【應援指導部】激動の2022① 前三将×体育会本部主幹×ケイスポ編集長~体育会の今と未来を考える~

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応援や観客、取材の制限が緩和され、應援指導部にとっても体育会全体にとっても弊会にとっても大きな変化があった2022年。應援指導部前三将の乃坂龍誠さん(4年)と体育会本部・菊池龍志主幹(4年)と弊会編集長・長沢美伸(2年)が今年1年を振り返った。体育会に関わる3団体の今後の連携や慶應スポーツをどう盛り上げるかなどそれぞれの立場から議論した。

 

――自己紹介

乃坂:應援指導部の三将と応援企画責任者を務めていました乃坂龍誠と申します。法学部政治学科です。

菊池:環境情報学部4年で本年度、体育会本部主幹を務めています菊池龍志と申します。水泳部水球部門で審判として所属しています。

長沢:法学部政治学科2年で、慶應スポーツ新聞会2023年度の編集長を務めています長沢美伸と申します。

 

――体育会の活動に関わる3団体、それぞれの団体をどう思っているか

乃坂(→長沢):本当にいつもたくさん取材していただいて、そして取材を通して塾のスポーツ・塾生を盛り上げてくれて、一緒に戦う仲間という思いです。我々のことも記事にしていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。人数が多いわけではないと聞いていますが、その分一人一人の文章力や取材力がすごく、どうやったらこんなにいい文章と表現力があるのだろうかと思っていて、学びたいと思っています。

(→菊池)体育会本部に関しては本当に体育会43部すべてを下から支えて、時に表に出て彼らをアピール、プロモーションするという大変な部分もあると思いますが、伝統ある慶應義塾の体育会の伝統をさらに将来へと紡いでいく重要な役割を先導されているので、すごく慶應義塾に大切な存在だと思います。我々應援指導部にとっても一緒に連携していく非常に重要なパートナーですし、今後もっと連携を強めていきたいと思います。

菊池(→乃坂):應援指導部は本当にいつも関西から関東、東北まで大会があれば応援に来てくださり、43部とも非常に感謝しています。應援指導部の応援があるおかげで体育会も全力で活動し、最高のパフォーマンスを発揮できているので、各部を代表して感謝をお伝えできればと思っています。

(→長沢)慶應スポーツは、同様にはなるのですが、いつも体育会や結果を残した者の記事を書いてくださり、それを塾生やそれ以外の方が読んで、一人一人が体育会を知ることや各部がどんなことに挑戦しているかを知るきっかけにもなるので、体育会を支えていただける組織として感謝しています。

長沢(→菊池):体育会の存在があるからこそ僕たちが活動できていますし、体育会の皆様のご協力のもとに取材ができているので、本当に感謝しています。体育会本部という体育会全体をまとめている組織とも今後も連携していきたいと思っています。

(→乃坂)應援指導部に関しては、本当にいつも貴重な練習などにお呼びいただきありがとうございます。練習を取材する機会も少ない中で、應援指導部の迫力のある練習を見せていただいて、我々もうれしく思っています。また、方法は違いますが同じ体育会を盛り上げていく存在としてこれからもより連携していきたいと思っています。

 

――今年各団体で取り組んだこと

乃坂:今年目指したものは、慶應義塾の良さ、慶應義塾の応援の良さをより幅広い人に伝えて盛り上がってもらい、そしてそれを我々は塾生・塾員の「若き血を滾(たぎ)らせる」という言葉で表現しています。ここ2、3年コロナなどで塾生・塾員が体育会の試合を見ることが少なくなっていましたし、同時に応援を肌で感じて参加する機会も少なかったです。一方慶應義塾のスポーツや応援は慶應義塾が世界に誇るべき文化の一つなので、それをいかに取り戻して人々の心に火を付け、もう一回「慶應っていいな」というアイデンティティを取り戻してもらえるかという意味で、若き血を滾らせるということを、少しずつコロナから回復してきた今やるべきこととして真っ先に取り組んでいました。

力強く語る乃坂さん

菊池:本年度体育会本部として「つながり」をテーマに活動してきました。コロナウイルスの影響で各部一つ一つが個の団体になってしまっていたことに課題を感じています。そこから2年経って徐々にコロナも明けてきて対面の活動が増えてきているという現状になり、各部同士のつながりを増やすことができればと思っていました。例えば應援指導部や各部団体を招いて、一同に交流する場を設けるなど様々な施策に挑戦していきました。

長沢:2022年度松田編集長のもとで意識して行ってきたことは、様々な体育会の魅力を伝えるということです。人数の関係もありすべての部に取材に行くことはできませんでしたが、2021年より多くの体育会を伝えられたと思います。2021年は野球を中心に回っていましたが、今年は庭球部やバレーボール部、ラクロス部なども野球に引けを取らないくらい取り上げられました。

 

――今年印象に残っていることは

乃坂:一番印象に残っているのは10月8日のアメフトの試合ですが(こちらの記事でもお答えいただいています。)、もう一つは体育会本部が主催する3月の主将主務会議に参加させていただいたことです。應援指導部は現時点で体育会の所属団体ではなく、例年呼んでいただいているわけではないのですが、今年は菊池主幹の一生懸命な努力により我々も呼んでいただき、主要なメンバーが数多く伺うことができました。その場には43部の主将・主務がいて各部の問題点やどういう応援がほしいのか、どういう応援があれば選手が喜ぶのかということを議論することができました。そして、そこで我々がパフォーマンスを行う時間も菊池主幹のリーダーシップによりいただくことができました。体育会との関係性もコロナで2、3年間失われていた部分があり、主将主務会議で取り戻して今年1年間の良いスタートを切ることができたので印象に残っています。体育会本部の皆さんには感謝したいです。

菊池:僕は2つあるのですが、水球部での早慶戦勝利です。幼稚舎のころから思い入れのあった“早慶戦”という憧れの舞台で、チームが一つとなり宿敵・早稲田大学に勝利を収める事ができた、そしてそれを自分たちの代で達成する事ができたのは本当にうれしく、今でも鮮明に覚えているからです
体育会本部員としては、様々な試合の応援に行かせていただいたのですが、先月(11月)のラグビーの早慶戦で松岡勇樹(法4・慶應)くんがトライを決めたシーンです。彼自身とは幼稚舎から交流があった中で、あのような秩父宮の場でトライを決めて吠えていたシーンは鮮明に記憶しています。

長沢:まず1つは自分がラクロスを担当してきたので、ラクロスの全日本大学選手権大会の男子FINALの明大戦です。前半でリードを奪いましたが後半逆転されそうな勢いもあった中で見事に勝ち切り、全日本大学選手権を連覇して、昨年に続き社会人と対戦する全日本選手権に進んだというプライドの強さを見ることができました。もう1つは應援指導部の9月にあった野球のリーグ戦開幕前の総合練習の取材です。普段は練習を取材することがあまりなく、部員の練習の様子を近くで見ることができてすごく感激しました。

今年を振り返る長沢

――体育会の試合を見るという機会が減り、慶大の伝統的な応援が弱まってきている。対策などは

乃坂:その状況には憂慮と危機感を覚えています。そして、応援とスポーツの観戦が塾生・塾員、慶應義塾にとって大事な文化である以上どうしても取り戻さないといけないことは喫緊の課題だと思っています。應援指導部としては応援団ではなく「應援指導部」であるという意識を持ち続けて、来年以降強化していくことが大事だと思います。應援指導部はあくまでも来てくださる方が主役で、その方々に最強の応援団になっていただきたいです。そういう意味ですと試合現場で一生懸命我々が応援するということもそうですが、それ以前の段階のどうやって動員するか、どうやって「応援いいな」と思っていただくか、試合と関係のないところで慶應の応援のファンになっていただいて、野球だけでなくいろいろなスポーツに来たいと思っていただくかが大事だと思っています。そのチャンスが来年、再来年だと思っています。ピンチがチャンスになると思っていて、この2年間で学生スポーツへの関心が失われてしまったのですが、逆に飢えている部分もあると思います。野球の慶早戦を例に取ると、例年一貫校生が観戦に来ますが、一貫校生は希望を取って来てもらいます。コロナ前はある一貫校の高校では10人ほどしか希望者が来なかったのが今年は100人という単位で希望者がでました。それは飢えているということで、あるべき素晴らしい応援文化をもう一度取り戻して盛り上がりをブーストさせていく大事な期間になると思います。應援指導部としても本当に大事な問題になると捉えていて、その部分にも力を入れていきたいと思っています。

菊池:コロナウイルスの影響で観客制限が入ってしまったり、YouTubeなどで試合観戦ができたりする点で応援の仕方が変わってきていると捉えています。ですがやはり、対面で現地に足を運んで試合の応援をすることは大事だと考えています。應援指導部の応援もそうですが、選手のプレーを生で見るということから与えられる刺激は画面越しに見る応援とは違うと思います。直接来て見てもらう人数が少なくなっているという課題に対しては、体育会としても今後真摯に向き合わないといけないと思っています。

長沢:対面授業も少なくなってしまい、キャンパスで見ることも少なくなってしまい、体育会の部員の存在が身近ではなくなってしまっていて、体育会は自分とは違う存在だと思われているところがあると思います。そんな中で我々が記事や写真、新聞を通じて体育会の選手の皆様と塾生・塾員の方々の距離を近づけられるようなことができれば良いと思っています。体育会の選手たちを身近に感じてもらうことで、さらに体育会全体を盛り上げていきたいです。

 

――今季3団体の関わり増える、来年以降どのように発展させていくか

菊池:一言で「架け橋」になることができれば良いと思います。まず今年、このような形で應援指導部やケイスポと関わりを深めることに尽力してきました。この流れを今年で止めずに来年以降につなげていくと同時に、体育会各部ともこういうつながりが生まれてくれば良いと思います。そしてそのつながりの架け橋に体育会本部という存在がなっていくことができればより体育会各部やケイスポ、應援指導部がつながり、体育会全体を盛り上げることができるし、様々な塾生や他の人にも刺激を与え続けることができると思います。

丁寧に答える菊池主幹

乃坂:「一体になる」ことです。各団体の良さや強みは生かしつつも、もっとコミュニケーション量を増やして様々な場所で一緒に活動していくことだと思います。目指している先はほぼ同じで、そこに至るまでの手段や強み、伝統や特徴が異なると思っています。これまでは目指している方向が同じにもかかわらず、助け合いや連携があまりなくバラバラでやっていましたが、今こそ慶應スポーツを盛り上げていく、塾生のアイデンティティを取り戻していく時なので、悠長にやっている時間はないと思います。お互いが協力できるポイント、強みを生かせるポイントや逆に苦手なポイントを補えるところがたくさんあると思うので、そこを探してともに活動していくという一体感が必要になってくると思います。

長沢:「伝える」ことが一番だと思っています。慶應スポーツ新聞会はメディアとして伝えることが一番の使命だと思っています。各部の様子だけでなく、各部が連携している様子や体育会が同じ方向に向いているという様子を伝えることでさらに一体になれると思います。そのことで良い循環を作り相乗効果のように発展していけたらと思います。應援指導部、体育会本部、体育会各部の様子を今まで以上に伝えることで連携していきたいです。

 

――来年以降の自分たちの部活はどのような姿で発展していきたいか

乃坂:改革をさらに前に進めて様々な積極的な取り組みを行ってほしいです。今年あらゆることを変えて應援指導部89年の中でも記録と記憶に残る年だったと思います。これはさらに應援指導部が価値を発揮するためと、時代に沿って必要なことだったと思っています。まだまだ変えられるところや後戻りしてはいけないところはたくさんあります。さらに次の次元へ上がって先に進んでいくことが應援指導部自体を良くすることや、そのまま体育会やケイスポと連携を強めることにもつながりますし、慶應スポーツを盛り上げ塾生のアイデンティティを取り戻すことにもなると思います。どうすればさらにステップアップできるのかを考え続けて、同時に中にいる人たちが最高の部活生活を送れるような期待をしています。

菊池:後輩に向けて挑戦を続けてほしいと思います。体育会本部は体育会43部の上部に位置し多種多様な部活から本部員が集まっています。このつながりを大事にしてほしいのと同時に学生自治という範疇で体育会本部はいろいろなことをいろいろな方と協力しながらできる組織です。だからこそ自分たちが本当にいろいろなことに挑戦していってたくさんの失敗と成功を経験したうえで体育会や全塾で価値を発揮してもらえれば本望です。

長沢:1つは体育会のもっとそばにいれる団体にしたいです。少ないとはいえ少しは授業などで関わりのある人たちを我々は取材しています。我々学生にしか伝えられない学生視点のことがたくさんあると思うので、学生新聞の良さを生かしてさらに体育会選手や應援指導部員、関係者の方のそばにいられるような団体になっていけたらと思います。もう1つは、自己満足では終わらせたくないと思います。今まで新聞を自分たちで作って満足していた部分がありましたが、いろいろな方に協力いただいて成り立っているので、しっかり外に伝えるからこそ意味があると思っています。自己満足で終わらせずに、しっかり伝えてみんなに広めるというところまで責任を持って取り組みたいです。

 

――お互いの組織に期待すること

乃坂(→長沢):来年もよろしくお願いします!もっとこういうところを知りたいと言っていただければ、どんなネタでもどんなところでもご案内して取材していただければと思っています。「こういうところが塾やスポーツを盛り上げることにつながるんじゃない?」ということを一緒に考えてほしいです。目指している方向は一緒なので、それを実現するための手段としてお互いの良さを使い、一緒に考えるため普段からもっとコミュニケーションを増やしていきたいと思っています。

(→菊池)体育会本部も同じで、どうすれば慶應スポーツが盛り上がるかを考えて、そのために必要な手段をタブーなく考えることを一緒にやっていきたいと思っています。期待することとしては、より企画を一緒に進めていくということです。今年も菊池主幹の発案で各月の中でどういう体育会の試合があるのかを一覧にして載せるという体育会カレンダーを應援指導部と一緒に作りました。そういう企画を発展させて、例えば動画媒体にしてYouTubeで発信したりTwitterで合同の宣伝アカウントを作って宣伝していったり、お互いがリツイートし合うだけでも良いので、垣根をなくして連携していくところを期待したいです。

菊池(→長沢):慶應スポーツとはいろいろな情報を協力して発信していけたらと思います。僕たちの試合に来ていただいて記事にしていただくこともそうですし、これからもっとこういう記事がほしい、こういう内容がほしいということはあれば、それに答えるだけのパッションや協議員たちの思いがあると思うので、それももっといろいろな方に知っていただければと良いのではないかと思います。

(→乃坂)應援指導部に関しては、毎回試合に来てくださっていますが、應援指導部の方の応援をもとに、一緒に戦って相手に立ち向かい、それに見合うパフォーマンスを体育会部員として発揮していくことができれば良いのではないかと思っています。今年かかわりが増えたこともあるので、来年以降はもっと連携する機会を増やし、より近い立場での活動を模索いただければなと考えています。

長沢(→乃坂):来年以降も練習やそれ以外にも取材をさせていただければと思います。また、今までは取材する側、される側という関係でしたが、一緒に何かをやって盛り上げていきたいです。應援指導部が主に試合中や試合前に盛り上げて、僕たちは試合前に新聞を作りますが、記事や写真で試合後に盛り上げていました。来年以降、我々ももっと試合前にも盛り上げていきたいです。

(→菊池)体育会本部と連携していくことが過去になかったのですが、体育会本部の皆様と協力することでさらに体育会各部の魅力を伝えることができると思うので、一緒に何かを企画したり、本部の活動を取材させていただいたりと連携できればと思います。

 

――読者の皆さんへ

乃坂:いつも應援指導部の活動を支えていただきありがとうございます。ぜひ応援に触れてください。YouTubeの弊部の公式チャンネルなどから動画を見てほしいです。また、野球の神宮球場に限らす、水泳やラクロスなど慶應のスポーツを応援するという行為をしてみてください。すごく楽しいと思います。その一つ一つに選手の思いや関わっている人の気持ちが詰まっているのが学生スポーツであり塾のスポーツの良さだと思います。恥ずかしがらずにぜひ足を運んでいただいて、それだけでも慶應を盛り上げることにつながりますので、そういう形で少しでも楽しんで大学生生活、それ以外の生活も送っていただきたいと思います。

菊池:いつも体育会をご支援いただきありがとうございます。いろいろな試合に足を運んでみてほしいという思いがすごくあります。その理由は友達がいるからや自分が好きな競技だからなど何でも良いと思います。そこで多くの刺激を得られると思います。だからこそ例えば應援指導部と一緒に応援したり、その試合を見てそれがきっかけで体育会に入部したりといろいろな選択肢が芽生えてくるのだと思いますので、いろいろな試合に足を運んでいただければと思います。

長沢:いつも慶應スポーツの記事を読んでいただきありがとうございます。慶應スポーツの記事はどれも学生視点で学生にしか書けない記事ですので、ぜひ読んでいただければと思います。そして慶應の体育会に興味を持っていただき、伝える側、応援する側、実際に運営する側、プレーする側などいろいろな関わり方があると思いますが、慶應の体育会に関わって盛り上げてほしいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材:東九龍)

 

乃坂龍誠(のさか りゅうせい) 慶應高を経て法学部政治学科4年。應援指導部元部員で4年時には三将と応援企画責任者を務め、部の再建活動に取り組んだ。今年一番好きだった授業は春学期SFCの慶應義塾入門だという。

菊池龍志(きくち りゅうじ) 慶應高を経て環境情報学部4年。水泳部飛込部門に審判として所属。本年度の体育会本部主幹を務めている。最近はドラマ鑑賞にはまっている。

長沢美伸(ながさわ よしのぶ) 慶應高を経て法学部政治学科2年。2022年の担当競技はラクロス、競走、端艇、野球、應援指導部。2023年度の慶應スポーツ新聞会の編集長に就任した。秋学期の楽しみは水曜2限の体育のソフトボールの授業だという。

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