5月13日、慶大ボクシング部は第70回関東大学ボクシングリーグの初戦を迎えた。昨年は2部リーグ4位でシーズンを終えたが、今年は更なる高みを目指し3位以上(Aクラス入り)を目標に掲げ、練習に励んできた。初戦の相手は昨年度リーグ戦において惜しくも敗戦を喫した強敵、明大。試合は、軽量級で3連敗し後がない状況のなか、井上慈元(総2)と杉山知義(商4)が圧巻のボクシングで巻き返しを狙った。しかしウェルター級で判定負けとなり、リーグ戦は3-4の苦い結果でのスタートとなった。
2017年5月13日(土)
第70回関東大学ボクシングリーグ戦 vs明大@後楽園ホール
階級 | 勝敗 | 慶大選手名 |
| 相手選手名 |
LF | ● | 古山皓介(環1・新潟江南) | 1-4(27-30,27-30,29-28,27-30,28-29) | 工藤洸弥
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F | ● | 谷澤莉久(環1・新潟南) | 0-5(28-29,28-29,27-30,28-29,27-30)
| 笹谷建公
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B | ● | 折敷出陸(法4・慶應義塾) | 2-3(29-28,28-29,29-28,27-30,28-29)
| 内野滉史
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L | ◯ | 井上慈元(総2・広陵) | 5-0(29-28,29-28,29-28,30-27,29-28)
| 永山純礼
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LW | ◯ | 杉山知義(商4・大宮) | 5-0(30-27,30-27,29-28,30-27,30-27)
| 犬島峻平
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W | ● | 古山貫太郎(経4・慶應義塾) | 0-5(27-30,27-30,27-30,27-30,27-30)
| 米澤直人
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M | ◯ | 徳山雄太(理4・南山) | DSQ 2R 2分50秒
| 松田拳栄 |
第1試合 ライトフライ級 古山皓介(環1・新潟江南)
ライトフライ級には、1年でインターハイにも出場経験のある古山が出場。1Rでは、相手選手の動きの速さに圧倒されるも、隙を狙って攻撃を仕掛けていく。1分には左フックを決め、少しずつ相手を攻略し始める。2Rになると、前進しながらストレートを打つ姿が見られ、激しい打ち合いをする場面も。勝負の3R。終始体を上下に動かし果敢に攻めるが、結果は1-4で悔しい判定負けとなった。
第2試合 フライ級 谷澤莉久(環1・新潟南)
フライ級には、今試合が大学デビュー戦となる1年の谷澤が出場。1Rから積極的にジャブとストレートでダメージを重ね、相手選手へ迫っていく。2R。序盤では若干相手に押される場面が見られたが、諦めることなく冷静にボディを攻め、試合の流れを作る。3Rでも攻めの姿勢は貫き、何度もパンチを打ち込み、勝敗は判定にゆだねることに。しかし、結果は0-5で敗戦。大学戦初白星は次回以降に持ち越しとなった。
第3試合 バンタム級 折敷出陸(法4・慶應義塾)
バンタム級には、今年度主将の折敷出が出場。1Rでは、長身でリーチ差のある相手選手の様子を伺いながら、軽めのフットワークで確実にストレートを決めていく。 2Rになると、折敷出が試合のペースを握り、コーナーに相手を追い込み重いストレートを放つ。鈍い音が何度も会場に響いた。このまま試合は順調に進むかと思われたが、3R開始10秒、両者が額を負傷したため、試合は中断。勝敗はポイント判定となり、2-3で後一歩及ばず判定負け。ハプニングにより不完全燃焼に終わってしまった。
第4試合 ライト級 井上慈元(総2・広陵)
3敗と後がない状況のなか、ライト級には井上が出場。1Rから強気の姿勢を見せ、前へ前へと相手を追い込んでいく。2Rでも攻めのボクシングは変わらず、突くような鋭いパンチでボディを攻め、相手へのダメージを積み重ねる。最終3R。ジャブからのフックやストレートをリズムよく決め、終始相手を圧倒。5-0の判定勝利で、今試合の1勝目を獲得した。「積極的に前に出られたのが一番の勝因」と試合後に語ったように、ピンチの時だからこそ諦めない強い気持ちが慶大勝利への望みをつないだ。
第5試合 ライトウェルター級 杉山知義(商4・大宮)
このまま巻き返しを図りたい慶大。ライトウェルター級には本年度副将の杉山が出場した。試合は、1Rから杉山の繰り出す素早い拳が相手選手を襲う。序盤から試合の主導権を握り、ボディを中心にダメージを与えていく。2Rでもペースは崩れず、杉山の力強いストレートがさく裂。ここで相手に有効打を多く与える。3Rに入ると、追い打ちをかけるようにラッシュを決め、相手に反撃の隙を与えない。終始優勢のまま試合は進み、結果は5-0の判定勝利。2勝目を挙げ、逆転勝利へ向けてチームを勢いづけた。
第6試合 ウェルター級 古山貫太郎(経4・慶應義塾)
勝負の要となるウェルター級には、古山が登場。相手は全日本ウェルター級5位の明大主将・米澤だ。1R。身長差を考慮しながら前後に動きボディを仕掛けるが、相手はガードを固め、なかなか思い通りに試合を運ぶことができない。だが、相手も古山のインファイトボクシングに対応できず、序盤は両者様子見の試合展開。2R。古山の動きを見極め始めた相手に有効打を与えられるなど、攻略に苦戦を強いられる。それでも3Rの終盤まで粘りつづけ、ひたすら攻撃のチャンスをうかがうが、判定は0-5で敗戦。ここで慶大の敗北が決まってしまった。
第7試合 ミドル級 徳山雄太(理4・南山)
悔しくも慶大の敗北は決まってしまったが、「気持ちが出過ぎた」徳山の闘志は燃えていた。1Rでは、アッパー、クロス、フックを巧みに使いわけ、相手を着実に攻めていく。1分10秒には、コーナーわきに追い込み鋭いストレートを放つ場面もあり、力強い試合展開となった。つづく2Rでも徳山の勢いはとどまるところを知らず、たたみ込むように相手へダメージを重ねていく。しかし、2分50秒に相手選手の反則・減点があったため試合終了、徳山が判定により勝者となった。
今回は軽量級に1年を2名選抜し、フレッシュな顔ぶれで明大戦に臨んだ。辛くも試合結果は、昨年度と同様、3-4でライバル明大へリベンジを果たすことはできなかった。しかし、1年は大学デビュー戦という緊張のなか大健闘。また3連敗と窮地に立たされているところを上級生がカバーし、チームワークの良さを垣間見ることができた。
次戦の相手は、強豪・平成国際大。格上との対戦で厳しい試合になることが予想されるが、この団結力が慶大勝利へとつながることを期待したい。
(記事・佐野ちあき/写真・下川薫)
以下選手コメント
井上慈元(総2・広陵)
(リーグ初戦にむけてどのような準備をしてきたか)とにかく下半身と左のリードブローの強化を意識してやってきました。(直前に折敷出主将の不運な敗戦があった。試合を振り返って)早慶戦の時の3連敗の後の4連勝が脳裏に蘇って、自分が和樹さん(田中和樹前主将)の代わりに何とかしてやろうという気持ちで試合に臨みました。それで勝てたので良かったんですが、チームとしては負けてしまったので、雰囲気作りという面ではまだ足りなかったんだと思います。(序盤から強気に攻めていた。相手の研究はしていたのか)去年も戦った相手なのですが、自分も研究されている立場だと思ってさらに相手よりも研究したつもりです。(判定勝ちを収めたが、その要因となったポイントは)積極的に前に出られたというのが一番の勝因だと思います。(次節の平成国際大戦に向けて)相手は格上だと思うのですが、気持ちの面で絶対に負けないように全力で頑張りたいです。
徳山雄太(理4・南山)
(リーグ初戦に向けてどんな気持ちで臨んだか)初戦の明大戦ですが、一番重要な試合だと思っていて、今日勝つか負けるかでAクラス(3位以上)入りが決まるようなものなので、絶対に負けられない戦いだなという気持ちで臨みました。(今日の試合を振り返って)まず負けてきたというのが予想外でした。勝ってくるか、引き分けてくるかのどっちかだと思っていたので、なんとも言えない気持ちのまま戦ったんですけど、勝てるということは思ってたので、実際に試合してみて、いけるという感覚でした。ただちょっと熱くなりすぎちゃって右腕が出すぎたっていう印象ですね。気持ちが出ちゃいましたね。(相手選手の印象は)うまいなっていうのは対策するときから感じていました。インターハイにも出場していた選手なので、基本がしっかりしてきれいな動きをする印象はあったんですけど、軽めの選手だったので、力で押せば勝てると思いました。
(勝利を収めた時の状況について)相手が頭をずっと下げていたので減点をとられ、判定勝ちになりました。初めてのことだったので、驚きました。ぼくはTKO狙っていて、相手にパンチが効いていたので、これは倒せると思って決めにいったら、予想外の結果になりました。倒したかったですね。(次節の平成国際大戦に向けて)平成国際大は強いので、最大限の努力をして、試合でなにか得るものがあればいいなと思います。