「勝つんだという強い気持ち」
―チーム始動からリーグ優勝と色々なことがあったかと思いますが、この春シーズンの総括をお願いします
竹内監督の不在という状況からスタートして、自分たちで考えてやっていこうという雰囲気で迎えた春のシーズンだったんですけど、正直始まるまでは不安しかありませんでした。本当に自分たちがやってきたことは正しかったのかが結果として表れていなかったので、どうなっていくんだろうという不安ばかりだったんですけど、自分たちがやってきたことはプラスにはなっているという自信は持っていたので、あとは試合の中で思い切りやるしかないという感じでした。その結果がリーグ優勝に結びついてくれたと思いますし、チームの中でも自分たちでやっていけるんだという大きな自信になったシーズンだったかなと思います。チームとしては勝つことにこだわってやってきて、あとはスローガンである〝How to play, How to win〟を常に考えてやってきた、それを実践してくれた結果かなと思います。
―リーグ戦全体を通して、慶大の勝因はズバリ何でしょう
勝ちたいという気持ちが相手よりも上回ったということですね。春の新チームが始まった時から勝つんだという強い気持ちを持ってきたので、それがリーグ戦で実践できたことだと思います。
―優勝のターニングポイントとなった試合は何ですか
明治から勝ち点を挙げた試合です。前半戦の大きな山場である明治に勝てば波に乗っていけるなと思っていたので、そこで引き分けは挟みましたけど連勝で勝ち点を取れたということはチームが勢い付いた試合だったなと思います。
―印象に残っている試合はありますか
やっぱり早慶2回戦ですね。優勝を懸けた早慶戦を大勢のお客さんの中で試合ができたということは、大学野球のプレーヤーとしてすごく幸せなことですし、あの舞台に立てたことは一生の思い出になると思います。
―その早慶2回戦では同点適時打、塁上で見せたガッツポーズがとても印象的でした
全然結果を残せなかった春のシーズンだったので、どうしても最後の試合は勝利に貢献したいという気持ちが強くて。本当に苦しい中でも自分なりに練習は積んできたつもりでしたし皆が支えてくれたからこそ打てたヒットでした。あそこで打てたのは頑張ってきたことを野球の神様が見てくれて、最後にご褒美をくれたのかなと思っています。
―個人成績についてはどのように捉えていますか
春のオープン戦自体はすごく調子が良くて、このままの状態で入っていけたらある程度の結果は残せるだけの自信は持っていましたし、それだけの練習を積んできたつもりでした。けれども始まってみたら2割を切ってしまう成績で。自分の調子が悪いということは分かっていたんですけど、修正できないまま2ヶ月が終わってしまったという風に捉えています。
―やはり法大1回戦の負傷交代はご自身の調子に影響したのでしょうか
そうですね。その前の空き週に組まれていたオープン戦で調子が上向きになってきていると手応えを感じていました。法政1回戦でも2安打を打てたので良い状態で法政戦を迎えられて、このまま上がっていけたらなという中での怪我だったので、言い訳にはしたくないですけど少なからず影響はあったと思います。
―背番号『10』の重み、主将としてのプレッシャーといった精神面では何か感じることはありましたか
実際『10』を付けたからといってプレッシャーがあったかといえば、そんなに自分のなかにはプレッシャーはなくて、ただ周りからそういうことは言われるので少なからず意識してしまったというか、意識してしまったことが修正し切れなかった要因かもしれないです。個人的には『10』を付けたからといってプレーヤーとして違ったプレッシャーを感じるということはなかったですし、逆に僕が『10』を付けたことで自分の中で責任感が出たので、結果は出なかったですけどキャプテンとしてやっていく上でプラスになったかなという風に思います。
―全日本選手権後にはどのような取り組みをしてきましたか
全日本の初戦は雨が降ったり試合開始が延びたりと、ベストな状況で臨めなかったのかもしれないですけど、その中で勝たなければならないことがトーナメントなんだということを実感しました。全日本が終わった後はベストな状況ではない時でも、いかに相手に勝つことができるのかということを考えてやっていこうとチームで意識してきました。あと個人的には春までにやってきたことでは結果が出なかったので、何かを変えなければいけないなと思って、全日本終った後では試行錯誤しながら練習をしています。
―8月上旬には監督代行として新たに髙多助監督が就任しました
チームとして春にやってきたことと変えるつもりはないということが僕たちが思っていることです。ただ竹内監督に代わって髙多助監督が指揮を執られるので、髙多監督の野球、実践したい野球というものを理解した上で試合に臨んでいきたいなという風に思っています。とにかく髙多監督を信じてやっていきたいです。
―髙多助監督とお会いしたのは8月が初めてですか
そうですね。8月の頭にお会いしたのが初です。
―その第一印象はどのようなものでしたか
すごく真面目な方という印象でした。野球に対しても真摯に向き合っている方だなという感じです。
―竹内監督も下田グラウンドに姿を見せたということですが
春とは違って時間がある時はグラウンドに顔を出してくださるということなので、僕たちとしては顔を見られないよりも竹内監督の姿を見ることができて安心だなという風に思います。もう一度天皇杯を持って帰ろうということを僕たちに言って下さったので、ベンチには入ることはできないですけど竹内監督にもう一度優勝を報告するんだという気持ちを持って秋のリーグ戦を戦い抜きたいなと思います。
―髙多助監督とのコミュニケーションはどのように図っているのでしょうか
話すことがとても大事だと思います。ただ、そこの面は主に学生スタッフの杉山(商4)に任せています。普段から髙多監督とすごく話しをするという訳ではありませんが、自分たちのことをすごく冷静に見て下さっているので、杉山が中心となってコミュニケーションをもっと図っていけたらと思います。
「連覇というものにチャレンジしていく」
―むかわキャンプやオープン戦を振り返って、チーム状況やご自身の調整具合についてはいかがですか
キャンプ中のオープン戦はすべて勝つことができましたし、下田に帰ってきてからもオール早慶戦以外では勝つことができているので(※9月2日現在)、キャンプでやってきたことが少しずつ形にはなってきていると思います。ただ、自分の中ではただ単に勝っているだけという印象が強くて、もうちょっと内容や細かい点を追求していけたらもっとこのチームは良くなると思います。さらにレベルアップを図っていかないといけない、今のままでは春のようにうまくいくとは思わないので、とにかくリーグ戦までまだ時間があると思って1日1日を大切にしていきたいです。
―むかわキャンプでは新たに若い力の台頭が目を引きました。加えて下田のオープン戦では土屋投手(商4)や鶴選手(総4)といった、キャンプに帯同しなかった4年生の活躍が光ります
秋に勝つためにはチームの底上げが必要だと思うので、学年に関わらず今までA軍にいなかった選手たちがAに台頭してきて新戦力としてチームに貢献してくれるのは相乗効果になりますし、大きな力になってくれると思います。4年生はラストシーズンですし、そこに懸ける思いというのは一人一人がとても強いです。恐らく自分が持っている以上の力を発揮してくれるのではないかと思っているので、ラストシーズン前にAに上がってきてくれてチームとしても活気が出るというか、4年生の力はとても大きいと思うので、そういう面では同期としても一緒にプレーしたいですし、最後にみんなで勝ちたいです。
―先のオープン戦では鶴選手の安打にベンチ内外から大きな声が上がっていましたね
日吉に残ってキャンプをやってきた選手が上がってきてAの試合で結果を残すということはB、Cの人たちにも影響があるというか、頑張るきっかけになりますし、Aにいる選手たちも下から上がってくることで自分たちもこのままではいけないと思うので、両方に良い影響を与えてくれえているなと感じています。鶴にしても土屋にしてももっと活躍できる選手だと思うので、もっと上を目指して共に頑張っていけたらなという思いです。
―秋季リーグ戦は春の王者として挑むこととなります
春と違って各大学が打倒慶應でくると思います。ただ自分たちが受け身になるのではなくて、もう一度優勝を取りに行くというチャレンジャーの気持ちを持って戦っていきたいですし、このチームの集大成、最後のシーズンで、この200人で野球ができる最後のシーズンになるので有終の美を飾りたいというか、自分たち4年生にとっても最高の形で締めくくりたいです。あとは、次の世代にバトンを渡していく世代としても優勝という形を残して後輩たちに繋いでいきたいと思っています。連覇できるのは慶應だけなので、そして日本一になるという強い気持ちを持って春以上に勝つことにこだわってやってきたいです。
―連覇を強く意識するのか、あくまでチャレンジャーとして挑むのか、気持ちの持ち様はどのようなものですか
自分が抱いているのは、連覇というものにチャレンジしていくという思いです。1試合1試合に関しては対戦相手の大学に向かって思い切ってやっていくだけなんですけど、やっぱり春のリーグ戦を制覇した大学としては連覇にチャレンジするという形で戦っていきたいなと思います。
―現4年生が1年生時に春優勝から秋5位という苦い経験していることは今に活きているのではないでしょうか
1年生の時の春優勝から5位というのはものすごく残念だったというか、モチベーションが上がらない部分を1年生ながらに感じていましたし、チームの雰囲気が春の優勝と比べて秋は優勝がなくなった時点で良くなかったということを感じていました。僕たちはそうはなりたくないというか、春に優勝を味わえたからこそもう一度秋に優勝を味わいたいという強い気持ちもあります。終わり良ければすべて良しではないですけど秋はだめだったと言われる代ではいたくないので、春も秋も勝ち切った代だったと語り継がれていけるように、春以上の成績を残せるように頑張っていきたいなと思います。
―慶大の春秋連覇というは1991年まで遡ります
連覇というものはそう簡単に達成できるものではないと思うので、それに挑戦できる権利があるということはものすごく幸せなことだなと思いますし、20数年ぶりという歴史の重みも感じながら戦っていきたいです。
―いよいよKEIOラストシーズンとなりますが実感はありますか
日を追っていくにつれてリーグ戦開幕が近づいて来て、ということは引退も近づいてきているんだなというのは1日1日の練習の中で実感しますし、慶應のユニフォームを着てプレーするのが短くなってきていること少し寂しく思います。ただ引退して慶應のユニフォームを脱ぐ時に自信を持って、やり切ったなという思いを持っていたいと思っていて、そのためには結果が全てなので、この秋連覇、日本一を達成して最高の形で慶應の野球生活を締めくくりたいなと思います。
―ズバリ、チーム目標と個人目標を教えて下さい
チームの目標としては連覇と日本一というものを取ることです。個人的には、数字とかタイトルとかは全く気にしていなくて、この秋に連覇する、勝つために最大限のプレーをその瞬間瞬間で考えて、それを全うしていくだけだなという風に考えています。
―最後にファンの方々へのメッセージをお願いします
春のシーズンは応援して下さるすべての方々のおかげでリーグ優勝できたと思っていて、秋も皆さんの力を貸していただきたいです。本当に神宮に来て応援して下さることが本当に力になるので、ぜひ多くの方に神宮に来ていただいて僕たちと勝つ瞬間や喜びを共有できたらなと思っています。このチームの集大成である秋も温かいご声援をよろしくお願いします。
―お忙しい中、ありがとうございました!
(取材 山内貴矢)
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今回のインタビューをもちまして、秋季リーグ戦開幕直前特集は終了となります。お忙しい中取材を快く受けてくださった監督、選手の皆さま、マネージャーの皆さまに厚くお礼を申し上げます。
今秋も慶應スポーツでは野球部をTwitter速報やWeb戦評と、全試合精力的に取材して参ります。連覇そして日本一を目指す慶大野球部の熱き姿をどこよりも早く、詳しく、正確に伝えていけるよう、日々努力を続けていきますので、何卒よろしくお願い致します。
慶應スポーツ 野球班一同
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