【バレーボール】攻めの姿勢を貫き強敵に迫る。チームの強みを見せつけた/第88回早慶バレーボール定期戦・女子

バレー戦評

「早慶戦優勝」という目標を掲げて例年の倍の合宿をこなし、チーム全員が意見し合えるような練習環境の整備にも取り組んできた今年のチーム。早慶戦という大舞台でその努力が実を結んだといえるだろう。第1セットは例年以上の粘り強さと、今年ならではの攻めのバレーを相手に見せつけ優位に試合を進めた。しかし逆転を許した場面で攻撃を畳みかけられるとこの点差を最後まで埋めることができなかた。第2セットは序盤からリードされ、さらに相手が主導権を持つ試合展開の中で自分たちのしたいような攻撃ができず17―25でセットを落とした。つづく第3セットは多彩な攻撃を繰り広げて相手を追い、さらに最後まで攻守双方のプレーで観客を沸かせたが17―25でコートを後にした。

2024年6月8日

第88回早慶バレーボール定期戦
慶大×早大
@早稲田アリーナ 16:00-
※掲載が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
 

 

得点

慶大

セット

早大

22

25

17

25

17

25

 

出場選手

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

OH

西村美葵(商3・慶應女子)

S

倉員未羽(商3・慶應女子)

MB

野崎莉黄(法4・田園調布雙葉)

OH

中村日南(看3・慶應湘南)

OP

宮里夏輝(政4・桐光学園)

MB

富村美祐(商4・国際)

L

石田莉子(商4・慶應湘南)

途中出場

 

 

MB

北村日向子(法2・法政第二)

OP

11

伊藤里美(理1・戸山)

 
第1セット、慶大が順調な滑り出しを見せる。西村美葵(商3・慶應女子)の正確なスパイクで先制すると北村日向子(法2・法政第二)のサーブで相手を乱しこれも得点。3―3と追いつかれるもまたも西村がレフトから対角のサイドラインいっぱいのところにスパイクを決める。その後も拮抗(きっこう)した試合展開が続くもここで富村美祐(商4・国際)と西村のサービスエースで6―4とする。7―7と再度点差を詰められたところでは石田莉子(商4・慶應湘南)が力強いサーブを好レシーブ。観客からの「ナイス!!」という声も響きわたり第1セット序盤ながら会場はますますヒートアップする。大歓声に応える好プレーが連続するも8―9と初めて逆転を許すとコートの空きを突かれ8―10とする。中村日南(看3・慶應湘南)が相手のワンタッチを誘い1点を返すも相手の連続得点を許し12―16と離されたところで慶大のタイムアウト。タイムアウト後は中村の2得点で18―21とし、再び点差を広げられ19―24と相手のマッチポイントを迎える。ここで慶大が持ち味の粘り強さを見せる。石田のサーブレシーブで上がったボールを西村が得点につなげると、直後に宮里夏輝(政4・桐光学園)がネット際で冷静に押し込み、2連続得点で21―24とする。さらに中村が片腕でつないだボールをまたも西村がスパイクをサイドラインいっぱいに決めて22―24にまで詰め寄る。追い上げを見せたところでサーブが惜しくもエンドラインを超え第1セットを譲った慶大だったが、次のセットに向けて弾みをつけた形となった。

西村のスパイクで序盤にリードをつくる

 
 
第2セット、コートには新たに伊藤里美(理1・戸山)が入り、他のメンバーも熱戦となった第1セットの疲れを見せない。1点目を奪取しこのセットも先制に成功するも、相手の早いテンポの攻撃に対応できず2―5と序盤からリードを許す。直後の点は長いラリー戦となり、力強いスパイクがコートに打ち込まれるも粘りあるプレーでボールを上げ続け最後はフェイントで点を勝ち取るが、相手スパイクにさらに力が入り始め9―15と大差をつけられてしまう。タイムアウト後の得点は、野崎莉黄(法4・田園調布)がスパイクを放つと見せかけ相手ブロックを引き付けたところで西村が冷静に決めて5点ビハインドで10点台にのせる。その後も相手のテンポの速さに苦しみ点差が埋まらない。ここで北村日向子(法2・法政第二)がコートに入り、チーム一丸となり追い上げを図る慶大は先に20点台にのせた相手に対して2連続得点を奪い15―20とすると、さらに富村・倉員未羽(商3・慶應女子)も粘り強く相手スパイクをブロックし続ける。しかし勢いに乗る相手を前にここは粘り切ることができず17―25と大差で第2セットを落とした。

1年生ながら出場し活躍を見せた伊藤(中央)

 
勝負の第3セット、早々に西村のスパイクが決まり3セット連続で1点目を制す。倉員のサービスエースで3―3とするが、その後2連続得点を許すとさらにサービスエースを取り返され4―8とする。厳しい展開つづくセット中盤だが、倉員の攻めのトスワークがチームを救った。素早いトスでレフトの中村にボールを託すとこれが決まり、さらには野崎のクイックも使うなど攻撃に幅をもたせることで相手を翻弄し8―10まで点差を詰める。その後富村をはじめとして粘り強くブロックの手を出し続ける慶大だったが、これを巧みに利用され10―16と点差が広がってしまう。さらにタイムアウト後には相手のツーアタックが決まり11―18とする。ただ、やはり簡単には勝負を終わらせない粘り強さが慶大の持ち味。野崎がどんなスパイクにもネット前でくらいつき、さらに中村のスパイクで1点を返上。惜しくも追い上げはここまでとなり、連続得点を許し14―21、コートの空きを突かれ16―23とすると最後は相手スパイクがコートに落ち17―25で試合を終えた。慶大は攻守バランスのよいプレーで観客を沸かせ、リードする展開も多かったものの強敵相手に1セット奪取することは叶わなかった。
 
 
 
以下、選手コメント
 
西村美葵選手
――今日の試合を振り返っていかがですか
チームとして早慶戦優勝を目指してやってきたんですけど、それを実際叶えることはできなかったというのはすごい悔しくて、自分のプレーも結構もうちょっとできたなと振り返ってみると思うのですが、自分が今まで経験してきた早慶戦の中で一番楽しかったなというのが感想です。
 
――「一番楽しかった」というのは理由は思い当たりますか
自分的にも去年よりディグ上げられたなとか、相手のブロックが高いと分かってたので、ブロックアウトの練習とかしてたんですけど、なかなか本数はあまりできなかったかもしれないんですけど、それを実際に点数につなげることができた場面もあって。チームとして練習してきたものが形になった瞬間というのもすごい自分的には楽しかったです。
 
――多くのトスが集まっていたと思いますが、何を思ってスパイクを打ちましたか
自分がほんとに決めてやりたいってほんとにずっと思っていて。 あんまりレシーブも上がらなかった場面も多かったので、それを取り返せたらなと思って、 あんまりうまくいかなかったんですけど、でも信じてトスを上げ続けてくれたセッターの倉員に感謝です。
 
――部は新たな目標を立てて3部昇格に向けて取り組むと思いますが、秋季リーグに向けて一言お願いします
結構チーム力というのはすごい強みなのかなと思うので、その春に達成できなかったもの、4年生最後のリーグで絶対に達成できるように頑張ります。実際に4年生と3部で戦うことはできないんですけど、でも3部昇格をしたという結果として残せればなと思います。
 
倉員未羽選手
――今日の試合を振り返っていかがですか
正直ここまで競れるとは思ってなかったんですけど、その、やっぱり爪の甘さというところが早稲田との違いかなと思うので、競ったからこそすごい悔しい試合になったなという感想ですね。

 

――トスだけでなくディグなどでも大活躍だったと思いますが、ご自身の評価は
いや正直今日のトスに関してはもうほんとに30点と言っていいほどのレベルの低さだったので、もうここからまた夏の練習とか繰り返して来年とか、秋季リーグや来年の早慶戦でまたいいところを見せられるように頑張りたいなと思っています。

 
――秋季リーグ戦に向けて強化したいことは 
サーブに関しては2部相手でも通用するというのが分かったのでそこは引き続き力を入れていくのと、あとトスの正確性というのをもうちょっと上げていければなと思ってます。
 
 
中村日南選手
――今日の試合を振り返っていかがですか
去年初めて出させていただいて、それに比べたら自分の中で「楽しいな」という思いがやっぱり強くて。ただ、相手の強いスパイクに対して触ることはできてもやっぱり上げるっていうのがなかなか難しくて、それに関しては今年はすごく悔しいなという思いが強い早慶戦だったかなと思います。
 
――早慶戦を見て入部を決意されたとお話しいただきましたが、その時の自分に掛けたい言葉は 
まずはほんとにその決断をして正解だったよと自分に言いたいなって思っています。その、 一昨年の自分からはそもそもコートに入れるとも考えられなかったので。(早稲田アリーナの)1階にユニホームを着ているんだっていうところまでは多分あると思うんですけど、(ユニホームを)着てプレーして活躍するっていうところまでは想像していなかったので、 もう純粋に嬉しいなって。

 

――今年は早慶戦優勝に向けて練習量も例年よりも多かったと伺いましたが、やはり学業との両立は大変でしたか
大変だった部分もあるんですけど、大学の学部の友達もそうですし部活の同期とかにも支えられて、なんとかこの早慶戦を今年も迎えられたなって。

 

――少し期間はありますが、秋季リーグ戦に向けて一言お願いします
秋季リーグは春リーグで叶えられなかった3部昇格というところをまず叶えたい。そのためにもう少し一つギアを上げたレベルの高い練習もそうですし、最後までボールを追って諦めないという気持ちをもう一回全員で思い直したい。ここからまた仕切り直しだと思うので、勝ちを意識して全員で戦っていくということをまた秋季リーグで意識していきたいなと思います。

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