ついに決戦の日は訪れた。4部2位の慶大はこの日、シーズン当初から目標に掲げていた3部昇格を懸け、3部23位の獨協大と対戦する。偶然にも入れ替え戦では同カードが3年連続で実現するという、まさに因縁の対決。一昨季は慶大が勝って3部残留、昨季は敗れて無念の4部降格を味わった。3度目の対戦となる今回、勝利の女神は果たしてどちらに微笑むのか。大歓声が鳴り響く中、運命の一戦が幕を開けた。
2018/11/4(日)@流通経済大学龍ヶ崎校舎Bコート | |||||
第68回関東大学女子バスケットボールリーグ戦3・4部入れ替え戦vs獨協大 | |||||
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
慶大 | 21 | 15 | 12 | 19 | 67 |
獨協大 | 9 | 16 | 18 | 11 | 54 |
◆慶大スターティングメンバ―◆ | |||||
| #4 森川唯加(経4・慶應義塾女子) | ||||
| #6 豊村沙恵(商4・慶應義塾ニューヨーク学院) | ||||
| #8 井ノ本雅子(商4・四天王寺) | ||||
| #19 武藤怜(商1・成蹊) | ||||
| #20 眞尾瞳(商1・浦和第一女子) |
1Q、慶大は豊村のフリースローで幸先よく先制すると、さらに武藤のハッスルプレーから眞尾のゴール下が決まる。その後も豊村や眞尾がオフェンスリバウンドを連発しペイントエリアを制圧。次々と得点を奪って12-6とする。相手のタイムアウト後も勢いは止まらず、武藤の巧みなスクープショットや豊村のパスカットからの井ノ本の速攻が決まり、5分間で11-0のランを披露。守備でも井ノ本が厳しいチェックを見せ、森川を中心にディフェンスリバウンドも奮闘。ルーズボールにも果敢に飛び込んで流れを呼び込み、21-9と完璧な出来で最初のQを終えた。
2Qは相手の激しいディフェンスを前にターンオーバーが増える苦しい展開。それでもタイムアウト明けに眞尾がジャンパーを連続で沈め、悪い流れを断ち切った。中盤に森川の裏パスから豊村へという4年生の連係プレーが飛び出すと、続いては武藤と眞尾の1年生コンビが連続でバスカンをヒット。33-18と再び点差を広げた。眞尾が華麗なスティールやブロックで見せ場を作るなど、ディフェンスも引き続き機能。最後は井ノ本と森川がフリースローで確実に加点し、36-25と二桁点差でハーフタイムを迎えた。
3Qは豊村がゴール下を連続で決めてスタートするも、外が当たり始めた相手に徐々に押されていく。慶大は森川のフローターや眞尾のドライブで反撃を試みるも、相手の前から激しく当たる守備を前にオフェンスの形を作れず、残り3分半で44-41と3点差にまで迫られた。それでも武藤のレイアップ、森川のアシストからの豊村のゴール下でようやく相手ディフェンスをこじ開けると、以降は落ち着きを取り戻す。豊村がリバウンドで粘りを見せ相手の最後の攻撃も守り切り、5点リードで勝負の最終Qへ。
4Qは相手に先制を許し再び3点差に。しかしここから豊村がインサイドで存在感を発揮。森川の巧みな合わせから確実にゴール下のシュートを沈めていく。中盤には眞尾が速攻と1on1からの得意のドライブで敵陣を切り裂き得点を量産。残り5分に森川がフリースローを2投決めて60-49と点差を再び二桁に広げると、直後には怪我からの復帰戦となった梅木理沙(経3・慶應義塾女子)が3ポイントで待望の初得点。慶大ベンチはこの日最大の盛り上がりを見せた。ディフェンスやルーズボールの局面でも、全員が慶大らしい魂のこもったプレーを披露し、終盤も相手に流れは渡さない。残り3分以降は互いにシュートが落ちる展開となったものの、慶大は豊村のゴール下と森川のフリースローで加点。その後も危なげなく逃げ切って67-54で試合終了。昨季のリベンジを果たし、1年での3部復帰を決めた。
チーム始動時から常に全員が目標に掲げてきた3部昇格。それを決める重要な一戦で選手たちは最高のパフォーマンスを披露してくれた。立ち上がり、流れが悪くなった時のプレー、そして接戦をものにする力。これまでに挙げられてきた課題を克服して勝利を掴み取ったこの試合は、まさに今季の集大成といえる一戦だった。今季のスローガンである“繋”の言葉通り、選手全員が繋がり合って一つになった慶大。彼女たちが一年を通して素晴らしい戦いを見せてくれたことに、最大限の感謝の言葉を送りたい。
(記事・写真:徳吉勇斗)
森川唯加(経4・慶應義塾女子)
――今の気持ちは
あんまりまだ実感が湧かなくて、嬉しいんですけど、ホッとした気持ちが一番大きいです。1年間ずっとこの試合に向けてやってきたので・・・。でもやっぱり責任があったので、終わったことにホッとしています(笑)。
――試合を振り返って
開始の1Q出だしのところで、こちらが向こうと違って良い流れで入れたことが大きかったと思います。あとは4番と14番を抑えてくれたメイ(眞尾)とミヤコ(井ノ本)のところが一番のキーポイントだったと思うので、そこの点数を低く抑えられたことが今日の勝因だと思います。
――点差を離せない展開が続いたが
途中4Qの頭とかに結構点数が縮まってしまって、競ったは競ったんですけど、あんまり自分の中に負けるっていう感じが湧いてこなくて、絶対勝てるっていう気持ちしかなかったです。なので不安とかは無かったですね。
――最後に勝ち切れた要因は
ずっと信じてやってきたことを最後までやり切れたことが、一番良かったことだと思います。
――チームメイトの存在は
1年間キャプテンとしてやらせてもらったんですけど、なかなか向いてるって思うことが自分自身少なくて、結構余裕が無くてたくさん迷惑を掛けてしまったんですけど、みんながいてくれたからここまで頑張れたと思います。
――最後の六大学リーグに向けて
ルウ(和田)が最後試合に出られると思います。彼女自身が一番試合に出れてないことに悔しさを感じる中でも、シューティングのパス出しに毎朝来てくれたりだとか、チームにどうしたら貢献できるかを考えてやってくれていたので、ルウと一緒に最後プレーをして終わりたいなと思います。
磯部紗希(文4・國學院久我山)
――今の気持ちは
本当にむちゃくちゃ嬉しいです(笑)。
――試合を振り返って
今まで重い責任を背負ってきてくれたスタメン5人と、交代で出る後輩も全員含めて、本当にみんな頑張ってくれたなと。ベンチもしっかり声を出してくれて、チームが一つになれたから勝てたのかなと思います。
――プレー中意識したことは
自分が使われるのはスタメンの人を休ませる繋ぎの時なので、なるべくミスを無くしてシュートを打てるところは狙おうと思って臨みました。
――同期に伝えたいことは
何回も辛いこととか苦しいことがあったんですけど、本当にありがとうと伝えたいですね。
――六大学に向けて
今まで自分が4年間やってきて培ってきたものとか、何かって言えるわけじゃないんですけど、後輩たちに慶應のバスケットボールってこういうことだよっていうのを伝えられるように、最後までやろうかなと思っています。
豊村沙恵(商4・慶應義塾ニューヨーク学院)
――今の気持ちは
1年間目標にしていた試合だったので、みんなで目標を達成することができて本当に嬉しいです。嬉しいの一言に尽きます。今はこの喜びをみんなで分かち合いたいです。
――試合を振り返って
3部の相手で、簡単に自分たちの思うように試合を運ぶことはできなかったんですけど、攻め気を持って最後まで引かずに攻めれました。コートとベンチとが一体化していましたし、ミスもあったんですけど、1年間やってきたことが出せたかなと思いました。
――自身はシュートがなかなか決まらない時間もあったが
学芸大の試合の時もシュートが入らない時間があって、自分で気持ちを持ち直すことができなくて、入れ替え戦では絶対やらないようにと決めていました。攻める気持ちは絶対無くさないようにしようっていう気持ちを持っていたので、今回は持ち直すことができたと思います。
――同期の存在は
4年間毎年毎年、状況は違う中で私たちは入れ替え戦を経験してきて、本当に心強い同期でした。4年生になってからの1年間は大変なこともあったんですけど、お互いに支え合ってこれたので感謝したいですし、このメンバーで勝てて良かったなと思いました。
――六大学に向けて
大学のバスケ部は学生生活の集大成としてやろうと思って入って、あと2週間しか本気でバスケをやることは無いので、1日1日を噛みしめながら、大事にしながら過ごしたいし、1本でも多く連係プレーや良いプレーをして、残せるものは残していきたいです。
井ノ本雅子(商4・四天王寺)
――今の気持ちは
もう最高の一言です!
――試合を振り返って
今日の相手は去年に負けているので、すごく思い入れが強かったです。相手の手の内も分かっていて、向こうもこっちの手の内が分かっている上での戦いだったので、何があっても気持ちで負けなかったというのが一貫してありました。あとは相手の14番に最後までマークし続けられたのはすごく良かったと思います。
――その守備のおかげで勝てたと主将も話していた
ユイカがそんなこと言ったんですか!?その4番と14番の得点がすごく強いチームなので、自分がオフェンスは上手くいかなくても、得点源を抑えることでチームの勝利に貢献しようと試合前からずっとあったし練習してきたので、それが表れたのは4年間頑張ってきて良かったなと思います。
――前の試合の悔しさも晴らせたのでは
本当に晴らせました(笑)。前回はスカウティングをすごくやっていたのにディフェンスでやられてしまった悔しさを、みんなぶつけた試合だったなと思います。
――六大学に向けて
今自分がコートに立てているのは、監督やOB・OG、同期だけではなくて、色んな迷惑かけたのに後輩がずっとついてきてくれたからなので、残り2週間は自分が16年間やってきたバスケットを楽しむのもそうだけど、リーグの間辛い思いをしてきてもやってきてくれた後輩たちに恩返しができるような練習だったりをしていきたいです。今日の試合もそうだったけど、周りの人への感謝を伝えられるバスケを残り2週間もやっていきたいです。
梅木理沙(経3・慶應義塾女子)
――今の気持ちは
獨協大とは3試合目で、やっと気持ちよく勝てました。自分は来年もあるけど、とりあえず今の4年生と勝てて良かったです。
――試合を振り返って
入れ替え戦って怖いなっていう感じで(笑)。あんだけリードして圧倒していても流れが傾いたら持っていかれて、でも最後に持って返せたのは今まで1年間頑張ってきたことが出せたのかなと思います。
――勝ち切れた要因は
ベンチやベンチに入れない人たちが、あんまり伝わらないかもしれないけど、試合に出ている人のリバウンドを毎朝一番早くから拾ってくれたり、練習の準備をしてくれたり、別会場に行ってくれたりっていう人の想いも伝わって、コートの5人があそこまで頑張れたのかなと思います。
――怪我から久々の復帰となったがプレーした感触は
ちょっとヤバいですね(笑)。来年に向けて体を強くするのと、怪我をしないようにするのと、4年生みたいに頼られる、上手い下手じゃなくて頑張っている姿を見せられるように頑張りたいです。
――3部で戦う来季に向けて
今は考えられないです(笑)。けどこれから徐々に考えていかないといけないと思います。4年生の先輩とか男バスの先輩とか、良いチームっていろんな形があると思うので、自分たちなりの良いチームを模索しながら・・・。でも全く考えてないので、残りの2週間が終わってから考えたいです。
武藤怜(商1・成蹊)
――今の気持ちは
単純にもうめっちゃ嬉しいです(笑)。目標として今までやってきたので、ここで全部報われたなと思います。
――試合を振り返って
自分は最初の方からファウルを積んでしまってチームには迷惑を掛けたんですけど、ユイカさんとかサエさん、ミヤコさんも同期のメイもみんなで頑張っているなっていう雰囲気が出てました。交代で出てきたリン(西)とかキー(磯部)さんとかも全員で頑張り切れたので、そこは良かったなと思います。
――点差が開かない展開が長かったが
チームが下を向かないように声を出し続けて、声とリバウンドだけを頑張ろうという気持ちでやっていました。
――4年生の存在は
4年生には部活ではもちろん私生活でもお世話になっていて、本当にたくさんのことを教えてもらったので、最後の六大まで一緒に頑張りたいです。
――来季に向けて
初めて3部で戦うので、まだどういう感じで戦うかはわからないですけど、自分ができることを見つけてやりきれるように頑張っていきたいと思います。
眞尾瞳(商1・浦和第一女子)
――今の気持ちは
もう素直に嬉しいです。まずは4年生と今までやってきて、3部昇格を達成できて嬉しいっていうのと、来年3部でできることが自分の中ですごく楽しみです。
――試合を振り返って
今日は相手の4番を抑えることと、しっかり自分のプレーをして点数を取るっていうのを目標にしていたんですけど、何本か決められちゃったり、自分が力で負けてゴール下で外してしまったりっていう課題も見つかったので、しっかり自分なりに習得して頑張りたいです。あとは4年生の力を感じた試合だったので、もっと自分にできることを見つけていって、チームを強くしていきたいなっていう気持ちです。
――主将からもディフェンスを褒められていたが
そうですね・・・。良かったです(笑)。
――4年生にかけたい言葉は
1年生として試合に出させてもらって、自分のプレーが気持ちよくできたのは4年生のフォローのおかげだし、4年生が引っ張ってくれたおかげで楽しく慶應のバスケができたと思うので、「ありがとうございました」の言葉だけでは伝えられない気持ちがいっぱいです。残りまだ六大があるので、そこで恩返しができるようなプレーをしたいので、もう少しよろしくお願いしますっていう感じです。
――来季に向けて
3部という未知のステージでやるので、相手も強いし、自分たちが何ができるのかっていうのも全然わからない状態ですけど、その中で自分がどれくらい通用するのかを楽しみながら、もっともっと個人としてもチームとしても大きくなりたいです。
西理奈(政1・葺合)
――今の気持ちは
とりあえず上がれたのですごく嬉しいです。
――試合を振り返って
自分の力は全然出し切れていないけど、チームとしてはディフェンスをちゃんとできていたし、全てがチームとして上手く機能していたかなと思います。
――苦しい時間帯もあったが
今までの試合も1・2Qで耐えて我慢できれば3・4Qで上手くいくと思っていたので、そこの1・2Qで我慢したところが良かったのかなと思います。
――4年生にかけたい言葉は
本当にいろいろお世話になっているので、ありがとうございますっていうのは一番に伝えたいです
――来季に向けて
個人的には試合で出したいプレーができなかったので、それをちゃんと言語化したいし、もっと体現してまともなプレーがしたいです。チームとしては3部でも通用するチームにというのを荘司さんもずっとおっしゃっていたので、3部で戦っていけるチームになれたらいいなと思います。