【ソッカー男子】第4節 攻撃陣が躍動!専修大から勝ち点3奪取

2得点1アシストの大活躍を見せた武藤(提供・平山孝志)

強い浜風に揺られる中で慶大が見せたのは、今後への期待と不安が入り混じった、そんなサッカーだった。最初の25分だけで4得点と、序盤から見せた圧倒的な攻撃力。だが、「サッカーをしていたのは最初の25分だけ」(須田監督)という言葉通り、その後3失点を喫した。目指しているポゼッションサッカーが展開できず、試合運びという点においても大きな課題が残る試合となった。

第85回関東サッカーリーグ戦【前期】1部リーグ 第4節

 2011/5/21(土)13:50 KO@江戸川区陸上競技場

 慶應義塾大学4—3専修大学

 得点者 6分 武藤嘉紀(慶大)、16分 日高慶太(慶大)、18分 藤田息吹(慶大)、26分 武藤嘉紀(慶大)、27分 長澤和輝(専大)、63分 仲川輝人(専大)、86分 星野有亮(専大)

 

トップ下で攻撃陣をけん引した日髙。得点も記録した

前節、青学大にまさかの完敗を喫した慶大。さらに今節は、攻撃の要である河井(政4)が怪我のため欠場。苦戦が予想された。だが、「(河井がいない時の)シュミレーションは出来ていた」(須田監督)と、序盤から慶大攻撃陣が躍動し、その不安を一蹴する。口火を切ったのはルーキーの武藤(経1)。6分、左サイドでボールを受けると、ドリブルで1人2人と相手を交わしながら中央へ切り込み、さらにはGKにもフェイントを入れる余裕を見せ、冷静にゴールへ流し込んだ。「自分の得意の形」(武藤)というこのスーパーゴールで、慶大ゴールラッシュの口火を切った。

開幕からフル出場を続ける笠松が常にチームを鼓舞する

15分には左サイドの武藤から中央の日髙(総4)に繋ぐと、PAのわずかに外から右足を振り抜きサイドネットに突き刺す。さらにそのわずか2分後、中央でボールを受けた日髙がドリブルで仕掛け得意の切り返しを見せると、飛び出してきた藤田(政3)がそのボールに反応し、ゴール右に流し込んだ。3-0となっても攻撃の手を緩めない慶大。25分には中盤でボールを奪いカウンターに繋げる。日髙の浮き玉のスルーパスに武藤が抜け出しシュートを放つがGKがセーブ。だが、そのこぼれ球が武藤に繋がり角度のない所から左足を振りぬくと、相手DFに当たりそのままゴールへ吸い込まれた。

4-0と一方的な展開になり楽勝ムードが漂う。だがその後、リスクをかけて攻めてくる相手に対し、「受け身に回ってしまった」(笠松主将)と、専大の反撃を受ける。中盤をコンパクトに保つことが出来ず、27分にはポストプレーから中央を崩され、こぼれ球を押し込まれ失点。その後も何度か決定機を作られるも何とか4-1で前半を折り返す。

リーグ戦初出場の山浦新は右サイドでチャンスを演出

後半に入っても間延びした展開が続いてしまう。そんな中、相手のプレスをかいくぐってはショートカウンターを連発する慶大は、途中出場の山浦新(総1)が右サイドを突破し、折り返しに武藤がダイレクトで合わせるもポスト直撃。その後もカウンターから何度も決定機を作るも決めきれない。すると、63分にセンタリングから失点。さらに終盤、ロングスローのこぼれ球を押し込まれ1点差まで迫られる。ここで負けるわけにはいかない慶大はロスタイム、日髙を中心にボールを上手くキープし時間を使いながら試合を締めくくる。4-3で逃げ切り、何とか勝ち点3をもぎ取った。

辛くも勝利したものの、ポゼッションサッカーを目指す慶大にはまだまだ足りない部分が多い。特にビルドアップ時の「ポジショニング」(須田監督)が悪く、パスミスから何度もピンチを招いた。だが、個人としては収穫も多い。エースの河井が欠場する中で、ルーキーの武藤が2得点1アシストとついにその能力の高さを見せ付けた。これまでの3試合はコンディション不良もあり、窮屈なプレーに終始していたが、今日は得意の左サイドで起用され大活躍を見せた。さらに、今季初先発の森田(経3)や途中出場の山浦新も持ち味を発揮するなど、以前に比べ、チームとして層の厚さは格段に増した。今後、総理大臣杯予選など過密日程が続き、真価が問われる試合が続く。それでも慶大は、「総力戦」(須田監督)で全国への切符を取りに行く。

By Yosuke Okada

コメント

須田監督

(今日の試合を振り返って)見ての通りです。最初の25分だけサッカーをして、あとは寝てた、というところじゃない。まあ今回はポゼッションをしっかりしようということを目指してやりました。相手にボールを渡さないで、我々がしっかりボールをポゼッションしようと。そのためにしっかりしたポジションを取ろうと言っていたんだけれど、それが出来なかった。ボールを取ってもゆっくりポジションを取っているから、相手にプレッシャーをかけられて、パスコースがないからボールをつなぐことが出来ない。ポゼッションすることが出来ない。ボールを取っても取り返されて攻められてしまうという悪循環になって、やろうとしたことが出来なかったです。(試合運びは)良くなかったよ。でもこれもサッカーなんだよね。4点取って気の緩みで身体が動かない。そこから頑張って6点、7点取れればいいんだけど、そこがやっぱり大学生なんだよね。逆に大勝するよりは3点入れられたことで危機感を持ってくれれば、長い目で見れば良かったかなと思います。(前節の青学大とはまた違った相手だったが)我々としてはどちらのタイプも対策は取っているんだけど、やっぱりお互いフットボールをやった方が、相手に隙も出来るしやりやすいというのはあります。また、今回勉強になったのは、相手のロングスローや、パワープレーに対する練習もしないといけないなということです。(河井が欠場だったが)ちょっと怪我してしまったので。でも別に彼を中心に、というわけでもないのでね。もちろん彼が出ればチームもまとまるんだけど、彼が出ないからと言って戦力ダウンということはなかったね。それに先週はアントラーズと試合をして6-3で勝ってるんだよね。その時も彼はいなかったし、シュミレーションは出来ていたので心配はなかったです。(武藤はあのポジションがベストか)そうだね。やっぱり左の方がやりやすそうだったね。よかったと思う。(山浦新が初出場だったが)非常に落ち着いてたね。最初に出ると大抵気持ちが先走って頑張っちゃうだけなんだけれども、彼はしっかりと自分をコントロールしていつもの自分のプレーをしたので、こちらとしても非常に評価は高いです。またこれからも使えるという計算が出来たので良かったと思う。(選手層が厚くなってきた)そうだね。これから総理大臣杯もあるし、11人だけじゃなくて20人、30人とみんなで総力戦で頑張るつもりです。(法大戦に向けて)ベストメンバーでいって勝ちにいきます。

笠松主将

(今日の試合を振り返って)勝ち点3を取れたのは良かったんですけど、4点取ったあとに3失点ということで、チームとしてはまだまだ課題が残る試合だったかなと思います。(試合運びは)4点取ったからどうこうというわけではないんですけど、やっぱり自分達が受け身に回ってしまった部分があって、もっと自分達がボールを回して仕掛けないといけなかったと思います。(4点取った後は味方にどのような指示を出していたか)とにかくラインをコンパクトに保ちたいというのがあって、そうすることによってボールの距離感とか上手くコントロールして、試合を進めていこうとしてたんですけど、相手も前に3、4枚残してバランスを崩してきてたので、そういう意味では非常に難しい時間帯ではあったと思います。(前節とは違うタイプの相手だったが)そうですね、4点取ったことから見ても、相手が前がかりになってきてもそれをかいくぐる力がうちにはあると思います。でも逆に前がかりになってしまって、バランスを崩して失点した場面があったり、あとは相手のパワープレーに対しての対応がまだまだ甘いのかなと思います。(総理大臣杯に向けて)ここから連戦が続いていくんですけど、全国に行くと行かないでは大きな違いだと思うので、まずはしっかり勝つことを大事にしてやっていきたいと思います。

田中副将

(今日の試合への意気込み)前回負けたから連敗はしないようにと。(前半と後半では何が違ったか)後半では自分たちがボールを保持できなかった。守りのバランスが悪く、どんどん押し込まれてしまった。(今日の相手の印象は)スピードがあるので攻められると脅威だなと。専修のいいところが出せてたと思う。相手の攻めを止めるのに体力保持が大切だと感じた。(次の試合に向けて)自分たちの戦いができていないので、練習からしっかりといいポジションをとって、慶應のいいところを出した安定した試合にしたい。

大塚

(今日の試合を振り返って)立ち上がりはすごい自分達のペースでできて、良かったんですけど、点が入ってからみんな緩んじゃって、サポートも遅いし、ボールもつなげないって状況で、甘さがでて最後苦しい状況になったと思います。(開幕四試合を振り返ってチームの出来はどうですか)勝ち越してはいるけど、試合の内容はよくないかなというのが正直あって、自分達で主導権握ってボール回していくのもできてないんで、改善の余地があるかなと思います。(須田新監督のサッカーは浸透しているか)やろうとはしているんですけど、須田さんが求める100%ではないと感じてます。(ご自身は今CFでプレーされてるんですけど、慣れましたか)まだまだ物足りない部分があるんで、もっと仕掛ける部分だったり、そういう部分をみせていければと思います。(次節はリーグ戦のまえに総理大臣杯もあります。意気込みをお願いします)やっぱり一発勝負なんで準備というか、そういうものを含めての、勢いが大事になってくるんで、明日からチーム一丸となっていきたいです。

中川

(今日の試合を振り返って)前半の最初は、いい形で攻撃陣が大量得点獲ってくれて、非常に後ろとしては気持ち的には、すごく楽になったんですけど、そこから自分たちのサッカーが全くできなくなってしまって、課題の残る試合だったように思います。(前節を踏まえて、チームまたは個人としてどのあたりを意識したか)チームとしては、自分たちでボールを保持して常にボール保持率を非常に高くしていこうというのがチームコンセプトでした。それがいい時間帯にはできていたのですが、悪い時間には皆忘れてしまった感じで、ちょっとゴチャゴチャになってしまったので、その監督の意向を、90分間続けていけるように、成長していかなければならないなと感じました。(前半4点取った後の集中力の維持が難しかったか)4点というのは、結構セーフティーリードだと思うんですが、今日の試合は、追いつかれてもおかしくなかったので、4点獲ったとしても、5点、6点獲りにいくような、積極的な姿勢を見せていって、次4点獲る場面があったとしても、今日のように4-3になるのではなくて、6-0、7-0のような、試合が終わって「自分たちの試合ができた」と言える様な内容にしていきたいです。(開幕から4試合を終えて、チームの雰囲気は)開幕戦は非常に良くて、その後2試合連続勝てなくて、今日やっと勝ち点3とれて、これから上がっていけるのではないかなと思います。自分たちで連勝できるように上げていかなければいけないなと思います。(総理大臣杯に向けて)ノックアウト方式で、絶対負けられない戦いだと思うので、部員全員の総力戦だと思ってチーム一丸となって、臨みたいと思います。

日髙

(振り返って)90分間通して自分たちのサッカーをすることが出来なかったです。前半を折り返した時に須田監督からも90分間通して自分達のサッカーをやらなきゃいけないと言われていたのですが、後半だけ見たら負けてしまったので、そういった意味で次につながる試合になったとは言えないです。課題が残る試合でした。(トップ下で攻撃のリズムを作れていた)陽介が出られなくて自分がトップ下での出場になりました。前半はボランチに入った息吹からの縦パスを受けて、自分のところで納めてサイドに展開するということが出来ていました。ただ自分達でリズムを悪くして、守備の時間が長くなったところで、守備から攻撃への切り替わりの精度が落ちてしまいました。そういった意味では前半から自分たちで楽にボールを回して、後半も相手にボールを渡さない、疲れない試合運びをしなくてはいけなかったです。(手ごたえを掴みつつも、課題もある)そうですね、ただ前節とかと比べたら自分の中で攻撃の形も見えたので良かったのではないかと思っています。(真中でのプレーはやりやすかったか)そうですね。今日やってみて自分は真中の方が生きるかなとは思いました。(来週からは大臣杯も始まり過密日程が続きますね)前節、青学に敗れた翌日にジュニアリーグで青学との試合があったのですが、そこで勝ってくれたことがチームに良い影響を与えてくれたと思います。下のチームの選手たちも頑張って良いパフォーマンスをしているのでこれからは総力戦で自分達ももちろん全員で戦って乗り切っていきたいです。

藤田

(今日の試合を振り返って)勝つことは出来たが内容があまり良くないので次の試合までに内容を詰めていきたいです。(相手の印象は)前掛かりなチームですごく攻撃的でした。(今回ボランチにコンバートしましたが監督の指示ですか)そうです。もともとボランチだったので、戻ったといい感じです。(やりやすさは)やっぱりボランチのほうがあります。(ご自身のプレーは)今日は本当に全然だめで、久しぶりにボランチやらせてもらったけど、全然ゲームが作れなくて申し訳なかったです。(得点シーンがありましたが)入っちゃったっていう感じで、ラッキーでした。(チーム全体の出来は)チームとしても今日の試合は全然良くなくて、むしろ押し込まれていた時間が長くて、良くなかったです。(3失点という結果でしたが守備面ではいかがでしたか)守備面でもそうですけど、自分達の攻撃がしっかりできなかったから相手に攻撃する時間を多く与えてしまったので、それが良くなかったと思います。(序盤はかなり推していましたが)最初4点目まではいい形でしたが、そこからがずっと押されてしまいました。(後半は失速してる印象でしたが)自分とかがゲームを作れなくて押し込まれました。(河井選手が欠場でしたが影響は)そういうことはよくあるし、力のある選手が多いので、あまり影響はありません。(アントラーズ戦からの勢いは)いい形で勝てたので、アントラーズとの試合では自分達のペースでボールを回せましたが、今日は全然まわせなかったです。どっちも勝ったんですけど、内容が今日は全然良くなかったです。(青学戦から変わったことは)まずポジションが変わって、選手も河井選手がいなかったり変わったのでそういうところが大きく変わったけど、内容としてはどっちも良くなかったです。(次の法政戦については)まず個人的に今日全然だめだったので、もっと精度をあげて、ゲームを自分が作るくらいの勢いで頑張りたいなと。(総理大臣杯への意気込みは)去年は全国を経験できて、すごくいい経験になったので今年も行きたいです。

武藤

(今日の試合を振り返って)最初の出だしも上手くいって、ゴールを決めることが出来たので良かったです。(今季初ゴールを振り返って)1点目は自分の得意な形から得点できたんで、良かったなと思います。(前半は4点リードしていたのに、後半は追い上げられてしまったが)後半、自分達のサッカーがちょっとできなくて、4点とってから受け身になる部分もあって、自分も3、4点とれるチャンスもあったけど、決めきれなかったので、苦しい戦いになってしまいました。(開幕4試合に全てスタメン出場されてますけど、振り返って)1、2、3試合と自分のプレーができてなかったんですけど、今回ゴール決めれて、うなぎのぼりというか、いい調子になってきたんで、次もしっかり得点に絡めればいいと思います。(今は左サイドでプレーされていますが)そうですね、もともと左サイドだったんですけど、ずっと1、2、3試合は右サイドでだしてもらって、監督に今回は左サイドで使ってもらったんで、しっかり期待に応えたいと思ったんで良かったです。(来週は順天堂の前に総理大臣杯がありますが、意気込みを)法政は二部のチームなんで、一部のチームを倒しにガンガンくると思うんで、しっかり受け身にならず、自分達のサッカーが出来ればいいと思います。

山浦新

(初出場の感想)試合に出てみると外から見ていたのとは全く違っていました。雰囲気だったり、出てみないと分からないことがたくさんあったので、今日出場することができて良かったです。(リードの場面での出場だったが監督からの指示は)いつも通りやってこいということを言われました。ただ最後に追い上げられてしまったので自分も少し責任を感じています。(堂々としたプレーでチャンスを演出していた)身体が全然動けていなくて自分のプレーが出来なかったです。もっとこれから自分のプレーを出して活躍できるように頑張っていきたいです。(ここまでで課題は見つかっているか)大学のサッカーはスピード面で高校までとは全くレベルが違う。しっかりと身体を作って、そういった部分を補っていかないと通用しないなと感じています。

慶大出場選手

GK 中川翔太(環4)

DF 黄大城(総4) →42分赤木努(経3)

DF 松岡淳(商3)

DF 笠松亮太(総4)

DF 田中奏一(環4)

MF 増田湧介(環1)

MF 藤田息吹(政3)

MF 日髙慶太(総4)

MF森田達見(経3)→61分山浦新(総1)

MF 武藤嘉紀(経1)

FW大塚尚毅(総4)→84分風間荘志(商4)

コメント

タイトルとURLをコピーしました