【ラグビー 】春季大会開幕前特集第2弾。BKリーダー丹治、豊田、栗原

ラグビー

活躍が期待されるBKリーダー (左から豊田、栗原、丹治)

春季大会開幕が2日後に迫った。

今年は春季リーグをAグループで戦うため、王者帝京大などなみいる強豪校と相見えることとなる。

初戦の相手は昨年、慶大の日本一への道のりに立ちふさがった難敵、大東文化大。初戦から楽しみな対戦カードだ。

我々は、春季リーグ戦が開幕するにあたり、慶應蹴球部に計4回取材させていただいた。

その第2弾は慶大ラグビーの代名詞ともいえるディフェンスで主役となるのがBK陣だ。今回はBKを代表して、プレーで観客を魅了するFB丹治辰碩(政4・慶應)、3年生ながらリーダー陣に名を連ねたCTB栗原由太(環3・桐蔭学園)、そして慶大のBK陣を束ねるUtility豊田康平(総4・國學院久我山)のBKリーダー3人に、新シーズン開幕前の現状を伺った。

——最初にお互いのことを紹介してください。

(豊田さんについて)

丹治:かなりいい人です。

 

栗原:真面目ですね。

 

丹治:あと、多趣味。カフェ巡りとかしてます。

 

栗原:映画もたくさん見てますよね。

 

丹治:趣味はラグビー部で一番多いくらいです。プレーに関してもなんでもできます。

 

栗原:体が大きくて、プレーのスケールもありますけど、その中で器用さも持っていて、丹治さんが故障して帝京大戦で康平さんが出た時、丹治さんに負けないくらい、むしろ勝ってるんじゃないかというくらいの活躍をなさっていて、やはりすごいプレーヤーだなと感じました。

 

栗原さんについて)

豊田:ラグビーに一生懸命なときはとても真剣だし、ふざけるときは一番にふざけるような、両方にふりきれる人です。

そして、頼り甲斐のあるBKの要です。

 

丹治:(栗原選手自身の)お兄さんを尊敬してるのをいつも感じています。

 

栗原:大好きです。

 

豊田:あと髪型が特徴的だよね。

 

丹治:いつもこの感じ。あとウエイトが強い。

 

豊田:パワープレイヤーだよね。もともとFWだし、BKもできる。ベンチプレスもけっこうあがるし。

栗原の力強いプレーに注目だ

 

(丹治さんについて)

栗原:不思議な感じです。1人だけ別の世界にいるような。

 

豊田:おもしろいことが好きで、なんでもやっちゃう。やりすぎなんじゃないかってことまでやってしまうけど、それでみんなを笑わせてくれるので、一緒にいて楽しいです。ウエイトトレーニングは自分でこだわりを持っていて、サプリメントなどを使って食事もしっかりコントロールしています。しかも授業の単位はフル単、ある意味しっかりしてます。

 

栗原:そのギャップがすごいですよね、ストイックなところとふざけるところのギャップ。ウエイト中に好きな音楽が流れた時は、僕と丹治さんで一緒に踊ったりもしているんですけど、追い込むときは一緒に追い込んで。そういうギャップが僕は印象に残っていますね。

 

——昨年シーズンを振り返って個人の感想は

豊田:1年通して春からAチームで出場したり出場しなかったりというのが多い年でした。夏に手首の靭帯を痛めてしまって夏合宿に参加できなかったり、今もリハビリの最中ですが、秋の早慶戦のあとの練習でまた怪我をしてしまってその後の試合全て棒に振ってしまったり。成長するチャンスはたくさんありましたが、とてももったいないと感じる年だったなと思っています。でも夏合宿に行けない間、競走部のコーチにお話をして、自分の弱みをしっかり分析して強化することができました。だから1年を通してみると、もったいないところはありながらも、自分の変えるべきところは変えることができた、ある意味成長につながった年だと思います。

 

栗原:入部して1年はずっとリハビリでもどかしい気持ちでした。その中でFL川合(秀和=総3・國學院久我山)が試合に出ていたりして悔しい気持ちがありました。絶対復帰して活躍しようと意気込んだ昨年は、時々Aチームで出させていただけました。自分の売りであるフィジカルがどれだけ通用するかというのがある程度みえてきました。その中で工夫すべき点も見えてきて、どうすれば自分がもっと上のレベルで通用できるかというのを肌で感じられました。また帝京戦など大事な試合にも出させていただいて、いい時もあれば悪い時もありました。今年はそこで見えた課題を克服したいと思います。

 

丹治:一昨年は入部初年度だったので、チームというより個人にフォーカスをあてていました。去年は自分以外にも周りを生かすというオプションを持つことを意識しました。自分のパスやキックからトライが生まれたこともあったので、そこは自分なりに成長できたなと思います。しかし最後の大東文化大戦でプレーに焦りが出てしまい、自分のミスで相手にボールが渡ってしまうこともありました。やはり日頃から毎日意識していないと試合で追い込まれた時にミスが出てしまうんだなということを実感しました。そこから今年は、1日1日を無駄にしないようにという意識が出てきました。その意識で毎日練習に臨んでいます。

 

——昨シーズンの慶大蹴球部の戦いに点数をつけるとしたら何点か

丹治:80点。自分たちのやっていること自体は間違っていなかったです。負けはしましたが、自分たちで自信もありました。でもやはり結果が全てなので。

 

栗原:85点。やってきたことはマッチしていました。あとは日頃の積み重ねの甘い部分が出てあのような結果になったのかなと思います。

 

豊田:80点。金沢さんが僕らに教えてくれたラグビーは完璧にすれば日本一がとれたものだと思っています。でも結果を出せませんでした。やはり去年から言ってはいましたが練習でのミスに厳しくなかったですね。日々の練習からできたことがあるのではないかと思います。

 

——春の間はどのような点に着目して練習したか

豊田:僕はリハビリをしていたため練習に参加できていませんでした。でも外から練習を見て感じたのは、去年と比べて練習に対する選手たちの意識が全然違うということです。去年の反省から、練習に毎回フォーカスを持ってやっています。それもチーム全体の狙いと、個人個人それぞれの狙いを持っています。練習後にみんなでそれをプレビューする、というのもいい取り組みだと思います。ウエイトトレーニングも去年よりクオリティが上がっています。これも練習と一緒で個人がそれぞれ狙いを持ってやっているのが大きいのかなと思います。

 

栗原:例年慶大が勝てない原因の一つとして「詰めの甘さ」があげられるので、その甘さをなくしたいという意識が強いです。とにかく1日1日悔いのないように、毎回全てを出し切るということで、誰もが練習に対して全力です。それぞれ内容を詰めながら、力を抜いてる人がいれば注意できる、そんな環境ができつつあり、春の開幕に向けていいスタートが切れる状態なので、あとはこれをシーズン通してやりきるだけです。

 

丹治:2月は縦割りでグループ分けをすることにより、今まであまり関わることのなかった下のグレードの選手たちも含めてチーム全体に同じ意識を浸透させるという取り組みがありました。それはうまくいったのかなと今のところは思います。2人が言うような、日頃の意識という部分では、誰がどこのグレードにいてどんな立場になっても、同じ目標に向かってやっていけるかというところで効果が見られるのではないかと思っています。

 

——意識以外に、この春を通してチームに現れた変化は

丹治:コミュニケーションはお互い積極的にとりあうようになりました。そして練習強度というところでも、しっかり体を当てに行くところで当てに行くといったことができているし、去年よりもみんな練習に参加している感覚です。まだ個人差はありますが、良くなっていると思います。

 

豊田:リーダー陣や学年でのミーティングの際よく話すのが、オフフィールドもしっかりしようということです。ロッカーの整理やゴミ拾い、支給されたものを大切に扱うとか、まだ足りていない部分もあると思います。去年までそういうところを指摘する人が決まっていましたが、今年は気づいた人が注意するようになりました。

 

栗原:今年は「チームに貢献する」というのがひとつのフォーカスとして強調されていて、試合に出る選手も出れない選手がどういう気持ちかというのを大切にしています。自分の役割をしっかり理解できるように、チーム愛というものがしっかり育まれているのではないかなと思います。

 

——慶大のキーパーソンは誰か

丹治:新入部員のPR小林裕士(文1・穎明館)です。慶應のラグビーに憧れて入部してきた学生で、ベンチプレスで怪我をしてしまうなどまだ体が出来上がっているわけではありません。でも、自分たちに憧れて入ってきてくれたというのは自分たちも刺激になりますし、その学生がいるだけでチームの雰囲気が良くなっていくような気がします。

 

栗原:やはりキャプテンでないでしょうか。今までの経験値はもちろんのこと、ちょうどいい「柔らかさ」を持っています。キャプテンだからといって堅すぎないという印象があります。キャプテンだとどうしても厳しくなりがちだと思いますが、部員たちが意見を言いやすい、ほどよい距離感のおかげでチームがよく回っているような気がして、豊富な経験を生かして僕らや下のグレードの人たちにも色々教えたりしている場面も見られるので、キャプテンかなと思います。

 

豊田:LO/FL相部(開哉=政2・慶應)くんですね。 U20日本代表に出ている2人のうち1人です。もう1人選ばれているPR大山(祥平=経2・慶應)は去年からすでにAチームで出場していたのでキーマンといえばもちろんそうですが、去年Aチームでの出場がなかった相部も代表でいいものを吸収して帰ってくるのでは、と思います。去年Jr.選手権の試合でもいいタックルを見せていましたし。ポジションはいまLO辻(雄康=文4・慶應)がいるLOのもう一枠を激しく争っている状況ですが、4年生が多い中でそこに2年生でどう食い込んでくるかが楽しみです。

 

——意識している他大の選手は

栗原:早大の齋藤直人ですね。ポジションは違いますが、桐蔭の同期でいちばん仲が良かったので。今もたまに連絡をとっています。彼は今NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)キャンプに参加していて、日本代表の一歩手前のレベルにまでいっています。そのレベルの選手と試合で当たれるというのは、かつての同期というのもありますが、楽しみにしています。

 

豊田:あまりいませんが、強いていうなら帝京の竹山晃暉ですね。高1の時からセブンズでプレーしたり、高3の頃花園で対戦したりと、彼のプレーを見てきていますが、大学でも1年の頃からずっとレギュラーで出ていて、9連覇にも大きく貢献しているのでとてもすごいプレーヤーだと思います。しかし去年試合で当たった時はそんなに遠くないように実感しました。高校の頃自分が引退した最後の試合のキープレーヤーというのもあって、帝京に勝ちたいというのももちろんですが、竹山に勝ちたいという気持ちもあります。

 

丹治:特にいないです。

 

——チーム内にも、ライバル、互いに高め合う仲の選手はいるか

豊田:横にいるこの2人ですね。去年は栗原とCTBを組んでいましたし、今年、僕はFBを任されることもあることから丹治と比較されることもあると思います。僕は2人ほどなにか特別な強みをもっているわけではないですが、2人よりも活躍できる存在でありたいと思っています。今リハビリ中で練習に参加できない間もこの2人は成長を遂げていますが、復帰してから負けたくないという思いがあります。

 

栗原:康平さんです。同じポジションというのもありますが、サイズで負けているし、技術でも及ばないです。ウエイトはもちろんのこと、康平さんと高め合うというか、2人で出た時にいいバランスでやれたらというのがいつもあります。康平さんのような技術を身につけてそれ以上の存在になりたいですし、そういった意味ではひとつの基準といえる、高め合える人が康平さんです。

 

丹治:康平とWTB/FB高木一成(商3・慶應)です。個人的には、チーム内でというより、大学ラグビー界で1番と言われる存在になりたいので、チーム内で同じポジションの選手にはまず負けていられないです。他大もチーム内も関係なく、活躍している人は全員意識しています。

最強を目指す、丹治

——楽しみな新入生、新戦力は

丹治:WTB大木魁(環2・桐蔭学園)です。去年からいい動きをするなと思って見ていました。今年シニアに上がってきていて、考えながらプレイしているし、とても成長してきているし、見ていて伸びしろを感じます。

 

栗原:CTB三木亮弥(総2・京都成章)です。京都成章高校でキャプテンをしていた経験があり、人間的にも優れていますし、タックルがとても上手です。慶應といえばタックルと言われているくらいなので、彼のプレーがチームにいい影響を及ぼしますね。

 

豊田:僕はリハビリ中なので今セブンズのコーチを務めさせてもらっているのですが、その練習を見ている中で気になる選手は2人います。SH/SO中山奏(商2・Greenwich High School)とFB金堂眞弥(環2・城南)です。中山は器用です。相手のスペースを見つけるのが本当に上手く、ジュニアレベルにいるのがもったいないくらいの選手です。いまスクラムハーフをやっていて、もしかしたらスタンドオフもやるかもしれません。今持っているスキルは充分高いし、あとは体づくりをしっかりすればいいプレーヤーになるのではないかと思います。金堂はとても体の大きいプレーヤーで、それでいて足も速いです。いままではなかなかアピールの場がなくて上のチームに上がることはありませんでしたが、パスもキックもできるユーティリティなプレーヤーで、アピールさえできれば上に行けるポテンシャルがあると思うので、存分にアピールして上のチームにきてもらいたいと思います。

 

——チームがいい状況で開幕を迎える中、BK陣が担うべき役割はなにか

丹治:今年はシステムを色々変えてきました。去年までと違うことはたくさんありますが、BKがやることは変わらず「判断」だと思います。FWが中で戦っている中、BKはそれを外から見てどうコントロールしていくかを常に判断するという役割があるのではないかなと思います。

 

豊田:それに尽きます。僕の高校の監督がおっしゃっていた「勝敗を決めるのはFW、点差を決めるのはBK」というのがあって、BKは丹治をはじめとしてトライゲッターがたくさんいるので、活躍できるのではないかと思います。

 

——開幕が迫っていますが、初戦の相手である大東文化大の印象は

栗原:外国人選手です。

 

丹治:スクラムもね。

 

豊田:スクラムは特に。去年最後の試合で、スクラムでやられてしまったところがあるので。去年戦ったメンバーの中に4年生はあまりいなくて下級生ばかりだったため、その戦力がまだ残っていて今年も強いと思います。

 

——豊田さんと丹治さんは最上級生として迎えるシーズン。何か心境の変化は

豊田:去年よりチームのことを考えるようになりました。リーダーという役職をやらせていただいているので、自分だけではなくて下級生のプレーにも目を配ってアドバイスを積極的にしてあげようという気になりました。自分も先輩にそうしてもらってここまできたので、下の世代にもそれをつなげていきたいです。

 

丹治:同じポジションの後輩も最初から自分では話しかけづらいと思うので、声をかけやすいように配慮しています。アドバイスも、以前は練習中面倒だと思ったら声をかけなかったこともありましたが、アドバイスをするのは去年から試合に出ている選手の義務だと思っているので、今年は積極的に声をかけています。

けがからの復帰が待ち望まれる豊田

 

 

——最後に今年1年間の意気込みを

豊田:今はまだリハビリ中なので、いち早く治して、復帰後すぐレギュラーでできるように今できることをしっかりやろうと思います。

 

栗原:3年生でありながらこういう役職を任せてもらっているということは、やはりチームをまとめることが大切だと思いますし、しっかり体を張って背中で見せていけるリーダーでありたいです。その結果が日本一につながればいいなと思います。

 

丹治:最強を目指して毎日を生きます!

 

豊田:丹治らしい(笑)

 

お忙しい中ありがとうございました。

 

春季大会日程

4月28日(土) VS大東文化大 13:00KO(慶大日吉グラウンド)

5月5日(土)  VS流通経済大 14:00KO(保土ヶ谷公園ラグビー場)

5月20日(日) VS明治大   13:00KO(石巻市総合運動公園フットボール場)     

6月3日(日)  VS東海大   13:00KO(東海大学グラウンド)

6月10日(日) VS帝京大   14:00KO(富山県総合陸上競技場)

 

 

(取材:竹内大志、写真:川下侑美)

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