大学王者の称号を手に入れるべく、南山大を破った慶大は、西の覇者同大との決勝戦に臨んだ。開始1分、AT西村沙和子(商3)が速攻で仕掛け先制点を挙げると、MF白子未祐(文4)、AT友岡阿美(政3)が立て続けにゴールを決め、試合は序盤から慶大の独壇場となる。終始攻撃で相手を圧倒し続け前半を7-1で折り返すと、後半も勢いは止まらない。AT出原佳代子(経4)らアタック陣を中心に順調に得点を重ねていき、13-2と大差で勝利。関西王者・同大を破り、慶大が「圧倒的勝利」で大学王者に輝いた。
全日本ラクロス大学選手権 決勝 vs同志社大
11/26(日) 14:30ドロー @駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
前半 | 後半 | 合計 | |
慶大 | 7 | 6 | 13 |
同大 | 1 | 1 | 2 |
スタメン
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 49 | 横田真央 | 経4 | 渋谷幕張 | 0 |
DF | 62 | 櫨本美咲 | 経3 | 慶應女子 | 0 |
DF | 70 | 飯豊広奈 | 政4 | 慶應女子 | 0 |
MF | 11 | 竹村薫 | 環4 | 桐蔭学園 | 0 |
MF | 42 | 力丸絢 | 法4 | 慶應湘南藤沢 | 1 |
MF | 66 | 石川のどか | 政3 | 品川女子学院 | 0 |
MF | 73 | 伊藤香奈 | 経3 | 慶應女子 | 1 |
MF | 96 | 白子未祐 | 文4 | 慶應女子 | 4 |
MF | 97 | 小久保磨里奈 | 政3 | 慶應NY | 0 |
AT | 32 | 友岡阿美 | 政3 | 慶應女子 | 2 |
AT | 33 | 西村沙和子 | 商3 | 慶應女子 | 1 |
AT | 99(c) | 出原佳代子 | 経4 | 慶應女子 | 2 |
ベンチ入り選手
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 28 | 大沢かおり | 経3 | 学芸大附属国際 | 0 |
DF | 6 | 望月早紀 | 法4 | 慶應湘南藤沢 | 0 |
MF | 17 | 脇坂遥香 | 経2 | 慶應女子 | 0 |
MF | 58 | 清水珠理 | 商1 | 慶應女子 | 0 |
MF | 77 | 橋本ひかる | 政3 | 慶應女子 | 0 |
MF | 89 | 山﨑茉莉花 | 政4 | 渋谷幕張 | 0 |
MF | 98 | 大橋知佳 | 経4 | 慶應女子 | 1 |
AT | 72 | 吉岡美波 | 理3 | 大妻多摩 | 1 |
大学王者の座を懸けて臨んだ決勝。対する相手は関西制覇を果たした同志社大。「圧倒的運動量」を掲げる慶大と同じ、「走るラクロス」を得意とするチームだ。満員の慶大応援席からの歓声を浴びて、この大舞台で慶大ラクロスを見せつけた。
前半、一発目のドローを白子がとると、慶大オフェンス陣が即座に攻撃を仕掛ける。ゴール前でのMF竹村薫(環4)のパスを西村がそのまま押し込み、開始わずか1分で先制点を挙げる。この勢いに乗り4分、7分と白子が2連続で得点を挙げると、10分には友岡が正面からシュートを決め、一気にリードを広げる。「先制点が決まったというところが大きくて、そこから慶大の流れがついた」(出原)というように、西村の得点を起点として慶大がゲームの主導権を握ることに成功する。途中、「ディフェンスのブレイク対応が全然できていなかった」(横田)と同大のスピード感あるプレーに追いつけずに失点を許す場面も見受けられたが、攻撃の勢いをそがれることはなかった。その後もMF伊藤香奈(経3)、MF大橋知佳(経4)が着実にフリーシュートを入れ、24分には白子が相手ディフェンスを押しのける力強いゴールで観客を沸かせる。高いシュート成功率で7-1と差をつけ、前半を折り返した。
6点リードで迎えた後半1分、白子がその長身を活かして相手ディフェンスの上を抜きシュート。自身この日4得点目を挙げる。前半に続き開始1分で流れを掴む慶大だが、同大のディフェンスに得点の好機を阻まれなかなか2得点目に踏み切れない。しかし11分、出原がフリーシュートを難なく決め、主将としてこの局面を打開する。すると出原の得点に続き15分、AT吉岡美波(理3)が鋭いロングシュートを放ちネットを揺らす。そして16分、今度はMF力丸絢(法4)が1on1で敵を抜かし、ゴールに叩き込む。調子を上げる慶大は、18分に関西王者の意地を見せる同大の速攻にまたしても抜かれ、1点を返されるも、20分、フリーでパスを受けた出原が相手Gをかわしシュートを決め、追加点を挙げる。「走り勝った方が勝つと思っていた」(出原)というように、最後まで高い運動量で圧倒するチームは24分、友岡のこの日2得点目のシュートを決めたところで試合終了。西の覇者、同大を破り、慶大が4年ぶりに全日本大学選手権優勝を飾った。
「大きな舞台で優勝できただけではなくて、しっかりアタック的にいいゲームができたので、自分たちの力が出せたことに達成感を感じています」(横田)というように、終始AT陣の高いシュート成功率で得点を重ねた今回の試合。選手たちはこの全日本大学選手権決勝という大舞台で慶大のラクロスが出せた手ごたえを感じているようだ。しかし彼女たちの望むところはこの大学王者に終わらない。残り社会人チームとの2試合を勝利して、「本当の日本一」を掴み取ること。それが慶大女子ラクロス部の最終目標である。「運動量で絶対に負けない」(出原)と語るように、残り2試合の勝利のカギとなるのはやはり「圧倒的運動量」だ。持ち前の運動量でクラブチームを圧倒し、1年間の集大成を見せてくれることだろう。
次戦 12月9日(土)ラクロス全日本選手権 準決勝 vs 社会人2位
ドロー時間未定 @駒沢オリンピック公園総合運動場第一球技場
(記事:堀口綾乃 写真:内田貴啓、新井賀南子)
以下、選手コメント
(大学頂点を勝ち取られた今のお気持ちはいかがですか)もう本当に嬉しいのひとことに尽きると思います。1年の頃からなかなかここに来ることができなくて、この舞台に立つことも初めてでしたし、ここで学生日本一を取ることができない悔しさを4年目にして今日全て晴らせたので最高に嬉しいです。(今日の試合を振り返って)まず先制点が決まったというところが大きくて、そこから慶應の流れがついたかなと思います。メンバーもそうだったんですけど、私もフィールドに立っていることが本当に楽しくて、全員がゴールに強く向かえていたと思いますし、走り切れたと思ったので、学生日本一(を決める舞台だ)ということで観客も多いなか、なかなかいいパフォーマンスができたのではないかと思っています。(大量の得点リードで終えましたが攻撃に手応えを感じましたか)はい。ずっと課題として、相手のGが上手くてキーマンのような存在だったので、シュートのところでしっかり勝負しようということは言っていて、そこにあまり引っかからなかったところがよかったと思います。でももっと決め切れたシーンはあったと思いますし、もう少しディフェンスを崩してシュートまで行けるシーンもあったので、そこは中から修正しようとはしていたんですけどしきれなかった部分でもあるので、次のクラブに向けて修正できるようにしていきたいです。(ご自身のシュートシーンを振り返って)やはり早めにGと勝負するということを意識していたので、それはできたのかなと思います。でも外したシュートもありますし、まだGと勝負し切れていなかったり、コースが外れてしまったりと反省点も残っていますので、残り2週間、次の試合に向けて修正していきたいです。(相手チームの印象は)スカウティングのときから走ってくるチームだということはわかっていて、私たちも今年「圧倒的運動量」を掲げていて走り勝ったほうが勝つと思っていたので、でもやってみて同志社大もすごく走れていましたし、勢いのある選手もたくさんいたと思うなかで慶大が抑えられたということは自信になったと思いますし、次の試合に繋げられるかなと思っています。(これから社会人チームと対戦するにあたり意識したいことはありますか)社会人の方々は試合経験も多いですし、経験値や技術の面で劣っている部分はあるかなと思うんですけど、今年が始まったときから運動量で絶対に負けないというところを掲げていると思うので、やはりそういうところで負けたとしてもしっかり走り切って社会人を圧倒してしっかり勝ち切って本当の日本一になりたいと思います。(最後に次戦に向けて意気込みをお願いします)何よりも「走る」ということにフォーカスしてこの1年やってきたのでその集大成を見せられればいいかなというふうに思います。
(優勝の率直な気持ち)大きな舞台で優勝できただけではなくて、しっかりアタック的にいいゲームができたので、自分たちの力が出せたことに達成感を感じています。(試合を振り返って)まずアタック陣のシュート率がよく、びびることなくいつも通りに強気の攻撃的なラクロスができていたので、アタック陣を筆頭に良かったと思います。しかし、ディフェンスのブレイク対応が全然できていなかったので、そこを修正していかなければ、クラブチーム相手には厳しい闘いとなってしまうと思います。(守備陣の出来について)自分たち自身がボールを奪えると思いすぎてしまい、変にディフェンス陣がボールばかりに気を取られてしまった結果、結局ボール奪えない時に相手に裏を突かれて、守るべきポジションが空いてしまうことがありました。今後、クラブチームは技術力も高く、同じことをしてたら絶対に勝てないので、冷静になって埋めるべきスペースや戦術的なことを補っていきたいと思います。(同大の印象について)東海大と似ていて、恐れずに攻撃陣がボールを前に走って運んでいて、スピード感あるプレーでシュートをしてくるというイメージでした。(スピード感あるプレーの対応について)ブレイク対応についてはよくできたとは言えませんが、セットになった時は相手が嫌がるようないつものプレッシャーを強めにかけているディフェンスが功を奏したという部分がありました。(改めて社会人のクラブチームとの闘いに向けて)今日はディフェンス面がなくて、いいことではあるのですが、自分もゴーリーとしてあまり出番がなかったのですが、次回からはシュートもたくさんくると思うので、まずは自分がしっかりセーブすることです。あとは課題のブレイク対応をしっかりして、そこで弱みを潰すことで慶應のいいところをたくさん出して得点し勝っていきたいと思います。
(今のお気持ちは)ずっと目指してきたところなので、素直に嬉しいです。(今日の試合を振り返って)同大も南山大と同じで、相手が関西だったので、レベルもわからないし、キーマンはビデオで見てたんですけど、戦ってみないとわからない相手でした。その中で実際に戦って、通用するところも通用しないところもたくさんありましたが、戦って勝てるなとはずっと思っていて。その気持ちを切らさずに、試合を戦えたので、そういうところで同大を圧倒できたと思ってます。(勝てるぞと思った瞬間はいつでしたか)最初にさわこ(#33・西村沙和子)がゴールを決めて、その後も慶大のボールポゼッションが長く続いて、ずっと点が取れたので、勝てるなと思いました。(同大の印象は)スカウティングをしていて、キーマンのGが強いというところがわかって、シュートを重点的に練習してきました。試合中には練習してた分、意識も強くなっていたので、シュートを細かく練習した成果が出ましたし、試合中はGがキーマンっていう意識が少し薄くなって、それが強気になれたところだったので、良いイメージになりました。(大橋選手自身のゴールについて)最近試合に出てても得点がずっと決められなくて、それが悔しいところがありました。チームが勝っていても、個人的に活躍したいと強く思っていたので、今日はボールを持ったら絶対ゴールを決めようと思っていて、その気持ちが現れたシュートでした。(大橋選手自身の今季ここまでを振り返って)4年になって、やるしかないというか日本一になりたい気持ちも今までより強いし、あと1年やるしかなかったと思う中でここまでやってきて、今すごくラクロスが楽しいし、本当にこのチームが好きで日本一になりたいと思っているので、そういう気持ちをあと1ヶ月しかないですが、切らさずに頑張っていきたいです。(今後に向けて)絶対にこのチームで日本一になりたいし、今まで4年間個人的に辛いこともたくさんあったけど、今のチームで日本一になれる気しかしてなくて、この強気で相手がクラブチームで強くなるかもしれないけど、私たちの強さを発揮して圧倒していきたいと思います。
(大学王者になった今の率直な気持ちは)すごく嬉しいです、今はそれだけです。(今日の試合振り返って)フィールドとかいつもと規模が違って、浮ついた雰囲気になっちゃうかもしれないと言われていたんですけど、その中で自分たちのやってきた圧倒的運動量を発揮できて良かったのかなと思います。(ご自身の得点シーンを振り返って)1本目はきちんと狙って打てたので良かったんですが、2本目は観客が「ん?」ってなるくらい不思議なシュートを打ってしまったので、そこは反省してまだ2戦あるので観客を沸かせられるような、「入った!」ってわかるようなシュートを打ちたいです。(相手の印象は)私たちと同じで走るチームだったので、そこだけは絶対負けない気持ちで走り勝つということを徹底してました。(オフェンスで特に意識していたことは)相手は個の力が強いチームで、中に入り込んでもボールを失ってしまう場面もあったので、相手ディフェンスが寄ったら(パスを)捌くってことを意識していました。(次の社会人との対戦への意気込みは)絶対負けたくないし、先輩がいるチームだとしても私たちの強さを発揮できれば勝てると思うので、絶対勝ち切りたいと思います。