【ソッカー男子】第2節 数的不利耐え価値ある勝ち点1 国士大戦

 開幕戦の完封勝利が、決してフロックでないことを証明した一戦となった。今季初戦で強豪明大相手に2-0で勝利し、幸先の良いスタートを切った慶大ソッカー部。今節では昨季の前期最下位から驚異的な巻き返しをみせ、インカレ準優勝を果たした国士大との一戦に臨んだ。試合は前半終了間際に端山豪(総3・東京ヴェルディユース)が一発退場で慶大が10人での戦いを強いられる展開に。それでもセットプレーやカウンターから再三国士大ゴールを脅かし、数的不利を感じさせない攻撃をみせる。さらに守備でも峯達也(政4・桐光学園高)のPKセーブなど最後まで集中を切らすことなく守り切り、「チームとして最低限0に抑えて」(小坂慎太朗・総2・浦和レッズユース)貴重な勝ち点1を獲得した。

 

第88回関東大学サッカーリーグ 第2節

2014/4/12(土)13:50KO@味の素スタジアム西競技場

 

慶應義塾大学0-0国士舘大学

 

【得点者(アシスト者)】

なし

 

 

◇慶大出場選手

 

GK 峯達也(政4・桐光学園高)
DF 溝渕雄志(環2・流通経済大学付属柏高)
DF 望月大知(環2・静岡学園高)
DF 並木凌介(総4・國學院久我山高)
DF 保田隆介(法4・横浜F・マリノスユース)
MF 小坂慎太朗(総2・浦和レッズユース)
MF 端山豪(総3・東京ヴェルディユース)
MF 山浦新(総4・東京ヴェルディユース)
MF 増田湧介主将(環4・清水東高)
FW 加瀬澤力(総2・清水東高)
FW 宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース)→77分 平戸奨眞(法4・暁星高)
 

 

気温の高い中でのゲームとなった

気温の高い中でのゲームとなった

 

開幕戦を白星で飾った慶大は開幕戦と同じスターティングメンバー。開幕戦で相手との接触で負傷交代した端山もスタメンに名を連ねた。

慶大、国士大共に昨季は守備の面で苦しんだ時期があり、堅守速攻でカウンターからゴールを奪うサッカーを展開する。国士大はボールを奪うと、慶大DFの裏を狙う前線へロングパスを送り、「縦に速くてはっきりとした」(増田湧介主将・環4・清水東高)サッカーをする一方、慶大は端山を中心にテンポ良くボールを回しながらチャンスをうかがう。開始早々、左サイドを攻め上がった小坂からのクロスに山浦新(総4・東京ヴェルディユース)が頭で合わせるもゴール右へ外れる。その後は互いに集中した守りで決定的なチャンスを作らせない。国士大は慶大のDFライン裏を狙ってロングボールを放ってくるが、そのボールを並木凌介(総4・國學院久我山高)、望月大知(環2・静岡学園高)の両CBがはね返す。緊迫した流れで終始進んだ前半だったが、終了間際に思いがけない展開が待ち受けていた。中盤でのルーズボールを処理しようとした端山の足が相手の顔面に入ったとして、レッドカードで一発退場となってしまう。

後半からボランチに入った増田

後半からボランチに入った増田

 

残りの45分間、10人での戦いを強いられることとなった慶大。後半から増田をボランチへ、加瀬澤力(総2・清水東高)を左ハーフへ移し4-4-1のフォーメーションで臨む。ここから国士大ペースの試合になるかと思われたが、「逆に10人になってやることがはっきり」(須田芳正監督)した慶大が国士大ゴールを脅かす。開始3分、小坂のFKを国士大GKがポジショニングを誤り、望月がヘディングシュートを放つも国士大DFが辛うじてクリアする。その4分後には再び小坂のFKを国士大DFがクリアしきれず、こぼれ球を宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース)が詰めるも枠に飛ばず。ミスが相次ぎ浮足立つ国士大に対して慶大はその後も攻勢を強め、宮地や加瀬澤のシュートでゴールを狙うも得点を挙げるには至らない。チャンスをものにできずにいると、次第に流れは国士大へ。19分には左サイドを突破した進藤のシュートがポストを直撃。その後も進藤を中心に攻め立てる国士大に対して25分、その進藤をエリア内で倒してしまい、国士大にPKが与えられる。この絶体絶命のピンチで峯が相手のキックを読み切り、見事にセーブ。峯の好プレーで再び流れを引き寄せる。27分には国士大のCKのカウンターから増田がボールを運ぶと、左の加瀬澤へ展開する。その加瀬澤のクロスから宮地が頭で合わせるもゴールとはならず。さらに慶大は疲れのみえた宮地に代えて平戸奨眞(法4・暁星高)を投入。国士大も攻撃的な選手を入れて互いに1点を奪いにいくも、両守備陣が身体を張った守りでゴールを割らせず、0-0で勝ち点1ずつを分け合う結果となった。

 

昨季の慶大なら、この日のように退場者が出るとそこで集中力を切らしてしまい、失点を重ねてしまっていただろう。しかし、今季の慶大は違う。1人1人の守備に対する意識が上がり、ゴールを割らせないことへの強い執念がチーム全体に浸透している。そして、「勝ち点1を取れてOKというところでぼかさないように」(増田)と、10人での引き分けという結果だけをみて満足することなく、試合内容のさらなる向上を自分たちで追求できている。

前線で体を張り続けた宮地

前線で体を張り続けた宮地

 

次節は中3日と過密日程。そして、相手はリーグ戦でここ2年勝利がない中大。特に昨季の後期は1-6と大敗。自分たちの理想としていた攻撃的なサッカーを捨て、堅守速攻のサッカーへシフトチェンジさせられた因縁の相手だ。皮肉にも、その堅守速攻のサッカーが今は機能している。この半年間、苦しみ、もがき続けた思いのすべてを懸け、生まれ変わった姿でリベンジマッチに挑む。あの日の雪辱は、勝利でしか果たせない。

 

(記事 飯田駿斗)

 

 

試合後の監督・選手のコメント

 

須田芳正監督

 

(数的不利の中勝ち点1を獲得できたことについては)

 

大きいじゃないですか。こっちが10人であれだけ押し込まれて無失点で耐えたわけだから、本当よく頑張ったと思う。

 

(無失点が2試合続いたが)

 

それはもう無失点で抑えれば勝ち点1が積み重なるわけで、今季のテーマである守備の強化というところでは今のところ結果が出ていて、真面目に謙虚に彼らはやっていると思うので、もっともっと今まで以上にトレーニングして続けていきたいと思います。

 

(昨季までは退場者が出るとずるずると失点してしまう傾向があったが、今日は守備も集中していて攻撃でも良い展開となった)

 

逆に10人になったことでやることがはっきりして、ある意味攻撃では数少ないチャンスの中でカウンターという形で攻められたので、戦術を皆で共有できているので、今日は10人になったことで守ってカウンターという形がはっきりしたと思います。

 

(後半途中から平戸を前線に送り出したが、どのような指示を与えたのか)

 

宮地も疲れていたのでそこで交代して、できるだけ前でキープしてということを伝えました。

 

(後半の戦い方についてどのような指示をハーフタイムに出したのか)

 

基本的に守備に関しては一緒だったので、その分攻撃に関しては逆に取ったらカウンターという形で、手数をかけずにゴールまでいこうとは伝えたので、分かりやすかったと思います。

 

(今季のチームのテーマが守備であったが、逆に前半の立ち上がりは前から攻撃が機能していたように見えたが)

 

しっかりした守備があっての攻撃なので、攻撃に関してはリズムが良くなりましたよね。無駄なパスであったり悪い取られ方だったりがなくなってきたので、シンプルに攻撃できるようになったかなとは思いますけど、我々はしっかりとした守備をベースにこれからも戦っていきたいと思います。

 

(増田を今季は前に置いているのもそれが関係しているのか)

 

そうですね。サイドのところでアップダウンが激しく体力を消耗するので、守備もやってその後前に出ていくというところで、後半もボランチのところでキープできていたし、そこでもアップダウンできるので良いかなと。

 

(10人になって増田がスムーズにボランチに入れたのが大きかったか)

 

そうですね。元々ボランチをずっとやってきた選手ですし、守備に関しては彼を入れた方が安定するかなと。迷うことなく彼らもプレーできたと思います。

 

(今季は前に宮地の高さと強さが加わって攻撃しやすくなったと思うが)

 

1人前に大きいのを入れておくと困ったときに前に当てられるというのがあって、後ろのビルドアップも非常に楽な形になったのではないかなと。それを今はしっかりおさめてくれて、加瀬澤も良いポジションをとるのであそこでおさまって後ろから上がりやすいので、今のところ機能していると思います。

 

(水曜の中大戦に向けて)

 

時間もないので総力戦でコンディションの良い選手を使っていこうと思います。

 

 

増田湧介主将(環4・清水東高)

 

(今日の試合を振り返って)

 

前半でああいう状況になって引き分けて勝ち点取れたことは大きいと思いますけど、その中で決定力の部分など課題はあるので、勝ち点1を取れてOKというところでぼかさないように改善すべきところをみつめて次の試合に臨みたいです。

 

(昨季のインカレ準優勝校である国士大の印象は)

 

昨季から縦に速くてはっきりとしたゲームをやってきていたので、やはり怖かったですね。

 

(10人になったところからボランチにスムーズに移れていたように見えたが)

 

そうですね。問題なくいけました。

 

(監督もプレーに対して絶賛していたが)

 

そうですか…。いや、今日はあまりよくなかったと思いました。

 

(この2試合無失点試合が続いたことについては)

 

そこの部分は本当に大きくて、ディフェンスラインはじめ峯もそうですし、今日はPKを止めてくれたので、11人全員で守るのだという意識が高くて、そこはもっと追求して自分たちの武器にしていけたらと思います。

 

(次節が4日後と体力的にきついと思うが)

 

体力の部分というのは僕らだけではなくて他のチームも同じで、そこに関しては言い訳にはならないので、いかにこの3日間で良い準備ができるかだと思うので、また良いゲームができるようにしっかり準備したいです。

 

 

平戸奨眞(法4・暁星高)

 

(今日の試合を振り返って)

 

チーム全体としては本当に逆境のなかよく耐えて勝ち点1を掴み取れて、これは後々大きな勝ち点1になるのではないかなと思っています。個人的には何もできなくて反省点ばかりです。

 

(国士大の印象は)

 

やはりけっこう放り込んできていたので、そこはしっかり並木が特に競り勝ってくれて、後半のほうになってセカンドも拾えてきたので点を取られる気はしませんでした。

 

(交代までの時間のチームを見ていて)

 

前半は少し危ないかなと思っていましたけど、後半は10人になってからみんな一致団結して徐々に変わっていっていて、そこで自分が入ってもっとうまく変えられたらなと思っていたのですが、それができなくて残念でした。

 

(今後の課題は)

 

チーム全体としては、決定率というか、セットプレーから点を取るといった、少ないチャンスで1点を取ることがチームとしての課題だと思います。個人的には本当に得点に絡むということですね。

 

(次節に向けて)

 

ここから連戦が始まって、総力戦になると思うので、しっかりベンチ組も含めて1人1人が準備して、勝ち点3でも1でもいいから積み重ねていきたいなと思います。

 

 

峯達也(政4・桐光学園高)

 

(今日の試合を振り返って)

 

1人退場して、自分たちが耐えながらどう得点するかという試合でしたけど、最低限0に抑えて引き分けることができてよかったと思います。

 

(退場して10人になったときチームにどのような声をかけたか)

 

前半終わりだったので、とりあえず前半0で終わって後半ハーフタイムで話し合おうということですかね。

 

(PKの場面を振り返って)

 

あのシーンは、キッカーが自分のことを見ていたのでギリギリまで先に動かないことを意識して蹴った瞬間飛ぶということを狙っていたのでうまくいってよかったと思います。

 

(2試合連続無失点ということですが)

 

鹿児島も5試合連続無失点に抑えることができて、リーグ戦も2試合連続無失点で抑えることができているのでこれを継続していきたいです。

 

(次節に向けて)

 

ディフェンスが0に抑えて勝利することができたらいいなと思います。

 

 

加瀬澤力(総2・清水東高)

 

(今日の試合を振り返って)

 

1人少ない状態だったので、勝ち点1取れたのが一番大きいです。

 

(惜しい場面はあったがなかなか点が入らなかったことについて)

 

守ってからの攻撃ってことで、攻撃の部分で僕らが力残しとかなきゃいけないのですが、左サイド途中からやって、ディフェンスから入ったというところで最後の決定的なところで集中力を欠いたりしてしまったので、そこは修正点ととらえて、次の水曜日中大戦にむけて切り替えていきたいと思います。

 

(印象に残っている場面は)

 

カットインしてシュートのところふかしてしまったところと、キーパーの峯くんが止めてくれたところで、あれは助かりました。

 

(国士大はどのような相手でしたか)

 

シンプルに11番の選手が来て、10番に広げて、10番がしかけてくるなって感じだったのですが、そこまで圧力は感じなかったので、勝てる試合でもあったかなと思います。

 

(ご自身のプレー振り返って)

 

今日は負けないというのが、1人少なくなってからの自分のテーマだったので、良かったとは思うのですが、やはり自分は前の選手ですし、点取らなきゃいけないし、チームを勝たせなきゃいけないという点では、全然満足できてないので、また強い相手も出てくるので、もっとこれからシビアにこだわっていきたいと思います。

 

(次戦に向けて意気込みを)

 

今のところ0で抑えて勝ち点積み上げられているので、これからもっと質を上げて、水曜日は勝ち点3取れるようにまた頑張っていきたいです。

 

 

小坂慎太朗(総2・浦和レッズユース)

 

(今日の試合を振り返って)

 

前半で1人退場してしまったので本当は勝ちにいけるかなという試合でしたけど、状況的に厳しくなっちゃったので、チームとして最低限0に抑えて引き分けに持ち込めてよかったです。

 

(守備で貢献している場面が多く見られたが)

 

自分はセカンドボールの意識をしていて、とりあえず守備は後ろの4枚の人が頑張ってくれて、それが予測していたところにこぼれてきてくれたという感じです。もうちょっと1対1の部分を強化していきたいです。

 

(後半、セットプレーからの正確なボールが印象的だったが)

 

もうちょっと(端山)豪くんみたいに早くて低くていいボールを蹴りたかったですけど、ちょっとふわっとしたボールになってしまったのでもっと練習しなきゃと思っています。

 

(2試合無失点で勝ち点4はいい流れだと思うが)

 

去年は本当に失点が多くて、失点を減らそうといって始まったこのリーグでここまで無失点ということで、これはいい流れだと思います。ですが、気を緩めちゃうとポンポン点を取られてしまうと思うのでもう1回締めていきたいと思います。

 

(今シーズンの目標は)

 

まずは試合に出続けることで、それプラス、チームでの役割をやりつつ自分の持ち味のロングキックやハードワークを出せればいいかなと思います。

 

(次節に向けて)

 

時間が短いですけど、もう1回コンディションを作って、チームとしてもう1回気を引き締めて中大戦に臨みたいと思います。

 

 

宮地元貴(総2・東京ヴェルディユース)

 

(今日の試合を振り返って)

 

個人的には決定機が何度もあったのに、それを決めきれなかった後悔しかないです。でも、チームとしては勝ち点1を獲れたので良かったかなと思います。最低限の結果は出たかなと思います。

 

(疲れは出たか)

 

疲れはなかったですけど、運動量の問題が自分の課題です。90分間通してプレーできなかったことは、また課題だと思っています。

 

(0-0という結果について)

 

今日はダメだったですけど、切り替えて次の試合に向けて頑張っていきたいと思います。

 

(10人になった後半ではどのような意気込みで臨んだか)

 

自分が2人分の活躍をしろ、と監督に言われていたので、守備でも攻撃でもチームに貢献できるように頑張りました。

 

(次節に向けて意気込みを)

 

次は絶対自分が点を取って、チームを勝利に導きたいと思います。

 

 

望月大知(環2・静岡学園高)

 

(今日の試合を振り返って)

 

前半に退場者を出して苦しいシーズンになりましたが、勝ち点1を取れたので、次につながったと思います。

 

(国士大について)

 

前線にフィジカルの強い選手がいて、そこにロングボールを当ててくるチームなのでCBとしては負担が大きかったです。

 

(自身のプレーを振り返って)

 

守備では無失点に抑えたということで次第点の出来でしたが、攻撃面で決定機を逸してしまったのが残念です。

 

(10人になったときの指示とは)

 

いつも通りやるってことだけです。

 

(中大戦に向けて)

 

中大には昨年2敗していますが、今いい流れできているので無失点に抑えて勝ちにいきます

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