができなくて残念です。(アイスホッケーの人気について)ここに試合を見に来ていただくことがファン獲得にとって一番早いのではないかと。見てもらえると、みんなすごい感動してくれたり、面白いと言ってくれたりするので、もっといろんな人に広めて見に来てもらいたいです。(進路は)商社に入ります。アイスホッケーは終わりなんで、アイスホッケーで培った経験というのは無駄にならないと思うので、商社で、別のフィールドですけどそこでもう一回ゼロから頑張りたいと思います。(後輩たちへ一言)本当に後輩たちはよくやってくれたので、不甲斐無い副将だったんですけどずっとみんな一生懸命ついてきてくれていい思いも出来たんで、来年は頑張って欲しいと思います。
松山
(試合を終えた今の気持ちは)引退が早かったなと思います。それだけです。出しきったので悔いはないです。(最後の試合への意気込みは)相手はインカレ準優勝チームで、こっちは失うもの何もないので胸を借りるつもりで全力で戦おうと心がけました。(個人としてのプレーは)僕は中継する、繋ぐプレーが多いのでうまく繋いでゲームの流れをよくしようと思ってプレーしました。(引退となるが4年間振り返って)AO(入試)で慶應入って高校3年間、大学4年間で他では味わえないものがすごいいっぱいあって、本当にいい学校に入ったなと思います。うまく言葉では表せないですけど、本当に七年間が一瞬でした。言葉に出来ないです。(アイスホッケーで一番学んだことは)忍耐力ですかね。あとはチームと仲間の大切さを改めて感じました。ここでしか味わえない、アイスホッケーやってなかったら仲間の大切さっていうのはわからなかったと思うので。(共に戦った4年生に対してはどういう気持ちか)4年間、塾高からやって来た人は7年間一緒にアイスホッケーしてくれて本当にありがとうと心から言いたいです。(後輩たちへのメッセージは)来年トップリーグでの試合になるので、ぜひ僕たちが出来なかった成績を残してもらえるように頑張ってほしいです。(松山選手にとってアイスホッケーとは)僕の人生です。小学校1年生から始めて、16年間続けてきたのでそれを終えてみると寂しいです。まだ実感はないですけど、これから家に帰ってきてそういうものが込み上げてくるんじゃないですか。
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