ここまで全戦全勝で勝ち上がってきた慶大は、Vリーグ優勝を懸けFINALで早大との一戦に臨んだ。試合は序盤から攻守の激しく入れ替わる展開を見せるが、MF藤澤陽子(薬3)、AT水梨優花(経2)の得点で3-1と2点リードで前半を終える。後半では意地を見せる早大の猛攻に押され、同点まで追いつかれるも、MF堺由菜(法3)に次ぎMF髙木麻由(商1)が得点を決め再びリードを奪う。チームの掲げる「圧倒的運動量」を体現し、最後まで走りきった慶大が5-3で勝利を収め、Vリーグ優勝を飾った。
Vリーグ FINAL vs早大
11/19(日) 18:50ドロー @富士通川崎スタジアム
前半 | 後半 | 合計 | |
慶大 | 3 | 2 | 5 |
中大 | 1 | 2 | 3 |
スタメン
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 15 | 野本日彩子 | 総4 | 雙葉 | 0 |
DF | 35 | 塚原真理 | 商3 | 湘南白百合 | 0 |
DF | 80 | 久保田芽李 | 経4 | 慶應女子 | 0 |
MF | 12 | 後藤沙季 | 環4 | 公文国際学園 | 0 |
MF | 36 | 藤澤陽子 | 薬3 | 慶應女子 | 1 |
MF | 43 | 髙木麻由 | 商1 | 慶應女子 | 1 |
MF | 55 | 寺尾治香 | 商3 | 帝塚山 | 0 |
MF | 88 | 堺由菜 | 法3 | 慶應女子 | 1 |
MF | 91 | 竹内梨紗 | 政2 | 慶應女子 | 0 |
AT | 69 | 水梨優花 | 経2 | 慶應女子 | 2 |
AT | 84 | 河島美咲 | 商3 | 神奈川県立小田原 | 0 |
AT | 85 | 針山怜子 | 文2 | 慶應NY | 0 |
ベンチ入り選手
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 08 | 青山芽生 | 政2 | 慶應湘南藤沢 | 0 |
DF | 92 | 丸野杏奈 | 商3 | 慶應女子 | 0 |
MF | 20 | 溝口友梨奈 | 経1 | 慶應女子 | 0 |
MF | 31 | 馬林颯 | 政3 | 慶應湘南藤沢 | 0 |
MF | 34 | 野明千晴 | 経4 | 鎌倉女学院 | 0 |
MF | 38 | 石井有花子 | 政2 | 雙葉学園 | 0 |
MF | 44 | 上林清香 | 理1 | 慶應女子 | 0 |
MF | 59 | 日野美咲 | 商1 | 慶應女子 | 0 |
7月から続くこのVリーグもいよいよフィナーレを迎える。FINAL相手は宿敵早大。今年の慶大は早慶戦、関東リーグそして準リーグ、すべての対早大戦において勝利を収めている。今年ラストとなる早慶戦でも負けるわけにはいかない。対する早大は慶大に一矢報いたいところ。優勝と両校のプライドを懸け、ライバル同士の熱き戦いが繰り広げられた。
前半は苦しい時間が続いた。その中で5分、藤澤がシュートを決め、幸先の良いスタートを切ったかのように思われる。しかし相手は宿敵早大。果敢に攻め追加点を狙う慶大オフェンス陣に固い守りで対抗し、なかなか2得点目を許さない。試合は、両者がボール奪取をかけてぶつかり合い、攻守の激しい入れ替わりを見せる展開となる。試合が動いたのは24分。ボールを持った水梨が速攻で攻め上がりシュートを決める。待望の2得点目に喜ぶがそれも束の間、直後に早大に1点を返されてしまう。1点リードのまま前半終了かと思われたラスト30秒、またしても水梨が攻撃を仕掛け放ったボールはネットを揺らす。終盤の水梨の活躍により2点リードで後半へ繋いだ。
後半に入ると早大がここで意地を見せつける。7分、早大がフリーシュートを決めると、12分には慶大ディフェンスをかわしゴール。怒涛の猛攻を抑えきれず2得点を許し、ここにきて同点に追いつかれる。しかし「負けるとは思わなかった」(野明)と語るように選手たちに焦りの色は見られなかった。チームの掲げる「圧倒的運動量」を体現する走りで、勢いを増す相手オフェンスに食らいつきこれ以上の得点を許さない。そして15分、早大のファウルで得たフリーシュートを堺が決め、再びリードを奪う。堺の得点を皮切りにチームのオフェンスに火が付く。敵陣でのパス回しから果敢にゴールを狙っていく慶大。途中ボールを奪われる場面も見受けられたが、自慢の走りで貪欲にボールを奪い返していく。そして24分、髙木がシュートを決め、1点突き放したところで試合は終了。宿敵早大相手に接戦を制し、Vリーグ優勝を勝ち取った。
今回勝負の命運を分けたのは、「運動量」だ。攻守が激しく入れ替わったこの試合は、自陣から敵陣までの100メートル以上を何度も走り切る体力勝負となった。そしてその勝負を制したのは、慶大だった。「今日は走って勝つというのを目標にしていて、実際みんな走れていたから勝てたと思う」(堺)、「今までずっとやってきた「走る」ということをライドで体現できた」(野明)と選手たちが口を揃えて言うように、まさにチームが掲げてきた「圧倒的運動量」を体現した試合となった。こうしてチームの強みで勝ち取った優勝は、今後の大きな糧となるだろう。
昨年とチーム方針を変え、準リーグ、Vリーグでは多くの選手が公式戦の舞台を経験した。特に昨年実戦経験が少なかった2年が今年躍動。3年が元気なチームは強いと言われる中で、確実に鍵になる世代が頼もしさを増した。さらに1年も多くデビュー。今後行われる新人戦のウインターとあすなろへ向けて着々と力をつけている。また、それぞれのリーグで宿敵の早大を撃破。来年以降の早慶定期戦やリーグ戦に向けて大きな期待を抱ける結果となった。今年のトップチームのスタメン12人のうち、5人は昨年この時期に準リーグ、Vリーグで試合に出場し、メンバー入りに向けアピールを行なっていた。サブチームという位置付けだが、来年の日本一への礎となる大会であることは間違いない。トップチームの強力な4年が抜ける来年。熾烈な争いが待つ中で、この2大会でアピールを見せた選手が何人レギュラーに食い込んでくるのか注目だ。
トップチームの試合を残すのみとなった2017シーズン。部員101人の思いを一つに残り3試合。慶大ラクロスが日本一まで上り詰める。
(記事:堀口綾乃 写真:津田侑奈)
~Girls be ambitious!~
この企画最後を飾るのは、今回Vリーグで新人王に選出されたMF髙木麻由だ。慶應女子高時代は部員数70人近くに及ぶラクロス部を主将としてまとめ上げた経験を持つ。そんな彼女の強みは、DFの目を切ったカットと安定したクロスワーク。このVリーグではついパスに逃げてしまうゴール前で強く向かっていく勇気を持つことができたという。恵まれた環境のもと、少しでもチームの中で目立とうという意識をもって練習に励む髙木選手は、今後の目標を「リーグ戦に出場して、プレーで日本一に貢献すること」「3年後、自分たちの代で日本一を取りたい」と語る。安定感と頼りがいを併せ持つ彼女が、今後チームを引っ張る重要な選手となることは間違いない。
以下、選手コメント
野明千晴(経4・鎌倉女学院)
(今の率直なお気持ちは)率直にすごく嬉しいです。(今日の試合を振り返って)今までずっとやってきた「走る」ということをライドで体現できたことがよかったです。早大がボールを持ったときに諦めずに最後まで追いかけることができたのでそこがすごく良かったと思います。(前半はなかなか苦しい時間もありましたが)やはりポゼッションしないとシュートはいけないので、ボールを奪うためにニュートラルボールに走って寄って、絶対にグラボを取りきってマイボにするというのをベンチ内からもコーチからも言われて、それを必死に実践していました。(後半、同点に追いつかれたシーンもありましたが)私個人としては負けるとは思わなかったです。理由としては、ずっと点を取られて追いつかれても絶対に前を向くと決めてやってきましたし、走って追いかければボールを奪えると思っていたので、そこでもあまり気持ちは落ち込まなかったです。(最高学年としてチームを引っ張ってこられての感想は)最高学年ではあるのですが、頼りない部分とか結構あったのですが、それでも後輩が付いてきてくれてサポートしてくれたからこのVリーグ優勝ができたと思うので、同期ももちろん、後輩には本当に感謝しています。(この一年でチームの成長を感じますか)一人一人が優勝した瞬間にすごく喜べていて、たぶんそれはみんながチームで優勝したいという気持ちがあったからだと思うので、チーム感というものが最終的にできていたのかなと思います。
堺由菜(法3・慶應女子)
(今日の試合を振り返って)今日は走って勝つというのを目標にしていて、実際みんな走れていたから勝てたと思うので、良かったです。(相手の追い上げにどう対処しましたか)グラウンドボールを取り切るということを途中声掛けしていて、ボールに寄るというのを徹底してやりました。(ご自身の得点シーンの感想は)私は普段あまりアタックはやらないので、フリーシュートになって少し緊張したんですけど、ここで決めたら逆転と思っていたので、決まって良かったです。(春からのVリーグ全体を通して)みんなVリーグを目標にやっていて、試合が進む中でどんどん成長できたのかな、と思うので良かったです。(来年への抱負は)このシーズンを通して自分の強みや弱みが見つかったので、強いところは伸ばして、弱いところは埋めて、来年はもっと活躍できるように頑張りたいです。