【ラグビー】流れをつかみ切れずノックアウト…対抗戦初黒星を喫する vs.明治大学/関東大学ラグビー対抗戦第5戦

ラグビー

熊谷ラグビー場にて行われた対抗戦第5戦。ここまで全勝の慶應義塾大学は、同じくここまで全勝の明治大学と対戦。慶大ラグビーの真骨頂であるディフェンスから流れを呼び込み勝利へと導きたいところだったが、格上相手に序盤から失点を許し、流れを掴めない。一方の攻撃陣もあと1歩が出ず、PGの3点しか奪うことができず354の大差負けを喫した。

雲ひとつない晴天のもと熊谷に集った慶大フィフティーン。ここまで慶大は苦しい試合を経験しながらも全勝で対抗戦を突破し、この日を迎えた。一方、今日の対戦相手の明治大学もまた、ここまで全勝。全勝同士の激突ということで、この試合は今対抗戦の順位を大きく左右するものである。そのような背景もあってか、決して都心から近くはない会場にも、早朝より非常に多くの両校サポーターが駆けつけた。そんな応援の元、11月にも関わらず少し汗ばむような陽気の中で試合は開始された。

ラグビーのまち、熊谷で今年試合をするのはこの日が最後だ

序盤、明大攻撃陣の前にいきなり苦戦を強いられた慶大。伝統のタックルは決して力負けしないものであったが、守備の穴を的確に見極めてチャージする明大選手を止めることができない。8分に右サイドライン際を割られて失点してしまうが、ここから慶大は反撃に出る。明大のように一気に走りこんで陣地を稼ぐという華やかさこそないものの、じわりじわりと陣地を侵攻していく。20分、相手のペナルティーから中楠一期(総4・國學院久我山)がPGを確実に決め3点を返し4点差とする。慶大としては突き放されたくない中で、なんとか前半を抑えたい試合展開であったが、明大の勢いが止まらない。さらにNo.8を務める髙武俊輔(総4・尾道)がプレー中に負傷。前半終了間際に交代となってしまい、チームや客席にも不穏な空気が漂う。この空気の中で、自陣でのタックルのミスやサイドライン際での穴を突かれるなどして、結果的に前半だけで26失点となってしまった。

必死に明大に食らいつく。タックルの精度は劣らないものだった

後半、なんとか先取点を得て流れを引き戻したい慶大であったが、3分にはミスからボールを運ばれてトライを許し、劣勢に立たされる。前半で髙武という重要なピースを失った慶大は、さらに15分にどこか不調を訴えるようにしてアイザイア・マプスア(総4・King’s College)が交代。なかなか良い流れが回ってこない。しかしそれでも攻撃陣は何度も好機を得ては積極的に攻撃を積み重ねていく。28分には永山淳(総3・國學院久我山)がボールを持って一気に駆け込みトライかと思われたが、スローフォワードと判定され得点とはならず。その後もトライ目前には何度も迫りつつも、あと一歩のところで反則が出て得点を奪えなかった。その間にも明大は着々と追加点を重ね、終わってみれば3-54の完敗。慶大はノートライという悔しい結果で対抗戦初黒星を喫した。

永山が駆け込むも、これは反則でトライとならず

試合後、選手は口を揃えて「明大のプレッシャーに押し負けた」と言う。現にスクラムはそのほとんどが成功することなく相手にボールを奪われたり、普段あまり起こらないようなミスをしたりというところで勝利への道を閉ざされてしまった。次戦はいよいよ慶早戦、早大選手のプレッシャーはもちろん、記念すべき慶早戦100周年という伝統のプレッシャーにも直面することになる。ここで12年ぶりの勝利を収めるためには今試合の振り返り、特にプレッシャーとの戦い方を見直すことが肝要だ。重圧を力に変えることができれば、宿敵を撃破する姿も決して夢ではない。この日早大に2連敗を喫し優勝を逃した野球部の分まで、「早稲田を倒す慶應」の姿は大きく期待されている。

立教戦での負傷から眼鏡なしでの完全復活を遂げた今野

(取材:濱島達生、東 九龍)

タイトルとURLをコピーしました