【アメフト】全国大会出場に向け桜美林大に快勝、まずは来季TOP8残留が決定/TOP8第5戦

アメフト

関東アメフトTOP第5戦、桜美林大学との一戦に臨んだ慶大は序盤から優位に試合を展開する。佐々木雄大(経4・慶應)が決めた2本のフィールドゴールに始まり、松本和樹(経4・慶應)から久保宙(経3・慶應)のパス、田中玄樹(理1・本郷)のランなど、三位一体で積極攻勢をかける。ディフェンス陣も失点をTD1本に抑えた慶大は、一度もリードを許すことなく桜美林大を27-7で撃破。今季成績を3勝2敗(残2戦)とし、慶大はまず来季のTOP8残留を確定させた。

 

10月13日(日)11:00 @アミノバイタルフィールド TOP8第5戦

 

慶應義塾大学 UNICORNS

桜美林大学THREE NAILS CROWNS

第1Q

30

第2Q

17

0

第3Q

0

0

第4Q

7

7

27

7

 

前節は昨年関東王者の法大に敗北した慶大UNICORNS。全国選手権出場のために、絶対に落とすことができない戦いは続く。今日の相手は今年TOP8への昇格を果たした桜美林大学。春季オープン戦では21-14で慶大が勝利しているだけに、ここでも勝利して前節の敗戦の空気をシャットアウトできるか試される一戦となった。

第1クォーター(以下第1Q、他Qも同様)、先攻・慶大の攻撃は自陣41ヤードから。攻撃の要は、もはやおなじみとなってきたQBの二枚看板・松本と水嶋魁(商4・海陽学園)。特にこの日の水嶋は自ら走って陣地を稼いでいった。もともと移動砲台タイプの水嶋にとってこのプレーは彼の十八番であったが、最近は不発に終わることも多かっただけに、慶大オフェンス陣の好循環を予感させるプレーとなった。敵陣18ヤードまで迫ると、佐々木のフィールドゴールで3点を先制する。

絶対的安定感、佐々木のFG

慶大の先制は明大戦以来で今季2度目、スタートダッシュに成功した。続く桜美林大の攻撃を、慶大ディフェンス陣が1st downを一度も取らせずに凌ぎ、再び攻撃権は慶大へ。チーム全体にいい流れが見えていたが、そう簡単にはいかせてくれない。敵陣内で水嶋がWR藤崎志恩(商4・慶應)に放ったタッチダウンパスは伸びが足りず、ボールを手中に収めたのは桜美林大DB・佐原泰輔(リベ4・横浜)。痛恨のインターセプトを献上してしまった。この後、敵陣23ヤードからのスタートとなるディフェンスは、1st downは取られながらも自陣への侵入を許すことなく抑えた。インターセプト後の守備をいい形で終えることができた。

水嶋。今日は得意のスクランブルプレー復活を予見させた

第2Qは第1Q終了時の慶大攻撃の続きから。スタートは自陣27ヤードと深めの位置からだったものの、3回の1st down獲得で順調に侵攻。敵陣22ヤードまでは進むものの、タッチダウンが遠い。結果再び佐々木のフィールドゴールを狙う形となった。強い逆風の中でも余裕のある佐々木のキックはしっかりとゴールポストを捉え、6点目を獲得する。次の守備も優位に抑え、すぐに攻撃に転じる理想的なゲーム進行で試合は展開していく。次の慶大攻撃では、松本が放った40ヤードほどのロングパスを、マークが空いていた久保がキャッチ。久保はそのままゴールラインまで駆け抜け、待望のこの日初タッチダウン。70ヤードほどを一気に突破するファインプレーとなった。TFPも決めて13-0と突き放し、優位性を確保した上でも、さらに慶大のファインプレーは続く。桜美林大のパスを捕球したレシーバーに対し、赤木龍士朗(政3・鎌倉学園)と林大成(商4・慶應)が強烈なタックルをお見舞いし、ボールをこぼさせ、林が捕球に成功。審議の結果、ファンブルリターンと認められ、攻撃権を奪い取った。ボールを奪えなければ桜美林大の1st down獲得は確実だっただけに、チームを救うプレーとなった。続く慶大の攻撃は残り時間が70秒強と短い中で、松本がディフェンスにタックルされながらもWR・水野覚太(政4・慶應藤沢)へのロングパスを通すことに成功しタッチダウン。鮮やかに追加点をもぎ取った。

應援指導部に率いられた応援席のボルテージもMAXに!

第3Qは桜美林大の攻撃から。ランプレーで1st downを取られつつも、ディフェンス陣が前半と変わらぬ奮闘を見せ、やはり敵陣内からは出さずに攻撃権を奪い返す。慶大は得意のパスに加えて、課題として各選手から挙がっていたランプレーも快調に繰り出していく。しかしここは得点には至らなかった。続く桜美林大の攻撃で、ディフェンス陣が少しずつ攻略されていく。フィールド左側のサイドライン際をパス・ランの両者で駆け上がられてしまい、ついに自陣への侵入を許す。渡辺晴(経2・慶應)のタックルでなんとかサイドラインを割らせるのがやっとというプレーもあり、今日初めてのピンチを迎えた慶大。自陣16ヤードまで迫られ、キックでの失点はやむなしかという状況で、最終第4Qへ突入する。

WR・黒澤。ランでの出番も多かった

第4Qを3rd downまでなんとか抑え、キックで3点を狙うかと思われた桜美林大だが、ワンチャンスに賭けて4th downでのタッチダウンを狙ってきた。フィールド右端にロングパスが放たれたものの、落下点には誰もおらず。相手のミスながら、慶大はなんとか劣勢を凌ぎ切った。この時点で20点差の優位に立つ慶大は、さらに貪欲に追加点を狙う。後半から出場のQB・山岡葵竜(政3・佼成学園)が水野にロングパスを通したかと思えば、今度は自らボールを持って走る。着実に次世代司令塔への階段を登ろうと奮闘していた。この攻撃シリーズは、水嶋が切り込みランでタッチダウン目前まで持ち込むと、最後は山岡が体をねじ込んでタッチダウン。慶應QBの仕事はパスだけではないということを証明した攻撃シリーズとなった。

QB・山岡。来年のUNICORNSを牽引する機運も高まるか

残り時間4分ほどで27-7と、かなりセーフティリードと言える点差をつけた慶大に対し、桜美林大はまだまだ噛み付いていく。ここぞという場面での勝負強さが光り、次々とロングパスを通される。最後も慶大ディフェンスのブロックを振り切られてパスが決まった。27-7とされ、ここまで完封していた慶大としては一泡吹かされる結果となった。とはいえ残り時間は1分半で勝利はほぼ確実な中、最後に魅せたのはルーキー・田中玄樹。ルーキーらしからぬステップで相手ディフェンスを翻弄し、計25ヤードのゲインを獲得。ランプレーを課題とする慶大オフェンスにとって、強烈な希望の光となるようなデビューを果たした。タッチダウンにはつながらなかったものの、このまま慶大ボールで試合は終了。慶大は3勝目を飾った。

ルーキー・田中の強烈なデビュー

慶大はここまでの戦績を3勝2敗(残2戦)としている。一方、この日の試合終了時点で中央大と桜美林大学は5敗目を喫した。仮に慶大が残り2戦に敗れても3勝4敗であるため、今日の勝利をもって慶大は今季の6位以上、そして来季のTOP8残留が確定した。近年のUNICORNSは最終戦の結果やその後の入れ替え戦での勝利でTOP8残留を決めることも多かったなか、5戦目にして早くも残留を決めたのは石塚世代の大きな功績といえよう。

しかしその裏では同時に、今季の優勝および自力ポストシーズン進出の可能性が消滅している。残る2戦に慶大が最低1勝すれば、他大学の結果次第ではあるものの、関東2位または3位での、全日本学生選手権への参加権を得ることができる。とはいえ1勝1敗ではPS進出の望みは薄く、2勝を是が非でも掴み取りたいところだ。次戦の東大戦は、例年以上にその勝利が大きな意味を持ってくることになる。昨シーズンの奮闘での快勝の再現なるか、UNICORNSの進化に期待だ。

 

(参考)慶應義塾大学UNICORNS リーグ戦順位早見表

※3位まで全国選手権に出場。順位条件はケイスポ独自調べ、引き分け考慮せず。

慶應2勝0敗W○-●RW●-○R
W○-●MW●-○M W○-●MW●-○M
H○-●MH○-●R3位

3位or4位※2

2位
H●-○R4位3位
H●-○MH○-●R

3位or4位※2    

2位
H●-○R

3位or4位※1

3位4位3位
      
慶應1勝1敗W○-●RW●-○R
W○-●MW●-○MW○-●MW●-○M
H○-●MH○-●R3位4位
H●-○R4位
H●-○MH○-●R3位
H●-○R4位

3〜5位※3     

※W:早稲田大学 H:法政大学 R:立教大学 M:明治大学 ○:勝利 ●:敗北

※1→H●-○R8点差以内 or 18点差以上で慶應3位
※2→W●-○R7点差以内 or 19点差以上で慶應3位
※3→W●-○M11点差以内 or 17点差以上で慶應3位

 

(記事:東 九龍)

試合後インタビュー

佐々木雄大(経4・慶應)

ーー試合の感想

ポストシーズンに向けて1戦も落とせない中で勝利することができたのは良かった点だと思います。一方で、スコアに現れない部分で一つ一つの内容には修正すべき点が多かったとも感じています。

ーーキックチームで意識した点とその結果

キッキングチームとして特別なプレイ等は用意していなかったので、ファンダメンタルの部分を意識することにこだわりました。ゲームの流れを乱すことはなかったと思いますが、流れを引き寄せることもできていなかったかなと。

ーー全国の為には残り2勝が絶対条件。東大と中大、さらにその先の関西との大学に向け、どのように調整していくか

まずは目の前の1戦1戦に拘っていきたいが、同時に関西に勝つという意識作りをチーム全体でしなければならない。残り2戦ただ勝利をするのではなく、自分達がやりたいことをやれるように練習から取り組みたい。

ーー次戦の意気込み

昨年は、東京大学の特殊なオフェンスに対して、慶應ディフェンスは苦しめられました。相手の行うことに惑わされることなくODKそれぞれ自分達のリズムで勝利したいと思います。キッキングチームにご期待下さい!

林大成(商4・慶應)

ーー試合の感想

全国のためには落とせない一戦だったので、まずは勝てて安心しました。

ーーキックチームで意識した点とその結果

Kickingリーダーとして試合前に呼びかけたのは”大胆に””丁寧に”プレーすることでした。Big Playはなくても安定したKicking Unitになったと思います。

ーー次戦の意気込み

関西を見据えて内容にこだわりつつ、東大に対してしっかり勝ち切ります。応援よろしくお願いします!

松本和樹(経4・慶應)

ーーオフェンスチームで意識した点とその結果

オフェンスとしてはランで確実にゲインすることと、自陣から攻め込んで点を取り切る事を意識していました。結果として大味な展開になることもありましたが、確実に進めることができたと思います。

チームとしては結果以上に内容にこだわる事を意識していました。オフェンス、ディフェンス、キッキングで満足のいく内容とは言えなかったので、次節への課題が残っている形です。

ーー今日は3rd downでのロングパスがかなり上手く決まった印象がある

3rd downでのロングパスはスカウティングの段階から要所で狙いたいと話をしていて、ゲームプランの通りに遂行できた結果です。

ーー法政戦からはランも多用しているように映るが、出来栄えはどうか。

オフェンスとしてランプレーが課題になっている中で、オフェンスラインとランニングバックが成長して形になって来ていると思います。ランプレーでも脅威を与えられるオフェンスを作っていきたいです。

ーー全国の為には残り2勝が絶対条件。東大と中大、さらにその先の関西との大学に向け、どのように調整していくか

今まで以上に内容にこだわっていきます。東大、中大共に気が抜けない相手なので、関西に向けてもプレーだけでなくファンダメンタルも成長していきたいところです。

今年のチームはスカウティングに力を入れているので、藤崎や横川、学生コーチを中心により取り組んでいきます。

ーー次戦の意気込み

東大はランを中心としたチームで、オフェンスの機会が少なくなることが予想されるので、その中でパスを中心に点を取り切るオフェンスをしていきたいです。

次節は内容の伴った結果が出せる様励みますので、応援よろしくお願いします!

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