【端艇】新体制の初陣、結果は悔し涙の銀メダル!第56回全日本新人選手権大会

初の大舞台の選手も多い中、力漕する男子エイトA

初の大舞台の選手も多い中、力漕する男子エイトA

10月16日〜18日に第56回全日本新人選手権大会が戸田ボートコースで行われた。今大会は4年生が引退し、新体制で行われた最初の試合である。新主将には中田幸太郎(経3)が就任し、スローガンには「日本最速」を掲げ、日本一に向けた新たな活動を開始した。新人戦であるため今大会は大学生は1、2年生のみが出場でき、主将ら3年生は下級生達のサポートに回る事になる。また、学生以外にも高校生や社会人も多く出場し、様々な年代の漕手達が火花を散らした。

 

第56回全日本新人選手権大会

 

2015年10月16〜18日

@戸田ボートコース

 

【男子エイト A】

C:今村匠(商2) S:北原敬梧(法2) 7:寺坂僚太(経2) 6:笹岡裕之(政2) 5:高田直人(総2) 4: 内田優志(政2) 3:高橋航平(経2) 2:小坂哲生(商2) B:細田外嗣(法2)

 

予選D組2着→敗者復活戦へ

敗者復活戦E組1着→準決勝進出

準決勝D組1着→決勝進出

決勝2着

 

息の合ったストロークを見せる。

息の合ったストロークを見せる。

【男子エイトB】

C:黒田諒(商1) S:磯貝悠(商1) 7:長石治徒(総2) 6:高崎隼人(商1) 5:吉田高寅(経1) 4:宇津木琢哉(法2) 3:奥山清弘(経2) 2:原田大毅(理1) B:有馬康耀(法2)

 

予選B組2着→敗者復活戦へ

敗者復活戦A組2着→準決勝進出

準決勝B組2着→敗退

 

敗者復活戦で粘りの漕ぎを見せる。

敗者復活戦で粘りの漕ぎを見せる

【男子エイトC】

C:中居誠大(経1) S:片山雄介(経2) 7:岸本光平(法1) 6:朝比奈寛(文1) 5:浅倉弘堯(理2) 4:藤原健太郎(経1) 3:伊澤広貴(経2) 2:石渡達哉(商2) B:辻井将人(総1)

 

予選D組3着→敗者復活戦

敗者復活戦C組2着→準決勝進出

準決勝B組4着→敗退

 

【男子ダブルA】

S:岡山卓生(政1) B:須田祐介(経1)

 

予選F組4着→敗退復活戦へ

敗退復活戦C組3着→敗退

 

【男子ダブルB】

S:辻雄基(理1) B:谷川陽(政1)

 

予選C組3着→敗者復活戦へ

敗者復活戦E組3着→敗退

 

【男子ダブルC】

S:平本尚暉(経1) B:藤本源大(商1)

 

予選J組6着→敗者復活戦へ

敗者復活戦F組5着→敗退

 

【男子シングル】

S:南雲正樹(商1)

 

予選G組6着→敗者復活戦へ

敗者復活戦G組4着→敗退

 

【女子ダブルA】

S:渥美優(総1) B:野方千裕(政2)

 

予選D組3着→敗者復活戦へ

敗者復活戦D組2着→敗退

 

【女子ダブルB】

S:笹谷由佳(文2) B:芝崎佐和子(経1)

 

予選C組5着→敗者復活戦へ

敗者復活戦D組4着→敗退

 

【女子ダブルC】

S: 金旼我(文1) B:萩原沙柚子(政1)

 

予選C組4着→敗者復活戦へ

敗者復活戦B組3着→敗退

 

【女子ダブルD】

S:鯉口恵(文1) B:安立里奈(文1)

 

予選H組4着→敗者復活戦へ

敗者復活戦B組4着→敗退

 

 

慶大からは11クルーが出場した今大会。男子部員も女子部員も今年は入部者が多く、他大学に比べ多くのクルーが出場した。しかし、全クルーが初日から苦しいスタートを切った。初日には予選が行われたが、各組から準決勝に進出出来るのは僅か1艇。この狭き門を慶大クルーはこじ開けられず、全クルーが敗者復活戦にまわった。

2日目には敗者復活戦が行われた。この敗者復活戦シングル、ダブルは各組1艇のみ、エイトは各組2艇が準決勝に進出できる。本大会では新人戦という事から、エイトなどの大きな艇で出場する選手よりも、シングルやダブルといった小艇で出場する選手が多く、小艇に強豪校や有名選手が集まった。この事から慶大のシングル、ダブルのクルーは良い試合運びをしたものの、この敗者復活戦で全て敗退する事になった。一方、輝きを放ったのはエイトのクルー達。予選では1位にはなれなかったものの、敗者復活戦では全クルーが準決勝進出を決めた。

そして最終日は午前に準決勝、午後に決勝を行うというハードなスケジュール。準決勝ではBクルー、Cクルーは同組で強豪校とぶつかった、という事もあり、ここで敗退してしまう。残ったAクルーは準決勝のスタートから他校を圧倒し、500m、1000m、1500m地点をトップで通過し力を見せつけ、決勝に進出した。

ついに決勝を迎えたAクルー。8人全員が息のあったスタートを切り、「250mまではついて行った」(内田)が、「明治のスパートが全然僕らよりも上で、半艇身から1艇身位出られてしまった」(北原)。徐々に差は広がり、1000m地点では4秒まで開く。しかし、「第2、第3クォーターでのコンスタントが僕らの強み」(北原)だったためクルーは落ち着いていた。一漕ぎ毎に差を詰める慶大は1500m地点で1秒詰めた。ところが、慶大には余裕がなかった。明大のラストスパートに追いつくことが出来ず、6分05秒92の2位でフィニッシュした。

堂々の銀メダルも笑顔は一切ない

堂々の銀メダルも笑顔は一切ない

銀メダルを獲得した慶大クルーだが、印象的だったのは全員が悔し涙を流していたことである。「選手達は本気で優勝を狙えると思ってい」た、そして「僕も優勝させてあげられなくて申し訳ないという気持ちがあります」と語るのは中田主将。今大会は主将を始めとする3年生は出場していないが、気持ちは若きクルー達と共にある。慶大の選手達は本気で「日本最速」になることを目標としている。そこで重要なのはこの冬である。これから選手達はインカレ、全日本、新人戦という怒涛の試合期間を終え、本格的な練習期間に突入する。試合で浮き出た課題を冬の間に1つ1つ潰して選手達は成長する。「日本最速」になる為には「最高」の練習をしなければならない。「冬は強く漕ぎ続けられるような身体を作ることが最重要」と語るのは北原。

冬の練習期間が終わり春になると早慶レガッタが始まる。慶大は4連覇を果たしている。しかし「4連覇は出来たけどスピードでは完全に負けていた」(中田)と昨年は実力では劣っていたかもしれない。しかし全日本での慶大端艇部の対校エイトには多くの3年生、2年生が選ばれていた。この「若き才能」達が春になって芽吹く事を期待する。

 

(記事・高橋廉太朗)

 

◇以下、選手試合後コメント

 

北原 敬梧(法2)

(今日の試合振り返って)今日はファーストクォーターで絶対出ようと思っていて、250mとか、450mでアタックしたが、明治のスパートが全然僕らよりも上で、半艇身から1艇身位出られてしまった。しかし第2、第3クォーターでのコンスタントが僕らの強みだったので、1本ずつ漕ぎを伸ばして落ち着いて差を詰めれたが、ラストに余裕がなかった。明治は僕らの事が見えているから、差を詰められても落ち着いてスパートをかけられるというのもあって、差があるままラストスパートに入られて、そのままフィニッシュしてしまった。(予選からは明大との差を縮めたが)予選はスタートで失敗したのと、僕がストロークになったのもそもそも3日程前で、予選、敗復、準決勝でだんだん僕らのクオリティが上がってきたから差が縮まったと思う。でも、4秒差ついているから、実力差はあったのかなと思う。(ストロークになって注意したことは)僕がストロークになったのは、僕のリズムでストローク、7番、6番のストスリーの3人で艇のリズムを作る事になったからです。バウフォアといった後ろの選手はとにかく水中半端ないから、ストペアで話してたのは僕らは冷静に漕いで、後ろの選手達が僕達を支えて助けてくれるから、僕らは絶対にリズムを壊さないようにずっとフラットで2000mを漕ぎ切れるようにと考えていました。個人的に注意したのはとにかくキャッチとファイナルでキレを出すということで、キレさえ出せば後は後ろが推してくれるので、艇のリズムを作る事だけ注意していました。(今大会から始まった中田主将の新体制の1年間をどのようなシーズンにしますか)チームの今シーズンのスローガンが「日本最速」なので、とにかくタイムを出す事が大事。感覚とか技術の方にクルーは目がいきがちで、「今の感じ良かったよ」というのが大会期間中も多くて、あまりスピードに着目していなかったという理由で、このスローガンになりました。なので、とにかくスピードを出す事を考えていきたい。(早慶レガッタに向けて、冬はどのような練習に取り組む予定ですか)個人的には2000mエルゴで(6分)20秒台を出す事!冬は強く漕ぎ続けられるような身体を作ることが最重要だと思います。

 

中田 幸太郎主将(経3)

(「日本最速」というスローガンを掲げた理由は)ボートは単純にスピード勝負なので、1番速くゴールしたのが強いというスポーツ。それをみんなで共有できるスローガンを探したときに、「日本最速」という言葉が1番フィットすると思って決めました。(今大会のエイトの2位という結果について)エイトだけで言うと、選手達は本気で優勝を狙えると思っていて、それ(優勝)を目指して練習してきたから悔しい方が(嬉しいより)強いかなと思います。僕も優勝させてあげられなくて申し訳ないという気持ちがあります。予選で離されていた明治にも決勝では最後まで喰らい付いているし、これ言ったらアレですけど、こっちは未経験者も多くてあっち(明大)は勿論全員経験者で、それでもここまで出来るんだという証明も出来たし、2年続けて2位を獲っているのでレベルは年々アップしていると思います。(早慶レガッタに向けてどのような練習をしていく予定か)そこは監督やコーチと話し合う必要があると思うので抽象的な事になるのですが、早慶レガッタでは4連覇してて、3連覇の時までは慶應の中での隅田の漕ぎ方があったけど、この前は4連覇は出来たけどスピードでは完全に負けていたので、今までの(慶大の)漕ぎの良かったところも、去年速かった早稲田の良かったところもしっかり研究していきたい。そして、それを踏まえた上で体力作りとかフォームの確認をしていかなければならないなと思います。

 

内田 優志(政2)

(大会を振り返って)予選は全体3位でした。でも、予選で明治と当たってしまって負けてしまいましたね。予選はみんな固くて、スタートで失敗してしまってスタートから一気に出られてしまう展開になって、最後まで差を広げられて完敗という感じでした。けど、敗復でタイムを狙わないと準決勝の当たりがきつくなってしまうので、一番楽な組に入るためにタイムを狙っていて、それは達成できて結構良いレースが出来たんですけど、スタートが1分27秒位で1分25秒位出れたと思ったので。やっぱり、スタートのスピードが出ていないということで今日の朝もスタートを意識してたくさんアタックを入れたんですけど、準決勝もスタートで実力を発揮しきれなくて、最後も少し温存したこともあってそんなに良いスピードは出ませんでしたね。一番大事な決勝は、250mまではついていたんです。そこで、ここで勝負だということで、アタックを2回か3回入れたんですけど明治が速かったですね。押しても押してもなかなか詰まらなくて500mで半艇身、そこからスパートをお互いに入れたんですけど差を詰められなくて、そこから少しずつ出られてしまいましたね。艇速が向こうの方が速いんでしょうね。第3クオーターで皆で何回もアタックを入れて詰めたんですけど、最後はもうへとへとでバッと出られてお終いという感じでしたかね。やっぱり、スタートで出れる余裕と、コンスタントまで維持できる技術。それに最後も楽に漕げる技術があれば上げられるので。そこが今回の大会を終えて思ったことです。(クルーリーダーとして)クルーは対校エイトの経験があるのが4人いて、後はインカレ、全日本には出てたけど、まあぼちぼちで技術もまちまちでそんなに高くないということで、出来ることは勢いと、エルゴは皆出ているので体力。技術は少しずつ詰めていこうねということで、とにかく総力戦だという話で進めていきました。最初は僕がストロークに乗っていたんですけどうまくリズムが伝えられなくて、僕が真ん中から攻めていこうということで移動してから安定感がでてきてコールにも対応出来るようになってきて、これで行こうということになりました。やっぱり、インカレや全日本で対校に乗っていた人には簡単に出来ることも経験の少ない人には難しくなってくるので、そういう人たちの目線に立って、皆が簡単に出来る基礎的な部分というのを意識してやりました。(これまでの練習)大事なことは基礎なんですけど、やっぱり、長く押すということが一番大事なので、そのために細かいところではなく前後に大きく動くというイメージを陸上の練習からやらせてきました。(これから1年に向けての課題)スタート500mですね。スタートの艇速です。スタート自体は悪くなくて、出ることができるんですけど、250mからコンスタントに入るところで出られてしまうんですね。人間40秒もするとエグくなってくるので、そこからいかに大きい筋肉で艇を進められるかというところなので、体力作りも大事だと思いますし技術も足りないですし、そこはどちらもやっていくしかないので、そこは中田先輩にしっかり付いていく感じですね、僕は。(1年の目標)早稲田には結構差をつけたので、ここからもっと突き放して、早慶戦は余裕で勝ちたいです。そして、僕達の目指すところはインカレ全日本での日本一なので、スタート500mと、その為の体力と技術を付ける為にまとまりを持つことが大事だと思っています。高いモチベーションをもって皆でやるとか、練習を皆でまとまってやるとか、8人9人部員全体で同じことをやっていかないと、絶対に勝てないので、そのまとまりが重要になると思います。それと、どれだけ全員が日本最速に成りたいと思えるかだと思うので、そこは監督や中田先輩を信じて、皆がいかにやっていけるかだと思うので、そこは僕達がサポートしていくしかないと思いますし、どんどん先輩たちを食ったりとか互いの選手に目を光らせてこいつには負けねえぞという気持ちを持つことですかね。

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