【野球】望みつなぐ勝利も課題残す一戦に 明大②

10月19日(日) 明大2回戦

左翼席に叩き込んだ打球の行方を見つめる横尾

左翼席に叩き込んだ打球の行方を見つめる横尾

優勝するためにはもう負けられない慶大。初回から横尾(総3)の2ランで先制すると、先発・三宮(商3)が7回1失点の好投を見せる。続く佐伯(商4)の粘り強い投球もあり何とか逃げきり勝利をもぎ取ったが、打線は2ケタ安打を放ちながらも得点は序盤の3点のみ。明日に向け課題の残る試合となった。

   
明大
慶大 ×
 明大:●柳、水野、齊藤―坂本

 慶大:○三宮、佐伯―須藤、小笠原

慶大出場選手

ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[7] 佐藤旭(商4・慶應)
[6] 山本泰寛(環3・慶應)
[9] 谷田成吾(商3・慶應)
[5] 横尾俊建(総3・日大三)
[8] 藤本知輝(環4・慶應)
[4] 竹内惇(商4・慶應)
[3] 山口翔大(環2・桐光学園)
  北村祐樹(商3・丸亀)
  齋藤大輝(商2・慶應)
[2] 須藤隆成(環2・創志学園)
  小笠原知弘(環3・智弁和歌山)
[1] 三宮舜(商3・慶應)
  沓掛祥和(商2・慶應)
  梅野魁土(環3・福岡大大濠)
  佐伯瞭太(商4・慶應)

リーグ戦初安打の山口は守備でも経験の浅い一塁をソツなくこなした

リーグ戦初安打の山口は守備でも経験の浅い一塁をソツなくこなした

負けられない一戦のマウンドを託されたのは、昨季明大戦で大活躍した三宮。この日は初回から打たせて取るピッチングで明大打線を三者凡退に仕留める。

その裏の慶大の攻撃では、2死から谷田(商3)が二塁打で出塁。続く不動の4番・横尾が明大先発・柳の5球目、「狙っていた」というストレートを振り抜き左翼席へ叩き込んだ。昨日に続き慶大が幸先良く2点を先制し、試合の流れを引き寄せる。

 

序盤から援護を得た三宮は2死から内野安打を打たれたものの、その後は山本泰(商3)の好守備にも助けられ徐々に自らのペースに持ち込んでいく。三宮の好投に応えるかのように、2回の攻撃では下位打線が執念を見せた。先頭の竹内惇(商4)がヒットで出塁すると、この日リーグ戦2度目のスタメンとなった山口(環2)が、高校時代何度も対戦した投手から一塁手のグラブを弾くライト線二塁打で続く。ここで8番・須藤(環2)がセンター方向へ大きな犠飛を放ち1点を追加。柳を攻略したかに見えた。

満塁で見三振の小笠原。好機では相手バッテリーの投球が上回った

満塁で見三振の小笠原。好機では相手バッテリーの投球が上回った

しかしながら、その後は打ちあぐねる。3回にはクリーンアップが三者三振、4回には無死1塁2塁のチャンスをつぶし、5回にも1死満塁から5番・藤本知(環4)が併殺打に打ち取られるなど、あと1本が出ない苦しい展開となった。

 

6回表、硬直していた試合が動く。先頭打者に意表を突く絶妙なセーフティバントで出塁を許すも、三宮がけん制死に打ち取り、一度は流れを断ち切ったかに見えた。しかし相手に粘られ2者連続四球とピンチを招き、さらに5番・糸原にレフト線上二塁適時打を打たれ失点を喫してしまう。ところが、ここでも山本泰の守備が光った。レフトからの中継に入ると、須藤が構えたミットに素早く返球し一塁走者をタッチアウト。彼の諦めない気持ちと投手出身の経験を活かした正確な送球が追加点を許さなかった。

バックに盛りたてられた三宮は7回を投げきり5安打1失点。相手に流れを渡すことなく佐伯(商4)にマウンドを譲った。チーム内からも「点を取られない」とひときわ信頼されている苦労人は、8回に先頭打者にヒットを許したものの大きく曲がる変化球を駆使して後続を断ち、実力をいかんなく発揮する。

 

ピンチを乗り越えた慶大に再びチャンスが巡る。8回の攻撃、先頭の谷田が右中間を割る三塁打で出塁すると、2者連続四球で無死満塁と攻め立てる。だがまたしても打線がつながらず絶好の機会を活かせなかった。

勝利への執念を強く持ち明日に臨む

勝利への執念を強く持ち明日に臨む

迎えた最終回の攻防。油断をすれば相手に流れを持っていかれかねない場面だったが、ここも佐伯が無失点でしのぎ、与えられた役割をしっかりと果した。3-1で勝利し優勝へ一縷の望みをつないだ。

 

しかし、勝利を手放しに喜ぶことはできない。2ケタ安打を放ちながらも大事な場面であと1本が出なかった。明大、そして宿敵・早大はともに好投手を擁し、不完全燃焼のままでは決して打ち崩せないだろう。中軸には長打が見られ、下位打線で点をもぎ取るなど打線の状態は決して悪くはないが、勝ち続けるためには今季厳しいマークに苦しむ竹内惇ら主力の奮起、チャンスでの一本が不可欠だ。この日早大も勝利し優勝の可能性を残した。まだシーズンが終わったわけではない。諦めず勝利に邁進すれば、自ずと結果はついてくる。

 

【Keispo pick up】「明大キラー」の本領発揮 三宮舜

昨季に続き明大打線を抑え込んだ三宮

昨季に続き明大打線を抑え込んだ三宮

直球で内角を突き、緩急も織り交ぜる自在の投球。昨季大車輪の活躍を見せた三宮舜がまたもや明大戦のマウンドで躍動した。5回までに打たれたヒットはわずか内野安打2本。6回に1失点こそしたものの、見事勝利投手に。「明大キラー」の名にふさわしい気迫のピッチングを見せつけた。

 

 

(記事 河合美紀)

 

 

◆打撃成績
   
[7] 佐藤旭 空三振 空三振   左安 見三振  
[6] 山本泰 空三振   空三振   左安 空三振  
[9] 谷田 右2   空三振 空三振   中3
[5] 横尾 左本②   空三振 四球   四球
[8] 藤本知 三ゴ     中安 遊併打   四球
[4] 竹内惇   中安   中安 二ゴ   遊ゴ
[3] 山口   右2   空三振 中飛  
H 北村               空三振
3 齋藤                
[2] 須藤   中犠飛①   左飛 投ゴ    
2 小笠原               見三振
[1] 三宮   二ゴ   見三振        
H 沓掛             左安  
R 梅野              
1 佐伯            
◆投手成績
  投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
三宮 27 111
佐伯 26
監督、選手コメント

髙多倫正助監督

(試合を振り返って)勝てましたし、良いゲームだったと思います。(先発の三宮投手について)上位打線をしっかり抑えましたし、今日の勝利の1番の立役者だったと思います。(継投について)タイミングを図っていたんですが、左打者が多かったので8回から行かせることにしました。(打線の調子について)点にはつながっていませんが、これだけヒットも出ているので良くなってきていると思います。(横尾選手のホームランについて)あれが利きましたね。大きな先制点ですし、試合を有利に進めることができたので良かったと思います。(明日はどのように戦っていくか)明日は誰が先発でもとにかくやるしかないので、頑張っていきたいと思います。

 

佐藤旭主将(商4)

(3‐1というスコアでの勝利だったが振り返って)崖っぷちという状況の中での試合ということでいつも以上に緊張感がありました。三宮、佐伯が本当に粘り強く投げてくれましたし打線も先制点を横尾がいいところで打ってくれて相手の出鼻をくじくことができたので今日はいいスタートが切れたのかなと思います。(打線は序盤こそ好機をものにしたが中盤以降は攻めあぐねた)チャンスを作れてはいるので点が入る入らないというのは相手の守備があってのことなので、中盤以降の攻撃についてはあまり気にはしていないんですけど、もうちょっと攻め切れる部分はあったと思うので明日以降はチャンスを作って一本出せるような攻撃をしていきたいです。(守りでは1失点と粘り強さが光った)相手もチャンスがありましたけど粘り強くという風に日ごろからやってきています。今日みたいな戦い方でないと勝つことはできないと考えていたので、本当に守備の集中力というか最後の最後まで気持ちを切らないでやっていこうと思っていましたし、それが実践できた試合でした。(早大も勝利しこれで優勝の可能性も残したが)他大がどうこうと言うよりも自分たちが負けない、勝つということだけを考えてやるというのが自分たちにできる最大限のことで、そういう風にやっていけば優勝という結果に結びつくはずなので、とにかく明日勝つということだけですね。(明日は山﨑、上原と再び相対することとなるが一言)相手どうこうと言うよりも勝つしかないので、どんな形であれ最終的に相手より1点多く上回っていればいいので内容よりも結果にこだわってやっていきたいです。

 

佐伯瞭太(商4)

(今日のピッチングを振り返って)三宮が1点に抑えてくれていたので、その流れに乗ってしっかり抑えられたのでよかったなと思います。(重苦しい攻撃が続いていたが、どんな気持ちでマウンドに登ったか)ゼロで抑えれば良い流れが攻撃にもつながるだろうという感じで、抑えようと思って投げました。(ピンチで迎えたクリーンアップにはどんな意識で対したか)あまりクリーンアップという意識はせず、ランナーがいることも気にしないようにしてバッターに集中しようと考えていました。抑えられてよかったです。(今シーズンここまで無失点と完璧なリリーフを続けていることについて)守備に助けられているので、調子が良いというのもあるんですけど、周りのみんなのおかげかなと思います。(明日の一戦に向けて)もう負けられないので勝つだけです。

 

 

藤本知輝(環4)

(今日の試合を振り返って)勝てたので、次につながって良かったなという思いがあります。(チームの雰囲気は)雰囲気は本当に良いので、焦る感じもなくて、慶應らしくできていると思うので、このままいければいいと思います。(ご自身は4回にヒット)満塁とかチャンスで打てなかったので、明日は打てるように頑張ります。(明日に向けて)明日は僕のバットで打って、しっかりチームを盛り上げて勝てればいいなと思います。

 

三宮舜(商3)

(今日の投球を振り返って)試合を作れたかなと思います。(今日の調子はいかがでしたか)この秋のリーグ戦では一番いい調子で投げることができました。あとは先制点をもらえたのが大きかったです。(明治戦では昨季も大活躍した)そうですね。明治が相手ということで意識した部分はあまりないのですが、春のようなピッチングができればいいなと思い、この2週間取り組んできました。(打たせてとるピッチングだったが意識していたか)意識はしていませんが、春みたいに空振りは取れなくて、それでも抑えられればいいと思って投げていました。(山本泰の好プレーもあった)山本泰寛は高校からの同級生で、ずっと守備が上手いというのは分かっていたので、ああいう選手がいるとありがたいですね。(6回のピンチを1失点で切り抜けた)打たれて、野手に助けられたという感じでしたが、同点には追いつかれないように思っていました。(降板後佐伯投手に繋いだが、どんな気持ちで試合を見ていたか)(佐伯)瞭太さんは、この秋のリーグ戦で全然点を取られていないので、点を取られないだろうなと思っていました。(明日へ向けて一言)明日勝って優勝への望みを繋ぎたいです。

 

谷田成吾(商3)

(今日の試合を振り返って)先制してそれをピッチャーがしっかり守ってくれたので、もう少し点を取ることが出来たと思うんですけど内容的にはいい試合だったと思います。(初回は先制のきっかけとなる二塁打)ツーアウトからだったのですが、自分が出れば横尾の長打があると思ったのでその通りホームランが出て2点取れたので良かったと思います。(相手先発の柳投手を早々に攻略したが何か対策は)特に対策というのは取ってなかったのですがうちが得意な投手だったので良かったです。(昨日痛い敗戦を喫したがチームの雰囲気はどうだったか)いつまでも引きずっていても仕方ないので、勝つしかないんだという気持ちで切り替えて今日の試合に臨みました。(明日の試合に向けて)勝つしかないので、初回からゲームセットまで集中して全員で戦っていきたいと思います。

 

山本泰寛(環3)

(今日を振りかえって)三宮が序盤からテンポ良く投げてくれて、守備の良いリズムから打撃へと繋がったと思うので、そこが良かったと思います。(2回のダイビングキャッチ)最初僕も一瞬「無理だな」と思ったんですけど、そこで諦めないで手を伸ばしてボールがグローブに収まったので良かったです。(第三打席の左安)普段からバントはしないチームなので、積極的に初球からどんどん手を出していくつもりでいきました。(次戦以降の意気込み)本当に負けられない戦いがこれから続くので、一戦一戦、一球一球に集中して全力で戦い抜いていこうと思います。

 

横尾俊建(総3)

(今日の試合を振り返って)勝ててよかったです。(先制のホームランの場面はどのようなことを意識して打席に立ったか)強く振ることを考えて打席に立ったので、ホームランがでてよかったです。(打った球種は)ストレートです。(最初からストレートを狙っていたか)基本ストレート待ちです。(手応えはあったか)完璧でした。(5回と8回のチャンスはどのようなことを意識して打席に立ったか)変わらないです。どんな場面でも自分のバッティングをすれば打てると思ってるんで、変わりません。(明日に向けて一言)今日みたいに勝てればいいなと思います。

 

須藤隆成(環2)

(今日の試合を振り返って)三宮さんや佐伯さんが粘り強くしっかり投げてくださったので、そういった投手の頑張りが今 日勝てた一番の要因かなと思います。(負けられない試合での先発だったが)自分のできることは投手を引っ張っていくことなんですけど、打つ方でもなんとか貢献しようと思っていました。犠牲フライですがなんとか打点をあげることができて、自分の中では最低限の貢献はできたかなと思います。(6回を最少失点で抑えた場面について)打たれるという気はしていなくて、三宮さんの球が良かったので四球を出さないよう に、パスボールに気をつけてワンバウンドでも絶対にとめる気持ちでいました。変化球を続けられたのも、三宮さんがよく投げてくれたからだ と思いますし、よく守れたと思います。(明日に向けて一言)先発かどうかはわからないですけど、もし出た場合は自分の実力を発揮させるだ けなので、自分のできることをしっかりとしていきたいと思います。

 

沓掛祥和(商2)

(今日の試合を振り返って)今日の試合は初回の最初からベンチワークがよくて、右ピッチャーだったんですけど、右打者の僕も含めて全員で代打の準備はしていたので、いい雰囲気で試合に入っていたと思います。(今日は最初の代打として起用された)やっぱり昨日僕がチャンスの場面でつぶしてしまったので、次出させてもらったら絶対打ってやろうと思って初球からいけました。(初球から狙っていたのか)特にそんな意識を持ってはなかったんですけど、体が動きました。(打線は回以降はもう本が遠かった)チャンスを作ることはできていたので、後一本は出ませんでしたけどみんな腐らずに粘り強く行けていたと思います。(明日への意気込み)大事な試合なので、チャンスの場面で使わせてもらったら初球から積極的に言って、チームに貢献できたらなと思います。

 

山口翔大(環2)

(今日の試合を振り返って)春も明治に苦戦していたので、今日負けたら終わりなので、気合いが入っていました。(先発はいつ伝えられた)試合前にいきなり言われて、ただビックリして、どうしようかなと思いながら試合に臨みました。(リーグ戦自身初のヒット)柳選手も高校のとき何回も戦ったことがあったので、ある程度球も分かるし、なんとかして打とうとしました。打った球は多分真っ直ぐだと思うんですけど、インコースにきたので、とにかく振り遅れないように、急いで振りました。(一塁では初のスタメン)一塁をやり始めたのもつい最近なんで、練習試合でもちょくちょく出たりはしていたんですけど、打球が一回も飛んできたことがなかったのでそれが不安だったんですけど、周りの先輩方がしっかり支えてくれたので、頑張りました。(明日に向けて)明日負けると秋の優勝を逃してしまうので、頑張ります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました