【バレーボール】東日本インカレ準決勝 あと一歩及ばずベスト4で散る

最後まで粘りを見せたが惜敗

 「勝てる試合だった」(間宮・政3)。それだけに悔しいベスト4。東日本インカレ最終日、慶大は準決勝で筑波大と対戦しセットカウント1-3で敗戦を喫した。長らく低迷を続けていた慶大バレー部にとって、同大会でのベスト4は創部史上初の快挙。しかしそれでも、さらに上を目指した選手達に笑顔はなかった。

6月27日(日) 第30回東日本バレーボール大学選手権 準決勝 慶大―筑波大 @日体大米本記念体育館

得点
慶大 セット 筑波大
20 25
16 25
25 22
24 26

ブロックに跳ぶ星谷、岡田

   前日の法大とのフルセットでの激闘から一夜明け、ついに迎えることとなった準決勝の舞台。その対戦相手は一昨年、慶大が40年ぶりの1部リーグ復帰を決めた入替戦の相手でもあった筑波大。筑波大にとっても入替戦で慶大に敗戦し、昨春は屈辱の2部リーグでの試合を強いられただけに、両者の因縁は深い。

  第1セット、今まで経験したことの無い大舞台の緊張からか、立ち上がりから慶大にミスが目立ち3-7とスタートダッシュに失敗。筑波大のブロックの上から打ち下ろされるスパイクに苦戦し、なかなか連続ポイントを奪えない。「出耒田(筑波大)を意識しすぎた」(宗雲監督)と日本代表にも選出されるエースを意識しすぎてか、いきいきとプレーする相手サイド陣に翻弄され、点差を詰めきれないまま13-20と大差で後半に突入する。ここから慶大はディグで粘り、野口(環1)の2本連続のトスフェイントが決まるなどムードが上昇しかけるが、20点台に乗せるのがやっと。20-25でこのセットを落とす。

  第2セットも筑波大のリズムでゲームが進んでいく。序盤にサイドが決めきれず、1-5。ここから岡田(商2)のサービスエース、野口のブロックなどで7-7と同点に追いつくも、地力で勝る相手に常に先手を取られるかたち。その後一度もリードを奪えず徐々に点差も離され、15-19からはコンビミスから5連続失点。悪いかたちで終盤に点差をさらに広げられ16-25。一方的なかたちでこのセットも落とし、暗雲が立ち込める。

岡田は昨年から誰もが驚く成長を見せた

  なんとかここから巻き返したい慶大。このセット、ここまでなかなか決定率が上がってこないセンター線を使わず、序盤から開き直ったかのようにセッター野口はサイドにトスを集める。スタートは岡田がこれに応え一進一退の攻防。しかし5-5からブロックポイントが相手に生まれるとここから4連続失点。またしても序盤で追いかけるかたちとなってしまう。しかし勝利への執念が再び選手を奮い立たせる。ここから岡田、柳田(環1)のサイドが踏ん張りをみせる。前田優(環3)、間宮らが懸命のディグを見せ、それをサイドに託す。小細工なしのシンプルなバレーに徹した結果16-15と中盤に逆転に成功。その後も単調な攻撃ゆえにブロックにつかれるもそれを強引に弾き飛ばし、サイドアウトを奪っていく。結局このセット岡田、柳田の二人で合計17本のスパイクを決め、25-22。1セットを取り返す。

最後まで絶対にあきらめない粘りのバレー

  第4セット、徐々に慶大のブロックも機能し始め、4-4から山本(環3)のブロックなどで4連続得点。一気に走るかに思えた。しかしここから逆にミスで3連続得点を喫するなどし、すぐさま同点に追いつかれると、なかなか両者とも流れをつくれない展開が続く。先に抜け出したのは筑波大。17-18から柳田に痛恨のスパイクミスが出てしまうと、その直後に再び柳田がブロックに止められ3連続失点。そのままリードを許し21-24とセットポイントを許してしまう。しかしあきらめない慶大は最後の粘りを見せる。相手のサーブミスで得点を奪うと、その後のラリーはフェイントを見事に拾い、間宮のスパイクで得点。さらに岡田が日本代表・出耒田のクイックを止め、土壇場の3連続得点で同点に追いつく。観客もこの脅威の粘りに大いに沸くが、対する筑波大もこうした修羅場を何度も潜り抜けてきている相手。すぐさま切り返し、最後は慶大のクイックがブロックにワンタッチされ、相手チャンスボールに。鋭いスパイクを決められ、24-26と力尽き、このセットを失い慶大の敗退が決まった。

  慶大の最終結果は同じく準決勝で敗れた順大とともに3位。当初の最低限の目標であったベスト4をクリアし、「今年の慶大は強い」ことを全国の大学バレーファンに大きく印象付けた大会となった。特に岡田、柳田の両レフトは大会を通じて他のどのチームよりも高い決定力を見せつけ、多くの歓声を浴びた。これで春季の大会が終了し、選手達は秋のリーグ戦に向けて、再びチームを作り直す時間を与えられることとなる。春季は震災の影響からリーグ戦が中止追い込まれるという激動のシーズンとなったが、その中でも慶大は六大学交流戦優勝、早慶定期戦52年振りの2連覇、史上初の東日本インカレベスト4と確かな結果を残した。充実の春季を終え、秋にはまたどんなチームになっているのか。今から期待せずにいられない。

By Hideki Tsubonuma

コメント

宗雲監督

(今日の試合を振り返って)最初1、2セット目は向こう(筑波大)の出耒田選手をちょっとうちの選手が意識しすぎてて、でも実はそうじゃない2番の選手がよく打ってきていて、彼から引っかきまわされてたんですが、そこに気付いてちょっと対策を立てたら少し良くなってきました。ただ私がそれに気付くのが遅すぎた。あと昨日も話したんだけど、最初のスタートローテにやっぱり課題があって。そこはもう一回選手と考え直します。(逆に慶大の良かった点は)ほとんどサーブレシーブが良くなかったので、センター線があまり使えてなかった。山本、星谷の打数が少なくて、ようはエースに(トスを)放り投げるようなバレーになったのに3、4セット目互角に戦えたのは、まあ荒いバレーではあるけど、サイドに力はあるのかな。(最後まで粘りは見せられたと思うが)もうちょっと早くね…。2セット目から粘れればよかったんだけど、まあ私の勝負ミスですね。(東日本インカレ全体を振り返って)ベスト4っていうのは最初から目標だったので、それは苦しみながらも目標最低のところまできたっていうのは学生を評価したいなっていうのと、ただずっとチームが絶好調ではなかったので、絶好調の状態で最初から最後まで終わらせなきゃなんないなっていうのが今後の課題ですね。(慶大ののびしろは)たくさんあると思うんですよ。例えばキーマンのセッターの野口がもっとセッターらしくなるっていうことと、うちのコンビネーションパターンがまだ少ないのでそれをやるためにはまずレシーブをもうちょっと間宮と前田が…。前田はもっといいプレーが出来ると思うのでそれが返ってどれだけうちらしいコンビネーションが出来るか。今は本当にシンプルになっているんで、そういうところにビジョンを持ってやっていけたらと思います。

間宮

(今の気持ちは)勝てる試合だったんですけど、自分たちのミスで勝ちを逃してしまいました。せっかく優勝できるチャンスがあって、慶應が今まで弱かったのが最近徐々に強くなってきて初めて優勝できるチャンスがあったので、それをつぶしてしまったのが本当に悔しいです。(ベスト4という結果について)出来れば優勝して東西インカレに出たかったので、全然満足はしていないです。練習の仕方とか、チームのかたちとかをもう一度見直していきたいと思います。(今大会を振り返って)ミスがすごく多かったです。そういうことをしているチームは勝てないので、練習から真剣に取り組んでいきたいと思います。(今後伸ばしていく点は)つなぎの部分ですね。今日も簡単な2段トスとか。1本目を上げるのはもちろんなんですけど、その後のつなぎとかも全然打てる形につながっていなかったので、1部の上のチームとやる上で、そういうつなぎのミスをしないことが大事になると思います。(秋シーズンの目標は)ミスを無くせば筑波とかにも勝てると思います。なので、出来れば全勝、そうでなくても勝てる試合は全て勝ちたいと思います。

出場選手

レフト 柳田将洋(環1)
セッター 野口剛志郎(環1)
センター 星谷健太朗(理2)
レフト 岡田拓巳(商2)
ライト 間宮秀太(政3)
センター 山本悠登(環3)
リベロ 前田優介(環3)
途中出場 中出祥平(環3)
益田万太郎(政2)
前田滉介(環2)

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