ここまで春季大会3連勝。波に乗る慶大は、対抗戦のライバル校筑波大との一戦に臨んだ。序盤に2トライを奪われてリードされるも、前半21分にCTB栗原由太(環2・桐蔭学園)のトライから反撃開始。その後連続トライで逆転し、前半を折り返す。後半もペースを握ったのは慶大。先週の早大との招待試合で浮き彫りになったブレイクダウンでの課題をしっかり修正し、後半にも3トライを追加した。試合は42-19でノーサイド。見事に春季大会を4連勝で終え、Bグループを全勝で制した!
得点 | ||||
慶大 |
| 筑波大 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
3 | 3 | T | 2 | 1 |
3 | 3 | G | 1 | 1 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
21 | 21 | 小計 | 12 | 7 |
42 | 合計 | 19 |
6/11(日) 13:00K.O. 関東大学春季大会 vs筑波大
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 細田隼都(商4・慶應) | →後半36分 町田裕史(文4・埼玉栄) |
2.HO | 安田裕貴(政2・慶應) | →後半24分 岡田遼大(経4・慶應志木) |
3.PR | 中島雅大(環3・桐蔭学園) | →後半36分 菅公平(政3・慶應) |
4.LO | 辻雄康(文3・慶應) |
|
5.LO | 佐藤大樹(総4・桐蔭学園) | →後半40分 植竹創(商3・湘南) |
6.FL | 辻本大河(法3・慶應) |
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7.FL | 永末千加良(法4・慶應) |
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8.No.8 | 山中侃(商3・慶應) | →後半0分 古館健介(経4・慶應) |
9.SH | 小宮山大地(政4・慶應) | →後半40分 小田嶋啓太(環4・桐蔭学園) |
10.SO | 今泉宏健(総4・清真学園) | →後半14分 鎌形正汰(商1・慶應) |
11.WTB | 高木一成(商2・慶應) | →後半34分 安西浩昭(政2・慶應) |
12.CTB | 堀越貴晴(総4・茗渓学園) |
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13.CTB | 栗原由太(環2・桐蔭学園) |
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14.WTB | 権正拓也(政4・慶應) |
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15.FB | 丹治辰碩(政3・慶應) |
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試合は筑波大のボールでキックオフ。序盤、慶大は筑波大の速いパス回しに翻弄され、ペースを握られる。7分、左サイドから攻め込まれるとそこから筑波大は中央へ展開。小刻みなパス回しにディフェンスが追いつかず、ギャップを突かれて先制トライを許した。さらに13分、慶大のペナルティーから相手にボールがわたり、左サイドを攻め込まれて最後は認定トライ。連続でトライを許し、まずは筑波大が試合の主導権を握った。しかし試合が進むにつれて、慶大も堅実に守りを固める。スクラムやモールで優勢を保ち、ブレイクダウンでも早い詰めでマイボールをキープする。徐々にリズムが生まれてきた21分、マイボールラインアウトから22mライン付近でボールを受けたCTB栗原が相手DF陣を振り払い、トライを奪った。36分にはゴールライン手前まで詰め寄ると、最後はPR細田隼都(商4・慶應)が押し込みトライ。さらに終了間際にも、モールでゴールラインまで押し込むと最後はCTB堀越貴晴(総4・茗渓学園)が飛び込んでトライを奪った。3つのトライで序盤のビハインドをひっくり返し、前半を折り返した。
勢いに乗る慶大は、後半も開始早々に筑波大を攻め立てる。2分、永末千加良(法4・慶應)がボールを受けると、あっという間に相手DFのギャップを抜けトライ。さらに10分には、パスをつないで最後はWTB権正拓也(政4・慶應)が右サイドを突破しトライを奪う。13分に一瞬の隙を突かれトライを許すと、その後は拮抗した展開になる。互いにペナルティーが増え、両チームともになかなかボールをキープできない。しかし33分、相手陣内での相手ボールスクラムを慶大FW陣が押し込んでターンオーバー。最後はLO辻雄康(文3・慶應)がゴール右横に飛び込み、とどめのトライを決めた。42-19でノーサイド。慶大がダブルスコアで勝利を収めた。
充実した80分間だった。立ち上がりこそ筑波大に続けてトライを許したが、その後は慶大のペース。早大との招待試合で課題となったブレイクダウンでもチームとして意識は統一され、簡単にはボールを相手に渡さなかった。また、スクラムでも筑波大を圧倒。相手ボールスクラムからターンオーバーする場面も見られ、終始優勢を保った。
しかし、課題がまったく無かったわけではない。この試合はラインアウトでマイボールを獲得できず、相手にボールが渡るシーンが多々見られた。そこでしっかりボールをキープできれば、攻撃にもさらにリズム感が出てくるに違いない。
この勝利で、慶大は春季大会を4戦全勝で終えることとなった。(最終戦の中大戦が中大の出場辞退で不戦勝となったため。18日は代わりに練習試合が実施される)主力を欠いた試合もあった中で、多くの選手がAチームの試合に出場、活躍したことは大きな収穫だったのではないだろうか。しかし、堀越副将が「相手は自分たちがターゲットにしている相手ではない」と語ったように、秋の対抗戦に向けては、帝京大、明大、早大といった春季大会ではAグループに在籍していた大学にも勝利できる力を培う必要がある。「大学日本一」。その目標へ向けて、まだ道半ばだ。
(記事:重川航太朗 写真:田中壱規、萬代理人)
以下、コメント
LO佐藤大樹主将(総4・桐蔭学園)
―—試合を振り返って
早稲田戦の課題がブレイクダウンだったので、ブレイクダウンを崩すことを意識して試合に臨みました。ブレイクダウンに関しては良かったと思います。
―—ラインアウトのミスが多かったことに関して
スローワー、リフト、ジャンパーでタイミングを合わせる練習はしていたのですが、スローの質などを高めるようにしっかり練習していきたいです。
―—スクラムが早稲田戦より良かった
スクラムに関しては、筑波は早稲田ほど力がないので、もっとスクラムで押せたと思いますが、悪くなかったと思います。
―—自身のプレーを振り返って
満足できるプレーができてないので、しっかり練習していきたいです。
―—春季大会の総括
春季大会は今日で終わりですが、練習試合とかがあるので気持ちを切らさずにやっていきたいと思います。
CTB堀越貴晴副将(総4・茗渓学園)
―—試合を振り返って
チームとしてはブレイクダウンのところにフォーカスしていて、相手にしつこくして密集のところで好きにさせないことがテーマでした。この前の早稲田戦よりは改善できたと思います。
―—先週の課題を受けて今日はどうだったか
先週は相手が接点で前に出てくるのに対して、そこに人数を費やした上に負けてしまったことでアタックのリズムが出なかったので、自分たちのアタックができるようにブレイクダウンのところで相手を排除していこうという気持ちでいました。
―—BK陣の活躍が目立った印象を受けましたが
自分の中ではもうちょっとできたかなというのがあって、ラインブレイクは何回かあったんですけど、BKでもう少しいい形ができれば良かったかなと思います。
―—コンバージョンキックを全て成功させました
古田(京=医3・慶應)が今ケガでいなくて、僕がキッカー務めるということで、練習もしっかりしていましたし調子もいいかなと思うんですけど、最後のペナルティーを外すあたりはもうちょっとやらないといけないですね。
―—ブレイクダウン以外で先週から修正できた部分は
アタックでは早稲田戦は相手陣にどうやって入っていくかだったり、ラインスピードがいまいち良くなかったりしたので、キックを相手の裏に蹴ることや、アタックもパスの距離を長くし過ぎないで上手い距離感でトップスピードでパスをするというのを意識しました。その部分は修正できたかなと思います。
―—昨年と比べて筑波大のイメージは
スタイルはあまり変わっていなかったので、僕としてはイメージ通りでした。ただ、相手の両センターが相手の主軸で強力なので、そこに好き勝手やられないように今日は意識していました。
―—これで春季大会は4連勝となりました
自分が出なかった試合も多くて、色んな選手がローテーションしながら試合に出場して、チームの底力というところで層を厚くするという意味で良かったと思います。ただ、相手は自分たちがターゲットにしている相手ではないので、そういった相手にも秋にしっかり戦っていけるようにチームとしてビルドアップしていかなければいけないと思います。
CTB栗原由太(環2・桐蔭学園)
―—試合を振り返って
先週の課題にブレイクダウンがあったので、そこにフォーカスをあてて1週間練習してきて、試合も意識してプレーしました。ブレイクダウンで良かった場面が多かったので、今日の試合内容も良かったのかなと思います。
―自身のタックルはどうでしたか
今日の展開的にあまり低いタックルをする場面があまりなかったのですが、2人目に入るところなどでまだ課題は多いかなという感じです。
―徐々に流れをつかめていきました
ここ最近の課題で、どうしても(試合の)入りが硬くなって受けてしまうというのがあって、今日もそこが出てしまいました。そこから身体を当てて自分たちで何をするべきかをもう一回フォーカスし直して、前半終了間際と後半の始めという、一番大事で流れを掴めるところをとれたので、そこは良かったのかなと思います。
―トライの場面を振り返って
最初に当たったときに、フィジカルで今日は勝てるなとわかりました。自信を持ってしっかり逃げずに真っ直ぐ当たろうとした結果、ああいうトライが生まれて良かったです。
―良い点は多かったが、反省点は
自分たちが攻めるとき、ゴール前になってしまうと、どうしても少し前がかりで急いでラインが浅くなってしまったので、そこのところをもう少し深くして余裕を持ったプレーができるようにしたいです。
―次戦に向けて
この春シーズンにやってきた集大成をしっかり出し切って、夏、秋、大学選手権と優勝につなげていきたいです。