【ソッカー(女子)】関東リーグ前期第5節 「負けに等しい引き分け」…ホームで格下相手に痛恨のドロー 前橋育英高校戦

2週間ぶりの関東リーグとなったこの試合は、ホーム・下田グラウンドで行われた。最下位に沈む前橋育英高校を相手に確実に勝ち切りたい慶大は、11分に小川愛(総1・神村学園高)のゴールで幸先よく先制に成功。その後はボールこそ支配したもののなかなか決定機を作り出せず、時間だけが過ぎていく。すると、終了間際の88分にカウンターから失点。是が非でも勝ち点3を取りたい試合だったが、痛恨の引き分けに終わった。

 

 

第23回関東女子サッカー2部リーグ 前期第5

 

2017/05/21(日)15:30KO@慶應義塾下田グラウンド

 

慶應義塾大学1-1前橋育英高校

 

【得点者(アシスト者)

〔慶〕11小川愛

〔前〕88久保田明未

 

◇慶大出場選手

GK野村智美(総4・作陽高)

DF佐藤幸恵(総1・十文字高)→79齋藤宇乃(理4・慶應湘南藤沢高)

DF奥本くるみ(環2・浦和レッズレディースユース)→60加藤楓琳(総2・常盤木学園高)

DF熊谷明奈(総1・十文字高)

DF 鈴村萌花(総3・村田女子高)→46足立智佳(環1・大阪桐蔭高)

MF松木里緒(環2・常盤木学園高)

MF中島菜々子(総3・十文字高)

MF工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)

MF小川愛(総1・神村学園高)

FW勝木日南子(総2・大和高)→88石川結菜(総1・静岡高)

FW高見澤るり(政4・慶應女子高)→46志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)

 

前節、慶大はMITO EIKO FC 茨城レディースとの上位対決に敗れて関東リーグ初黒星を喫した。昇格争いに食らいつくためにも、連敗は避けたいところだ。今節の対戦相手、前橋育英高校は勝ち点1で最下位に沈んでおり、ホームで確実に勝利すること、そして大量得点が求められる。この試合では、前節を欠場した工藤真子(総2・日テレ・メニーナ)がボランチの位置で復帰。また、前線には高見澤るり(政4・慶應女子高)が入り、今季初先発となった。

 

試合は立ち上がりにいきなり動きを見せる。11分、小川愛(総1・神村学園高)がPAの左手前でボールを受けると、意表を突くロングシュート。相手GKがやや前に出ているところを見逃さなかった小川のシュートが決まり、慶大が幸先よく先制点を挙げた。勢いそのままに追加点を奪いたい慶大だったが、その後はトーンダウン。ボールこそ支配しているものの、「自分たちがパスを回しているだけ」(工藤)で個々の動き出しが少なく、決定的なシーンを作り出せない。チャンスらしいチャンスは勝木日南子(総2・大和高)のボレーシュートが右ポストに阻まれた場面くらいで、追加点を挙げられないまま前半を終えた。

 

ハーフタイムに、伊藤洋平監督は「最後のところでもうひとつスピードアップしてアクションを起こそう」と指示。さらに高見澤を下げて志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)を投入し、停滞気味だった攻撃の活性化を図る。

 

しかしながら、状況は大きくは変わらず。前半同様にボールを握りはしているが決定機は生まれない。逆に自分たちのミスから相手に攻め込まれるシーンも。57分、ミスでボールを失うと左サイドからクロスを上げられる。これを大外で待っていた相手選手に合わせられたが、シュートは枠の外へ。危険な場面を迎え、慶大は肝を冷やした。すると65分、今度は慶大にチャンスが訪れる。小川が後半開始から投入されていた足立智佳(環1・大阪桐蔭高)とのパス交換で狭いエリアを突破すると、最後は右足でシュートを狙うが枠を捉えられず。追加点を挙げるには至らない。1-0のまま、試合は終盤に突入。勝ち点3もすぐそこに見えていた88分の出来事だった。慶大は相手ゴール前でFKを獲得。時間帯とスコアを考えれば、はっきりとプレーを終わらせておきたいところだったが、ここでボールを奪われてしまい相手のカウンターを食らう。GK野村智美(総4・作陽高)との一対一をきっちりと沈められ、スコアは振り出しに。直後の89分、勝ち越したい慶大は松木里緒(環2・常盤木学園高)の仕掛けからゴール前の小川にボールが渡ったが、小川はこのチャンスをものにできず。最後の絶好機を逃し、試合は1-1で終了の笛を迎えた。

 

試合後、伊藤監督は「負けに等しい引き分けだった」と落胆の表情。選手たちも悔しさを隠せなかった。取りこぼしの許されない相手を前に1点しか奪えず、終了間際に追いつかれてしまったのはまさに痛恨の極みと言える。5試合を終えて複数得点を挙げたゲームが1試合も無いように、その得点力不足は深刻だ。また、3失点はリーグ最少こそ記録しているが、この試合でも見られたように自分たちのミスから攻め込まれるシーンが散見される。開幕から約1カ月が経過したが、野村主将が「個人個人でやってしまっている。チーム全体として同じ像を描けていない」と語るように、攻守ともにその課題は根が深い。目標に掲げる「大学リーグ1部昇格」「早慶戦勝利」を成し遂げるためにも、文字通りチーム一丸となって今後の戦いに臨むことが求められる。

 

(記事 小林将平)

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試合後コメント

 

伊藤洋平監督

(今の率直な気持ちを)いやあもう…負けですね。負けました。実際負けですこれは。負けに等しい引き分けだったと思います。(試合を振り返って)日本航空高校と同じように相手が後ろを5枚で固めてきて、立ち上がりで点を取れたんで楽に試合を運べるかなと思ったんですけど、やっぱりそこでもう1点を取れなかった。そのツケが最後に回ってきたのかなと思います。(前節の敗戦を受けて取り組んできたことは)2週間空いたんですけど、自分たちでアクションを起こそうということでやってきて、まさしくこの試合は自分たちでボールを握れたので自分たちがアクションを起こさない限り試合も動かないと思いましたし、良い状況ではあったんですけどやっぱり最後は課題を改善しきれていないというのを露呈してしまいました。(前線に高見澤を配置した狙いは)練習の中で今週テーマとしてやってきた攻撃のアクションを起こすというところでは非常に良い動きをしていたんで、先発で使いました。(働きぶりはどうだったか)   前半そんなに収まらなかったんですけど、背後を突く動きでアクションしてくれることで他の人のスペースを作ってくれたりとかしてくれたんで、その点に関しては評価しています。(前半早い時間帯で先制したがその後はボールを支配しながら決定機を作り出せなかった。ハーフタイムにはどのような指示をしたのか)もう少しパススピードを上げていこうというのと、あとはもう少し段差をつけたりとか、縦パスを早く入れたりとか、最後のところでもうひとつスピードアップしてアクションを起こそうという話をしました。(志鎌を投入したのもその辺りの狙いからか)そうですね、はい。(まだ複数得点の試合が一度もないが、勝ち切るためにはゴール数を伸ばしていかないといけない)まさしくその通りで。というのもあって、受け身だと点は取れないんで自分たちからアクションを起こそうということで取り組んでいて、引き続きこれは僕らの課題でもあるということを認識できたんで、また取り組んでいきたいです。(今後に向けて)本当に高い勉強代を払ったんで。これをどう受け止めてどう行動に移すかがやっぱり大事だと思うんで、この教訓を忘れないようにしたいと思います。

 

野村智美(総4・作陽高)主将

(試合を振り返って)勝ちたかったです。もうただそれだけだし、もう本当に勝ち切らなきゃいけなかったし、大量得点でリーグ戦の上位に追いつかなきゃいけないという状況の中でこの引き分けはほぼ負けの結果と一緒だと思うんで、本当に反省しています。(前節の敗戦を受けて引き締め直してという側面と、最下位相手に確実に勝利したいという側面の両方があったと思うが、どのような気持ちで試合に臨んだか)まずチームとしてこの前の敗戦から自分たちからアクションを起こしてそこに対してチームの勢いを持っていってっていうピッチ上でのテーマで入っていって、そこの部分は各自すごく意識してできていたかなというところなんですけど、リーグ戦の立ち位置、相手は最下位で自分たちは上位に追いつかないといけないという状況の中での認識としては、ずっと言い続けていたんですけど結果甘くてピッチの上でも表現できていなかったなと感じます。(ボールは持てているが1試合に1点取れるか取れないかという状況が続いている中で、後ろから見ていて感じることは)チームとしての全体像の認識というのがまだまだ甘いのかなっていうのがあって。間違いなく技術力は上がっているし、チームとして一人一人が持っている勢いというのはあるんですけど、それを同じ方向に持っていくというのが今は合っていなくて。「じゃあどのタイミングで自分たちがスイッチを入れるのか」とか「ここはひとつやめておこう」という判断も個人個人でやってしまっている。チーム全体として同じ像を描けていないというのが今の結果につながってしまっているんじゃないかなという感じです。(そこは練習ですり合わせていくしかないのか)そうですね、練習で共通認識を持つことも大事ですし、ミーティングなどを通して全体で同じイメージを徹底的にすり込むぐらいやらなければいけないなと。特に下の学年が多く出ている中で、感覚的にやっているだけじゃ追いつかないという部分がすごく最近の試合で顕著に出ていて、そこに対してトップ・サブ関わらず全員で取り組んでいかなきゃなというふうに感じています。(次の試合に向けて)ここ2試合勝ち切れなかったというのはチーム全体としてかなり痛手ですし、自分たちが目標としているところとかなり違っているという現状を自分たちの力で変えていきたい、相手がどうこうじゃなくて自分たちがこういうサッカーをしたくてこういうサッカーで勝ち切るんだというのを全体で持って、しっかり結果につなげていきたいなと思います。

 

工藤真子(総2・日テレ・メニーナ)

(試合を振り返って)絶対勝たなきゃいけない相手なのにまず1点しか決められなかったということ、本当はもっと得点を奪わなきゃいけない相手だったのに1点で終わってしまったのはすごくもったいないし、最後の最後にカウンターでやられてしまったというのもやっぱりチームの弱い部分が出てしまったのかなと思います。(ボールを支配した中でなかなか決定機を作り出せなかったが、実際にピッチ上で感じていたことは)相手が5バックということもあってなかなか前に行けず、自分たちがパスを回しているだけで、全体的に裏を狙おうという意識はあったんですけどなかなかそのパスもつなぐことができずに、自分たちでパスミスとかをしてしまって流れを悪くしてしまったのかなと思います。(その辺りは開幕から複数得点の試合が一度もない中でずっと続いている課題なのか)そうですね、やっぱり得点力が無いというのが今のチームの課題であって、そこを改善しないとこれからの試合もきついなと思います。(個人としてはユニバーシアードの代表候補合宿にも参加したが、そこで得られたものは)やっぱりみんなレベルが高くて、お互いが要求し合っていたので、そういう部分も慶應でお互いに要求し合えるような関係性を作っていけたらもっと良いチームになるかなと思います。(今後に向けて)まずは来週の尚美学園大学戦、本当に勝たなきゃいけない相手だし、順位的にも上位を狙わないといけないので、絶対に勝ち点3を奪えるようにチーム一丸となって戦って頑張っていきたいと思います。

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