【バレーボール】秋季リーグ開幕記念!アナリスト対談~前編~ ~そこにあるのは数値か宝か~

バレー企画

▲写真左上から時計回りに立川・田鹿・鍬塚・一木

ここまでで3戦を終えた秋季関東大学男子1部リーグ戦。コートで戦う選手はもちろんだが、同じく勝利に向かって日々ひたむきにバレーボールに向き合っているのがアナリストだ。先週23・24日の試合は延期になったが、今週は対談記事でさらに慶大バレー部について知っていただきたい。前編はアナリストの皆さんの紹介、仕事内容などをお届けします!

 

じめに

――まず初めに皆さんの自己紹介をお願いします。

田鹿:じゃあ3年生の立川さんから・・・

立川:いや4年だな(笑)。はい、商学部4年の立川です。アナリストは今年で4年目で、一応アナリストのトップとしてやらせてもらっています。よろしくお願いします。

田鹿:3年生の田鹿陽大です。高校まで慶應高校でバレーをしていて、大学からはスタッフ・アナリストという形でアナリストを始めました。お願いします。

一木:2年の一木です。僕も陽大さんと同様慶應高校で3年間バレーボールをして大学からアナリストをやっています。よろしくお願いします。

鍬塚:商学部1年の鍬塚凛です。自分は愛知県の公立校出身で大学から慶應という形なんですけど、それでアナリストとしては初めてで下っ端としてなんとか頑張らしてもらってます。

 

――立川さんと鍬塚さんはバレーとの関わりはいつ頃からですか

立川:自分は中2の頃に友達から誘われてやってそれで高1の夏にちょっと怪我で辞めちゃって、そこからしばらくバレーと離れてた時期があって、で大学でもう一度という形です。

鍬塚:自分は中学1年の頃に同じように友達に誘われてバレーボールを始めてそこから6年間やってきたのですが、高校は結構勉強に重きを置いていたのであまりしっかりバレーボールに取り組めたわけではなかったですね。

 

――なるほど皆さん競技経験があるということですね。スタッフ・アナリストに転向した理由、きっかけは

田鹿:大概そうだと思うけど、まずはやっぱ「選手として勝つことに貢献できないんじゃないか」というのがまず一つ多分あると思う。俺とか一木は。内進の人は特にそうで、大会には絶対入りたいけど選手としては活躍、貢献できないんじゃないかという思いがあってスタッフになる人が多い。僕の場合だと高校の時にスタメンではなかったんだけど日頃の練習で玉出しをする機会が多くて、自分が何か取り組んだ、他者に対して何かアプローチをしてその結果相手が何か成功したり結果を出したりというのがすごい嬉しかったです。なので大学でもそういうことをやれたらいいかなというので、選手ではなくスタッフで入ったというのは僕の理由です。

立川:自分は高2の時に『マネーボール』という本を読んで、それは簡単に言ったらデータを使ってお金のないメジャーリーグのアスレチックスというチームが強いチームに勝ち上がっていくみたいな話なんですけど、それを読んでそのデータでスポーツを見るという世界にはまりました。それで大学入って最初はその野球の世界に飛び込んで、プロの野球のアナリストの方とかと一緒に活動させていただくにあたって、野球はすごいデータ分析が進んでるのでその考え方とかデータを使って選手育成に役立てるみプレイヤーディベロップメントという考え方を学んで、それを大学であるタイミングでふとバレーボールに生かせないかなと思って(バレーボール部に)入りました。

 

――鍬塚さんは地元である愛知から慶應に進学してアナリストになった動機は

鍬塚:第1志望だった国公立大学に落ちてしまって、それで学費も結構高いなか親が出してもらってわざわざ東京に住ましてもらってるので、その第1志望だった国公立大学ではできないことは自分で考えた結果やっぱりバレーボールを高いレベルで携わらしてもらうということだと考えたので、自分はこの4年間をバレーボールに捧げようと思いました。

一木:かっこいいなぁ。僕は一旦高3の11月ぐらいに引退して一度はもうバレーボールをやめようと決意はしていたんですけど、 僕が大学1年の時の7月の早慶戦を見に行ったタイミングで、それまでずっとアナリストとしてやらないかっていう声は掛けてもらいつつ色々お断りさせてもらってた部分はあったんですけど、早慶戦を見てやっぱりこの体育会バレーボールに貢献したいなと思ってアナリストを始めました。

 

仕事内容について

――皆さんの仕事内容を教えていただきたいです

田鹿:端的に言うとインプットの部分とアウトプットの部分があって、インプットの部分は実際にパソコンを使ってデータを収集する作業が1つと、あとはどういうプレーがあってどこが強みでどこが弱みかを探る分析です。
アウトプットに関しては日頃の練習で選手に対するアプローチ、アドバイスが1つと、あとは試合に先立って戦術立案という部分です。

 

――その「分析」というのは1点1点を記録していくのですか

田鹿:そうですね。だからボールに関するプレーを(ソフトに)全部ぶち込んでいって。

立川:重労働ね。

田鹿:コードが割り振られてる。

一木:どこで誰がボール触ってどういう攻撃がどこに落ちて、みたいなのを全部入力していって。相手についても。

 

――そういう分析は何かソフトを使うのですか

鍬塚:そうですね。『バレーステーション』という結構お高いソフトを使わせてもらっています。

立川:アナリストがいるチームは『データバレー』と『バレーステーション』という2つのソフトがあって、うちはバレーステーションを使用させていただいてるんですけど、 使ってるのはうちとあと秋から早稲田さんが使うぐらいで、あとは全チーム『データバレー』を使ってます。そっちの方がちょっと古いソフトで『バレーステーション』がちょっと新しいソフトで、うちはそこに今年から移行したという形です。

試合を見ながらインプット作業を行う

――試合が毎週土日にあって忙しいと思いますが、分析した結果はいつ伝えますか

田鹿:火曜か水曜ですね。月曜のオフを挟んでそこでもうひたすら分析して、火曜ぐらいに自分のチームに対してこれがどうだったよね、ちょっとできてなかったよねというのを伝えて、それで水曜ぐらいに今週末にある試合に対してどうするのかというのを伝える感じですね。

 

――皆さん4人の中で役割分担はありますか

立川:あるはあるけど・・・

田鹿:でも結構トップダウンだよね。まず組織形態が結構トップダウンな感じで、

立川:(笑)

田鹿:この二人(立川・田鹿)が上にいて、もう2段構造。

一木:僕ら二人が下っ端として働くっていう(笑)。

田鹿:雑務なり、出したいデータを出してもらう。で考えてるのがここの2人ていうイメージだね。まあ考えてないことはないけど。

一木:試合期間だと、全員さっき言ったデータを打つんですけど主にここの二人(一木・鍬塚)だったりが多く試合のデータを取って、それを元にこっちの二人(立川・田鹿)が分析して戦術を立てていく。でその中でこうデータを打ちながら気になった部分があったら僕ら二人もどんどん投げていってという感じですね。

協力してチームの勝利に貢献する

――お二人(立川・田鹿)はそういった戦術はどこで学ぶのですか

田鹿:戦術はどこで学ぶんだ?

立川:もう4年間で学びました。 やっぱこれまでやってきたバレーと大学のバレーて全然違いますし、その戦術に対する考え方とかは選手としてやってた頃の戦術に対する考えと今では全然違ってくるので、もう4年間で頑張って学ぶしかないという感じですね。

 

――慶大はアナリストが強いという話も耳にしますが、それはなぜだと思いますか

田鹿立川:ニヤリ(笑)

田鹿:えーなんでだろうね。考えたことないよ。

立川:でも4人いるのはなんだかんだでかい気がする。

田鹿:確かに。

一木:他大学は割と1人とか2人で回してるチームが多い分。

立川:人がいる分その分析に割けるキャパとか、1人1人のキャパが大きくなるのは間違いない。そこがあるのと、あとなんだろうね。

一木:1個あるのは、全員がバレーをやってたという経験は一個大きいのかなと。選手目線で見れる部分が多いと思うので、そこは一個強みだなと。

立川:特に田鹿・一木とかは慶應高校という高いレベルやってたので、それを視点として持ってるというのは他の大学のアナリストと比べても優位なのかなと思います。

 

―― 選手とのコミュニケーションで難しいと思ったことは

田鹿:やっぱ価値観が違うことかな。外で見てるのと中で見てるこの目線の違い、そのギャップを埋めるのが結構僕は一つあると思う。

立川:自分は特にバレーボールがそんなうまいわけではないです。逆に選手は大学のトップレベルでやってる人たちなのでその人たちに対しての伝え方が難しいです。やっぱりそういう選手はそれなりに自分のプレーにも誇りを持ってる部分とかもありますし自分なりのプレースタイルとかも完成されているような段階の選手が多いので、そういう人たちに「こういうプレーやってみたらいいんじゃない」など言うのは勇気も要りますし、伝え方も工夫していかないといけないです。そうした中でバレー経験がそんなに豊富じゃない自分がどういう価値を提供していくかみたいな話は難しかったです。

 

――1・2年生のお二人は

鍬塚:ほとんど前の二人と一緒になってしまうのですが、やっぱりアナリストは理想論的にならざるをえないというかデータを見てその数値通りにやるしかない。そことプレーしてる選手の現場の感覚をどううまい具合に合わせられるか、あまりにも離れてるとやっぱり選手たちは聞いてくれないし、だからといって現場に合わせすぎても自分たちの意味もないしという、その塩梅はやっぱ難しいなと1年生ながら感じます。

 

それぞれについて

――お二人から見て田鹿さんと立川さんの尊敬するところは

立川:まずい(笑)

田鹿:ないんで(笑)

一木:じゃあ俺から言うと、とにかく二人ともストイックだなというのが一番あります。どこかリーグ中もちょっと休憩したいみたいな自分は思ってしまう場面でも、二人がこう必死に分析とかしてる姿を見てきてるので、自分もどうにかついていかなければと頑張れる部分があるので、このストイックさと日本一ていう目標への熱量は二人はほんとに選手含めてチームで一番持ってるんじゃないかなというぐらい尊敬できるポイントですね。

鍬塚:自分は結構諦めの悪さというのがあると思っています。、例えば仕事が忙しくて物量的に終わらない、自分のタスクが終わらないみたい時もリーグ戦中はあるかもしれないのですが、そういう時も自分の体が持つ限り頑張ってデータを打って少しでも質の高い一つでもデータを出そうという意欲もあります。それに例えば自分の調べたい指標が出せないのだったら、それは諦めるとかではなくて自分でなんとかエクセルなり使って試行錯誤してその欲しい数値を得ようという、諦めるということをできるだけしないというのは結構ありますね。なんとかしてその自分のしたいことをして、チームの勝ちにつなげようという意欲をすごい感じますね。

 

――立川さんと田鹿さんはご自身の1・2年次を振り返って、お二人について感じることはありますか

立川:バレーボールとか仕事にすごい真摯だなと思います。自分の1、2年生の頃とか思い浮かべたら、すごい先輩に怒られたりとかサボってたりとかそういう感じだったので。今の二人を見ると、仕事に対してすごい一生懸命だったりバレーボールに対してすごい真摯に考えたりとか。だからそういう部分は1・2年生離れしてると言いますか、そういう熱意とかは逆に自分も見習わないといけないなと思わされたり、入りたての自分を叱ってやりたくなるぐらいにはちゃんとしてるなと思います。

 

田鹿:もうほんと二人ともよく考えてて、僕は1年生の頃バレーボールプレーしかしてなかった。ほんとにただのペイペイだった。もう作業も数字出して終わりとか、その先にあるものを本当は考えなければいけないのに。そこの先にもう1、2年生でいけてるので、もう任せられるというかあとはほんとに最後までやり切るだけという。

 

――プレーしかしてなかったというのは

田鹿:濱本さん(22年卒)という1・4の先輩がいてその先輩にずっと選手との信頼関係が一番大事だと言われてて、自分なりに考えた結果やっぱり選手と一番信頼関係を築けるのはプレーだなというのはずっと思ってました。それで1年の頃は本当に作業自体も少なくてやる仕事も単調だったので、今しかないなということでずっと練習に参加したり、あとアフターという練習後の練習みたいな自主練習をずっとやってたり。そういう下積み時代でしたね。

 

――その経験が今に生きてると感じることはありますか

田鹿:やっぱり自分がどう考えてこう動いてほしいとどんなに思ってても結局やるのは選手で選手が動いてくれないと意味ないです。そこの風通しの良さというか、 自分が言ったことに対して素直に選手たちがやってくれてるなという印象はあるので、1年生の頃選手たちと一緒にやってよかったなというのは思います。

(取材:五関優太)

対談の後編は明日正午に公開します!ぜひご覧ください。

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