【應援指導部】勝ち点を取った方が優勝の慶早戦 「4年生ともっと応援がしたい」/慶早戦前 総合練習

應援指導部

優勝がかかっている今季の慶早戦。運命を分ける大一番に向け、懸命に準備をしている人たちがいる。迫力ある応援の中心を担う應援指導部である。10月23日には総合演習が行われ、慶早戦でしか見られない華やかな試合前企画や白熱した応援で観客を先導するための最終調整に入った。

 

今春から復活した、応援席での声出し応援。応援席が一体となって選手に大声援を送る光景は、東京六大学野球の醍醐味の一つである。そんな応援席を束ね、慶大の勝利に貢献すべく應援指導部は日々活動を行っている。慶早戦前に行われる総合練習では、チアリーディング部や吹奏楽団が勢ぞろいし最後の確認を行う。

慶早戦前ならではの練習は試合前企画である。中でも注目は、「塾高優勝企画」である。慶應高が甲子園で優勝した事にちなんだ企画だが、慶應高出身以外の部員も「今日は自分たちが優勝に導くんだ、という意識を持つ事が大切」だと呼びかけがあった。

また、ステップス企画からも目が離せない。チアリーディング部男子部員が、女子部員と一緒に踊る企画である。スローで動画を見て練習し、動画を見なくても踊れるように練習をしたという。慶早戦でしか見られない、彼らの表情に注目してほしい。

男子部員もダンスの練習に励んだ

最も白熱したのは、続いて行われた試合想定練習である。実際の試合を想定し、あらゆる場面に対応できるよう練習を行う。野球サブ(野球応援担当)Sさんは、「勝てば神宮大会に進み、まだ4年生と試合ができます。慶早戦を最後にはしません」と意気込み、練習が始まった。今回は、日曜日に行われる予定の2回戦を想定しており、苦しい場面でも応援が引っ張っていけるかどうかが肝心だという。初回の守備を想定した練習が終わると、「苦しい展開だったが、気持ちが前のめりになっていて良かった」と野球サブが評価した。

4年生への思いを口にしたSさん

9回表を想定した練習では、応援に一層熱が入り、アウトを取るたびに大きな歓声が上がった。9回裏ではビハインドの場面から、応援の力で逆転までつなげる事を想定。『朱雀』や『ダッシュケイオウ』といった力強い応援歌が続き、最後には勝利して『丘の上』を歌い上げるという流れで、一連の練習が終了した。

練習でも、満面の笑みを浮かべた

下級生の成長も著しかった。2年生も今季からダッシュケイオウの際にメイン台に上がったり、総合練習でも1年生が太鼓をたたいたりする場面も見られた。

試合想定練習が終わると、野球サブや応援企画責任者の面々が全体の振り返りを語った。応援企画責任者を務めるMさんの「絶対早稲田に勝てる応援を作りましょう」という呼びかけで、4時間にわたる総合練習が終わった。

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「満員の慶早戦で観客と一緒に応援したい」。そんな思いを抱き入学した3年前、夢見ていた光景とは程遠い現実があった。2020年春季リーグ戦は、たったの5試合。観客もいない。声も出せない。マスクで表情も見えない。この状況がいつまで続くのか、もしかしたら卒業するまで応援活動はできないのではないか。先の見えない不安や絶望感にさいなまれた。しかし、その時にできることに真剣に取り組んできた。最初はオンラインツールを使い試合を盛り上げるところから始まった。外野での応援ができるようになると、内野からの応援より距離が遠いため視覚的に伝えることを意識した。応援の制限は、毎シーズンごとに変わっていった。そのため前回の内容を踏襲するだけでなく、常に自分たちで考えその時に許可されている範囲で何がベストなのか模索し続け、進化を遂げてきた。

先の見えない中、努力を続けた4年生

応援に対する向き合い方も変わった。外野で応援している時は「応援部」。自分たちがいかに選手に声を届けるかが重要だった。しかし、観客と一緒に応援ができるようになると「應援指導部」として応援に向き合わないといけなかった。観客に応援を「指導」することが應援指導部の使命だ。本来の姿を見せることができるようになった。

2023年、待ちに待った、観客と一体となって応援する「応援席」の復活。ここでもまた壁にぶつかった。4年生を含め誰も経験がない。ゼロからのスタートだった。しかし、3年前のあの絶望に比べたら、怖いものは何もない。「声は出してはいけない」という應援指導部90年の中で誰も経験していなかった状況を乗り越えてきたのだから。目の前の観客と一緒に声を出して応援できることの喜びやうれしさは、部員の表情に溢れ出ていた。

春季慶早戦。4年生がメイン台で輝いた!

ノウハウがない中で始まったが、春季の慶早戦には土日で延べ5万人、火曜日も慶大応援席は満席になった。8月には慶應高野球部が甲子園で優勝し、「慶應の応援」も注目を集めた。そして秋季慶早戦は勝った方が優勝という大一番に。4年生にとって應援「指導」部として迎えた最初で最後の1年に、応援の神様がほほ笑んだ。偶然ではない、今までの必死の努力がそうさせたのだ。3年生の「4年生ともっと応援したい」という思いは、そんな4年生への感謝の気持ちなのかもしれない。

例年の4年生より応援「指導」の経験は確かに少ない。しかし、どの世代よりも苦労し考え成長を続けた濃密な4年間だっただろう。今の4年生にしか作り上げることができない応援席がある。応援できる幸せを誰よりも知っている4年生に用意された最高の花道。はじける笑顔と声援が優勝への架け橋となる。

(取材:工藤佑太、長沢美伸)

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