【ソッカー女子】大学リーグ第9節 同点に追い付き自動降格免れる・・・残留の行方は入れ替え戦へ 東洋大戦

勝てばインカレ出場の可能性がある一方、負ければ自動降格の可能性まであった大学リーグ最終節。慶大は縦に早い攻撃で相手ゴールに向かうが、セットプレーから失点して前半を折り返す。得点を奪うしかなくなった後半は、75分に切り札の松木里緒(環1・常盤木学園高)を投入。すると、その松木が81分に値千金の同点弾を決め、試合を振り出しに戻す。ここから波状攻撃を仕掛けるが、あと1点を奪うことができず試合終了。勝ち点1を手にした慶大は、他会場の結果により9位が確定。自動降格は免れたものの、インカレ出場の夢は潰え、2部の2位チームとの入れ替え戦に臨むこととなった。

 

 

第30回関東大学女子サッカーリーグ 第9

2016/11/20(日)13:00KO@慶應義塾大学下田グラウンド

慶應義塾大学1-1東洋大学

  

【得点者 (アシスト)

〔慶〕81松木里緒(庄司夏穂)

〔東〕33井口遥菜

  

 

◇慶大出場選手

 

GK野村智美(総3・作陽高)

DF奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)

DF田中康子(総4・常盤木学園高)

DF下山田志帆(環4・十文字高)

DF宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)

DF庄司夏穂(総1・聖和学園高)

MF栃木栞(環4・十文字高)

MF工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)

MF中島菜々子(総2・十文字高) →75松木里緒(環1・常盤木学園高)

FW堀井美月(環4・常盤木学園高)

FW宮川渚(理4・成城学園高)

 

 

勝てばインカレ出場が見え、敗れれば自動降格の可能性すらある中で迎えた最終節。ホーム下田グラウンドでの戦いに多くの観客が駆け付け、ソッカー部男子も大きな声援で後押しする。試合前の円陣ではいつもより気合を注入。工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)がようやくスタメンに復帰し、万全の状態で大一番に臨んだ。

 

 

慶大は縦に早い攻撃で、手数を掛けずに敵陣まで攻め込もうとするが、なかなかシュートまでたどり着くことができない。東洋大にボールを支配される場面が続くが、危険なスペースには侵入させず。17分には中盤でボールを奪いきれずに勢いよく攻め込まれるが、相手がロングシュートを選択したことで、ピンチを免れる。すぐにゴールキックからプレーを再開させると、工藤が前線でフリーの状態でボールを受け、左サイドの庄司夏穂(総1・聖和学園高)へ。中へ切れ込んでくるが、シュートを打ち切ることはできず。32分にはCKのピンチ。右サイドからニアへボールを入れられると、うまくクリアすることができず、ファーサイドに流れていってしまう。このボールが相手に渡るとゴールに押し込まれてしまう。このままでは厳しい状況の慶大は、前半終了間際に宮川渚(理4・成城学園高)が高い位置から猛烈なプレッシャーをかけ、相手のミスを誘う。奪ったボールを自らミドルシュートで狙うが、ゴール右へと外れてしまう。

 

後半に入ると、岩崎陸監督の指示通り、高い位置からプレスをかけてボールを奪おうと意識を統一する。その言葉通り、慶大がピッチ内を駆け回りボールを奪う場面が目立ち始め、徐々に主導権を握り始める。64分には大きなチャンス。右サイドでボールを受けた栃木栞(環4・十文字高)が中へドリブルし、左サイドの庄司へ。庄司がダイレクトでグラウンダーのクロスをあげると宮川がフリーで合わせる。しかし惜しくもクロスバーに嫌われてしまう。なんとかまずは1点を挙げたい慶大は、75分に切り札の松木を投入。するとすぐに監督の起用に答える。81分、庄司の左からのクロスを中央で堀井美月(環4・常盤木学園高)が競ったこぼれ球を松木が左足ボレーで合わせ試合を振り出しに戻す。その後も波状攻撃を仕掛け、86分、アディッショナルタイムとチャンスを迎えるが、決めることができずに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 

試合後の選手たちの目には涙があふれていた。インカレ出場を逃した悔しさ、なかなか勝利できなかった苦しさ、結果を出せなかった不甲斐なさなど様々な要因からだろう。ただ、松木のゴールはそんな気持ちを少しは和らげたはずだ。なぜなら、他会場では残留争いをしていたライバルチームが勝利していたからだ。松木のゴールがなければ勝ち点で上回られて最下位となり自動降格が決まっていた。前節に栃木が語った「1部の舞台を後輩に残したい」という気持ち。勝利で残留を決めることはできなかったが、まだこのチームで入れ替え戦を戦うことができる。引き分け以上で残留が決まるが、「死ぬ気で戦って絶対に1部に残したい」(岩崎監督)。これまでなかなか“smile”になれなかった。TEAM 2016最後のゲームで自分たちだけでなく、応援している人も笑顔で終われるように全力で取り組んでいく。

 

(記事 熊谷健二)

 

 

 

試合後コメント

 

岩崎陸監督

(大学リーグを振り返って)本当にこのインカレへの道は厳しかったけれど、今日の試合だけではなく、今までの積み重ねで今日の試合があって、色々と劇的なことが起こったけれど、たぶん今の状況だと入れ替え戦だと思うので、入れ替え戦であと1試合死ぬ気で戦います。筑波大には前回1-3で負けている強い相手なので、最後に90分しっかりと戦ってなんとか1部に残したいです。それが最終戦になるので、それに向けて本気で頑張りたいです。(9位という結果に対して)最後の最後は7位以内の可能性もあったわけだから、このチームの最大限のポテンシャルを発揮できればもっと上の順位に行けたと思うので、それができなかったというのは自分の責任かなと思います。選手たちは本当に1年間歯を食いしばって頑張ったので、そういう意味では今の代をインカレに連れていくことができなくて本当に申し訳ない気持ちです。(リーグ戦の総括を)厳しい状況の中でもしっかりと勝って自分たちの苦しい状況を抜け出した時もあるし、なかなかうまくいかない中で自分たちが苦しんだこともあるし、それがリーグ戦です。かなり長い期間のリーグ戦だったけれど、「あの1点が」とか、「最後のプレーが」というところで決まってきたので、それを3年生以下が大学リーグの厳しさを感じて、来年に生かしてほしいと思います。(今日の試合では、ハーフタイムにどのような指示を出したか)1つは相手にやられていた部分が1つだけあったので、そこの修正と、あとは思い切って前から追って、相手にプレッシャーをかけて、自分たちが奪うということを意識づけさせました。最初の10分はあまり前に出られなくて、結構苦しかったですね。でも残り30分はなぎ(宮川)の惜しいシュートもあったし、ああいう結果が最終的に1点につながったかなと思います。もう1点いけると思ったんですけど、この1点というのを自分たちの歴史の中でもう1回受け止めて次に向かいたいと思います。(松木は切り札としての起用か)そうですね。(入れ替え戦に向けて)慶應の歴史は入れ替え戦で始まり、入れ替え戦を経て自分たちの今があるので、入れ替え戦は引き分け以上で残留できる1部のチームに有利な条件で戦えるので、それが自分たちのこのチームの最後の試合になるから、もう1回それまでに全力の準備をして、その試合で多くの人を“smile”にできるように頑張りたいと思います。あと、今日これだけ大勢の方が応援に来てくれて、選手たちの力になったと思うので、このチームが勝って残留を果たすことで応援に感謝を伝えたいと思います。

 

田中康子主将(総4・常盤木学園高)

(今日の試合を振り返って)今日は本当に絶対に勝たなければいけない試合だったので、先制されてしまって追いつけたことは良かったと思うんですけど、やっぱりチャンスもあったと思うので、そこで決め切って勝っていれば良かったと思います。結果論になってしまうんですけど、もうちょっと前半のうちにスイッチ入りきってもっと行けたら良かったなとは思います。これをしっかり受け止めて次に繋げなきゃなと思います。(今年のリーグ戦を振り返って)本当に今年は勝てないことが多くて、結構いろんなことに取り組んできたというか、どうやったら勝てるかというのに全員で取り組んできたんですけど、結局勝てた試合っていうのは本当に少なくて、自分たちも苦しかったですし応援してくださる方にも試合の結果で感謝っていうのができなかったなという風に思います。(プレーオフに向けて)入れ替え戦で、1部の舞台に残るっていうことが本当に最低条件だと思うので、自分たち4年としては本当に1部の舞台を残すために必死で戦って、今日は「インカレ出場」っていうところでしたけど、「1、2、3年生と一緒に全員で1部に残る」っていうところにしっかりと向き合ってやっていきたいと思います。

下山田志帆(環4・十文字高)

(今日の試合を振り返って)あと一点取っていればインカレに行けたわけで、失点の場面の混戦も、あと少し弾いていればインカレに行けたわけで、そういうあと一歩のところでインカレ出場を逃したというところで、悔いしか残らない試合でした。でも、反省すれば絶対に良かった部分もあると思うので、1部に残るために、悪い部分ではなく、良い部分に目を向けたいなと思います。(今日はどの様な気持ちで試合に臨んだか)今日が引退だと、本当に後先考えずに、4年間の全てを捧げようと考えて試合に臨みました。(今日の狙いは)相手はワイドにポジションをとってきて、自分達の間を広げて、そこにボールを入れてくるという戦術をとってきたんですけど、それに対していかに自分達はコンパクトに対応して、枚数をかけて攻められるかというのが狙いでした。(後半、プレスがはまっていた時間もあったが)相手のビルドアップに対する前線からのプレスが、前半は結構躱(かわ)されて、裏に蹴られて押し込まれることが多かったんですけど、後半はそのプレスが上手くはまって、相手も出しどころが無く、うちも前向きにプレスをかけ易くなったんだと思います。(リーグ戦を振り返って)正直、リーグ戦を振り返ったら、あの時こうしとけば良かっただとか、あそこで守り切れていたら勝てていたなとか、そういう後悔しかないです。(あと一試合、入れ替え戦が残っているが)本当に今日が最後だと思っていて、後はもう一つのリーグ戦の消化試合で引退だと思っていたんですけど、もう一試合だけ本気でやれる試合ができたので、あと約三週間、まだこのチームで本気でサッカーが出来るというのは本当に幸せな事だと思っているので、その試合に向かって、来年後輩達に1部を残せるように、やるだけだと思います。

 

宮川渚(4・成城学園高)

(試合を振り返って)自分たちは年間目標をインカレベスト4ってしていて、絶対インカレに行くために勝たなきゃいけない試合だったんですけど、勝ち切れなかったっていうのが自分たちの現状っていうか実力だなって思いました。(大学リーグを振り返って)チームとして戦い切れなかった部分があったり、勝ち切れないっていうのもそこにつながってくると思うんですけど、攻撃面として点を取れない試合がすごく多かったというか、得点数が確然に低いっていうのが完全に自分たちのチームの弱いところだったなと感じています。(今日の試合は1点を返してから良い攻撃ができていたが)後半の終盤の方は相手のゴールにも迫れていたし、自分たちのやっていた中を使って相手を集結させてサイドに展開してシュートまで持って行くっていう場面が出たんですけど、シュートを打ち切れない部分だったり決め切れない部分っていうのがすごく悔しいです。(入れ替え戦に向けて)まだあんまり切り替えられてない部分もあるんですけど、4年生として最後の1試合になると思うので、言葉ではあんまり言えないんですけど、今まで以上に最高の準備をして絶対に後輩たちに1部の舞台を残せるように4年で引っ張ってチーム全体で勝ちに行きたいと思います。

 

 

タイトルとURLをコピーしました