【ソッカー女子】大学リーグ第8節 足りなかった“覚悟” インカレ出場が遠のく痛恨の敗戦 神大戦

前節、待望の大学リーグ初勝利を挙げインカレ出場を射程圏内にとらえた慶大。この日は4位の神大と対戦した。勢いを加速させたいところだったが、常にボールを保持される厳しい展開に。39分に田中康子(総4・常盤木学園高)主将が右サイドで簡単に振り切られてしまい、先制点を献上。1部残留のためにも最低でも勝ち点1が欲しい慶大だったが、後半も主導権を相手に握られ続けてしまう。試合終了間際に栃木栞(環4・十文字高)にビッグチャンスが訪れたが、相手GKの好守の前に同点ゴールを奪うことはできず。激化するインカレ出場権争いや残留争いの中において、得失点差を考えると1点差での敗戦は「幸運だった」(岩崎陸監督)と言わざるを得ない内容で、慶大は完敗を喫した。

 

 

 

第30回関東大学女子サッカーリーグ 第8

2016/11/13(日)13:00KO@神奈川大学湘南ひらつかキャンパスグラウンド

慶應義塾大学0-1神奈川大学

 

【得点者 (アシスト)

〔神〕39梅津美絵

 

◇慶大出場選手

 

GK野村智美(総3・作陽高)

DF奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)

DF田中康子(総4・常盤木学園高)

DF下山田志帆(環4・十文字高)

DF宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)

DF井原美和(薬2・大和高)

MF栃木栞(環4・十文字高)

MF庄司夏穂(総1・聖和学園高)

MF中島菜々子(総2・十文字高)→73工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)

FW堀井美月(環4・常盤木学園高)

FW宮川渚(理4・成城学園高)→46松木里緒(環1・常盤木学園高)

 

前節の初勝利で勝ち点を5に伸ばし、順位も8位まで上げた慶大。インカレ出場圏内の7位・帝京平成大との勝ち点差はわずかに1と、残り2試合での勝利が非常に大きな意味を持つ。この日の対戦相手は、昨年ソッカー部女子の歴史を塗り替える大学リーグ初勝利を挙げた神大。再び勝利を挙げてインカレ出場へ一気に加速したい。

 

しかし試合開始から神大にボールを保持され、主導権を握られる厳しい展開に。「もっと自分たちが保持する局面は増えると思っていた」と岩崎監督が語ったように、慶大は苦戦を強いられる。ボールを奪っても受け手の動きに乏しく、前線めがけて蹴っては奪われての繰り返しとなってしまう。25分には左サイドでボールを奪いきることができず、ペナルティエリア内に侵入される。だが相手のシュートはGK野村智美(総3・作陽高)の正面を突き、難を逃れた。続く30分、今度は相手のCKを野村が処理しきれず、ペナルティエリア外でこぼれ球を拾った神大が最終的にFKを獲得。直接狙われるがこれも野村の正面で慶大がピンチを切り抜けた。慶大の前半唯一のチャンスは37分。相手陣内中央でFKを得ると、宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)が蹴ると見せかけて栃木が右サイドに開いていた堀井美月(環4・常盤木学園高)へ。堀井がクロスを上げるが、惜しくも味方に合わず相手GKにキャッチされる。すると39分に試合が動く。自陣右サイドで田中が神大の梅津美絵に簡単に振り切られると、そのまま豪快に決められてしまう。慶大は劣勢のまま前半を折り返した。

 

img_4931後半開始と同時に、慶大は流れを変えるべく宮川渚(理4・成城学園高)を下げて松木里緒(環1・常盤木学園高)を投入。しかし神大ペースは変わらず、慶大は主導権を握ることができない。59分、相手のCKを中島菜々子(総2・十文字高)がクリアしきれず、相手にシュートを放たれるが、これはクロスバーに救われた。直後の61分には相手に抜け出され一対一のピンチ。これを野村がシュートストップし、さらにそのこぼれ球に詰められるが今度は宮田が体を張ってゴールを死守。何とか慶大が踏みとどまる。70分、72分とサイド攻撃から危険なシーンを作られたがこれも何とかしのぐと、81分に絶好の同点機が到来。左サイドで井原美和(薬2・大和高)がクロスを上げると、大外で待っていた栃木のもとにボールが転がる。栃木は迷わず右足を振り抜くが、シュートは無情にもGKの手を弾きポストに直撃。この試合最大のチャンスを逃した慶大は、その後も途中出場の工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)らが攻め立てるものの追いつくことができずタイムアップ。インカレ出場が遠のく、痛すぎる敗戦となった。

 

ピンチの数を考えれば、もっと失点していてもおかしくはなかった完敗。試合後、岩崎監督は「大一番の局面になって、本当にそういう覚悟ができていたか」と1、2、3年生に問い掛けたという。もちろん、「4年生をまだ引退させるわけにはいかない」と意気込んでいたのは間違いない。けれども、指揮官の目にはそう映っていた。そして、何よりもこの試合内容がそれを物語っていた。「後輩に1部の舞台を残してあげたい」(栃木)という想いに応えるため。「ホームでインカレ出場を」(田中)決めて1試合でも多く4年生とプレーするため。今こそ、下級生たちが奮起しなければならない。インカレ出場のためにも、残留のためにも、求められているものは明白だ。次節、慶大は勝ち点3だけを目指して5位・東洋大との決戦に臨む。

 

(記事 小林将平)

 

☆第8節終了時のインカレ出場権争いおよび残留争い

順位

大学名

勝ち点

得失点差

7

帝京平成大学

7

-7

8

慶應義塾大学

5

-7

9

大東文化大学

3

-8

10

順天堂大学

3

-9

※7位までがインカレ出場権を獲得。8位は2部3位と、9位は2部2位とそれぞれ入れ替え戦を行う。10位は2部1位と自動入れ替えとなる。

 

◇慶大インカレ出場の条件

慶大が勝利し、帝京平成大が引き分けか敗戦の場合、慶大は7位に浮上しインカレ出場権を獲得。

 

 

 

試合後コメント

 

岩崎陸監督

(試合を振り返って)完敗というか、相手の方がしっかりボールも収まったり技術もあったし戦えていたし、0-1で収まったというのは自分たちにとってはそれ自体が幸運だったのかなという感じですね。(ボールを持ってもすぐに相手に奪われてしまいペースをつかめなかったがある程度は想定していたことか)いや、もっと自分たちが保持する局面というのは、特に前半は増えると思っていたんですけど、そこで自信を持って周りが選択肢を作ってあげたり自信を持って自分が前を向いたりすることができなかったかなと思います。(シュートを打てるところで打たなかったり少し消極的な選択があったが)こういう本当に大一番の局面になって、本当にそういう覚悟ができていたかというのを今日の試合でやっぱり感じて、改めて感じている選手も多いと思うんですけど、だけど慶應はこういう歴史を積み重ねて、この4年生だって1年生の時に辛い思いをしてここまで上に上がってきたんで、1・2・3年生は今日の負けというのを本当に心から感じて自分たちが何をすべきかというのを考えてほしいと思います。4年生は本当にしっかりと戦ってくれたと思います。(それは試合後のミーティングでも伝えたのか)そうですね。もう1年1年が勝負で、来年があるとか再来年があるとか言っていたら4年間終わっちゃうんでね。試合が終わって何か議論するような状態だったらピッチの中でもっとできたはずだと思います。(工藤選手を投入するタイミングは迷ったか)そうですね。かなり押し込まれていた状況で、周りにも動けていない選手がいたのでそこをどうするかというのでちょっと迷ったのは事実ですね。(最終節に向けて意気込みを)もうホームで勝つしかないので、分かりやすいというか、他の結果はもちろんあるので今日でもしかしたらインカレ出場は無くなるかもしれないですけど、最後まで可能性を本当に信じて全力で今週1週間やっていきたいと思います。

 

田中康子主将(総4・常盤木学園高)

(試合を振り返って)今日は絶対に勝たなきゃいけない試合だったので、こういう結果になってしまってすごく悔しいというかインカレ出場のためには本当に後が無いなと思います。順大戦が終わってからこの試合に向けてチームとしてやり続けてきたので、結果として出なかったのはすごく悔しいなって思います。(勝利した前節の順大戦後はどのような練習を)神大に勝つ想定で、カウンターのところと特に攻撃のところと守備のところで相手に合わせてどうしていくかっていうところを結構やってきました。(終盤は自分たちの攻撃の時間も多く作れていたがそこで決めきれなかった点については)そういう場面を作れたっていうのは練習の成果だなって思います。それをしっかりと決めきれなかったっていうのは反省点だし次に生かさなきゃいけないなって思います。(チーム内の連携はどうか)本当に負けられない戦いだったので最後まで体を張って守備とかはできていたと思いますし、自分のところから1点やられてしまったので本当にそれは申し訳ないなって思います。シュートをたくさん打たれながらも失点1に抑えられたことはチーム全員で守備できた結果だなって思いますし、しっかりチャンスを作れていた中で決められたら間違いなく結果につながっていたなって思います。後は無いので前向いてやっていくしかないなって思います。(最終節に向けて)最終戦でもありホーム戦でもあるので、必死に死に物狂いで全員で勝ちを奪いに行くっていうのをもう1回徹底してこの1週間取り組んでいきたいなと思いますし、来週ホームの下田でインカレ出場を決めて、全員で今年のスローガンであるSmileになれるように取り組んでいきたいなと思います。

 

堀井美月(環4・常盤木学園高)

(今日の試合を終えて)もう後がない試合だったので全員で勝ちに行きたかったんですけど、相手の守備を打開できなくて、勝つことができなかったのはとても悔しいです。(今日の試合の狙いは)相手は足元があるチームだったんですけど、その中でしっかりと狙い目を決めてボールを奪って、そこからFWが関わりながらカウンターを仕掛けるというのが今日の狙いでした。(攻撃の起点になる場面も多く見られたが)ボールが自分のところに入った時に早いプレスが来ることは分かっていたんですけど、その時に周りの選手との関係を作ることが難しくて、上手く収められなかったのは反省だと思いますし、もっと収めて前を向けるように改善していきたいです。(あと一歩で得点できそうなところまで行ったが)後半の最後の方みたいに、もっと前半からみんなで前に行けていたら相手を抑えられて、さらに得点のチャンスも増やせたのかなと思います。(最終節に向けて)次節で大学リーグは最後になるし、もう勝つしかインカレ出場の可能性は残っていないので、点をとって勝ち切りたいです。

 

栃木栞(環4・十文字高)

(どのように試合に臨んだか)インカレ出場とか関係なく、まずは後輩に1部の舞台を残してあげたいと思っていました。(試合を振り返って)相手に押し込まれる守備の時間帯が多くてきつかったんですけど、その中でもしっかり守って1点取りに行くというのを目指していたので、1点取れれば何か違ったのかなと思いますし、でもあれだけ攻められて1点に抑えられたのは良かった点でもあったと思います。(今日の役割は)この試合に限ってというのではないんですけど、右サイドでボールを落ち着かせて、右サイドから攻撃しようというのを狙いとしてやっているので、右サイドで全然収められず、時間を作れなかったのが反省です。(最終節に向けて)自分がサッカーできるのは最後だと思うので、最後だと思って戦うし、後輩に1部の舞台を残してあげたいと思っているので、勝ち点3を取りに行きたいと思います。

 

宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)

(試合を振り返って)中断期間の三週間を使って、相手の特徴のリサーチと対策はすごく入念にやっていて、それが上手くはまった部分とはまらなかった部分がありました。前半も、相手に完璧に崩されての失点だったかというとそうではないので、そういう失点をしてしまったのがすごくもったいなかったのと、特に前半は自分たちの攻撃が相手のリズムに引きずられてしまってできなかったのがすごく悔しいなって思います。後半は戦えた部分もあったので。(リサーチと対策の具体的な内容は)具体的には、神奈川大学は個人個人がすごく上手いので、それぞれの特徴を一人一人担当をつけて分析しました。この選手はこういう切り返しが多いとか、こっちの足しか使わないとか、一人一人のマッチアップでの対策を細かくやったっていうのと、全体としては、しっかりと中を締めて、個々が強い分こちらは突っ込まずに相手がミスしたところなどを突くということです。あと相手GKのキックが上手くないので、GKに落とさせてわざと蹴らせたり、繋いできたボールに詰めるということを意識してやっていました。(ボールをなかなかポゼッションできなかった原因は)まあ単純に自分たちのレベルが相手に比べて劣っていたというのと、1対1でチャレンジするというシーンがなくて、全部逃げのボールだったところをかっさらわれたり、体負けしたりというところかなと思います。(最終ライン左でボールを受けた時、当てどころとして意識しているところは)トップ2枚が重なる関係性を作っているので、そのどちらか、特に奥の方に一度入れて、高い位置でボールポゼッションさせたり、あとは今日は相手が上手くてDFもでかかったので、特に縦の背後にウイングバックやFWを走らせてそこからということを意識してやっていました。(次節に向けて)いつも言っているんですけどずっと勝たなきゃいけない状況が続いていて、次節も相手の結果次第にはなるんですけどどのみち勝たなきゃインカレには進めないので、まずは勝つために一週間今まで以上に、今でもやっていると思っている選手が多いと思うけどそれを超えられるように、と思っています。あと観客の方々も今日も遠いところまで来てくださっているので、そういった方々に恩返しができるような、慶應らしい迫力のあるサッカーができるように全員で全力でやっていきたいなと思います。

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