【ラグビー】惨敗も最後に見せた意地/東海大戦

突破を図る仲宗根主将。試合は大雨の中で行われた

 

台風が接近する大荒れの天気の中、東海大との一戦が行われた。前の週に行われた帝京大での一戦で得た自信を深めたかったが、悪天候の影響でミスを連発し7-33と惨敗。しかしスクラムは安定し、試合終了直前には意地のトライをあげるなど、収穫もあった試合だった。
練習試合 
2011/05/29(日)14:30 K.O @東海大グラウンド
得点
慶大 チーム 東海大
前半 後半 VS 前半 後半
0 1 T 3 2
0 1 G 2 2
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
0 7 小計 19 14
7 合計 33
【得点者】(慶大のみ)
T=後43分熊倉
G=中村圭
出場選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 三谷 俊介(総2) →後23分16. 古田 哲也(環4)
2.HO 高橋 浩平(経4)  
3.PR 平野 裕馬(環3)  
4.LO 熊倉 悠太(政4)  
5.LO 伊藤 悠(商4)  
6.FL 明本 大樹(総4)  
7.FL 三輪谷 悟士(総4)  
8.NO8 鹿児島 昌平(経3)  
9.SH 猪狩 有智(経2)  
10.SO 宮川 尚之(環2)  
11.WTB 瀧口 晃太郎(文3)  
12.CTB 仲宗根 健太(総4)  
13.CTB 中村 圭介(総4)  
14.WTB 位田 陸(法2)  
15.FB 新甫 拓(経3) →後0分24.小川 優輔(環4)→後29分15.新甫
 

俊足を生かしてゲインする位田

 前半立ち上がりは両者お互いの様子見でハイパンの蹴り合いとなる。陣地を獲得したい慶大だったが、ミスが度重なり次第に自陣に釘付けにされてしまう。そして前半9分、自陣22m付近で東海大の重いタックルを受けターンオーバーされると、そのまま突破され先制トライを許してしまう。ゴールも落ち着いて決められ、スコアを0‐7とされた。

 陣地を回復し、ペースを引き寄せたい慶大だったが、ブレイクダウンで劣勢に立ち中々思うようにプレーできない。前半18分には、慶大のミスから右サイドを突破され再びトライを決められ、0-12と引き離された。その後、慶大のラインアウトから展開しボールを受けたCTB仲宗根主将(総4)がビッグゲインを見せるなど好機は作るものの、トライには結びつかない。前半38分にもトライ、ゴールを決められ、前半を0-19という苦しい展開で前半を折り返した。

意地のトライを挙げた熊倉。今春は初めてAチームでスタメン出場となった

 後半から巻き返しを図りたい慶大は、仲宗根や俊足WTB位田(法2)を中心に果敢にゲインを重ねていく。しかしハンドリングミスを連発し、チャンスを物にすることができない。後半6分には東海大FLの突破を止めきれずにそのままトライされ、39分には大外を攻略されまたしても得点を決められる。スコアを0-33とされ、このまま試合が終わるかと思われた後半43分に慶大が意地を見せる。敵陣での慶大スクラムからNO8鹿児島(経3)がエイトアタック。ラックを作り2次攻撃を展開するとSO宮川(環2)が相手を引きつけCTB中村圭(総4)にボールを回す。そして中村圭からボールを受けたがWTB瀧口(文3)が左サイドを突破してビッグゲイン。ゴール前でラックを作ると最後はLO熊倉(政4)が押し込んで「希望のトライ」(田中監督)をあげた。ゴールも中村圭がきっちり決め、スコアを7-33としたところで試合終了となった。

 厳しい結果に終わったが、春シーズンは秋シーズンに向けての布石だ。「全ては秋に勝つための経験として、今日の敗北もプラスにしてやっていきたい」(田中監督)と言うように、収穫も多くあった。身体の大きな東海大相手に、スクラムが安定していたこと。そして最後に泥臭くあげた意地のトライは、次の試合に必ずや繋がるだろう。一試合ごとに成長する慶大蹴球部が次はどのような試合をするのか注目だ。

スクラムの強さが特徴の平野

【ケイスポ的MOM】スクラム強化の旗頭・平野

この日、安定したスクラムを見せた慶大。そこで輝いたのがPR平野裕馬(環3)だ。170㌢92㌔と体格では他の選手に劣るものの、現在のチームで「一番スクラムが強い」(監督)という。スクラムにフォーカスを置いた選手起用の期待に応えた。フロントローではPR三谷(総2)や実力者の古田(環4)、大型PR山田(環3)ら様々な選手が凌ぎを削る激しいポジション争いが起きているが、今後もスクラム強化の一番手として活躍が期待される。

 

 

By Nao Hara


 

田中監督 
(試合を終えての印象は)完敗でしたね。ただ、良いところもたくさんあって、特に課題であったスクラムがAチームで良かった。押し切ることはできなかったけれども、良いプレーが多く、収穫はあったと思います。選手たちに言いたいのは、自分たちの取り組んできたことにもっと自信をもってやっていって欲しいですね。中々プレーに結び付いていないので。2週連続雨の中でのゲームでしたが、僕らはゲームプランを持たずに選手たちに考えさせながらやっています。雨の中ではどうしてもハンドリングミスが起きやすい環境になるので、そういった状況でどのようにゲームを組み立てるかについては違った攻め方があったと思います。あと、大事なのはテリトリーを取ること。東海さんが上手かったのは、僕らを自陣に釘付けになってしまう、自陣でのプレーになってしまいました。やはり敵陣でプレーすることは大事で、敵陣にいれば僕らのメンタリティは上がって、向こうのメンタリティは落ちる。同じプレーでも敵陣でやるのではメンタリティ的に違いますし、もっとテリトリーのマネジメントをやることをやっていきたいと思います。それらはコーチングで全くやっていなかったので、収穫はあったと思いますね。全ては秋に勝つための経験として、今日の敗北もプラスにしてやっていきたいと思います。(最後にトライを決められたのは良かったのでは)希望のトライだと思います。インゴールでみていましたが、最後に取るかどうかでは全然違いますからね。横にボールを動かしている時は前に出きれない。東海大さんのディフェンスのプレッシャーも強かった。そういった中でも縦にボールを運び始めると、どんどんテンポアップしていって、最後にゴールラインを割ることができた。どうやってボールを縦に運ぶかは、1対1の勝負に勝つこと。体が逃げてしまうと力が逃げてしまうけど、真正面に向けてやっていくことによって前に前にいけるので。ただ、今日はフィジカルの差で東海大さんの方が強かったので、これから一人一人精進していかなければいけないと思います。(フロントローを前戦から2人入れ替えたが)古田に関しては膝を少し患っていたこともあったので、外しました。山田に代えて平野を使ったのは、平野が今は一番スクラムが強い。三谷もスクラムが強いのでスクラムだけポイントを取ってみると、三谷、高橋、平野の3人がフロントスリーとしては強いと思います。その3人をあえてスクラム担当のコーチと相談して使いました。(スクラムが安定したのは狙い通りか)そうですね。ただ、スクラムが押せていた反面、スクラムから出てくるボールのクオリティーが低かった。無意味にボールを下から出したりだとか、押されている方向とは逆の方向にサイドアタックしたりだとか、一つ一つの状況判断がまだできていないと思います。そういった面はコーチングや経験を通じて落とし込みをして彼らに体得して欲しいですね。(Bks陣について)ゲインが切れきれなかったですね。雨でハンドリングが悪くなるコンディションの中で、ボールを動かすことのリスクを考えてやっていくべきでした。Fwdが前に前に出してやる、というのを考えるともっとキックでテリトリーを取ることに関してチョイスするべきだったと思います。ただ、仲宗根と中村圭介の両CTBが果敢に前にクラッシュしてボールを前に持っていこうとした意欲は強いものがあったと思います。ただ、外に逃げながらステップを切ると、体が弱いポジションになってしまうので、前に出きれない。僕らはAP(アスリート・ポジション)という呼び方をしているんですけど、それができている時はきちんと前に出れているので、整備していきたいと思います。(同大戦に向けてのコメントを)今日より良い試合をすることですね。1試合1試合強くならなければいけないので。あまり高望みをせずに、地道に強化していきたいと思います。今日も小川が肘の怪我をしてしまったんですけど、いるチームでやるしかないので、出られるメンバーでベストを尽くしていきます。同志社さんも関西で最も歴史のあるチームですし、向こうも僕らも復活を懸けている試合になるので、負けられない戦いになると思います。 

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