【塾生注目! 應援指導部特集②】応援企画責任者対談~観客と一体の応援を部員全員で作り上げる~

應援指導部

應援指導部特集2日目。今回は応援全体をマネジメントしている応援企画責任者の2人に対談形式でお話を伺った。「輝いている人」と周囲から呼ばれているチアリーディング部のKさん(4年)、慶應の応援に強い想(おも)いを持つ吹奏楽団のMさん(4年)の2人が、慶早戦や印象に残っている応援、コロナ禍での工夫、新しく変わった慶應の応援などについて語ってくれた。

応援企画責任者を務めるKさん

同じくMさん

第1弾はこちらから→【塾生注目! 應援指導部特集①】応援席をまとめる応援指揮~「応援指揮は唯一無二のもの」~ | KEIO SPORTS PRESS (keispo.org)

応援企画責任者としての応援

――他己紹介お願いします

M:チアリーディング部の4年で、輝いている人だと思っています。応援席ですごく目立ち、輝いていて、下級生にも良い影響を与え続けています。応援を振り返るシステムがあるのですが、「Kさんは輝いている」というコメントがかなりあります。「輝く応援企画責任者」だと思います。

K:吹奏楽団の4年生です。今年だけでなく、昨年も同じ仕事を一緒にしてきた中で感じることは、慶應の応援に自信があり、誇りを持っていることです。口にすることはあまりないですが、「慶應の応援が一番」で、自分たちがやっていることに自信や誇りを持って取り組んでいます。一生懸命様々なことを考えているなと感じます。

 

――応援企画責任者の具体的な活動

M:各体育会から応援依頼が来て、それを各スポーツの担当者に連絡し、どのような応援を作りたいのかをマネジメントしています。管理職のようなものです。

K:今言ってくれた通りの活動です。

 

――なぜ応援企画責任者を

K:先ほど「応援席で輝いている」と言ってくれたのですが、とにかく応援が大大大好きで、生きがい言ってもいいくらいです!それに一番近くで関われる役割を考えました。「応援企画責任者」が一番近くで様々な競技に関われると思いました。また自分が大好きで頑張ってきた中で、周囲からも「向いているよ」と言ってもらえたことが大きかったです。

M:僕も似ていて、他己紹介であったように、慶應の応援が一番だと思っています。応援企画責任者は管理職であり実働ではないですが、応援活動にずっと携われる役割の一つなので、体育会の選手の皆さんの勝利を一助になりたいと強く思いました。

 

――応援企画責任者になる前と後での違い

K:統括する側面が強くそれが本来の役割と思いつつも、応援企画責任者になり、より多くのスポーツの応援を近くで見られたり、実働している3年生と話す機会が増えたりしました。マネジメントという側面だけでなく、いちプレイヤーとしても昨年より色々な応援を楽しめるようになったと感じています。

:実働は3年生なのですが、どのスポーツの応援でも応援企画責任者は注目されるというか、責任者として求められるものがあると思っており、それを一番に感じています。それに答えるために、管理職としてだけではなく、どれだけ自分の価値を発揮できるかが大事だと思っています。

 

――印象に残っている競技・企画

:すごくメジャーな試合ですが、この間の慶早戦(野球部、対早大、5月28日・29日開催)です。試合自体の応援もそうですが、試合の前から日吉キャンパスの食堂をデコレーションしたりチラシを作ったりしたことです。試合の担当とは別に試合前の企画の担当や、そのようなイベントを考える担当者もいます。その人たちが本気で考えてくれて、コロナが収まってきたこともあり、今年は慶應幼稚舎や慶應義塾普通部、慶應高校といった一貫教育校にも足を運び、應援指導を行いました。その中で、担当者とたくさん話し、熱い思いが伝わり、「自分たちも頑張らないと」と思いました。試合も素晴らしい応援でしたが、試合前の企画も印象残っています。

 

ヨット部の応援

K:私が今年で一番印象に残っているのは、ヨット部の激励会に行かせていただく機会があった時のことです。ヨット部のことを知らなかったうえに、野球のようにコンスタントに応援に行く競技ではなかったです。また、選手が努力して頑張っている姿は友達がいないと感じづらいと思っています。ヨット部の激励会は部内の決起集会のような場に参加させていただいたので、ヨット部の主将の言葉やヨット部の雰囲気を近くで感じることができました。その時、当たり前ですが何カ月も大会に向けて練習してきていますが、その前日の会に應援指導部として呼んでもらい、「私たちが行くことで頑張れる」と言ってくれました。その1日しか行っていませんが、何カ月もの努力の集大成を見せる前日に行けるということの幸せを感じ、そこに見合ったものを届けたいと思いました。次の日からのヨット部の大会は応援には行けませんでしたが、結果を調べ、慶大ヨット部が総合優勝したのは本当にうれしかったです!ヨット部とのつながりや應援指導部として呼んでもらえることの幸せを、普段行く競技でないからこそすごく感じました。このようなことが、様々な体育会でできたら幸せなことだと思い、印象に残っています。

 

――Mさんはマイナー競技で印象に残っていることはありますか

:応援企画責任者として(自分たち)の代が始まってからすぐに行った、自動車部の慶早戦の応援です。自動車部が持っている日吉の活動場所で早大と試合をしていました。

少し話は変わるのですが、吹奏楽団は今まで楽器を吹かない応援には行かないという風習があったのですが、それは應援指導部として良くないと考え、今年から楽器を吹かなくても観戦して応援する人員として参加しています。

自動車部の慶早戦の応援にも行った

自動車の慶早戦に20人程度で行ったら、自動車部の方に驚かれました。「今まで5人くらいしか来なかったのにどうしたのですか」と言われ、「そんなことないですよ」と言って(笑)、応援が始まりました。自動車の試合が思っていたより迫力があり、ドリフトなど「ギューン」と音を立てながら運転していました。4年生になるとコースが難しくなり技術も上がっていて、応援に行った部員みんなで感動しながら、拡声器で音を流して応援をしたことが、僕自身がコロナの影響で2・3年生時に応援に行けてなったこともあり、印象に残っています。

 

――楽器を吹かない応援に行こうという提案をしたのはMさんですか

:はい、そうです。

 

慶早戦という舞台

――慶早戦は特別か

:全然違います。1年生の時から植え付けられているDNAのようなもので、「ワセダには死んでも負けるな」という価値観があります。ただ早大とも仲が良く、早大応援部の部員とも話して「一緒に頑張ろう」と言っていますが、当日は「絶対に負けない」という意地のぶつかり合いです。應援指導部(応援部)の中でもそのようなことがありますが、おそらく各体育会でも早大との関わりはあると思っています。ワセダと慶應だからこそのつながりや仲の良さと、意地がぶつかるという慶早戦が特別なものを生んでいるのだと思っています。

K:私は中学から慶應に入りましたが、應援指導部に入っていないその時から「慶應生ならワセダに負けたくない」ということは、何となくみんなあると思います。それが應援指導部に入ってより強くなったと感じています。また、根拠はないですが慶早戦は何があるか分からないということがあり、実力の差だけでは測れない結果やドラマがあるからこそ、負けられないという気持ちが強くなるのだと思います。

慶早戦は特別な舞台

 

――早大にはない慶大の応援の強み

:たくさんあります。まず、ワセダと慶應では「応援部」と「應援指導部」という名前の違いがあります。「応援部」は応援するだけですが、「應援指導部」は応援を指導する部活で、お客さんと一緒に応援を楽しもうということが名前にも表れています。そこが全く異なることです。

例えば「塾生注目」というものがあります。早大は(「塾生注目」と似たようなことは)学生服を着ている男子部員だけがやりますが、慶大はチアリーディング部員も吹奏楽団員も男子部員も全員ができます。その機会が平等で、全員が同じことができるということが早大応援部との違いだと思っています。

:色々なことを経て應援指導部は良い方向に変わったと思っています。部門ごとに分かれていないことが一番大きいです。挙げてくれた「塾生注目」もそうですし、応援自体が良くなるにはどうすれば良いかを性別や部門、自分たちが持っているツールにとらわれずに考え、全員が、どうしたら応援が届くのか、勝ちにつながるのかという視点を持てていることが強みだと思います。

 

コロナ禍での活動

――コロナ禍での企画の工夫

:工夫したことは2つあります。1つは実際に応援の場でどうするかです。発声ができない上に(野球では)内野と外野で距離がある分、どのようにしたらと良いかを考えた時に、視覚的伝えることが良いと思いました。その中で私たちがやったのは、すごく大きいボードを作ったり、大きな「K」「E」「I」「O」のボードを振ったり、旗を振る機会を増やしたりしました。もう1つは実際に球場に来られないお客さんをいかに慶應の応援席から離さないかという点で、広報と色々な企画をやったり、慶早戦のオンライン観戦の方法を野球部など体育会と協力してSNSにアップしたりするなどしていました。

大きなボードを使って応援

:吹奏楽団は発声以上に楽器の演奏が禁止となってしまいました。演奏ができなかったので、先ほどの話したこととつながりますが、楽器は吹かないが応援に行くということをしていました。また、応援に行けないという体育会の試合もあったので、激励の動画を撮ってお送りするなどしたことがコロナ禍での工夫だと思っています。

 

これからの応援

――最近は制限が緩和、その中での応援を振り返って

:完全にコロナ前の形態に戻ったわけではないですが、慶早戦でお客さんが目の前にいるという応援を久しぶりに体験して、すごく楽しかったです。その反面、今までは部内で一緒に頑張って鼓舞し合って声を届ければよかったものが、お客さんを相手にした時、どうしたらお客さんが応援に来て良かったと思えるか、どうしたら一体となって応援できるかを改めて、部全体で考えていかないといけないと思いました。今後ますます制限が緩和されていく中で、もっとお客さんに話しかけたりできるようになったら、現状ではそれを上手にできる部員がいないです。どうやって私たちから変えていくのか、考えていかないといけない課題だと思い、楽しかったと同時に難しさも感じました。

 

M:アイスホッケーの慶早戦があったのですが、僕らが1年生の時ぶりに吹奏楽団が楽器を演奏できました。吹奏楽団の良さは、お客さんと應援指導部と選手を音でつなげることだと思っています。吹奏楽団としてどうやって会場全体を応援の熱に包むか、どの曲でどうやってつなぐかが課題だと思いました。人数もコロナ前に比べて減ってしまっているので、もっと練習してみんなが熱くなれるような音楽を届けたいと思っています。

 

――挑戦してみたい企画・応援

M:野球の慶早戦などでお客さんが満員なところでみんなで手拍子したいです。今年の(野球の)慶早戦で近くなったといえども、声や拍手を促すことができなかったので、お客さん全員と同じ曲・若き血で手拍子して一緒に歌えるような、応援席一体となるような企画をやりたいです。

 

:コロナの前はイベントとして塾生が色々な慶早戦に行っていたと思います。しかし、無観客になったこともあり、その感覚が薄くなっていき、試合を見に行くということが少なくなったと思います。それが残念で、コロナ前の「あの感じ」を色々なスポーツで味わいたいです。塾生が来たいと思うような応援席を作って、多くの塾生で一体となって選手を応援するというのが、見たい光景です。

 

―――体育会や應援指導部のファンに向けて

:こういう質問初めてなので戸惑っていますが(笑)…… 

いつも神宮球場などにお越しいただきありがとうございます。コロナウイルスの影響が少なくなっていく中で應援指導部もコロナの前とは全く違う部活、全く違った応援になっていて、より選手のためになる応援を全員で考えて作り続けている進化の途中です。ぜひ来ていただいて、「意外と変わっている」や「いや変わってない」など素直に思ったところをぶつけていただければと思います。僕らも皆さんに満足していただけるような、期待を越えられるような応援を作っていこうと思っているので、これからもよろしくお願いします!

:應援指導部に入部してからの期間だけでも、本当に色々な試合を見てきて、心を動かされる瞬間がたくさんありました。私たちも応援をすごく考えていて、応援や選手の試合を見て心が震えるような瞬間は絶対にあると保証しますし、絶対に楽しいです。慶應に入ったのにみんなで若き血を歌ったことがないのは損しているので、ぜひ応援席に来て、私たちと一緒に応援しましょう!

――お忙しい中、ありがとうございました!

 

※写真はすべて慶大應援指導部提供

 

(取材 長沢美伸)

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