【バレーボール】『ALL IN』で奮闘もあと一歩及ばず、ベスト32で終幕/第75回全日本バレーボール大学男子選手権大会2回戦vs愛知学院大

バレー戦評

前日の国際武道大戦にフルセットの末勝利し、勢いに乗る慶大は今年のチームスローガンである『ALL IN(自分の持っているもの全て(ALL)をかけて、全力を尽くし日本一を目指す)』の言葉通り、チーム全員で目の前の一戦に全力で臨んだ。第1セットは30点台にまで及ぶ激闘となるもあと一歩で落としたが、次のセットで取り返す。しかし、そこから慶大が再度セットを奪うことは叶わなかった。激しいラリー戦になる展開が多く、両チームの意地と気迫がありありと感じられた今試合。慶大は去年も一昨年も全日本インカレ2回戦敗退と今年も3回戦進出への壁は高かった。このチームで迎える最後の大会はベスト32で幕を閉じた。

 

2022年11月30日(水)

第75回全日本バレーボール大学男子選手権大会2回戦

慶大×愛院大 @駒沢屋内球技場

 

得点

慶大

セット

愛院大

31

33

25

19

22

25

24

26

 

 

出場選手(サーブ順)

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

   
   

OH

島田航希(経3・慶應)

MB

芳賀祐介(環2・札幌北)

OP

松本喜輝(環3・九州産業)

OH

渡邊大昭(商2・慶應)

MB

降小雨(商4・慶應)

S

高倉真古都(商4・慶應)

L

12

内田克弥(環2・松江高専)

途中出場

 

 

MB

27

下田悠生(経4・慶應湘南藤沢)

OH

11

入来晃徳(環1・佐世保南)

L

25

樋口太樹(経4・慶應)

S

10

大槻晟己(総3・清風)

 

ベンチからチームメートに指示を出す樋口

自分たちのバレーボールを見せつけたい第1セット。島田航希(経3・慶應)の好サーブで相手を崩し、松本喜輝(環3・九州産業)・芳賀祐介(環2・札幌北)・渡邊大昭(商2・慶應)の3枚ブロックで仕留め、慶大が得意とするサーブ&ブロックで先制点を奪う。7-5の場面から相手のサービスエースもあり4連続得点を決められるも、直後芳賀のクイックでセットし8-9と簡単には流れを渡さない気迫が会場中に伝染する。12-13でセットを折り返し、中盤はサイドアウトを取り合う展開が続くも相手にブレイクされ20-21で慶大のタイムアウト。そこから降のクイックが決まり、また、相手のスパイクがネットし22-21と慶大が連続で得点すると、たまらず愛院大はタイムアウトを要求。島田のスパイクで24-22とセットポイントを握るも、ここで終われない愛院大も粘りを見せ、試合はデュースに突入。慶大が常に一歩リードするかたちで進むも、相手エースのサービスエースで27-28とブレイクを許し慶大はここでタイムアウトを使い切る。直後、渡邊のスパイクでブロックアウトを取り、降のブロックでシャットアウトし29-28と今度は慶大がブレイクに成功する。セットポイントを握り握られ、気付けばスコアは30点台に。最後はサーブレシーブでお見合いし、もったいないミスで相手に大事な1点を献上してしまった。結果、31-33で長く白熱した第1セットを終えた。

 

サービスエースを決めて喜ぶ渡邊

切り替えて臨みたい第2セット。このセットも慶大が先制すると、以降両者譲らずサイドアウトの応酬が続く。島田のサーブがエースとなり9-8とすると選手たちはコート内を元気よく走り回り、チームは勢いを増していく。勢いそのままに今度は渡邊がサービスエースを決め14-12とすると愛院大が1回目のタイムアウト。タイムアウト後も集中力を切らさなかった渡邊が続けてサービスエースを決め15-12。相手も緩急を巧みに使い分けた攻撃で仕掛けるも、慶大も対応し20-16で愛院大が2回目のタイムアウトを取る。タイムアウト明け、芳賀のサーブにもエースが飛び出し、続くポイントでは相手も焦りからかスパイクが決まらず22-16と更にリードを広げていく。最後は渡邊のサーブがノータッチエースとなり25-19で第2セットをものにした。攻めのサーブで常に慶大が主導権を握り、相手に満足のいく攻撃をさせないセットであった。

 

内田の安定感のあるレシーブ

先のセットの流れに乗りたい第3セット。慶大は松本・渡邊の両エースを中心に攻撃を展開するも、点差は動かず拮抗(きっこう)する。ブレイクしてリードを奪いたい場面、相手のスパイクがぎりぎりサイドラインを割り13-11と慶大が頭一つ抜け出してセット前半を終える。ここから差を広げていきたい慶大であったが、相手の攻撃にキレが増してきたことに加え、ミスも重なり15-15と並ばれる。タイムアウトを挟むも、攻撃に慣れてきた愛院大は松本と渡邊のスパイクを止め始め、16-19とあっという間に逆転されてしまう。内田克弥(環2・松江高専)の好ディグから渡邊が力強いスパイクでブロックアウトをもぎ取り18-19と着実に1点ずつ取り返していくも、調子を上げてきた相手エースの攻撃に対応ができず、最終的に22-25でこのセットを落とした。

 

サービスエースを2回決めた下田

このセットを勝ち切りフルセットに持ち込みたい慶大は、相手クイックを降と渡邊の2枚で封じ3-1、松本が強烈なスパイクで3枚ブロックを打ち抜き5-2と序盤からギア全開。しかし、愛院大も懸命のつなぎで意地を見せ7-7とイーブンに戻す。互いのプライドがぶつかり合う中、慶大は相手のスパイクを鼻の差で拾えず連続失点し9-11でタイムアウトを要求。芳賀に代わり入った下田悠生(経4・慶應湘南藤沢)がサービスエースを決めるとコート内もベンチも一体となって盛り上がりを見せ、4年生がチームの士気を鼓舞していく。11-13と相手の背中を追いかける形でセットを折り返すも、相手の連携や攻撃にミスが出始め15-15とついに並んだ。両チームともにリベロを筆頭に強烈なスパイクを拾い続け、長いラリー戦となるも最後はエースに託す展開が多くなる。相手クイックを降が見事1枚でシャットアウトしたのは大きな1点だった。20-19と慶大が先に20点台に乗せると、その後下田にまたもサービスエースが飛び出し21-19と完全に流れをつかんだかに思えた。しかし、勝ち急いだことで冷静さの欠如が露呈した。ドリブルを取られ、またほんの少しの乱れを見逃さなかった相手にダイレクトを叩き込まれるなど21-21と瞬く間に差を詰められてしまう。極限の緊張状態の中、サーブのミスも散見され、最後はクイックを相手に止められ試合終了。伸ばした手は一歩間に合わず、ボールはコートに落ちてしまった。24-26でこのセットを落とし、セットカウント1-3で敗北を喫した。

 

ベスト32で今大会を終えた慶大

慶大のコートに笑顔の花が咲くことはかなわなかった。〝もう一度〟がない試合。4年生は大学最後の試合に懸ける負けられない思いが、そんな4年生と一日でも長くバレーがしたい後輩たちの熱い思いが交わり、大きなひとつのエネルギーとなって「1年間を通して一番完成度の高い試合(樋口)」をすることができた。しかし同時に、「もっとやれる(下田)」そう感じた試合でもあった。それだけに、選手たちの悔しさは一層募ったことだろう。試合終了後の選手たちの涙が全てを物語っていた。この一年、悔し涙を流すたび成長してきた慶大。春の入替戦で負けた悔しさをバネに秋季リーグ戦では2部優勝、そして入替戦では春に負けた国際武道大相手にフルセットの激闘を制し、有言実行で1部復帰を決めた。

「(この試合が)後輩のエネルギーになってくれたら(高倉)」「春には完成させた姿を見せてくれたらなと思う(降)」「来年は…勝てるチームを作って1部で活躍してもらいたい(安達)」と先輩たちは後輩にエールを送る。この瞬間から新しいチームに「日本一」の夢は託された。今回の敗戦で感じた悔しさは種である。流した涙は未来を育む雨。そして来る春、冬を越えて成長したひとつひとつの種に桜梅桃李の花が咲きますように。

(記事・写真:田中瑠莉佳)

4年生の皆さん、お疲れさまでした!

いつも快く取材に応じていただいたバレー部の皆さん、本当にありがとうございました!

 

以下、コメント

 

高倉真古都主将(商4・慶應)

――率直な感想を

悔しいですけど、本当に悔しいんですけど、まあこうやってやりきれたこと、4年間やってきたことは無駄ではなかったのかなと思った試合でした。

――内容的に今日の試合を振り返って

得点の取り方、最後のフィニッシュにどう持っていくかというところでうちが持っていけてる場面もありましたし、愛知学院大学さんが持っていけてる場面もあって、最後の3本目人にしっかり打たせるトスを上げられている回数が多いチームがセットを取ったかなという印象があります。

――4年間を振り返って、これまでのバレー人生を振り返っていかがですか?

僕は技術的な部分というよりかは一生懸命やることが取り柄だったので、それをバレー人生で貫き通したことが僕の価値というかやっていてよかったと思ったこと、まあそれしかないんですけど。真面目に一生懸命やり通せたことがよかったかなと今引退した段階ではそう思っています。

――まず同期にメッセージをお願いします

僕らの代は関東1部で始まるってことで相当なプレッシャーや周囲から自分たちに向けられた期待は大きいものだったと思うんですけど、それに屈指せずむしろエネルギーに変えるような働きかけをチームにしてくれたりというところは僕がやったというよりは他の5人がやってくれたところが大きいのかなと思っていますし、技術的な部分でも力を貸して貰えましたし、その点は感謝しかないです。

――最後に後輩にメッセージをお願いします

今日の勝てる試合を勝てなかったことと僕らの引退が重なって、試合が終わった後うなだれる選手が多かったんですけど、これを今日だけで終わらせるんじゃなくて今日悔しい思いをした分、普段の何気ない練習だったり大事な試合だったり少しはこの経験が足しになったらいいなと思います。僕らのために頑張れというわけではないですけど、僕らがこういう思いを抱えながら引退したことを何かしらのかたちで後輩のエネルギーになってくれたらと思っていますし、一緒に戦ってくれた後輩のみんなを僕は誰よりも応援しているので、頑張って欲しいです。

 

降小雨副将(商4・慶應)

――率直な感想を

悔しいです。勝てた試合だと思うので余計に悔しいです。

――内容的に今日の試合を振り返って

相手の4番のオポジットのエースの選手が素晴らしい活躍をしていたので、そこに対する対応が最後のセットまでできなかった、彼に最後まで決め続けられてしまったので、そこが敗因かなと思います。

――大学最後の試合、やりきれましたか?

うーん、今日みたいな試合内容だとV行けばよかったなって思うんですけど、そうですね、やりきりました。

――4年間を振り返って、これまでのバレー人生を振り返っていかがですか?

楽しかったです。ずっとコートに立たせてもらいましたし、後輩たちも最後までついてきてくれましたし、自分がやりたいバレーボールが100パーセントではないかもしれないですけど、色んなものを受け止めたり、時には妥協したり、融通を利かせたりしながらも4年間やりきれたので楽しかったです。

――まず同期にメッセージをお願いします

まず率直に4年間一緒にやってきてくれてありがとうという気持ちが大きいです。後輩たちも十人十色という感じで、なかなかまとめるのも難しかったし我々同期の個性もひとりひとり強い中で、最後まで誰一人欠けることなく1部昇格、最後の全日本インカレまでやれたのは同期の5人がいなければできなかったと思うので、そこは本当にありがとうって思います。

――最後に後輩にメッセージをお願いします

二つあります。ひとつは、来年頑張って欲しいなというところで、かろうじて我々が1部の舞台を残したので、次は降格せずに1部の舞台で大暴れしてくれることを期待しています。もうひとつは彼らへの最後のお説教…ではないんですけど、やっぱり細かいところを取り切らないと1部では勝てないので、例えばサイド陣は2枚3枚ついたときにどういう風に取るかというところ、1部の選手はそういうところをしっかり打ち切ってくると思うので。中盤、我慢した展開以降のサーブのところで、どれだけ攻めたサーブいいサーブを相手より打てるかだったり、相手のスパイクを上げられるかだったり、本当に細かいところをつめていかないと勝てないと思うので、そこをしっかりこの冬で詰め直して春には完成させた姿を見せてくれたらなと思います。

 

安達龍一選手(環4・洲本)

――率直な感想を

そうですね、プレーで自分が絡めなかったっていうのが最後心残りだったんですけど、みんな全力でやってくれたので良かったなと思います。

――ベンチから声掛けする姿も見られましたが、どういう声掛けをしていましたか

戦略的な部分もあったり、あとはメンタルや気持ちの部分でもみんなが最後まで集中できるような声掛けを意識して頑張ったつもりです。

――4年間を振り返って、これまでのバレー人生を振り返っていかがですか?

高校からではあるんですけど、いろんなところでケガが多くて、最後自分らしいっちゃ自分らしい終わり方なのかなと思いました。最後こうしてずっとバレーボールを楽しめたから後悔はないかなと思っています。

――まず同期にメッセージをお願いします

そうですね色々あったんですけど、最終的に言いたいのは「4年間ありがとう」ってところです。最後、力になれなくて申し訳ないっていうところもあります。でも、ありがとうという気持ちが1番大きいです。

――最後に後輩にメッセージをお願いします

去年も今年も全カレ2回戦敗退で、その壁を越えられていないんですけど、後輩はみんなポテンシャルもあるし、チームの完成度として4年生がしっかりできていたかというのは足りないところもあったかなと思うので、来年は今年のチームを越えて勝てるチームを作って1部で活躍してもらいたいなと思います。

 

下田悠生選手(経4・慶應湘南藤沢)

――率直な感想を

悔しいです。相手も強かったですけど、もっとやれる全然戦えるというのは試合を通して分かっていたので。自分もチャンスをもらってもう少しできたなというのはあるので、悔しいに尽きるかなと思います。

――大学最後の試合、やりきれましたか?

そうですね、負けたのでもっとやれる部分は探せばあると思うんですけど、自分自身そんな後悔はないので、準備面含めてやりきれた部分の方が大きいかなと思います。

――4年間を振り返って、これまでのバレー人生を振り返っていかがですか?

体育会バレーボール部に入って良かったなと思います。自分自身実績がない中で、大学でバレーボールをしようって決めて、その選択自体も迷ったし、大1大2でやめようって思ったしんどい時期もあったんですけど、結果今は試合に関われているし、その上で満足のいく準備もできたので全体を通してみるとよかったなと思いますね。

――まず同期にメッセージをお願いします

大1大2の時期は本当に自分は迷惑をかけたなと思っていて、スキル的に足りなかったというのもそうですし、バレーボールに対する理解とか態度の部分とか自分は足りないところが大きかったなと思っていて、そういった面でも見捨てずに一緒に練習してくれました。チーム見ても頼りになる人をあげていったらまず同期が上がってくると思うので、力強かったですし、1番感謝を伝えたいですね。

――最後に後輩にメッセージをお願いします

まずこの大会に関して、勝ち切れなかったのは自分たち4年生の責任が大きいと思うので、そういった部分で後輩たちがもっと成長する機会を奪ってしまったので悔しいです。来年以降に関しては、個人個人がちゃんとしている後輩が多いし、みんなバレーボールに対して真面目ですし、そういうところだとあんまり口出しする必要ないのかなと思っています。一バレーボールプレーヤーといて自立して頑張れば結果はついてくると思うので、日本一を取って欲しい気持ちはありますけど、それよりも何より頑張って欲しいなと思います。僕が言わなくても絶対頑張ってくれると思うんですけど、そういう感じです。

 

樋口太樹選手(経4・慶應)

――率直な感想を

個人的なところで言うといつも出る準備はしているのですが、とりあえず今日はアナリストというか戦術的なところをメインでやろうと思っていたので、第4セットで声が掛かってびっくりしたというのが一つあります。それとあと途中から出るので何かインパクトを残せられれば良いなと思いながらやっていました。それで、チームとしてというところでいうと、やっぱり悔しいなという思いが一番強いのですが、それでも自分から見るとこの1年間を通して一番完成度の高い試合をできたと思うので、そういう意味では悔しい反面嬉しいじゃないですけど、そういう気持ちはあります。

――大学最後の試合、やりきれましたか?

そうですね、やり切れたというのが本当に率直な感想です。自分はプレーでどうこうというよりもチームの中の雰囲気だったりとか、ちょっとでも周りが明るくなれば良いかなと思ってやっていたので、あんまり力にはなれているか分からないですけど、そういう役割というのは最後まで全(まっと)うできたのかなと思います。

――4年間を振り返って、これまでのバレー人生を振り返っていかがですか?

僕は中学からバレーをやっているのですが、4年間、あるいは10年間を振り返ると、常になんか悔しいなと思うことの方が多かったというのが振り返って思うことです。中学で負けて悔しくて高校でやって、高校で負けて悔しくて大学でやって、という形で大学までやってきました。そういった中で最後の最後で結局負けてしまったので悔しいという思いはあるのですが、振り返ってみるとそういう悔しい思い出もある反面、思い返してみると皆とすごく楽しい思い出が作れたかなと思うので、そういう意味ではすごく充実したバレーボール人生だったかなと思います。

――まず同期にメッセージをお願いします

4年間ありがとう、というのが本当に率直なメッセージです。ありがとうというのはもちろん試合に関わって勝つために団結できたという点でありがとうというところはそうですし、あと僕は結構試合から外れたりとか他にもいろいろ同期に迷惑を掛けたのですが、そういう時にも広い心で一緒にやるぞというところで手を差し伸べてくれる同期だったので、そういう意味ではすごくありがとうという思いが強いです。

――最後に後輩にメッセージをお願いします

ありがとうという思いは後輩に対してももちろんあるのですが、最後僕ら以上に泣いている姿を見て、もうちょい自分が4年生としても何かできたというか、だいぶチームの勝ち負けというところに責任を負わせてしまったと思うので、そういうところはすごく申し訳ないなという思いです。ただ前の塾高対談で話した通り僕は1・2・3年生から学ぶことというのがすごく多かったと思うので、最後に僕が学ばせてもらったというところもそうだし、僕がじゃあちょっと試合出るぞとなった時に受け入れてくれるような1・2・3年生だったので、そういう意味ではありがとうというのを一番伝えたいかなと思います。

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